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『道浦TIME』

新・ことば事情

6116「『重用』はチョーヨーか?ジューヨ-か?」

皆さんは、

「重用」

という言葉はどう読みますか?

「チョーヨー」

でしょうか?それとも

「ジューヨー」

でしょうか?私は、

「チョーヨー」

と読みます。「ジューヨー」と読むと、

「重要」

と勘違いするかもしれませんしね。

ところが!辞書を引くと、

「ジューヨー」

のほうが「メイン」で載っているものが多いのです!!

「見出し」と「語義の説明」が載っているものを○、「見出し」が載っていないものは×、空見出しを△としました。

                  【ジューヨー】【チョーヨー】

『日本国語大辞典』(1989)          ○      ×

『広辞苑第4・5・6版』(199119982008 ○      △

『NHK日本語発音アクセント辞典』(1998)   ○      ×

『新潮現代国語辞典第2版』(2000      ○      ○

『集英社国語辞典第2版』(2000)       △     

『大辞林第3版』(2006)           △     

『岩波国語辞典第7版』(2009         ○

『明鏡国語辞典第2版』(2010)         ○      ○

『新選国語辞典第9版』(2011)        ○     

『新明解国語辞典第7版』(2012)         ○     

『三省堂国語辞典第7版』(2014)         ○     

『NHK日本語発音アクセント新辞典』(2016)   ○      △

<以下「電子辞書」>

『デジタル大辞泉』              ○      ○

『旺文社標準国語辞典』            ×     

『精選版日本国語大辞典』          ○      ○

こうやって見て来ると、昔は「ジューヨー」と読んでいたものが、最近は「チョーヨー」も認める様になってきているような感じもします。

今年入社して報道記者に配属された新入社員の女性に、

「『重用』は何と読む?ジューヨー?チョーヨー?」

と聞いてみると、

「『チョーヨー』としか読んだことがありません!」

と言っていました。

もしかしたら、「チョーヨー」と読むと、

「徴用」

と同音なので、間違われることを嫌って「ジューヨー」と読んだのかもしれません。「徴用」などあまり使わない言葉だと思う「戦争を知らない世代」は「チョーヨー」と読み、戦争の記憶の中の「徴用」が、生きた言葉として残っている世代は「ジューヨー」と読むのかもしれません。

これは、思いのほか「ジューユー」な問題なのではないでしょうか?

ちなみに、たまたま報道フロアで擦れ違ったアナウンサー4人に聞いてみたところ、

4人全員が、

「チョーヨー」

でした。「『ジューヨー』と読むと、間違ったみたい」(2年目・女性アナウンサー)という声もありました。

この問題、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんにぶつけてみたら、

「NHKでは1999年2月の用語決定で、それまで『ジューヨー』のみを認めていた『重用』の読みを『(1)ジューヨー(2)チョーヨー』としています」

と資料を送ってくれました。その資料(『放送研究と調査』1999年4月号)によると、

・「チョー=漢音」

・「ジュー=日本の慣用音」

とした上で、『NHK日本語発音アクセント辞典』に載っている「二字漢語」の「重○」の「重」の読みを分類して、

*「ジュー」=重圧、重刑、重厚、重婚、重罪、重刷、重視、重々、重傷、重症、重唱、重心、重臣、重水、重税、重貴、重奏、重曹、重層、重体、重代、重大、重鎮、重点、

重電、重度、重任、重罰、重版、重犯、重病、重文、銃砲、重宝(お家の~)、重油、重要、重用、重量、重力(以上39語)

*「チョー」=重畳(山岳~)、重宝(~がる)、重陽(菊の節句)(以上3語)

*両用=重複(1語)

と記しています。そして、アンケート調査(重複じゃないの?)によると(「ことばのゆれ調査」(全国)1404人:1998年)、

「この会社は若手を重用している」

という文章の読み方は、

(1)「ジューヨー」=751人(54%)

(2)「チョーヨー」=574人(41%)

