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『道浦TIME』

新・ことば事情

6634「『越す』と『越える』」

12月14日、久々に「報道ステーション」を見ていたら、キャスターが、

「雪は峠を越えましたが」

と言いました。これは、

「峠を越しましたが」
と、どう違うのでしょうか?

感覚的・私の語感としては、

「超える」のほうが「能動的・主観的」。

「越す」のほう「客観的」。

な感じがします。ということで、気象情報に関しては「超えました」よりも、

「越しました」

のほうが良いのではないかな?と思いました。

そして、そもそもこの言葉に引っかかったのは、普通は「越しました」を使うのに、ここでは「越えました」を使っていたからではないか?と思い当たりました。

グーグル検索(12月26日)では、

「雪は峠を越えました」=1670件

「雪は峠を越しました」= 151件

でした。

ただ、「越える」のほうが「口語(現代語)的」、「越す」のほうが「文語的」なので、最近では「越える」を使った「越えました」が多用されるのかもしれないなと思いました。

(2017、12、26)

2017年12月31日 19:16

新・ことば事情

6633「菊地元信者・元信徒・被告」

元オウム真理教信者で、東京都庁小包爆弾事件に関与したとして「殺人未遂ほう助の罪」に問われた、「走る爆弾娘」こと「菊地直子被告(41)」について、最高裁は12月27日までに、検察側の上告を棄却する決定をし、菊地被告の無罪が確定しました。

菊地被告は17年間の逃亡生活の末、2012年に逮捕されていました。

このニュースを伝えた各紙夕刊の見出しで、菊地被告の「肩書」が異なりました。

(読売)被告

(毎日)被告

(朝日)元信徒

(日経)元信者

(産経)元信者

「元信者」と「被告」が「2:2」で、朝日の「元信徒」も「元信者」系ですが、

「信者」と「信徒」の違いは何か?

という別の疑問が生まれます。一般的な大まかな感覚でいうと、

*「キリスト教」=信者

*「仏教」   =信徒

のような感じが。「門信徒」とか、言いますもんね。

12月27日のお昼のニュースで私が見た限りでは、

(日本テレビ)被告(ストレイトニュース)

(TBS)  元信者(ひるおび!)

(テレビ朝日)被告(お昼のニュース)

でした。

(2017、12、28)

2017年12月30日 12:15

新・ことば事情

6632「なぜタコの足はゲソと言わないのか?」

先日、居酒屋で「タコのから揚げ」を頼んで出て来た時に、一緒にいた人が、

「あ、ゲソのから揚げですか?」

と言ったので、

「違いますよ、タコのから揚げですよ」

と言ってから「はて?」と思いました。

たしかに、から揚げ、見た目はとても似ています。味だって、まあ飲んで食べてりゃ、そんなに変わらないかも。(だからと言ってタコとイカ、普通は間違えないと思いますけど)それなのに、

「なぜ、『イカの足』は『ゲソ』といい、『タコの足』は『ゲソ』と言わないのか?」

という疑問が生じたのです。

調べて見ると、「イカの足」を「ゲソ」と呼ぶ語源は、昔、演芸場や寄席の、

「下足番」

をしていた人が、

「『下足札の紐』を10本まとめていた」

ところから、「下足」の略称・通称である、

「ゲソ」=「10本」=「イカの足」

という"連想ゲーム"になったという説が載っていました。

たしかに、いわゆる「足の数」は、皆さんご存じのとおり、

「イカ=10本、タコ=8本」

ですから、これは納得できる説ではありますね。「下足の紐」を「8本」でまとめたら、数えにくいですもんね。

(2017、12、26)

2017年12月29日 15:14

新・ことば事情

6631「ご入院」

(これは「6年前」に書き始めたものです)

2011年11月7日の「ミヤネ屋」で、天皇陛下が、

「ご入院」

という表記が出てきました。それを見てちょっと違和感が。

「退院」には「ご」を付いて

「ご退院」

でもいいけど「入院」に「ご」はちょっとおかしいかな?と思って、

「入院」

としましたが、テロップ1枚だけ「ご入院」で出ました。

その後、年が明けて(2012年)天皇陛下は心臓の手術(冠動脈のバイパス手術=2012年2月18日。執刀医=順天堂大学医学部・天野篤教授)のために入院、3月4日に退院されました。その様子を伝えた2012年3月5日の「読売新聞(朝刊)1面」の「見出し」は、

「天皇陛下が退院」

で、「本文」は、

「東大医病院に入院していた天皇陛下が天皇陛下(78)は4日午後、皇后さまに付き添われて退院」

で、「入院」「退院」共に、「ご」は付いていませんでした。

社会面の記事は、「見出し」が、

「天皇陛下 花束手に笑顔」「宮内庁『経過はほぼ予定通り』」「東大病院退院」

で、「隊員」に「ご」は付いておらず、「本文」も、

「笑顔で東大病院を退院された」

と「退院」の後に「された」は付いていましたが、「ご」は付いていませんでした

さらに3月11日の「読売新聞」は、

「『お忙しい入院』終えて」

という見出しで「ご」はついていませんでした。「お忙しい」と「忙しい」に「お」は付いていましたが。

調べて見ると、さかのぼること四半世紀、1987年(昭和62年)9月22日付の「読売新聞・夕刊」の見出しは、

「天皇陛下、手術受けられる」

「全身麻酔で執刀」

「ご入院、一週間前後」

というように、昭和天皇のときは、

「ご入院」

と「ご」が付いていました。

(2017、12、22)

2017年12月28日 10:39

新・ことば事情

6630「エンゼルスか?エンジェルスか?」

二刀流の大谷翔平選手がメジャーリーグで入団することになった、

「アナハイム・エンゼルス」

ここで疑問が。

「エンゼルス」

なのでしょうか?それとも、

「エンジェルス」

なのでしょうか。日本の報道では大体、

「エンゼルス」

ですが、発音は英語では、

「エンジェルス」

ではないの?と思うわけですね。

12月16日に聞いていたNHKラジオ第1放送の「午後4時のニュース」で、内藤啓史アナウンサー(1954年生まれ)は、

「エンジェルス」

と英語風に発音していました。

「ロサンゼルス」か「アナハイム」かは、言いませんでしたが、もし「エンジェルス」と発音するのであれば、当然「ロス」は、「ロサンゼルス」ではなく、

「ロサンジェルス」or「ロスアンジェルス」

と言うべきですね。でも『新聞用語集2017年版』には、

「ロサンゼルス」

となっています・・・。

ちなみに、以下の「ゼ」「ジェ」問題も!

「ジェネラルマネジャー」?「ゼネラルマネージャー」?

実はこれも『新聞用語集2017年版』を引くと、

「ゼネラル」

と書くことになっていました。直さないのかな?

「ジェネラル石油」?「ゼネラル石油」?

これは会社の名前なので調べて見ると、今は、ことし4月に、

「JXエネルギー株式会社」と「東燃ゼネラル石油株式会社」

が合併し、

「JXTGエネルギー株式会社」

に商号変更されたそうです。この、

「東燃ゼネラル石油株式会社」

の沿革は古く、1893年(明治26年)に(米)ヴァキューム・オイル日本支社・(米)ソコニー日本支社として発足。1958年(昭和33年)に

「ゼネラル石油株式会社」

になり、1982年(昭和57年)に「エッソ石油株式会社」、1990年(平成2年)に「三井石油株式会社」、2000年(平成12年)に「東燃」と「ゼネラル石油」は合併し、

「東燃ゼネラル石油株式会社」

が誕生。ことし1月に「東燃ゼネラル石油」は、「EMGマーケティング」を吸収合併したそうです。すごいな、この変遷は。でも一貫して「ジェ」ではなく「ゼ」ですね。

「人名」の、

「フィッツジェラルド」

は?

「フィッツゼラルド」

というのは、見たことがないけど。どうなんでしょうか?「人名」や「地名」は例外が多いですからね。

これって、実は「2つの問題」があります。

  1. 昔は「ジェ」と言えずに「ゼ」と言っていた。

  2. 昔から西日本では「ゼ」を「ジェ」と発音する地域があった。

このうち(1)の問題を今回取り上げていて、英語に近い発音をするならば「エンゼルス」ではなく「エンジェルス」だろうと言っているわけですが、(2)は例えば、

「全体」「全然」

という言葉を、

「ジェンタイ」「ジェンジェン」

と発音する人がいる、という問題ですね。うーん、どうする????

グーグル検索では(12月22日)、

「ロサンゼルス」  =758万0000件

「ロサンジェルス」 = 52万5000件

「ロスアンゼルス」 = 49万1000件

「ロスアンジェルス」= 21万9000件

「セネラル」    =609万0000件

「ジェネラル」   =541万0000件

「フィッツジェラルド」=123万0000件

「フィッツゼラルド」 =     204件

おお、やっぱりね!ついでに、あれも調べておこう。

「ゼリー」 =3510万0000件

「ジェリー」=2310万0000件

「ジュレ」 = 656万0000件

でした。

(2017、12、22)

2017年12月27日 18:38

新・ことば事情

6629「あられる」

大相撲の一連の報道の中で、冬巡業で訪れた鹿児島で、街頭インタビューをしていました。その中で、地元の人が「貴乃花親方」についてのインタビューに答えて、こう言っているのを耳にしました。

「人気のあられる親方だから」

この、

「あられる」

という言葉は、おそらく、

「『ある』の尊敬語」

ですよね?「おられる」の「ある」バージョンでしょうか。

戦前、天皇陛下などに対して、

「あらせられる」

と言っていたのを聞いたことがありますが。それよりは「一段下」の敬意表現かな。

「ある」「おる」

で思い出すのは、村上春樹の今年出た小説『騎士団長殺し』に出て来る「騎士団長」のおかしな口調、

「あらない」

です。あきらかにおかしいのですが、これが大阪弁だと、

「あらへん」

という言葉があります。「ない」という意味です。これは、

「標準語の打消しの語尾『ない』」

を、

「打消しの大阪弁の語尾『へん』」

に、置き換えただけなので、あながち「おかしい!」とも言えない気が、

「せえへんこともあらへん」

のです。

(2017、12、22)

2017年12月27日 10:35

新・ことば事情

6628「ラウンジ」

11月から世の中を騒がせている大相撲、元横綱・日馬富士による傷害事件。

10月25日の深夜、暴行の現場となったのは、秋巡業の際の鳥取の飲食店でした。その店の形態が、

「ラウンジ」

と報じられていますが、ちょっと待てよ、と。たしか「ラウンジ」という形態の飲食店=飲み屋さんは「西日本」では一般的ですが、「東日本」では一般的ではないのではないか?ということに思い当たったのです。

そこで、12月の新聞用語懇談会放送分科会の席で、各社に意見を聞いてみました。

『横綱・日馬富士の暴行事件が起きた、鳥取の「ラウンジ」。以前、用語懇談会で、「酒を飲む店としての「ラウンジ」は、関西をはじめとした西日本では使うが、関東では使わない」という話を聞いたような気がします。関東では、「ホテルのラウンジ」「空港のラウンジ」など、「パブリックなオープンスペースの休憩場所」のことを指すようですが、関西では、「ク\ラブ未満、「スナック」以上で女性が接待してくれるお酒を飲ませる店のことを「ラウンジ」と言います。「パブラウンジ」なる言葉もあります。でも、暴行事件のあった鳥取の「ラウンジ」は、「お店に、接客の女性はいなかった」ような感じです。関西と鳥取では違うのでしょうか。この場合、「ラウンジ」で放送して良かったのでしょうか。」

→(新聞協会用語アドバイザー)何年か前に「ク\ラブ」と「ク/ラブ」のように「外来語のアクセント」について討議した際に、私が「ラウンジ」について提案したが、その時は取り上げられなかった。

(テレビ朝日)これは、アクセントは「ラ\ウンジ」(頭高)?それとも「ラ/ウンジ」(平板)?

(関西テレビ)関西では「ラ/ウンジ」(平板)は一般的で、放送でも使う。「頭高アクセント」の「ラ\ウンジ」とは言わない。

(NHK)『NHKアクセント新辞典』では(1)「ラ\ウンジ」(頭高)(2)「ラ/ウンジ」(平板)と載せているが、意味の使い分けはしていない。今回の原稿では「午後11時すぎ、市内の『ラウンジ』と呼ばれる飲食店で」とした。しかし、普段は「ラウンジ」というと「ホテルのラウンジ」か、豪華列車「トワイライトエキスプレス瑞風(みずかぜ)のラウンジ」などしか出て来ない。

(日本テレビ)今回の件では「ラウンジ」と原稿にあった。アクセントは、わからず。過去1年の原稿を検索してみたら、「ビッグラウンジ」「専用ラウンジ」「空港のラウンジ」などは出て来たが、酒を飲む店としての「ラウンジ」は、出て来なかった。

(テレビ朝日)「ラ\ウンジ」(頭高アクセント)は「飲食店」に言い換えている。酒を飲む店としての「ラウンジ」は使わなかった。

(TBS)今回、第1報では「ラウンジ」を使った。アクセントは分からず。それ以降は「飲食店で」「懇親会の席で」とした。やはり「ラウンジ」と聞くと、ホテルや豪華列車の「ラウンジ」を思い浮かべる。

(フジテレビ)「飲食店」としている。今回の「鳥取の店」は、取材担当記者に聞いたところ「接客の女性がいる店」だった。

(テレビ東京)今回は「ラウンジ」は使わず「酒の席で」にした。

(ABC・A氏)酒を飲む店としての「ラウンジ」を使っていけないということはない。アクセントは「平板アクセント」の「ラ/ウンジ」。これも使ったし「飲食店」でも放送した。「ラウンジ○○」と言うように「その店の名前=固有名詞」として出てくることも多い。

(ABC・B氏)「ラ/ウンジ」は「平板アクセント」だ。「ラウンジ・しのぶ」のように名乗っている店が多く、場末になるほど「ラウンジ」と付けて"高級感"を醸し出しているように思う。

(MBS)店の業態について調べて見たところ、行政書士のHPで「クラブ・ラウンジ」は、同じように「(女性が)接客をしてよい店」に分類されている。女性従業員が「客の横に座る」か、「バーカウンターの向こうにいる」かによって、恐らく「風営法」の対象かどうかなどが変わって来るのではないだろうか。

(KTV・A氏)「スナック」は女性が横に座ってはいけない。女性はカウンター越しに接客。「ラウンジ」「クラブ」は、横に座ってもOKだ。

(KTV・B氏)「尼崎の違法ラウンジ摘発」のように、警察発表で「ラウンジ」は普通に出て来る。「ラウンジ」かどうかわからないときは「クラブ」「スナック」「飲食店」などとしている。

(テレビ大阪)関東の人は「ラウンジ」に「飲食店」のイメージは、ないのではないか?

うちの鳥取県出身のアナウンサーに聞いてみたところ「鳥取には(関西のような)ラウンジはない」とのことだった。

(テレビ朝日)原稿で「ラ\ウンジ」(頭高)というと、ホテルや空港のものしかイメージできない。また「ラ/ウンジ」(平板)で「女性が接客」というイメージも湧かない。わざわざ「女性が接客をするラウンジで」とは書けない。今回、日馬富士と貴ノ岩らの暴行事件が起きた「VIPルーム」に、女性はいたのか?第三者がいる前で暴行が行われたかどうかというのも、重要なポイントだと思う。

(共同通信)今回は「ラウンジ」「飲食店」が混在している。「2次会でラウンジに行った」など。私も西日本勤務が多かったが、経験上、九州・四国・関西では「ラ/ウンジ」で「飲食店」のイメージは湧く。ネット検索では北海道・札幌でも「ラウンジはるか」というのが出て来た。なお加盟社から、この「ラウンジ」に関する質問・指摘等はない。

(時事通信)今回「ラウンジ」は、「飲食店」「酒席」などとした。

ということでしたが、その後、12月20日の日本相撲協会の危機管理委員会の調査報告書によると、その店の部屋には、「ホステスの女性が2人いた」ことが分かりました。

また、その危機管理委員会の調査報告書発表でも、

「ラウンジ」

という言葉が使われていました。

「調査報告書」で気になったのは、貴ノ岩関は、元横綱・日馬富士に対しては、

「すいません」

と言い、横綱・白鵬に対しては、

「すみません」

と言っている、とされていること。これは、「発表がそうだっただけ」でしょうか?それとも「実際に『い』と『み』が違った」のでしょうか?

また、

「ひと段落」

という言葉が「2度」出て来ますが、これは正しくは、

「いち段落」

ですね。「一段落」と書けばいいのに、と思いました。

(2017、12、22)

2017年12月26日 15:34

新・ことば事情

6627「LGBT(性的少数者)」

昨年あたりの流行語に、

「LGBT」

がありましたね。これは、

「L」=レズ

「G」=ゲイ

「B」=バイセクシャル

「T」=トランスジェンダー

の「頭文字」を取ったものです。いずれも

「性的少数者」

です。こういった言葉に関して、新聞用語懇談会で話したことは、過去にあまり、ありませんでしたが、今年の秋の用語懇談会では、「LGBT」について話し合いが2度ありました。というのも、関西地区の幹事社である朝日新聞社が、今年社内で「ジェンダー」関連のマニュアルを更新したこともあって各社の状況について聞きたいからということでした。

私が用語懇談会の会議に出始めて20年。その間に話し合われた「ジェンダー関連」の議論中で、「性的少数者」関連の記録を残しておきます。

*2002年11月 合同総会(鹿児島)

性転換か?性同一性障害か?

「『性転換』と書いたら、『性同一性障害』と思われる人から『男性から女性への"転換"という表現は不適当』という苦情があった。代替案の提示はなかった」

という意見が神戸新聞の委員から出され、それに対して山陽新聞の委員からは、

「岡山大学で性転換手術が行われたと報じたら、岡山大学から『これからは"性適合化手術"と呼んで欲しい』という要望があり、以後はそのように報じている」

という意見が出ました。

*2014年6月 放送分科会

日本精神神経学会が精神疾患の病名の新しい指針を公表しました。

・「学習障害」⇒「学習症」    ・「アルコール依存症」⇒「アルコール使用障害」

・「性同一性障害」⇒「性別違和」 ・「パニック障害」⇒「パニック症」

 などに変更されています。差別意識や不快感を生まないようにしながら、病名を周知させるのが狙いとのことです。いずれにせよ、これに従うことになると思うのですが、各社の対応・方針はどうなりますか。時期等のめどがあればお教えください。

※日本新聞協会への学会からの申し入れ等はありましたか?(毎日放送)

→【事務局から】6月3日現在、協会に申し入れ等はありません。他になじみのあるところでは「神経性無食欲症(拒食症)⇒神経性やせ症」「言語障害⇒言語症」「注意欠陥・多 動性障害(ADHD)⇒注意欠如・多動症」などが例示されており、病名の詳細は「日本精神神経学会」のサイトから「DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン」で確認できます。

→NHK,共同通信をはじめ各社まだ対応を決めていないが、これまでの例から言うと、国(厚生労働省)が決定したら、その段階で新しい名称を採用することになるだろう、と。「性同一性障害」に関しては、法律名にもなっているので変更は慎重にということになるかもしれない。

*2017年11月 関西地区用語懇談会

「LGBT」は、「L」(レズ)、「G」(ゲイ)、「B」(バイセクシャル)、「T」(トランスジェンダー)を指すが、「LGB」は「性的指向」の問題。「T」(トランスジェンダー)は、「自分の性をどう考えるか?」というう「性自認」の問題。しかし「T」(トランスジェンダー)だからといって医療・治療を必要とする「性同一性障害」だとは限らない。

この他の「性的少数者」には、

・「インターセックス」=身体的に男女の区別がつきにくい人

・「アセクシャル」=無性愛者。同性も異性も好きにならない人

・「クエスチョニング」=自分の性別や性的指向に確信が持てない人

などがいて、「LGBT」が全ての「性的少数者」を含むわけではない。「LGBT」の認知度が上がる中で、かえって「その他の性的少数者」の疎外感が深まる恐れもある。

また「男性も女性も暴力から解放される社会」という記事があったが、「男性」と「女性」だけでいいのか?ここは「性別に関係なく」とすべきではないか?(朝日新聞)

→(毎日新聞)東京本社で先日、LGBTに関する会議が行われたそうだ。その席で表記は「性的少数者(LGBTなど)」とすることになったらしい。記事で、あるクラスに1人だけ「LGBT」の子がいて、その子を指すのに「LGBTの生徒」という表現をしていたが、ちょっと違和感があった。

(ytv)先日、地下鉄の駅に無料で置いてある『SUMO』という冊子を見たら、「同性カップルの住宅購入術」という特集を組んでいた。まさに時代は変わった。ここまで進んでいるのかと思った。東京・渋谷区では2年前から、条例で同性カップルのいわゆる「入籍」(パートナーシップ証明書)を認めている。この2年での「届出」は24組であったとと、昨日(11月5日)ニュースでやっていた。

(朝日新聞)弊社も「同性カップル」を社内規定で認めた。

*2017年11月 合同総会(岡山)

・「LGBT」「LGBTQ」...性的少数者(セクシュアルマイノリティー)の表記について

いわゆる性的少数者の人たちを表す際に、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性

同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、身体と心の性が

異なるが外科的手術は望まない人(トランスジェンダー、Transgender)の各単語の頭文字を組み合わせた「LGBT」という言葉を、しばしば目にするようになりました。

また、最近では、「LGBT」の他に、自分の性別や性的指向に確信の持てない、模索中の人(クィアー・クイアー、Queer。クエスチョニング、Questioning)の単語の頭文字である「Q」を加えた「LGBTQ」という表現も見かけます。

この「LGBTQ」の他にも「LGBTT(「身体と心の性が異なるため、外科的手術によって一致させることを望む人=トランスセクシュアル、Transsexual」の頭文字「T」を加えたもの)など、性の多様性を表す『頭字語』は、まだたくさんあるそうです。

どうも、「性的少数者=LGBT」という表記では収まらないようにも思います。

実際に各社では、この「LGBT」あるいは「LGBTQ」、性的少数者の表記を記事などで使用する場合、初出部分ではどのような説明、処理をしていらっしゃいますか?

「用語統一している」「自社用語集に載せる予定あり」なども併せてお聞かせ願えれば幸いです。 ※ちなみに、「性的少数者(LGBT)」、「LGBT(性的少数者)」といった表記が、

一番多いようですが、

《...性同一性障害の僧侶、柴谷宗叔(しばたに・そうしゅく)さん(63)が、性的少数者(LGBTなど)のための寺「性善(しょうぜん)寺」を来年度中に大阪府寝屋川市に建立しようと準備を進めている》(「毎日新聞」20171028日東京夕刊)

の記事のように、この僧侶が「性的適合手術」を受けていて、「性的少数者(LGBTなど)」とされている場合もありました。「LGBTなどの性的少数者」という表記を用いた記事も散見されます。

LGBTQ」については、まだ、用例は少ないようですが、

《【ロサンゼルスAFP=時事】...ディズニー・チャンネルの番組に性的少数者(LGBTQ)が登場するのはこれが初めてではなく、2014年にドラマ「グッドラック・チャーリー」のあるエピソードにレズビアンのカップルが登場している。しかし同チャンネル番組のメインストーリーで性的少数派が扱われるのは今回が初めて。【翻訳編集 AFPBBNews】(2017/10/27-12:53)》

といったように、外信記事(翻訳含む)での使用例を見かけました。)

また、11月1日付「朝日新聞」のコラム「ことばの広場」で「SOGI(ソジ)」という言葉を紹介していた。「SO」=性的指向、「GI」=性自認。「LGBT」のうち「LGB」は「SO」であり、「T」は「GO」だ。(産経新聞)

→(朝日新聞)去年からジェンダー問題について討議してきた。「LGBT」に関しては「こう表記する」と決めているわけではないが・・・。「性的少数者」=「LGBT」では収まらないことは認識している。また「SO」と「GI」の概念を混同しないことも心得ている。とは言え、「LGBT」に対する関心・認識が広まったために、「LGBT」=「性的少数者」のイメージが付いた。「LGBTなどの性的少数者」「性的少数者(LGBTなど)」と「など」を付けるか、もしくはあえて「LGBT」と書かなくて良い。

(毎日新聞)2016年3月、「性的マイノリティー差別」に関して「用語集」の資料集に追加し、PDF版で記者に配布した。(「紙」の資料集は、次回の改訂で。)「LGBT」が誤解されずに理解されるようにしたい。「セクシャルマイノリティー(性的少数者)」が「LGBT」と完全に同義ではない。また「総称」でもない。表記は「LGBTなど性的少数者」「性的少数者(LGBTなど)」とする。

「SOGI」に関しては、国連などでこの略称を使っているが、「LGBT」には置き換えられない。これからは「SOGIの問題」となれば考える。「LGBT」などの当事者に取材したことがある記者に聞いてみたところ、「当事者が嫌がる表現はダメ」。「性転換手術」は「性適合手術」に、「性同一性障害」は「性別違和」に置き換えるということだが、「性別違和」は、なかなか浸透しないので、使うときは分かるように説明する。また「性同一性障害」の、「障害」という言葉を嫌う人がいる。

(読売新聞)編集局内で「性的マイノリティー」に関する議論は特にない。表記は「LGBT(性的少数者など)と「など」を付ける。

(日経新聞)「LGBT」「LGBTQ」についての取り決めはない。「LGBT」は「性的少数者」「性的マイノリティー」と呼んでいたが、最近は「性的少数者(LGBT)」という表記が多い。

(東京新聞)「LGBT」については、具体的には話し合われていない。認識はしているが、これからの課題。

(共同通信)「性的少数者(LGBT)」で出稿。議論して社内で統一したわけではない。現場での取材の結果、この表記が固まった。「LGBT」はある程度、定着。各団体などの議論も見守っていきたい。

(時事通信)弊社の「用字用語ブック」には載っていない。「性的少数者(LGBT)」としている。表記が長くなるが「同性愛者や、自身の性別に違和感のある人(LGBTなど)」としては?という人も、一部いる。

(NHK)「LGBT・性的マイノリティー(の人々)」としている。「LGBTQ」での出稿はない。うちの倫理部門から毎日、紙資料が出る。最近は「LGBT」に関してはあまり出て来ないが、以前はよく出て来た。近々「LGBT」の人を呼んで、局内でシンポジウムを開く予定。

(日本テレビ)原稿では「LGBT(性的少数者)」「性的少数者(LGBT)」。話し合いは行われていない。日本テレビ社員憲章に「偏見はダメ」と書いてある。

(フジテレビ)ここ1年の原稿では「性的少数者(LGBT)」「LGBT(性的少数者)」。少し前の原稿では「レズ、ゲイなどを指すLGBT」。「LGBTQ」はなし。一般的な原稿では、このぐらいの説明を付ける。

(テレビ朝日)ルール化はなし。過去の原稿では「性的少数者(LGBT)」「LGBT(性的少数者)」と必ず「併記」している。今後については未定。

(テレビ東京)特に取り決めなし。原稿では「LGBT(性的少数者)」。今後については、まだ話し合いはない。

(テレビ朝日)ドラマなどでは、「LGBT」の設定というのは、よく出て来る。

平成ことば事情6627「LGBT(性的少数者)」

平成ことば事情6627「LGBT(性的少数者)」

2017年12月26日 10:33

新・ことば事情

6626「白根はシロネ?シラネ?」

12月5日、「日本三大ネギ」と言われる「岩津ねぎ」の出荷作業が、兵庫県朝来市で最盛期を迎えたというニュースを読む、山本アナウンサーから質問を受けました。

「『白根』は『シロネ』でしょうか?それとも『シラネ』でしょうか?」

「普通に読めば『シロネ』だなあ。『シラネ』というと地名のようだし、あんまり『シラネ』えなあ、なんちゃって」

とふざけていましたが、なかなか、これも難しい問題です。

「色の名前で、変化するのは『白』だけで。赤・黄・青・黒などは変化しない」

ということにも気付きました。なんでやろ?