で、また、

「信長は秀吉を重用した」

については、首都圏在住の元NHK番組モニター調査(86人:1991年8月28日~9月10日)で、

(1)「ジューヨー」=15人(17%)

(2)「チョーヨー」=69人(80%)

さらに、国語辞典90冊を対象にした調査では、

*「ジューヨー」の読みを掲載しているもの=76冊

(初出=『日本大事典 言泉』大倉書店:1917年)

*「チョーヨー」の読みを掲載しているもの=55冊

(初出=『広辞苑 第1刷』岩波書店:1955年)

そして、1999年2月の放送委員会での意見をまとめてあります。

「『重要』も『ジューヨー』と読む。『重要な』『重用する』と品詞が異なるので混同することはないが、『ジューヨー』と耳にしたときに、とまどうことはあり得る。そういったことを避けるために『重用』を『チョーヨー』と読んだ方がよい状況もあるだろう」

とのことです。また、塩田さんは、

「道浦さんがお引きになった『NHK日本語発音アクセント辞典』(1998)は、おそらく、初刷り(あるいはかなり初刷りに近い時期のもの)ではないかと思います。1999年2月の放送用語委員会で、それまでの『ジューヨー』に加えて『チョーヨー」も認めました。それ以降の刷りのアクセント辞典では、そのように示されているものと思います。(中略)アクセント辞典では、放送用語委員会の決定で『発音』や『表記』に変更が生じたときには、修正をおこないます。『発音』を議論する場合、厳密にやろうとする際には、(1998)という初版の発行年次だけではなく、何刷りなのかを考慮する必要があります。』

さすが塩田さん、ご指摘どおり、今回の上に書いた「1998年版」の「NHKアクセント辞典」は、「紙」の「初刷(第1刷)」を使いましたが、実は、先日買ったばかりの「電子辞書」に採用されていた「1998年版の"新しい刷り"」に相当するものも見ていて、「1998年版」の途中で「チョーヨー」も採用されていることは、認識していました。

しかし、「1998年版」の最初(初刷り)と、2016年版の「NHKアクセント"新"辞典」との違いを際立てるために、「刷り」の情報は、あえて省かせていただきました。ご了解を。

でもこれで、

「そもそも『ジューヨー』があって、後から『チョーヨー』という読みが加わって来た」

という流れは明らかになりましたね。そして国語辞典の「初出」も、

「ジューヨー」が「1917年」

「チューヨー」は『広辞苑』初版の「1955年」

まで待たなければいけなかったと。

でも、もうその「チョーヨー」の初出から60年以上たっていいます。「チョーヨー」のほうが主流だと思われるのですが、その辺りはどうなんでしょうかね?

あ、そうだ、「ジュー」か「チョー」かという話で言うと、『広辞苑』の編纂者として知られる、

「新村 出(しんむら・いずる)」

先生ですが、お名前の「出」は、新村先生のご実父・関口隆吉氏が、前任地の「山形」から「山口」に転任されて間もなくの誕生だったことから、「山口」と「山形」の「山」が重なる因縁によるものなのだそうです。そして新村先生の雅号は、

「重山(ちょうざん)」

と「チョー」です。これは、「出」の文字が「山」を「縦に2つ重ねている」ところから付けたそうです。

また、「重」の読み方の関連で言うと、文化庁の『言葉に関する問答集・総集編』の369ページに、

「『重複』は『チョウフク』か『ジュウフク』か』

という項目が載っています。それによると、明治19年(1886年)刊行の『和英語林集成』から、明治31年(1898年)刊行の『ことばの泉』までは、

「チョウフク」

を採用しているが、その項目に「ジュウフク」(旧仮名遣いは「ぢゆうふく」)の語形は載せておらず、見出しもないそうです。『ことばの泉・補遺』になって「ジュウフク」を見出しに掲げ、