「平成ことば事情6625酒瓶の読み方」で考えたこと、つまり、

「『酒樽』のような場合、『サケ→サカ』と変化する場合は、後ろの『タル』も『ダル』と『連濁』している。『連濁』するのは、後ろが『か行・さ行・た行・は行』だけなので『根』は連濁出来ないので、その前の『白』は『シロ』と変化しないのではないか?」

とも考えたのですが、そうとばかりも言えないようだし。

ここで改めて辞書(『広辞苑』)を引いてみると・・・なんと載っているではないですか!

*「しらね(白根)」

(1)植物の茎および根の土中にあって白色をした部分。

(2)【植】⇒しろね

この(2)の「しろね」を引くと、

*「しろね(白根)」

(1)シソ科の多年草(以下略)

(2)(女房詞)ねぎ。

(3)野菜などの茎・根の地中にある白い部分。

うーん、これって、

「両方の読み方が載っている」

ではないですか!区別が付かない!

もう地元の「岩津ねぎ」の農家でどう言っているかに従うしかないなあ。

(2017、12、12)

2017年12月25日 19:30

新・ことば事情

6625「酒瓶の読み方」

「酒瓶」

の読み方は、

「サカビン」

でしょうか?それとも

「サケビン」

でしょうか?

うーん「サカビン」のような気がするけど、どちらも辞書には載っていない。

そこで「サカ」と読むものと、「サケ」と読むものを挙げてみました。

*「サカ」=酒蔵、酒樽、酒場、酒菜(=肴)、酒手、酒林

*「サケ」=酒造り、酒飲み

あんまり思い付きませんでした。

「酒」+「○○」と言う時に、「酒(サケ)」の「ケ(ke)」が「カ(ka)」になる。つまり母音が「ea」の変化ですね。一番なじみがあるものでは、

「雨」

がありますね。

*「アマ」=雨傘、雨合羽、雨漏り、雨蛙、雨雲

*「アメ」=雨降り、雨模様、雨上がり

ダメだ、あんまり思いつかない。

共通項は、「酒」「雨」が強調される場合は、そのまま母音が変化せず、

「複合語に一語感が強いもの」

「母音が変化する」ということでしょうか。それって「個人の語感」によるよなあ。

(2017、12、21)

2017年12月25日 13:29

新・ことば事情

6624「平成の○○」

『週刊文春』(2017年11月2日号)のコラムで、コラムニストの能町みね子さんが、

「平成の忍者」

について書かれていました。

「平成の○○」とか「昭和の○○」という「形容詞」は、

(1)「最新の」ものという意味

(2)「その時代を象徴するようなもの」という意味

(3)古臭いという意味

のように分類できると、能町さんは分析しています。私のこのブログのタイトルも

「平成ことば事情」

「平成」が付いていますが、タイトルを付けたのは、ブログの前に、夕方のニュース番組の中のコーナータイトル」でした。それは、

「平成10年」(1998年)

のことで、

「『昭和』が終って10年が経過し、今まさに『平成』という時代で使われていることばの実相をリポートする」

という意味合いで名付けました。

それから20年近く。あと1年半ほどで「平成」が終ろうとしています。当然、「新しい元号」になったら、この「平成ことば事情」というタイトルも、変わらざるを得ません。

それで「平成」の間に「平成ことば事情」としては、

「7000回」

を目指して、このところ「エンジン全開」で書いているということですね。あと370回余り。一方「読書日記」も、現在2950回(冊)程なので、こちらも、

「3000回」(冊)

を目指して、合わせると「平成」のうちに、

「1万回」

が目標です!頑張るぞ!

(2017、12、21)

2017年12月24日 21:28

新・ことば事情

6623「高見え、プチプラ」

いつも新しい言葉を見つけては報告してくれるMアナウンサーが、また、新しい言葉を教えてくれました。それは、

「高見え」

という言葉です。

「タカミエ?『高田美恵』さんの略称?誰や、『高田美恵』って?知らんで」

「意味は『そんなに値段が高い物ではないのに高く見える、価値があるように見えるファッションのこと』です。これはこの1年ぐらいで、ネットやファッション雑誌でよく見かけるようになりましたね」

とMアナウンサー。

「それより前、2~3年前からは『プチプラ』という言葉が使われました」

「何?それ?」

「『プチプライス』ということで、値段が安いことを表します。『プチ(小さい)プライス(価格)』の略ですね。」

「へえー。まーったく知らなかったわ」

という会話が交わされたのでした。

グーグル検索では(12月21日)、

*「高見え」 = 421万件

*「プチブラ」=3970万件

共に、物凄い件数、出て来ました。ネットと親和性の高い言葉なのでしょう。こんなに使われていても、興味のない私などは接することのない言葉なんですねえ。

「高見え」のトップに出て来た「日本語表現辞典」というサイトによると、

*「高見え」= 読み方:たかみえ。実際よりも高価に見えるさまを意味する俗語。「高見え」という語は、服飾品や着合わせ、または料理やお店などに用いられることが多い。関連して、安価でありながら質が良く見える物を「プチプライス」「プチプラ」などと言う。

とありました。「プチプラ」も載っていましたね。また「コトバンク」では、

*「プチプラ」=値段が安いことを表す日本の俗語。「プチ(小さい)プライス(価格)」の略。ほとんどの場合、女性用のファッションアイテム・化粧品・香水・雑貨などのジャンルで、「安くてかわいい」「手に入りやすい」といった意味で使われる。

ということのようでした。

『現代用語の基礎知識2018年版』には載っているだろうか?引いてみると、「プチプラ」「プチプライス」は載っていました。

*「プチプラ」=値段が安い、リーズナブルな価格。「petit price(1042ページ)

*「プチプライス」(※petit price)安い値。低価格。小銭で買える値段。プチプラ。

でも「高見え」は載っていませんでした。Mアナウンサーの言う通り、「高見え」のほうが、「プチプラ」よりも新しい言葉なんですかね。

(2017、12、21)

2017年12月24日 18:34

新・読書日記 2017_152

『おい、小池!女ファシストの正体』(適菜収、KKベストセラーズ:2017、11、25)

ことし読んだ「適菜収」著の本は、『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)、『安倍政権とは何だったのか~時代への警告』(KKベストセラーズ)に続いて3冊目。あ、全部、出版社は「KKベストセラーズ」か。安倍、安倍と来て、小池。

タイトルの「小池」は「小池百合子・東京都知事」であることは誰でも分かると思うが、そのタイトルのセリフは、お気付きの方も多いと思いますが、

「あの一世を風靡した指名手配犯のポスターのものと同じ」

なんですね。「おい、小池!」で検索すると、「2012年10月21日」のこんな記事が出て来ました。

『徳島県警は20日、2001年に徳島市で起きた父子殺害事件で、長男への殺人容疑で指名手配し「おい、小池!」のポスターを作成して行方を追っていた小池俊一容疑者(52)が、岡山市の中心部で遺体で見つかったと明らかにした。病死とみられる。 徳島県警は手配ポスターを2004年に作成し情報提供を呼び掛けていた。2010年、公的懸賞金の対象事件に指定されていた。 岡山、徳島両県警によると、小池容疑者は19日午後9時10分ごろ、岡山市の自宅トイレで倒れ、同居女性(67)が119番したが、・・・』

そう、「同じ名字の徳島の殺人容疑の男と同じ扱いをしている」ということで、著者が小池都知事をどう思っているかは、読まなくても分かりますね。もう"全面否定"と言っていいでしょう。そんな本書から抜粋。

「ひとは、治療手段をえらんだと信じつつ、憔悴をはやめるものをえらぶ」(『権力への意志』ニーチェ)

「政治哲学者のハンナ・アーレントは、全体主義の本質は大衆運動であり、政策・イデオロギーの一貫性はないと喝破した。つまり、構造がない。中心は空虚なのだ。そこでは責任の所在が曖昧になり、『事実』は『目的』のために捻じ曲げられる。権力と大衆は共犯関係にあり、運動の継続だけが重要になる。それで責任を回避しながら、次々と新しい話題を打ち出すわけだ。」

フムフム。都構想と大阪万博、改憲と東京五輪か。

「小池は自分をAIだと言いましたが、たしかにそこには人間に備わる良心がない。冷徹で非情で傲慢で卑劣。世の中を混乱に陥れても、反省することがない。B層はなぜこうしたいかがわしいものに何度も騙されるのか?」

「イギリスの政治哲学者マイケル・オークショットは西欧近代は二つのタイプの人間を生み出したと言います。一つは判断の責任を引き受ける『個人』であり、もう一つは『できそこないの個人』。要するに大衆です。」

「全体主義は上から下への権力の一方的な行使ではない。強いリーダーに縛られたい大衆の願望とそのニーズを利用する政治があって成立する。彼らが求めているのは『気分』である。大衆はデマに不感症になり、訳知り顔で『政治家なんて嘘をつくもの。青くさいことを言うな』などと言い出したりもする。」

「小池は『希望の党』結党の会見で『日本をリセットする』と発言。(中略)ほとんど社会を解体するカルト勢力の発想だ。」

「『改革』は便利なキーワードです。失敗したら、それは改革が足りないからだと言い逃れできる。だからもっと改革を進めろと。これは悪質な宗教と同じです。救われないのは信心やお布施が足りないからだーーーー。」

そういえば昔、折伏された際に議論になり、熱くなって頭に血が上って鼻血が出た時に、相手に言われましたっけ、

「ほーら、信心しないから、鼻血が出る」

その時は、

「おのれが俺を怒らせるから、鼻血が出たんじゃ。アホか!!」

と言い捨てて憤然と席を立ったのを思い出しました。

40年近く前だけど、腹立たしい思い出です。

いかん!こんな本を読んでたら、腹が立って仕方がなくなるゾ!


star4

(2017、12、13読了)

2017年12月25日 12:24

新・読書日記 2017_151

『生きていくあなたへ~105歳どうしても遺したかった言葉』(日野原重明、幻冬舎:2017、9、30第1刷・2017、11、30第7刷)

「2017読書日記148」に書いた、養老先生の『遺言』という本は、養老先生の、

「まだまだ、生きるぞ!」

という「宣言の書」だったが、こちらは正真正銘「遺言」です。

ことし7月18日に105歳で亡くなった聖路加病院の日野原重明先生に、ことし1月、1か月間にわたってインタビューしたもの。最後が1月31日。いろんなお話が聞けます。例えば、「よど号」がハイジャックされた際、その飛行機に乗り合わせていた日野原先生。ハイジャック犯が「我々はこの飛行機をハイジャックした」と言った時に乗客の一人が、

「ところで、ハイジャックって何ですか?」

と聞いたそうです。乗客の誰もが「ハイジャック」とい言葉をそのとき初めて耳にしたに違いない、と。その時に犯人もその質問にうまく答えられなかった。そこで日野原先生が、

「ハイジャック犯がハイジャックを知らないとはいかがなものか」

と言ったら、機内中が大笑いだったそうです。(よく、殺されなかったものだ!)

その飛行機を降りる時には犯人に向かって、

「これから頑張れよ」

と声を掛けた人もいたと言うのです!本当かなあ。

また、犯人が北朝鮮の平壌へ行くように要求して、朝鮮海峡上空を飛んでいるときに、

「平壌までは時間があるから、読み物を貸す」

と犯人の一人が言い、赤軍機関紙と金日成や親鸞の伝記、伊東静雄の詩集、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」などを貸してくれたので、日野原先生は「カラマーゾフの兄弟」を借りて読んだというのです。へえー。なんか、ハイジャックにしては余裕だなあ。時代が違うんだなあ。

日野原先生には10年前にインタビューさせて頂きました。その時に、

「僕はね、100歳までは死ねないんだ。スケジュールがいっぱい詰まっているからね」

とおっしゃっていたのを思い出します。100歳以降も、スケジュールはいっぱい詰まっていたのでしょうね。

その日野原先生の『座右の銘』は、

「キープオンゴーイング」

つまり「前進し続けよう」だそうです。あちらの世界でも「キープオンゴーイング」なんでしょうね。あちらの世界でのスケジュールも、おそらくパンパンに詰まっていることでしょう。安らかに。合掌。


star4

(2017、12、18読了)

2017年12月24日 18:22

新・ことば事情

6614「『おっしゃりたい』か?『おっしゃいたい』か?」

悩んでいます。

「おっしゃる」

という動詞は「活用」させると、

(未然)「おっしゃら(ない)」

(連用)「おっしゃり(ます)」「おっしゃい(ます)」

(終始)「おっしゃる」

(連体)「おっしゃる」

(仮定)「おっしゃれば」

(命令)「おっしゃい」

この中の「連用形」は、

「おっしゃり」なのか?「おっしゃい」なのか?

悩んでいます・・・。

こういうときは・・・そうだ、飯間さんに聞いてみよう!

と言うことで、『三省堂国語辞典』編纂者の飯間浩明さんにメールで聞いてみました。

『読売テレビ・道浦です。また、教えてください。「おっしゃる」の連用形は、

「おっしゃり」「おっしゃい」

のどちらでしょうか?「イ音便」だと「おっしゃい」ではないかと思うのですが・・・・

悩んでいます。』

すると、さっそくお返事が!

『メール拝見しました。シチュエーションがよく分かりませんが、「おっしゃる」の連用形は「おっしゃり」「おっしゃい」の両方あります。後者は、おっしゃるようにイ音便の形です。一般に、「おっしゃる」の連用形は、「おっしゃいます」の形でイ音便形で出てきますね。「ます」がつくと、昔ならともかく今は「おっしゃいます」となります。

「おっしゃり」を使う機会は少ないのですが、「そのようにおっしゃりつつも」「そうはおっしゃりながら」のように接続助詞へとつながる場合は「おっしゃり」も観察されます。「先生はそのようにおっしゃり、」と読点へとつながる場合もありますが、これは多くは「先生はそのようにおっしゃって」と言いますよね。こんな説明でいかがでしょうか。』

飯間さん、ありがとうございます。

やっぱり両方あるのか!

古くは「おっしゃり」だったのが「イ音便」で現在は「おっしゃい」で、でも中には「古い形」が残っているという「揺れ」があるようですね。悩ましいですねえ・・・。

(2017、12、21)

2017年12月21日 12:12

新・ことば事情

6621「見たことないのアクセント」

12月16日の「吉本新喜劇」を見ていたら、

「見たことない」

のアクセンントが、

「ミタコト\ナイ」

でした。関西弁アクセントでの、

「寄りつかない(ヨリツカ\ナイ)」

と同じで、

「最初から高い音で入って、『ない』の前で下がるアクセント」

です。

その前に出て来た別の番組では、関西の普通の若者も、同じアクセントでしゃべっていました。普通、標準語アクセントでは、

「ミ\タコトナイ」「ミ\タコト・ナ\イ」

あるいは、関西弁だと、

「ミ\タコト・ナ/イ」

ですね。それとは違うアクセントなんです。

最初に、このアクセントを使っているなと気付いたのは、タレントの

「月亭八光(つきてい・はちみつ)」

さんのしゃべりでした。彼は割とこのアクセントでよくしゃべっています。関西のお笑い芸人さんが使うアクセントなのかな?どうなんだろう?

皆さん、気になりませんか?

(2017、12、20)

2017年12月24日 12:10

新・ことば事情

6620「ショーロット王女」

先日、視聴者からご指摘を受けた「ミヤネ屋」のパネルの間違いに、

×「ショーロット王女」

がありました。これ、「間違ってました」と言われて見ても、どこが間違っているか、なかなか気付かなかったんです。皆さんは、すぐに気付きましたか?

もちろん正解は、

○「シャーロット王女」

なのです。つまり、

「ショ」

ではなく、

「シャ」

なんですね。でも、間違った「ショーロット」という文字を見ても、私たちは自動的に正しく、

「シャーロット」

と、「目が」読んでしまうんですよね。だから、間違いに気づくのは難しいんです。

声に出して読むしかないのですね、このミスを防ぐには。

(2017、12、20)

2017年12月23日 20:37

新・ことば事情

6619「おしゃべりになる」

「ミヤネ屋」で、よく宮根さんが使う言葉に、

「おしゃべりになる」

というのがあるのですが、なんだか違和感があります。アクセントは、

「オ/シャベリニナ\ル」

です。

「しゃべる」

を丁寧に言おうとして「お」を付けて、

「おしゃべりになる」

になっているのですが、なんだか、ちょっとヘンな感じ。この場合は「話す」を使って、

「お話しになる」

と言うべきではないのかなあ。「なんでヘンなのか?」というと、

「『しゃべる』は『俗語』っぽい」

からですね。だからそれに「お」を付けても、

「あまり丁寧に聞こえない」

ということがあるのではないでしょうか?

それと、

「おしゃべり」(「オ/シャ\ベリ」)

という柔かい感じの「名詞」があって、それに引きずられる面もあるし、

「しゃべり」

というと、関西では、

「おしゃべりなヤツ」「余計なことをしゃべるヤツ」

というような、

「ちょっとマイナスのイメージがある言葉」

です。アクセントは「中高」で、

「シャ/ベ\リ」

です。それに「お」を付けてもなあ・・・という感じもしますね。

(2017、12、20)

2017年12月23日 15:37

新・ことば事情

6618「6カートンの読み方」

<2014年11月11日に書き始めました>

「たばこ」の「箱」の数え方、

「カートン」

ですが、これを「助数詞」として読むときに、「6」の、

「6カートン」

の読み方は、

(1)「ロッカートン」

(2)「ロクカートン」

(3)「シックスカートン」

のどれになるんでしょうか?さすがに、

「ムカートン」

はないでしょうね。

これは、

(2)「ロクカートン」

だと思うのですが。「ク」が「母音の無声化」が起きるために、聞いた感じは、

(1)「ロッカートン」

に近い感じに聞こえるのだろうなあ、というところですかね。

(2017、12、20)

2017年12月23日 11:32

新・ことば事情

6617「金星は個?回?」

「ミヤネ屋」のTディレクターから質問を受けました。

「道浦さん、『金星』の数え方は『個』ですか?『回』ですか?」

ちょうど、貴景勝関のデータを調べたところだったので、

「日本相撲協会のHPでは『回』になってるねえ。でも普通は『金星、何個』って言うよねえ」

と答えました。Tディレクターは、

「わかりました。相撲協会に合わせて『回』にしておきます」

ということでしたが、その後も考えると、

「『金星』は、『平幕力士が、横綱に勝つこと』を指すので、その『行為』を数えると『回』、そして、『その行為の象徴・シンボルとしての金星』の数え方としては『個』となるのではないか」

という結論に至りました。

サッカーの「ワールドカップの優勝回数」や、「Jリーグなどでの優勝」を、よくユニホームの胸に「星」のマークで表していますが、「優勝回数」として言うなら「回」ですし、あのマークだけを数えるなら「個」なのと、同じではないでしょうか。

(2017、12、20)

2017年12月22日 10:54

新・ことば事情

6616「気持ちの氣」

ニュヨーク・ヤンキースのマー君こと田中将大投手が、12月17日放送のNHK『サンデースポーツ』に出演していました。

その際に、マー君にまつわる「気持ち」の表記が全部、「旧字体」を使った、

「氣持ち」

となっていました。おそらく、田中投手は、

「旧字体の『氣』」

という漢字に特別の「氣持ち」「思い」を抱いているのでしょうね。

アメリカに行っても、日本人的な思いを忘れていないというか、外国に行っているからこそ、そういった

「漢字への思い」「文字への思い」

が強くなっているのかもしれないなあと感じました。

(2017、12、20)

2017年12月21日 21:48

新・ことば事情

6615「ンドランゲタ」

日本語には「ン」で始まる言葉は、まあ、ありません。

世界を見回すと、「ン」で始まる言葉でよく出て来るものでは、

「アフリカの人名や地名」

があることは知られています。例えば、ナイジェリアのサッカー選手の、

「ンケケ」

選手とか、日本のガンバ大阪にも所属したカメルーン出身のサッカー選手、

「エムボマ」

選手も、本当は、

「ンボマ」

だけど、「ン」から始まるのが日本で登録する選手名になじまないから「エ」を付けて「エムボマ」にしたんだとか。

アフリカ以外にはあまりないのかなと思っていたら、「イタリア」で見つけました。

「ンドランゲタ」

という名前です。これは、イタリアの「四大マフィア」一つの名前だそうで、カラブリア州に拠点があるそうです。しかし、やはり「ン」ではなじまないので「ン」を「ヌ」に代えて、

「ヌドランゲタ」

とも書くようです。「ン(N)」の後に母音の「U」を付けて「NU(ヌ)」にしたのですね。やはり、「母音」がないと「日本語」っぽくないのか?

そういえば、中国語から来た、

「馬」「梅」

という言葉は、元々は、

「ンマ」「ンメ」

だったのですが、「N(ン)」を母音の「U(ウ)」に代えて、

「ウマ」「ウメ」

になったんですもんね。

「四大犯罪組織」の残り3つは、

「カモッラ(ナポリが拠点)」

「サクラ・コローナ・ウニータ(プッリャ州が拠点)」

「コーサ・ノストラ」

だそうです。「カモッラ」「コーサ・ノストラ」も、聞いたことがあるな。たぶん、

「私達の家」

という意味なんでしょうね。スペイン語だと「ノストラ」は「私達の」で、「コーサ」は「カーサ」=「家」なのではないでしょうかね?

(2017、12、20)

2017年12月21日 17:47

新・ことば事情

6622「レイディース&ジェントルメン」

新幹線に乗った際に車内アナウンスを聞いていると、日本語の後に「英語」でもアナウンスがされます(録音ですが)。その際の呼びかけの英語は、

「レイディース&ジェントルメン(Ladies&Jentlemen)」

でした。いつも聞き慣れていますね。しかしこの間、聞いた際にちょっと疑問が。

と言うのも、最近の英語では、ジェンダーに気を使って最近の英語では、「レイディース&ジェントルメン(Ladies&Jentlemen)」とは言わずに

「エブリワン(Everyone)」

と言うらしいのです。新幹線はまだ、そうはなっていないなあと思って。

そしてけさ(12月20日)の朝日新聞のコラム「ことばの広場~校閲センターから」で、

「単数形としての『They』」

というタイトルの記事がありました。

「性の多様性が尊重される現代に『彼(He)』とも『彼女(She)』とも呼ばれたくない人のことを、単数形で使う『They』で表す」

というのです。有力メディアでは2015年に『ワシントン・ポスト』紙が初めて採用しその年の「流行語大賞」に選ばれたそうで、今年は「AP通信」もこの用法を採用したそうです。

でもこれは、教育現場で取り入れたら、大混乱に陥りますよねえ。

そういう動きが海外ではある、ということに留めておきましょう。

(2017、12、20)

2017年12月24日 14:45

新・ことば事情

6613「不妊か?避妊か?」

ペットに、子どもを産めなくする手術は、

「不妊手術」

でしょうか?それとも、

「避妊手術」

でしょうか?人間の場合には、

「不妊治療」

と言うと、

「子どもを産めるようにすること」

ですが、ペットの場合は「正反対」に、

「子どもを産めなくすること」

が目的ですね。「不妊」と「避妊」、どちらを使えばいいのでしょうか?

11月に開催された関西地区新聞用語懇談会で質問したところ、各社の用語委員から意見が出ました。

(読売新聞)夕刊で『ペットライフ』を取り上げた際は、全体としては「不妊手術」。

そのうち、「メス=避妊手術」、「オス=去勢手術」と表現した。

(朝日新聞)文脈で使い分けるのでは?

(KTV&MBS)動物病院では、犬もネコも「メス=避妊手術」、「オス=去勢手術」だ。「不妊手術」は使わない。

ということでした。なるほど。オスとメスで違うのか。いずれにせよ、ペットの場合、

「産めなくする手術」

「不妊」は使わないようですね。

「メス=避妊(手術)」

「オス=去勢(手術)」

のようです。

ところが、12月3日に、

「不妊手術」

という言葉を使われているのを見かけました。ただしこれは「ペット」ではなく、「人間」に使われていたのです。

それは、宮城県内の60代女性が、ナチス・ドイツの「断種法」をモデルとした「国民優生法」を前身とする「旧・優生保護法」(1948~96年)の下で、国が知的障害などを理由に『不妊手術』を強制したのは、個人の尊厳や幸福追求の権利を保障する憲法に違反するとして、国を相手に国家賠償と謝罪を求めて来年1月にも仙台地裁へ提訴する、というニュースでした。女性は当時10代。こういった「旧・優生保護法」に基づく障害者らへの『不妊手術』は、全国で約2万5000件も確認されているそうです。

ナチス・ドイツ同様、日本でも当時、「現在と正反対の目的」で、現在の「ペット」に対するのと同じ目的で、「人間」に対して、

「不妊」

という言葉を使っていたのですね・・・。

(2017、12、20)

2017年12月21日 10:43

新・ことば事情

6612「カザニか?カザンか?」

12月15日の朝刊各紙に、来年6月に迫ったサッカーワールドカップロシア大会での日本チームのキャンプ地が決まったという記事が出ました。その地名表記に、ばらつきがみられました。「Kazan」という都市の表記が、

(産経)カザン

(読売)カザニ

(朝日)カザニ

(毎日)カザニ

で、「日経」は載っていませんでした。「産経」だけ、

「カザン」

で、あとは、

「カザニ」

でした。ちょっと古いですが、手元の2010年版の「帝国書院」の地図では、

「カザニ」

でした。「カザン」だと「火山」みたいですね。

グーグル検索では(12月15日)

「ロシア・カザニ」= 3万1700件

「ロシア・カザン」=28万5000件

で、なんと「カザン」のほうが圧倒的なんですね。「外務省」を付けて検索すると(12月18日)、

「外務省・ロシア・カザニ」= 387件

「外務省・ロシア・カザン」=8230件

と、やはり「カザン」が圧倒的。「カザン」は、2012年6月に開かれたAPEC貿易担当大臣会合の開催都市名として、外務省のホームページに出て来ました。また、2016年9月の外務省ツイッターにも、

「ロシア経済近代化に関する日露経済諮問会議第6回会合が、19日、ロシア連邦のタタルスタン共和国カザン市で開催されました。」

と出て来ました。

一方「カザニ」は、「共同通信」発の記事と、「地方新聞」に多いような。地方新聞の外電は「共同通信の記事」であることがほとんどでしょう。たとえば、2016年7月29日の記事で、

【イスタンブール共同】トルコのクーデター未遂を巡り、同国のチャブシオール外相は28日、これまでに大使級の幹部を含む外務省職員88人を解雇したと発表した。このうちの1人はロシア中部タタルスタン共和国カザニの領事館職員で、日本に逃亡したことも明らかにした。アナトリア通信が伝えた。」

というようなところに「カザニ」が出て来ます。共同通信の知り合いに聞いたところ、

『「Kazan」の読み方について、共同は『記者ハンドブック』で『カザニ』としています。

ハンドブックは『ロシア語』の項目の中で(ロシア語の読み方です)

軟音符「'」は「イ」として扱う。対応するラテンつづりはない。

外電などではしばしば軟音符が省略されるので要注意。

 〔例〕 Astrakhan'     アストラハニ

     Kazan'         カザニ

     Arkhangel'sk   アルハンゲリスク

     Ol'ga          オリガ

     Gogol'         ゴーゴリ

としています。』

とのこと。

『共同通信記者ハンドブック』は市販されていて、私も持っています。急いで見てみると、たしかに「718ページ」に載っていました!

読売新聞社の『読売スタイルブック』2017」の外国の地名でも、

「カザニ」

になっていました。

「産経新聞」だけ、なぜ「カザン」なのかな?今度、聞いてみようっと。

(追記)

2018年1月31日、共同通信のOさんからメールが届きました。

「共同はロシア・タタルスタン共和国の首都を、これまで、

『カザニ』

と表記してきましたが、

『カザン』

に変更しました。

『カザニ』はロシア語発音の表記で、現地タタール語の発音は『カザン』の方が近いためです。また、W杯とは関係ありませんが、同じ理由でロシアの別のタタール系の町、

『アストラハニ』

も、

『アストラハン』

に変更しました。」

とのことです。もしかしたら6月のワールドカップ・ロシア大会までに、各社も変更があるかもしれませんね。Oさん、わざわざありがとうございました!