<「ちょうふく」の誤読。>

としているのだそうです。

そして明治44年(1911年)に改定した『辞林』では「ジュウフク」を参照見出しとして<「ちょうふく」に同じ。>としているとのです。以後は、ほとんどの辞書が「チョウフク」を本項目にして、「ジュウフク」も参照見出しで載せる形で、昭和2年(1927年)観光の『日用語大辞典』では、両形を本項目としているということです。

そして、

「『重』は、漢音がチョウで、慣用音がジュウである。『重』を含む漢字二字から成る熟語では、どちらかと言えばジュウと読むものが多いようである。そして、これには、現代でも日常語としてしばしば使われている語が多い。『重圧・重囲・重視・重傷・重症・重職・重心・重税・重体・重大・重鎮・重砲・重役・重量』や、『重婚・重層・重殺・重箱・重犯・重訳』などである。チョウと読むものには『重畳・重陽』や『慎重・丁重』などがあるが、右の語(注・ジュウと読む語)に比べて日常語からは少し離れているようである。ジュウともチョウとも読むものには『重出・重臣・重祚(ソ)・重任・重用・重来』などがあるが、これらは、現代語としては、ジュウの方が優勢である。そして、『ジュウ』と『チョウ』とで、意味の区別があるとは言えない。以上のようなことから、チョウフクは、伝統的な言い方、ジュウフクは、比較的新しい言い方と言うことができるであろう。NHKではチョウフクを使っている。なお、『重宝』とか『自重』とかのように、チョウと読むかジュウと読むかで、意味を異にする語もある。例えば『重宝な品物・重宝がられる』と、『伝家の重宝』、『自重してください』と、『自重一トン』などのようである。」

とありました。ここにも「重用」が、

「ジュウともチョウとも読むもの」

として出て来て、

「現代語としては、ジュウの方が優勢である。」

と記されていました。これは『言葉に関する問答集・第8集』に収められてものなので、

「昭和57年(1982年)3月」

に出たものです。

「重複」の場合は「チョーフク」が伝統的で、

「重用」の場合は「ジューヨー」が伝統的

ということのようですね。

なお、復刻版の大槻文彦『言海』(ちくま学芸文庫)には、

「じふやう」も「ちゃうやう」も

載っていませんでした。

この『言海』は、「明治22年(1889年)5月15日」に刊行された『言海』(628刷!!!:昭和6年=1931年3月15日刊)を底本としているそうです。

(2016、7、27)

2016年7月27日 23:00 | コメント (0)

新・ことば事情

6115「前妻と元妻」

7月26日の「ミヤネ屋」で東京都知事選のニュースを取り上げました。その中で、舛添前・東京都知事の話が出て来て、以前、舛添氏の奥さんだった

「片山さつき参院議員」

が出て来ました。

その際に、最初、原稿もスーパーも、

「前妻」

と書かれていたので、

「あれ?片山さつきさんは、舛添さんの今の妻の"直前の妻"では、なかったのではないか?」

と思い、周囲に確認したところ、やはり「直前の妻」ではありませんでした。だとすると、「前妻」ではなくて、

「元妻」

なのではないかと思い、そのように修正しました。

しかし、よく考えると「前妻」の「前」は、必ずしも「直前の妻」を指すとは限りません。「以前」をひっくるめて言うと「元」になりますからね。

それと、辞書に載っているような言葉として、

「前妻(ぜんさい)」「先妻(せんさい)

はありますが、

「元妻(もとつま)

は、話し言葉ではあっても辞書には載っていません。「1語」ではなく、

「元・妻」

という「2語」になると思われます。

言葉と言うのは、難しいですねえ。

(2016、7、26)

2016年7月27日 21:39 | コメント (0)

新・ことば事情

6114「露の五郎参加問題」

新聞の見出しをチラッと見たら、

「露の五郎参加問題」

とあったので、

「お!懐かしいな、露の五郎!何の参加問題やろ?・・・というか、露の五郎は、何年か前に既に亡くなっているのでは?」

と思った瞬間に、読み間違いに気付きました。新聞には、

「露の五輪参加問題」

でした。そう、

「露=ロシア」

であり、

×「五郎」→○「五輪」

だったのです!ビックリ!!って、そりゃそうだろう、と納得したのでした。

(2016、7、27)