(2018、1、31)


(2017、12、18)

2017年12月20日 21:41

新・ことば事情

6611「腕白とお転婆」

12月18日の「ミヤネ屋」で、翌19日から一般公開される東京・上野動物園のパンダ「シャンシャン」

の話題を取り上げた時に、

「とにかく元気で活発に動き回るわんぱくパンダ、シャンシャン」

というナレーションがあったのですが、これに対して視聴者の方からご指摘を頂きました。

「活発に動き回っていることを、『腕白(わんぱく)』と言っていましたが、シャンシャンは女の子なんだから、『お転婆(おてんば)』っていうほうが合っています。」

なるほど、たしかに。「シャンシャン」は「メス」ですからね。そして、

*「わんぱく(腕白)」=男の子

*「おてんば(お転婆)」=女の子

ですね。

ちなみに「お転婆」は「当て字」で、語源は同様の意味を持つオランダ語の

「ontembaaar(オンテンバール)」

だという説もあります。

「腕白」と言えばその昔、高倉健さんが出ていたハムのコマーシャルで、

「腕白でもいい。たくましく育ってほしい」

というセリフが一世を風靡したのを思い出しました。あのCMに出ていたのは、

「男の子」

でしたね。

(2017、12、19)

2017年12月20日 17:41

新・読書日記 2017_150

『大相撲殺人事件』(小森健太朗、文春文庫:2008、11、10第1刷:20117、11、30第3刷)

今、とっても"キャッチー"なタイトルのこの小説は、9年前にこの文庫が出て、つい最近に「3刷」となっている。当然、一連の相撲協会を巡る「事件」で興味を引かれた人が読んでいるのでしょう。私もツイッターでこの小説の存在を知り、取り寄せて読み出した。

「6つ」の殺人事件で構成されているのだが、目次の「相撲文字」を見てみると、

「第一話 土俵爆殺事件」

「第二話 頭のない前頭」

「第三話 対戦力士連続殺害事件」

「第四話 女人禁制の密室」

「第五話 最強力士アゾート」

「第六話 黒相撲館の殺人」

まあ、面白そうだけど、おぞましくも、とんでもないタイトルですね。

内容は・・・そんなアホな!という事件の連続。読んでいて思い出したのは、昔の「筒井康隆」さんの小説ですね。こんな感じだったよなあ・・・と懐かしく思い出しました。高校生から大学時代、よく読んだな。本当、そんな感じです。でも、この年になって読むか?と言われると、ちょっと「?」という感じですね。面白いですが。おぞましいのに軽い。ライトノベルズっぽくもありました。


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(2017、12、16読了)

2017年12月20日 12:39

新・ことば事情

6610「三つどもえ」

5月8日の「ミヤネ屋」で、韓国の大統領選挙を取り上げた際に、Nディレクターから質問を受けました。

「文(ムン)候補の支持率42%で、他の2人は18%なのですが、3候補の戦いを『三つどもえ』と表現してもいいでしょうか?」

というものでした。たしかに、

「三つどもえ」

と言う場合の「三」は、

「実力が拮抗(きっこう)しているイメージ」

があります。家紋の「三つ巴」も、「勾玉の様な形をした物」の大きさは、

「3つとも同じ」

です。今回の大統領選挙では、文候補がダブルスコアで支持率トップを走っていました。こういう場合でも「3人」という人数だけで「三つどもえ」を使っていいのか?という問題ですね。辞書には、そこまで詳しく書かれていないのですが、結局「三つどもえ」という表現はやめて、

「3候補による戦い」

にしました。

(2017、5、30)

2017年12月20日 16:20

新・ことば事情

6609「一線を越える」

ことしの「新語・流行語大賞」にもノミネートされた(?かな?)、されてないかもしれないけど話題に上った、

「一線を越える」(「一線は越えていない」)

この場合の問題点は、

「『一線』とは、何ぞや?」

ということですね。

話題に上った「一線」は、

「男女の関係」

ということで、平たく言えば、

「セックスをしたかどうか」

となると思うのですが、実は問題なのは、同じ条件であったとしても、

「倫理観・信頼感という心理的なハードル、禁忌ラインを踏み越えたかどうか」

ではないかなという気がしました。

いかがでしょうか?

(2017、12、18)

2017年12月20日 11:19

新・読書日記 2017_149

『トランプが戦争を起こす日~悪夢は中東から始まる』(宮田律、光文社新書:2017、3、20)

実は、出てすぐに買って少し読み始めたのだが、その後「中東」よりも「北朝鮮」の方が危ない感じになって来たので、

「あれ?この"中東"という予測は外れたのかな?」

と思って「読みさし」になっていた。しかし、この「年の瀬」になってトランプ大統領が

「エルサレムへのイスラエル大使館の移転=エルサレムをイスラエルの首都と認定」

を発表して、再び「中東」の不安定要素が高くなったので、

「これは今、読まねば!」

と、「積ん読」の山から掘り出して来て読んだ。

宮田さんは中東の専門家だが、すでに今年初めの時点で今回のトランプ大統領の発言の件に触れていた。と言うかトランプ大統領は、大統領選挙期間中にユダヤ人の支持者への「公約」として「テルアビブからエルサレムへの首都移転」を挙げており、その意味では(トランプ大統領が言う通り)「公約を実行しただけ」なのだ。問題は、

「なぜ、今のタイミングか?」

ということだ。娘婿のクシュナー氏は敬虔なユダヤ教徒で、そのクシュナー氏と結婚したイバンカさんもユダヤ教に改宗した。その意味では、今回の「ユダヤ優遇」と言える「エルサレム首都認定」は、

「家族の希望に応えた」

とも言えるのではないか?「ファミリー・ファースト」か。

また、トランプ政権の中枢には「軍産複合体」の会社の幹部が多く登用されており、シリアはロシアが兵器を供給している"お得意先"。そのロシアともつながる人物も、トランプ政権内部に含まれており「戦争推進、兵器需要の増加」という目的が透けて見える・・・。

一体全体、どうなんねん!


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(2017、12、19読了)

2017年12月19日 18:09

新・ことば事情

6608「阿武咲と武井咲」

大相撲冬巡業、沖縄・宮古島場所で、横綱・白鵬を破った力士、

「阿武咲」

なんと読むのか?というと、

「おうのしょう」

です。所属している部屋が、

「阿武松部屋」

で、これは、

「おうのまつ(べや)」

と読みます。「阿武」は「おうの」と読むのですね。「おうむ」でも「あぶ」でもなく。

そして「阿武咲」関の場合は「咲」を、

「しょう」

と読むのですね。

これで思い出したのが、先ごろ結婚した女優の、

「武井咲」

さんです。こちらは

「たけいえみ」

と読みます。「咲」を「えみ」と読む。これも「難読人名」ですね。

「阿武咲」にならって「咲」を読むと、

「たけいしょう」

になってしまいますが、それは間違い。そんなお相撲さんがいたら、えらい混乱が起きそうですね。

同じく「武井咲」の「咲」にならって「阿武咲」を読むと、

「おうのさき」

とアイドルみたいになってしまい、これも間違いです。ああ、ややこしい、この年の瀬に。

(2017、12、15)

2017年12月17日 12:19

新・ことば事情

6607「黄線」

先日東京に行った時に見かけた「渋谷駅」に張られた注意書き。そこには、

「黄線の内側までお下がりください」

とありました。この

「黄線」

は何と読むのでしょうか?

「きせん」

でしょうか?「おうせん」とは読まないでしょう。もちろん意味は、「黄色い線」だと思いますが、あまり普段「きせん」とは言いません。

「黄色い線」

と言います。

鉄道で使われている「もう一つの色の線」は、

「白線」

です、これはそのまま

「はくせん」

と読みます。もちろん「白い線」と言うこともありますが、

「はくせん(白線)の内側までお下がりください」

ということも多いですね。

スペースの限られたところに張る注意書きで、「黄色い線」だと「4文字」かかるので、そのスペースを省略するために「黄線」にしたのか?

それとも「白線」という「2文字」に合わせて「黄線」としたのか?

どうも「後者」のような気がします。

「色」の名前で形容されたもの(線)ついて、いくつか考えて見ると、

「赤線」「青線」

がありますね。日本の色の基本は、

「黒・白・赤・青」

「4色」です。これらは、そのまま「い」を付けて、

「黒い・白い・赤い・青い」

「形容詞」になれます。それ以外は、

「黄色い」「茶色い」

などのように「色」を付けないと形容詞になれないし、それ以外は、

「緑の」「ピンクの」「紫の」

と、「の」を付けて形容するしかありません。そこから考えると「黄色」の「黄」を、「白」のように使うのは、ちょっとおかしいんですけど、

「形容詞の語幹」

「色の名前」になり、それがそのまま「形容詞的」に働く「黒・白・赤・青」のマネをして、「白線」のように、

「黄線」

としたのではないか?その際に、

「どう読むか」

は、あんまり考えなかったのではないかなと思いました。

(2017、12、14)

2017年12月16日 12:18

新・ことば事情

6606「『映す』と『写す』」

12月13日の「ミヤネ屋」でで、久々に「松居一代さん」を取り上げました。

その際に彼女が「晴れた青空」を指して、

「この空、うつしてる?うつしてよ!」

と言っていました。

この「うつす」は「映す」か?「写す」か?

最初の発注では「映す」でしたが、OAでは「写す」に直しました。

この漢字の使い分けは、

・「写す」=撮影

・「映す」=上映

だと覚えると良いでしょう。中には、

・「写真(静止画)」=「写す」

・「動画(ビデオなど)」=「映す」

と思っている人もいるようですが、必ずしもそうではありません。

「うつす」の語源は「移す」です。元あった場所から他の場所に「うつす」、その際に、昔は、

「書き写す」「描き写す」

ことをしていました。その後に「写真」が登場しても、「うつす」動作は、

「写す」

という漢字で示しました。その頃に「映す」という感じが使われたのは、

「鏡(水面)に姿を映す」

のように、

「光や影などが他の物の表面に見える」

ことを指しました。今で言うと、映画やスライドが、スクリーンの上に

「映る」「映される」

ということですね。

こういった語源から考えると、やはり最初に書いたように、

・「写す」=撮影

・「映す」=上映

ということになりそうですね。

(2017、12、14)

2017年12月15日 18:09

新・ことば事情

6605「ウィドウメーカー、黒い未亡人、白い未亡人」

11月6日の関西地区新聞用語懇談会で、「オスプレイ」の異名である、

「未亡人製造機」

を使うかどうか?というテーマについて話し合いました。

「オスプレイ」は、開発段階の墜落事故で30人の死者を出し、アメリカでは、

「未亡人製造機(ウイドウメーカー)」

と呼ばれました。「未亡人」という言葉は、もともと、

「夫と共に死ぬべきなのに、まだ生きている人」

という意味なので、朝日新聞では、

「戦争未亡人」

のような「歴史的用語」を除いて、原則使わないことにしているそうです。2010年に2度検討して、使わないことになったといいます。

「2012年秋の関西地区新聞用語懇談会」でこの件について話し合いましたが、その際に、「使う」としていた社(=毎日新聞・産経新聞・ABC)は、その後どうなっているか?という質問が出ました。

ちなみに「2012年秋の関西地区用語懇談会」では、「オスプレイの別名(未亡人製造機)」について幹事社の朝日新聞から使用状況についてのアンケートが各社に配られ、その回答の発表と意見交換という形でした。

回答した社は全国紙5社、スポーツ紙4社、通信社2社、テレビ局5社、ラジオ局1社、地方新聞社8社の、合計25社。( )内はテレビ局の数、★=ytvの回答。

         (使う)(規定あり使わない) (規定なしだが使わない)

未亡人製造機(オスプレイ) 6(2)   8(1)   11(2)★

でした。5年たった現状は、

(毎日新聞)「未亡人」は使わないとハンドブックに記載がある。「オスプレイ」の異称としても出て来ない。

(産経新聞)「未亡人製造機」は出て来ない。「未亡人」は使わない。今後「オスプレイ」の異称で出て来たら使うかも。

(ABC・A氏)「未亡人製造機」という表現は出て来ない。

(ABC・B氏)アメリカで「ウイドウメーカー」という呼び名は、現在も使われているのか?もし使われているのならば「未亡人製造機」を使わざるを得ない。私は長年、制作現場でやって来たが、以前は「悪役プロレスラー」の異名として「ウイドウメーカー」と、よく言われた。

(毎日新聞)「寡婦」ではダメか?

(朝日新聞)難しいのでは?

(TV各局)音で聞いて分かりにくい。

(朝日新聞)「未亡人」に関しては3~4年前に「読者の声」の欄に「"未亡人"と呼んでほしい」という71歳女性の電話での意見があった。「年下の彼氏と付き合っているが、彼が友人から『"後家さん"と付き合ってんのか』と言われた。せめて"未亡人"と呼んでほしい」と。(たしかに「未亡人」は、「貴婦人」のようなイメージがあるような・・・)しかし実際は「戦争未亡人」で使うか、文学作品ぐらいでしか「未亡人」は出て来ない。

(共同通信)基本的には「未亡人」は使わないが、テロリストで「白い未亡人」「黒い未亡人」というのが出て来た。また「皇室典範」では、「皇太后」のことを指した表現で「未亡人」が出て来る。

(ytv)「未亡人」という「日本語」ではなく、外来語の「ウイドウ」なら使ってもよいのか?その昔の流行語で「ゴルフ・ウイドウ」(旦那さんがゴルフに行ってばっかりで、家に一人残された奥さんのこと)というのがあったし、山口百恵の曲は「ロックンロール・ウイドウ」。フランツ・レハール作曲の有名なオペレッタには「メリー・ウイドウ」がある。

(朝日新聞)「未亡人」の意味を気にしない読者も多いが、できれば避けたい表現だ。

その中で、共同通信の委員の発言で出て来た

「黒い未亡人」「白い未亡人」

について、不勉強で意味が分かりませんでした。会議から帰ってから調べて見ると、こんな感じでした。

*「黒い未亡人」=チェチェン紛争により家族を失った女性たちで組織された過激派組織

*「白い未亡人」=(1)イギリス人、サリー・ジョーンズ。ISへの勧誘をしていた。10月の産経新聞記事で、ドローン攻撃で死亡したと。

(2)サマンサ・ルスウェルト29歳。ソラリアのイスラム過激派組織、アル・シャバブへの勧誘をしていたイギリス人女性。

全然、知りませんでした。勉強になりました!

「ウィドウメーカー」については、たまたま『週刊文春』2017年10月5日号で、評論家の宮崎哲弥さんがコラム「宮崎哲弥の時々砲弾」(あ、これは「ときどきほうだん」ではなくて「じじほうだん」、つまり「時事放談」のダジャレか!連載270回目の今回初めて気付いた・・・。)で取り上げていました。

ここで取り上げた「ウィドウメーカー」は「オスプレイ」のことではなく、「トレーダー」の間では、

「日本国債の空売り」

のことを指して呼ぶらしいです。

「直訳すれば未亡人製造機。比喩的に事故率の著しく高い軍用機などをこう称する。国債空売りポジションが死屍累々であることを暗に示す」

と記されていました。

「危ない」

ということですね。

(2017、12、14)

2017年12月15日 10:57

新・ことば事情

6604「マステ」

12月12日放送の『かんさい情報ネットten.』で、タレント武田訓佳さんが取材していたのが「手づくり年賀状の作り方」。取材した相手は、田村美紀さんという、

「マステ絵作家」

でした。この「マステ」とは、

「マスキングテープ」

の略語。初めて知りました。何でもかんでも、省略しやがるな。

田村さんの作品は「さすが!」と思わせるものでしたが、これはちょっと、一枚一枚作るのは大変だなあと思いました。

グーグル検索(12月13日)では、

「マステ」     =427万0000件

「マステ絵作家」  = 49万7000件

「マステ絵」    =  1万7500件

「マスキングテープ」=610万0000件

でした。ちょっと気になったのは、

「マステ(R)」

と、「マステ」は「登録商標」になっているみたいなんです。

masté®  マステ®

それだと、気を付けないといけないなあ。

(2017、12、13)

2017年12月14日 21:32

新・ことば事情

6603「キャリアハイ」

11月4日の日本シリーズの中継で、テレビ朝日?(フジテレビ?どっちだっけ)のアナウンサーが、福岡ソフトバンク・ホークスの今宮選手について、

「ホームラン、打点、打率、全てキャリアハイの数字です。」

としゃべっていました。この、

「キャリアハイ」

と言う言葉、今まで耳にしたことはありますが、何となく聞き逃していましたが、割と新しい言葉なのではないでしょうか?意味は恐らく、

「自己最高記録」

でしょう。

「そのキャリア(経歴)において最高」

ということですが、たぶんこれって、「和製英語」なんじゃないかなあ。

グーグル検索では(12月13日)

「キャリアハイ」=38万3000件

で、トップに出て来たのは「ウィキペディア」で、

「キャリアハイ(英語表記:career-high)は、そのキャリアの中での最高という意味で、アスリートなどが残したピークとなる成績のこと。陸上競技のタイムのように、単純に比較が出来る場合はキャリアハイを決めるのは簡単であるが、野球の打者のように打率、本塁打、打点などの複数の要素を総合してキャリアハイを決める場合はどのシーズンがキャリアハイになるかは議論が分かれる場合が多い。」

とありました。「英語」でもあるのか。これによると、「野球」の場合は、なかなか簡単には使えない言葉のようですね。

(2017、12、13)

2017年12月14日 19:31

新・ことば事情

6602「ニューオープン」

12月12日放送の『かんさい情報ネットten.』で、タレントのヤナギブソンさんが京都のお店を紹介していました。その中で口にした言葉で、

「ニューオープンのお店」

というのが、引っかかりました。

「ニューオープン」

って、おかしくないですか?「オープン」は「ニュー」に決まってんじゃないの?しかしまあ、

「リニューアルオープン」

というのもあるから、

「ニューオープン」

もOKなのかな?

「ヤフー」検索(12月13日)では、

「ニューオープン」=154万0000件

同じく、グーグル検索では(12月13日)、

「ニューオープン」=344万0000件

も出て来ました。

あ、でも、こんな言葉も同時に出て来たぞ。

「新規オープン」

これは聞いたことがあります。もしかしたら「新規オープン」の「新規」を英語で「ニュー」と言ったところから、生まれた言葉なのかな?グーグル検索は、

「新規オープン」=80万8000件

でした。「ニューオープン」のほうが4倍多いな。では、同時に検索。

「ニューオープン・新規オープン」=26万8000件

でした。

(2017、12、13)

2017年12月14日 17:30

新・読書日記 2017_148

『遺言』(養老孟司、新潮新書:2017、11、20第1刷・2017、11、25第2刷)

久々に養老先生の本を読んだ。このところ「語りおろし」の本が多かったそうだが、この本は「語る」のではなく「書いた」そうです。

タイトルは「遺言」。もう80歳だから、ということですが、まだまだ死ぬつもりはないみたいですよ、読んでみたら。同時に読んだのが「105歳」で亡くなった日野原重明先生の本で、そちらの方がさすがに「遺言」っぽかったです。養老先生には最低あと25年は、頑張ってもらわないと!

印象深い言葉は、

「芸術はゼロと一の間にある」

「数学が最も普遍的な意識的行為の追求、つまり『同じ』の追求だとすれば、アートはその対極を占める。いわば『違い』の追求なのである。」

「津田一郎式に表現すれば、『アートは数学的には誤差に過ぎない』」

「意識と感覚の対立」

「アートはしばしば二つの繋がりに気づかせてくれる」

「意識と感覚が相伴って、いわば正面に出てくるのが建築である。建築には実用という面があって、これはまったく意識的、人工の典型である。でも建築物はむろん実用一点張りではない。(中略)建築で問題になるのは空間である。ここでは意識ではなく、感覚のほうに基準を置くとする」

「動物は、共有空間という概念を持たないに違いない。全員に共通している空間というのは、まさに『同じ』空間であり、動物に『同じ』はないからである」

「われわれの身体は七年で物質的には完全に入れ替わるという」

「西洋では諸行無常を古代ギリシャ時代に発見している。ヘラクレイトス学派の『万物流転』である。ギリシャ語ではパンタ・レイ(この世のすべてのものが、たえまなく変化している、の意)。」

「時間的に変化しないもの、それを現代では『情報』と呼ぶ。情報が変わったように見えるのは、新しい情報が付け加わったり、既存の情報をだれかが訂正したりするからである。」

「じつは『同じ』を突き詰めていくと、デジタルにならざるを得ない。デジタルとは、二進法、ゼロと一とで、すべてが記述されることである。さらにそのゼロと一で書かれた情報は、完全なコピーが作成できる。コピーとはつまり元のものと『同じ』ということで、同じものをきちんと作ろうとするなら、デジタルがもっとも望ましい」

「現代人はひたすら『同じ』を追求してきた。最初に生じたのは、身の回りに恒常的な環境を作ることである。部屋の中にいれば、いまでは終日明るさは変化しない、風は吹かない。温度は同じである。屋外に出れば都市環境となる。(中略)感覚所与を限定し、意味と直結させ、あとは遮断する。世界を同じにしているのである。」

元々「違う」動物である「人間」は、「同じ」を求めて来た。究極の「同じ」が「デジタルコピー」。

「ゼロか一か」ということを突き詰めると、「二者択一」の「不寛容」にならざるを得ない。ここ十年来問題となっている「不寛容社会」は、「デジタル社会」の"ウラ"の面なのではないか。

昔、アナログの「LPレコード」が、デジタルの「CD」に替わって行った時に「何か違う・・・」と思ったのと同じ感覚で、「デジタル社会」になった「21世紀の現代社会」で、「何か違う」と感じる感覚を大切にしたいと思った。


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(2017、12、7読了)

2017年12月14日 16:26

新・読書日記 2017_147

『安藤忠雄展~挑戦』(安藤忠雄:2017、9、27)

東京・六本木の『国立新美術館』で9月から12月18日までやっている「安藤忠雄展」。

たまたま東京出張で時間が空いた折りに見て来ました。巨匠の「挑戦の軌跡」と「未来への展望」を、「原点/住まい」「光」「余白の空間」「場所を読む」「あるものを生かしてないものをつくる」「育てる」という6つのセクションに分けて紹介していました。結構混んでた。

中でもインスタレーションで、実際に造ってしまった「光の教会」。以前、その建設に至る経緯の本を読んだことがあったので、見たかったのです。

「実物は大阪にあるんだから、そっちを見に行けばいいのに・・・」

と、自分で思いながらも、見てしまって「ああ、なるほど」と。

img147.jpg

全体の印象は「壁」。安藤忠雄の建設・建物は「壁」を作っている。その意味では「メキシコとの国境に壁を建てる」というトランプ大統領の考えが、ちょっとわかったような気がします。つまり「壁」を作ったり「地中」に建物を作るのは、

「人間の住まいは。まずは『守り』」

という考え方。自然の脅威や外敵から身を守る。そのためには「壁」」が必要なんだと。

よく見ると安藤の建築物は「城壁」のようです。安藤忠雄は、「壁」を作っているんです。特に初期の頃は。

そして、コンクリートは開口部が狭い。だから光の取り入れが限定的。だからこそ、それを生かす工夫が必要になる。「壁」に不可欠なのは「窓」なのです。「窓」とは、閉ざされたスペースに、外部から光や空気を取り入れる入り口。「壁に囲まれた建物=自己」だとすれば「窓」は「心の窓」と言われるように、「外界=社会」とのつながりを求めるもの。

最後は「自然の中に、人間はいかに住むのか」「歴史の中でこれまでの人類が築いてきたものと、どう折り合って行くのか」という「共生」という考え方が浮かび上がってきたような気がします。

この展覧会の概略を、綺麗なカラー写真で余すことなく収録している、この一冊が2000円は安い。しかも、安藤忠雄さんの自筆サイン&イラスト付き。売店では購入まで15分、列に並びました。

「光の教会」の写真3枚は、この本の物ではなく、私がスマホで撮影したものです。


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(2017、12、3読了)

2017年12月13日 18:26

新・ことば事情

6601「話題を集める」

12月12日、読売テレビ夕方の『かんさい情報ネットten.』のヤナギブソンさんが出ているコーナーで、京都のお店を紹介していました。

その中で「今、注目のお店」のことを、虎谷アナウンサーがナレーションで、

「話題を集める」

と2度読んだのがちょっと気になりました。「話題」は「集める」でしょうか?

「集める」の場合は、

「注目を集める」

ではないでしょうか?まあ「注目を集める」もちょっと「重複表現」のようにも感じますが。「話題」の場合は、

「話題になる」「話題に上る」「話題を呼ぶ」

ではないでしょうか?

そこで、『日本語 語感の辞典』を引いてみたところ、「話題」の用例として、

「今話題の人」「話題が豊富だ」「話題にのぼる」「話題を集めている」「話題を投げかける」

と、しっかり、

「話題を集めている」

が載っているではないですか!なーんだ、使っても大丈夫だったのか。

グーグル検索してみたら(12月12日)、

「話題を呼ぶ」 = 59万9000件

「話題を集める」= 67万8000件

「話題に上る」 = 41万7000件

「話題になる」 =821万0000件

「話題をさらう」= 11万4000件

「話題にあがる」= 28万3000件

「話題にのぼる」= 30万3000件

で、一番多いのは「話題になる」ですが、次に多いのが「話題を集める」。次いで「話題を呼ぶ」「話題に上る」でした。

なぜかちょっと「話題を集める」は引っかかったんだけどな。

(2017、12、12)

2017年12月14日 10:57

新・読書日記 2017_146

『黙殺~報じられない"無頼派系独立候補"たちの戦い』(畠山理仁、集英社:2017、11、29)

ツイッターで知ったフリーのジャーナリスト畠山さん。ひと回り年下で、早稲田の後輩。(面識はないけど)そのツイッターのマーク(なんて呼ぶのか分からない。アイコン?)が、随分長い間「ご自分のイラスト(自画像)」が頭を掻いて「どーもゲリラです」というコメントをつぶやいていました。

その畠山さん、この作品で2017年の「第15回 開高健ノンフィクション賞」を受賞されたと知り、またそれが、選挙で立候補するいわゆる、

「泡沫候補」

について書かれたものだと知り、「読んでみたい!」と思っていました。

読後感は、「おもしろい!」の一言です。選挙に出ようと思うこと自体、ある意味「正義感が人よりも強い」とか、「目立ちたい」とか「人のために役に立ちたい」とかの思いが、ずば抜けて強くなければなりません。そうでないと、立候補なんてしようとは思わない。でも・・・「泡沫候補」いや、畠山さんが尊敬の念を込めて、

「無頼系独立候補」

と呼ぶ人たちは、とても個性豊かで、確かにちょっと、おかしな人たちもいるけれども、みんな真剣で、真面目に取り組んでいるのだということが、よく分かるノンフィクションだった。

でもだからと言って、「当選したら、それはそれで困る」という候補も、たくさんいるようだが。

「政治」が「政党」のものから、「個人」のものへ、被選挙権を行使する権利を取り戻そうという試みのように思える。そのためには、外国に比べても高すぎる「供託金」の金額を、もっと下げるべきだ。そうでないと、選挙に出るなんて「物理的・経済的に無理」で、そのハードルを越えて立候補する人は「物好きな変わり者」と思われる。ぜひ、そのハードルを下げるべきだと思った。

それにしても畠山さん、あんたも「無頼派系独立ライター」だよなあ。


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(2017、12、4読了)

2017年12月13日 17:12

新・読書日記 2017_145

『みみずくは黄昏に飛びたつ』(村上春樹・川上未映子、新潮社:2017、4、25)

作家・川上未映子(訊く)が、作家・村上春樹(語る)に「インタビュー」をしている本です。表紙に川上さんの所に「訊く」と書いてあるように、本当に「聞く」でも「聴く」でもなく「訊く」。「訊問(じんもん)」しているような感じなんですね。それも「インタビュー」と言うよりは、もう「対談」です。インタビューしている方が、こんなにたくさんしゃべるなんて、普通はありませんから!「対談」ですよ、もう。

4回にわたるロングインタビューを1冊にまとめている。川上さんは、本当に「村上春樹ファン」で、よく読み込んでいる。村上春樹は、昔書いた自分の本の内容なんて、もうあんまり関心が無くて、登場人物の名前や細かいことは忘れているんだけれど、ファンである川上は著者より詳しい。まるで「優秀な秘書」のよう。そんな頓珍漢な感じが面白いが、実はそんなもんだよなあと、私もちょっと思いました。もうこんなにたくさん書いてたら、自分が何を書いてきたかなんて、「体幹部分」は覚えていても、「枝葉」は忘れちゃうよね。

川上さんが「フェミニスト」として、村上春樹作品の中の女性の描き方を「追及」するところがあるけど、あれはちょっと、「ピンとはずれ」だなあと感じました。

まあ、しかし、親子ほど年齢が離れているけど、やはり「プロとして同じ仕事(職業)をしている先輩と後輩」として、お互いに認め合っているということで、話がキッチリと噛み合っていて、客観的に読者としては面白かったです。


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(2017、12、2読了)

2017年12月13日 17:09

新・ことば事情

6600「東大寺?」

中1の娘と一緒に、おじいちゃん・おばあちゃんの家(実家)で夕食を摂らせてもらった時のこと。夕食後に「おやつ」として

「水色の金平糖」

が出て来ました。それが、

「螺鈿(らでん)と漆の棗(なつめ)」

の中に入っていたのです。我が家には絶対にないような仕様の物でした。そもそも「棗(なつめ)」なんて、ないもんね。それはまるで、

「正倉院の宝物」

のような、と言うと言い過ぎですが、なかなか美しい器でした。そこで娘に、

「これはな、おじいちゃんが『正倉院』から盗んで来たんやで」

と冗談を言うと、口の中に金平糖をほおばった娘が、

「東大寺」

と言ったように聞えました。アクセントは、

「ト/ーダ\イジ」

です。

「お!ちょっとは、わかっとるやないか。でも『東大寺』ではなく『正倉院』やからね、宝物は。」

と言うと、

「ちがふ!ほーだあじ」

と言った後に、金平糖を呑み込むと、こう言い直しました。

「ソーダ味!」

つまり彼女は、"金平糖の味"についてしゃべっていたのでした。父の話など、何にも聞いていなかったのでした・・・。

(2107、12、12)

2017年12月13日 21:33

新・ことば事情

6599「敗られた相手」

ツイッターで見ていた「ハフポスト日本版」のサッカーの「クラブワールドカップ」の記事。見出しを読んで「おやっ?」と思いました。そこにはこう書かれていたのです。

「浦和レッズ、2度目の4強 叶わず 敗られた相手は?」

というもの。この中の、

「敗られた相手」

に引っかかりました。これは正しくは、

「敗れた相手」

ですよね。ご存じのように「やぶる」という言葉を記す漢字には2種類あります。

「破」「敗」

ですね。「勝った時」には、

「破った」

ですし、「負けた時」は、

「敗れた」

です。この漢字を「逆の場合に使う」のは間違いです。つまり、「勝った」ことを、

「敗(やぶ)った」

「負けた」ことを

「破れた」

とするのは「間違い」なんですね。

今回、何がおかしいのか?すんなり、浦和レッズが、

「敗れた相手」

にすれば良いところを、

「敗られた相手」

「ら」を入れて「受け身形」にしている。主語は「浦和レッズ」です。それならば、

「破られた相手」

とすべきです。しかし、それは日本語としてなじまないですね。

「破った」と「敗れた」が混同してしまったことが間違いの原因だと思われます。

それと「受け身形」に慣れてないのかなあという気もしました。

「主語がどちらか」は、キッチリと考えなくてはなりませんが、最近特に、

「受け身形の場合の助詞の使い方」

が、全然できていません。そういうところから、こんな表現が出て来たのではないかなと思われます。言葉を仕事にしている現場でも、こんな状況です・・・。

「他山の石」として研鑽に励みます!

(2017、12、12)

2017年12月13日 19:23

新・ことば事情

6598「沙知代夫人」

2017年12月8日、元南海・ヤクルト・阪神・楽天監督の野村克也氏(82)の妻、

「野村沙知代さん」

が虚血性心不全で亡くなられました。85歳でした。

沙知代さんを指して、

「沙知代夫人」

という言い方がよく取り上げられたのを思い出します。

そこで、新聞用語懇談会での「○○夫人」に関する討議をここに記し、故人の安らかなる眠りに捧げたいと思います。合掌。

*****************************************(野村)沙知代夫人・(鳩山)幸夫人=2001年9月&2009年10月(関西)&

2009年12月&2017年11月(関西)

【2001年9月・放送分科会】

「野村沙知代夫人」経歴詐称問題で。つまり、「野村沙知代」氏の肩書きとして「野村克也阪神タイガース監督の夫人」というものがついている、ということ。「稲垣吾郎メンバー」と同じ考え方か。

【2009年10月(関西地区新聞用語懇談会)】

「幸夫人」という表現は、正しくは「鳩山総理夫人」ではないのか?(MBS)

→野村克也・前楽天監督の夫人を「沙知代夫人」と呼ぶのと同じで、ある意味「固有名詞」なのではないか?もちろん、正しくは、「鳩山総理夫人の幸さん」であろうが、「(鳩山)幸(・総理)夫人」というように( )が省略されて「幸夫人」となっていると考えられなくもない。

【2009年12月・放送分科会】

「幸夫人」について。 「正しくは『鳩山由紀夫夫人幸さん』ではないか」という意見が弊社番組審議委員から寄せられました。各社の見解を教えてください。(MBS)

(以下:寄せられた意見)

・鳩山政権誕生以降、「幸夫人」(みゆきふじん)を情報番組を中心に連発している。「鳩山夫人」や「鳩山由紀夫夫人」ならわかるが、あえて言うなら「幸さん」(みゆきさん)ではないか。

・「真珠夫人」などが出てから「夫人」の使い方が変わったのかも知れない。別な人物だが、「真紀子氏」というのもよく出てくる。「氏」は名字。氏なのだから「田中真紀子氏」ならわかるが、「真紀子氏」がよく使われている。

・言葉は変わるもので、誤用がいつのまにか正しくなることもあるが、放送が、まして全国ネットの番組が率先して、毎日連発しているのはどう考えてもおかしい。「幸夫人」はやめてほしい。

(フジテレビ)「その昔『デビ夫人』がおかしいと思った。『スカルノ夫人』ではないのか?」

・「あれは『第○夫人』というふうにたくさんいる。本妻の『スカルノ夫人』は一人だけなので、仕方がないのでは・・・」

・今や「デビ夫人」は、「叶姉妹」のような「芸名」では?

(フジテレビ)「目くじらたてなくても・・・」

NHK)「(野村前監督夫人の)『沙知代夫人』もあった」

(テレビ朝日)ファーストレディーに個性がある場合(キャラが立っている)は、ファーストネームで呼ばれることがある。クリントン大統領夫人時代にはヒラリー・クリントンは『ヒラリー夫人』と呼ばれていたし、現在のオバマ大統領夫人も『ミシェル夫人』と呼ばれている。『イメルダ夫人』もあった。『○○夫人』がおかしい、と言う方がおかしいと思う。

(共同通信)ニュース原稿では「妻の幸さん」だが、「首相動向」では「幸夫人」も出てくる。オバマ大統領の「ミシェル夫人」も使っている。

【2017年11月(関西地区新聞用語懇談会)】

「昭恵夫人」という表現は、「夫」である「安倍首相がメーン」で、「妻が付属物」のように感じる。「安倍首相の妻・昭恵氏」とするべきではないか?(朝日新聞)

(毎日新聞)「昭恵夫人」が連日出て来た今年3月末に、「安倍昭恵首相夫人に関しては『妻・昭恵さん』とする」という用語通達があった。でも「○○夫人」は使っている。しかし複数出て来る場合は「妻・○○さん」という表現にそろえている。(例)「トランプ大統領の妻・メラニアさん」と「安倍首相の妻・昭恵さん」

(共同通信)「首相夫人」=「ファーストレディー」という意味では「昭恵夫人」を使う。「安倍昭恵・首相夫人」は、あえて「昭恵夫人」とする。

(MBS)「安倍晋三夫人・昭恵さん」とする。

(ytv)過去の用語懇談会で出て来た何度か「○○夫人」について討議されている。

2001年9月の放送分科会では「野村沙知代夫人」という表現について、2009年10月の関西地区用語懇談会と2009年12月・放送分科会では、「『幸夫人』という表現は正しくは『鳩山総理夫人』『鳩山由紀夫夫人・幸さん』ではないのか?と共にMBSから議題として上がった。

(スポニチ)昔の伝記で「キュリー夫人」とあった。「○○夫人」はおかしくないのでは?

(各社)「キュリー」は名字。問題は「ファーストネーム(名前)+夫人」の場合。昭恵さんの場合も「安倍(首相)夫人」ならば問題ない。

(MBS)昔は女性の「名前」は言わなかった。「名字+夫人」だった。「ファーストネーム+夫人」が出て来たのは、「ジェンダー問題」への対応が進んで、女性の地位が上がったからで、「尊称」である。

(2017、12、12)

2017年12月13日 14:13

新・ことば事情

6597「簡裁」

12月12日のお昼のニュース担当の新人・岩原アナウンサーが、

「ちょっとお聞きしていいですか・・・」

と質問して来ました。

「東洋ゴムの免震装置が基準を満たしているとウソの報告をした偽装事件の裁判で『枚方簡裁』というのが『リード』と『本記』で出て来るんですけど、これはそのまま読んでいいでしょうか?それとも省略しないほうがいいですか?」

あ、なるほど。

「枚方簡裁」

そもそも「簡易裁判所」って、ニュースにめったに出て来ないからなあ。

「地方裁判所」=「地裁」

「高等裁判所」=「高裁」

はよく出て来ますが。

「家庭裁判所」=「家裁」

も、そこそこ出てきますが、同音異義語の、

「火災」

のほうがよく出てくるような気がします。

そういった意味では、視聴者が「カンサイ」と聞いて、すぐに、

「簡易裁判所の略の『簡裁』」

だとわかるか? というと、ちょっと疑問。そこで、

「最初に出て来た時は略さずに『枚方簡易裁判所』と読んで、2回目以降は『枚方簡裁』と略してもよい」

とアドバイスしました。岩原アナウンサーも本番では、リード部分は省略せずに読んでいました。

それにしても、

「ヒラカタ・カンサイ」

と聞くと、

「枚方・関西」

に聞こえますしね。

「『マイカタ』ちゃいます、『ヒラカタ』でっせ」。

その後に見た、ABCとNHKのニュースでもちゃんと略さずに、

「枚方簡易裁判所」

と読んでいました。

(2017、12、12)

2017年12月13日 10:43

新・ことば事情

6596「治具」

ツイッターで「乗り物ニュース」というのを見ていたら、

「地下鉄(東京メトロ)丸ノ内線の昔の赤い車両」

が映っていました。「懐かしいなあ、今はもうないのかな」と思いながら見ていたら、やはりこの車両は、今はもう引退してなんと、

「アルゼンチン」

に送られ、異国の地で働いていたと。南米・アルゼンチン!そんな話がアルゼンチン!?

しかしその車両が、この度アルゼンチンからから戻って来て、修理されて展示されているのだそうです。そうしたら、また丸ノ内線で走れるのか?というと、やはり今の地下鉄のシステムには合わないので、走るのは無理。でも、修理をしたり、実際の線路ではないところで研修用に走らせたりすることは、運転士を育てるのに大変勉強になるということで、「逆輸入」したのだそうです。その説明文(スーパー)の中に、

「しかし、治すための部品や治具がない」

と。この

「治具」

という言葉、見慣れない言葉ですが、大体、想像はつきますね。

「治具」≒「治療具」

つまり、

「修理のための道具」

ということでしょうね。何て読むんだろう?

「ちぐ」?「じぐ」?

あ、今「じぐ」で変換したら「冶具」と出て来た!

もしかして国語辞典に載っているの?『広辞苑』を引いたら・・・載っていました!

*「ジグ(jig)=【機】(「冶具」とも当てる)工作物を固定して切削工具を工作物に正しく当て、正確・迅速に加工するために用いる道具」

『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』にも載っていて、

「『冶具』は借字」

と。つまりjig」という英語に漢字を「当て字」しているんですね。

「倶楽部」

みたいなものだな。

でも、意味は何となく通じるのは、すごいなあ。この年齢になって初めて知った言葉でした。

あ、もしかして「ジグザグ」は、

「冶具座具」

とか「当て字」するんだとか?(笑)

(2017、12、12)

2017年12月12日 21:32

新・読書日記 2017_144

『阿久悠と松本隆』(中川右介、朝日新書:2017、11、30)

中川さんの最新作。早く読みたくて、本屋さんで見かけて即購入したら、その2日後に中川さんから送って来てくれました。ありがとうございます!

もうね、ほとんどの曲、歌えます。鼻歌で、ではなく「歌詞が出て来る」んですよね。70年代から80年代。まさに私たちの世代の「青春」を彩った曲たち。

それらが、70年代は阿久悠さんの作詞だったとは。そうだと知っている曲もあれば、「え!そうだったの?」という曲も。作詞家であり、プロデューサでもあった阿久さん。時代を読んで、時代を創った作詞家。

そして、私が少し大人になった80年代の聖子ちゃんの曲。松本さんの詞。オシャレな感じでしたね。当時は「ディンギー」の意味は分からなかったなあ。ヨットなんて、加山雄三さんが乗るものだと思ってたから。その数年後に、会社の「ヨット部」に入れられて(?)初めて中古の小さなヨットに乗って、ちょっと海の世界も知ったけど。これも懐かしく思い出される。

「世代交代」や「時代の流れ」が見えてくる。それらを「オリコンの売り上げ枚数」というデータで語っていく手法。時間の流れを表すものには「クロノス」と「カイノス」というのがあるが、これは「クロノス」のほうですね。それを読んで、読者個人個人の「カイノス」が紡がれているのだろうなあと思いました。


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(2017、11、21読了)

2017年12月12日 18:16

新・ことば事情

6595「ヘンリー王子か?ハリー王子か?」

11月27日の夜、イギリスの「ヘンリー王子(33)」が、交際していたアメリカの女優「メーガン・マークルさん(36)」と婚約したというニュースが飛び込んできました。

しかし、それを報じた「NHK」のテレビでは、

「ハリー王子」

と表記・発音していたので、

「え?『ヘンリー王子』じゃないの?」

とビックリしました。調べてみると(新聞は11月28日夕刊)、

*「ヘンリー」=日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ東京、読売新聞、

毎日新聞(共同通信)、産経新聞(共同通信)、日経新聞(共同通信)

*「ハリー」=朝日新聞、NHK

でした。(テレビ朝日系が未調査)

NHKは、かつては「ヘンリー王子」としていたが、2005年頃から「ハリー王子」が登場し、混在期間がしばらくあって、最近は、ほぼ「ハリー王子」になっているそうです。

どっちなのか?とネット検索してみると、

「公式には『ヘンリー』だが、愛称は『ハリー』」

と書いてあるものが多い。ウィキペディアの記述では、

「公式な称号および敬称はHis Royal Highness Prince Henry of Wales(ヘンリー・オブ・ウェールズ王子殿下)であるが、英語圏では通常公式の場・非公式の場を問わずPrince Harry(ハリー王子)という通称で呼ばれている。」

また、

「イギリス人の先生の前で『ヘンリー王子』と言いたら『ハリー王子だ』と注意された」などという記述もありました。

「『ハリー』は、『ハロルド』『ヘンリー』の愛称」

とも書かれています。でも「ハリー・ポッター」の「ハリー」は、「愛称」ではなく「正式名称」だそうです。もう、ようわからんわ。

また、「メーガン・マークルさん」の職業を「女優」とするか、「俳優」とするかでは

*「女優」=読売新聞、毎日新聞・産経新聞・日経新聞(以上、共同通信)

*「俳優」=朝日新聞

でした。毎日・産経・日経は「共同」の記事なので、自社の記者が記事を書いているのは読売(森太記者)と朝日(下司佳代子記者)だけでした。

(2017、11、28)

(追記)

各社にメールで尋ねてみたところ、

(TBS)ヘンリー王子

(フジテレビ)ヘンリー王子

(テレビ東京)ヘンリー王子

(共同通信社)ヘンリー王子

(NHK)ハリー王子

で、NHKに関しては、

「かつては『ヘンリー王子』としていたが、2005年頃から『ハリー王子』が登場し、混在期間がしばらくあって、最近はほぼ『ハリー王子』になっている」

とのことでしいた。

また、お相手の「メーガン・マークルさん」に関しては、なぜかTBSさんだけ、

「メガン」

と伸ばさないようです。そのTBSさんは、「ヘンリー王子」に関して、公式な称号である

His Royal Highness Prince Henry of Wales 」の「Henry 」から「ヘンリー」としているとのことでした。

(2017、12、12)

2017年12月12日 15:54

新・読書日記 2017_143

『宇宙兄弟32』(小山宙也、講談社:2017、11、22)

『コミック・モーニング』で連載中の漫画。これは5か月に1冊単行本が出る・・・と書いた「第31巻」が、もう5か月前か!ホントだあ。時がたつのは早いなあ。

主人公・六太の"思い人"でISS・宇宙ステーションに滞在して研究を続けていた「伊東せりかチャン」が地球へ帰還。そして月面活動を続ける六太たちも、太陽のフレアが強くなってきたために、地球への帰還の日程が決まった。それまでの数日で「シャロン望遠鏡」の設置作業を終えなくてはならない。

『スター・ウォーズ』のR2-D2みたいな、もう少しシャレのきいたロボットとの友情も。このあたりは漫画だなと思うけど、あと何年かしたら、実現するかもなあ、「AI」とかで・・・そう思いながら読んだ。


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(2017、11、28読了)

2017年12月11日 10:52

新・読書日記 2017_142

『大相撲新世紀2005-2011坪内祐三、PHP新書:2012、5、1)

大相撲を巡る状況が、また厳しくなっている。元横綱・日馬富士の暴行事件からまもなく1か月。まだ騒動は収まりそうもない。

大相撲関連の本は、何かないかな?と自宅の本棚を探していたら、この本が出て来ました。5年前に出て、購入したものの読みさしになっていました。

あらためて読む。著者は子どもの頃に相撲を見ていて、しばらく離れていたのだが、また「やみつき」になった。その「2005年」から「2011年」までの記録。

3分の1ぐらい(?)は、神保町の「浅野屋」という居酒屋で、飲みながらテレビで相撲を見ているという、その描写の相撲日記。「浅野屋」にとても行ってみたくなった、国技館よりも。でも「国技館の焼き鳥」は、冷めてもおいしいらしい。

そんな情報も楽しいが、やはり、当時起きた様々な不祥事についても、当時のリアルタイムの視点で詳しく書かれている。それを今、読むのは、タイムマシンに乗って当時に戻ったような感じで、今とはまた違う感じで眺めることができて、勉強になった。

著者は「付き人」ではなく「付け人」を使っているなあ。


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(2017、11、26読了)

2017年12月10日 12:50

新・読書日記 2017_141

『新聞記者』(望月衣塑子、角川新書:2017、10、10)

菅官房長官の会見で、官房長官に食らいつくような質問を続ける女性記者、と言えば「ああ、あの・・・」と分かる方も多いだろう。その女性が『東京新聞』の望月衣塑子(いそこ)記者だ。一体、どんな人なのか?なぜこれまでの官房長官会見ではあんな人がいなくて、突然出て来たのか?と興味を持っている人も多いと思う。この間は週刊誌でも取り上げられていたし。そんな彼女の「実像」が分かる一冊。タイムリーな出版ですね。

タイトルがシンプルに「新聞記者」というのが良いと思います。「私が官房長官に質問をするわけ」とかにしなくて良かったです。えらい!


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(2017、11、23読了)

2017年12月 9日 12:30

新・読書日記 2017_140

『現代用語の基礎知識2018』(自由国民社:2017、11、9)

ちょっと遅くなりましたが、先月9日に『現代用語の基礎知識2018』が発売されました!パチパチパチ!この手の現代語辞典、昔は『知恵蔵』とか『imidas(イミダス)』がありましたが、今や「紙」で発行されているものは『現代用語』のみです!

で、「2006年版」から「日本語事情」を執筆を初めて、2018年で13年目です。

今年は、たったの3ページではありますが、しっかり書きました。ぜひ読んでくださいね!

先日、「新語・流行語大賞」の発表がありましたが、あれは実は、この『現代用語の基礎知識』の販売促進イベントとして始まったものなんです。今年は、たまたまその日に東京で会議があり出張、しかも場所が会議の場所に近い帝国ホテル、ということで、発表準備中の皆さんに挨拶しようと、帝国ホテルに寄って来ました。たまたま編集部の皆さんがいらっしゃったので、全員に挨拶することができました。よかった!


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(2017、11、9発売日に読みました)

2017年12月 8日 18:29

新・ことば事情

6594「パーテーションか?パーティションか?」

部屋の「仕切り板」のことは、放送では、

「パーテーション」

でしょうか?それとも、

「パーティション」

でしょうか?

調べてみると、『NHKアクセント新辞典』には「パーティション」しか載っていません。(緑の表紙の旧「NHKアクセント辞典」には、この言葉は載っていません。)

『広辞苑』『新明解国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『明鏡国語辞典』には「パーティション」しか載っていません。

『デジタル大辞泉』は「空見出し」で「パーテーション」があり、「パーティションを見よ」となっています。

『現代国語例解辞典』(2016,11)小学館)は「見出し」は「パーティション」しかありませんが、その語釈の中に「パーテーション」も載せています。

また『三省堂国語辞典・第七版』(2014)は「パーティション」の語釈の中に「あやまって、パーテーション・パーテンション」と書かれています。

『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には、どちらも見出し語にはありませんでした。

グーグル検索では(11月29日)、

「パーテーション」=4030万件

「パーティション」=4000万件

と拮抗しており、「仕切り板の販売サイト」も「パーテーション」「パーティション」、両方あるようです

(2017.11、29)

2017年12月 8日 12:56

新・ことば事情

6593「『生(なま)しょうゆ』と『生(き)じょうゆ』」

12月5日放送のTBS『この差って何ですか?』という、川田裕美アナウンサーが出ている番組を見ていたら、

「生(なま)しょうゆ」と「生()じょうゆ」の違い

について放送していました。

それによると、「生(なま)しょうゆ」は平成10年(1998年)ぐらいから、広がり始めたもので、当時「生チョコ」「パスタ」「生キャラメル」など、

「『生』がブームだった」

ので、

「生(なま)しょうゆ」

と命名されたそうです。この「生(なま)しょうゆ」は、

「熱処理をしていない」

もので、どうやって菌を取り除くかと言うと、

「マイクロフィルターで菌を濾過」

しているのだそうです。そういえば、

「生ビール」

も、「熱処理をしていないビール」ですもんね。

一方の、古くからある「生(き)じょうゆ」は、「熱処理をしている」とのこと。

そうでしょう、そうでしょう。

そして、漢字で書くと「なま」も「き」も、どちらも、

「生」

なので「食品衛生法」(だったかな?)で、

「必ず振り仮名を付けること」

と定められているんだそうです。知らなかった!

そうすると、

「生(なま)そば」と「生(き)そば」の違い

は、何なんでしょうね?

あ、「生(生)しょうゆ」については、既に「平成ことば事情4475生しょうゆ」で書いていました。2011年10月です。その時点では「なま」と「き」の違いには気付いていませんでした。

「平成ことば事情5013」では「生そば」について書いています。

「平成ことば事情」で「生」について書かれたものは、

「平成ことば事情921生セラ」

「平成ことば事情1012生黒」

「平成ことば事情1989生ヨン様」

「平成ことば事情2161生歌と生検証」

「平成ことば事情2675生マグロ」

「平成ことば事情2875生原稿」

「平成ことば事情3919生ゲンカ」

「平成ことば事情3946生ライブ」

「平成ことば事情3974生着替え」

「平成ことば事情4024生解説」

「平成ことば事情4079生訪問・生配達・ナマ配達」

「平成ことば事情4200生ガモア」

「平成ことば事情4454生謝罪」

「平成ことば事情4856生歌2」

といったところです。最初の「生セラ」は「2004年7月」、「生ヨン様」は2004年11月。その頃から「『生』の氾濫は、始まっていたんですね。

(2017、12、6)

2017年12月 8日 10:53

新・ことば事情

6592「『ジャージー』か?『ジャージ』か?」

横綱・白鵬が「モンゴル人チーム」と英語で背中で書かれた「ジャージー」を着ていたことが問題(?)に。さて、この

「ジャージー」

という表記を見て、

「あれ?『ジャージ』じゃないの?」

と思った人も多いでしょう。そもそも「ジャージー」は、

「イギリスの地名」

なんです。そこで作られる特産品で「メリヤスのような編み目にしたやわらかな服地」を、

「ジャージー」

と呼んだんですね。「京都・西陣」で作られる織物を、

「西陣(織)」

と呼ぶようなものですね。

そして、その生地を使って作られた、

「サッカー・ラグビーなどのユニホームのシャツや、ジョギングなどに着る練習用運動着」

のことも、

「ジャージー」

と呼ぶようになったのです。

それとは別に、やはり「ジャージー地方」特産の牛に、

「ジャージー牛」

がいます。その「乳」が、

「ジャージー牛乳」

です。同じ場所です。

発音は、元々は「語尾を伸ばしていた」のですが、よく使われる「運動着」のほうが、後ろの「-」が省略されて、

「ジャージ」

と呼ばれるようになってきたのです。

一般的には「ジャージ」と「伸ばさないほう」が通りが良いですし、新聞やテレビでも「伸ばさない表現」が増えて来ています。でも「ミヤネ屋」では、表記はこれまで通り、後ろを伸ばして、

「ジャ-ジー」

です。当分の間は・・・。


(2017、12、07)

2017年12月 7日 20:37

新・ことば事情

6591「白鵬・鶴竜のアクセンント」

横綱「白鵬」「鶴竜」を読むときのアクセンントには、「2種類」あります。

*「白鵬」(1)「ハ/ク\ホー」(中高アクセント)

     (2)「ハ\クホー」(頭高アクセント)

*「鶴竜」(1)「カ/ク\リュー」(中高アクセント)

     (2)「カ\クリュー」(頭高アクセント)

私は、「白鵬」「鶴竜」ともに(1)「中高アクセント」を取ります。

今(12月4日)の日本テレビ『every.』の男性ナレーターも、

(1)「中高アクセント」

でした。

では、(2)「頭高アクセント」は間違いなのか?というと、そうとも言えません。

「2つのアクセント」が出現した理由は、おそらく、

「『ク』の母音が無声化」

することにあります。

「白鵬」「鶴竜」=「ハクホー」「カクリュー」の中に含まれる「ク」は、「母音の無声化」が起きます。

「母音の無声化」というのは、「K・S・H」などの子音に挟まれた「I(イ)・U(ウ)」の母音が、

「声帯を振るわせないで発音する音」

になることで、少し聞こえにくい音になります。

「関西弁」は、母音を大切に発音しますので、「母音の無声化」は起こりません。

そして「無声化した母音」にアクセントの山がある場合には、

「アクセントの山が、1つ前にずれる」

ということが起こります。

だから「ハクホー」「カクリュー」の「ク」にあったアクセントが1つ前の「ハ」「カ」に移動して、

「ハ\クホー」「カ\クリュー」

となるのです。、これは、母音の無声化が起こる「関東アクセント」でよく見られる動きです。

しかし最近は、

「無声化した母音に、アクセントの山が残ることもある」

ようになり、「アクセント辞典」でも、それは認められています。

こういったことから、2種類のアクセントが混在していると考えられるのです。

(2017、12、4)

2017年12月 7日 16:35