2016年7月27日 16:38 | コメント (0)

新・ことば事情

6113「海岸線に沈む夕日」

7月26日の「ミヤネ屋」で、フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが、神奈川・葉山海岸のおしゃれなカフェでデートをしていたというゴシップを、『週刊女性』8月9日号の記事を基に紹介することになりました。

事前のテロップなどをチェックしていたら、こんな一文が。

「海岸線に沈む夕日」

ちょっと待った!

「海岸線」に「夕日」は沈みますか?

普通は沈みません。夕日が沈むのは、海に面していれば、

「水平線」

ですし、地面がずーっと見えるところでしたら、

「地平線」

に沈むよね。「海岸線」って、まあ、簡単に言っちゃえば、

「波打ち際」

ですよね。そんな所に沈まれたら、暑くて熱くてかなわん!

あ、そうか、二人のデートの様子が「アツ」かったので、そう表現したかったのか?・・・・違うよね。単に間違えてるだけだよ。

原稿やテロップは、

「水平線に沈む夕日」

に直しました。

まあ、三陸海岸などの切り立った岸壁で、それを遠くから見た場合に「海岸線に沈む夕日」も、ないことはないけど「葉山マリーナ」では、あり得ませんね。

思わず、想像してしまいました。アッチッチ!

(で、結局、神奈川・相模原市の障害者施設で19人が殺害された事件を、時間を延長して放送したために、この話題は放送されませんでした。)

(2016、7、26)

2016年7月26日 19:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6112「大丈夫じゃね2」

平成ことば事情6083「大丈夫じゃね」の続編です。

今度は「2016読書日記110」で読んだ池井戸潤さんの『陸王』の中で、この「大丈夫じゃね」と同じ「じゃね」を見つけました。

主人公の足袋メーカー社長の息子で、就職面接に落ちまくっている「大地」君が2度、使っています。

*「なんとかなるんじゃね」(328ページ)

*「なんとなくいい感じじゃね?」(509ページ)

ということで、これは「役割語」の「博士言葉」ではなく、

「~じゃないの?」

という意味の「じゃね」です。アクセントも、

「ナ/ントカナルンジャネ」

「ナ/ントナク イ/イカンジジャネ」

という「全体に平板アクセント」だと思います。

今「若者言葉」として、「話し言葉の世界」から「書き言葉の世界」に侵入してきている言葉だと思います。

(2016、7、22)

2016年7月25日 19:41 | コメント (0)

新・ことば事情

6011「胆振支庁」

2010年(6年前です)の3月8日、旅行先の北海道で、「室蘭新報」(=写真)を読んでいたら、

「胆振支庁→胆振地方」

という見出しが。


kotoba6011.jpg

この(2010年)4月1日から、

「支庁」

という呼称が廃止され、

「地方」

になるとの記事でした。

これによって札幌管区気象台は、天気予報などの「地域名」を、

「胆振支庁」

から、

「胆振地方」

に変更するそうです。関西にいるとまあめったに耳にすることのない「支庁」ですが、北海道の人にとっては大きな変更なのでしょうね。

ちなみに「支庁」という地名区分がある地方は、調べてみると・・・・最初に出てきたのが、「北海道」のサイトで、こんな説明が。

『道の組織は、本庁と出先機関に分けられます。 地方自治法第155条第1項に基づき、道では、支庁を北海道支庁設置条例により位置付けており、支庁道税事務所や耕地出張所などの地方機関を置いているほか、保健福祉事務所、土木現業所などの出先機関を所管し、地域における総合行政を進めています。北海道で初めて『支庁』という名称が使われたのは明治5年、また、現在と同じ14の支庁体制がほぼ形づくられたのは明治43年で、これらは、いずれも国の機関による『開拓』とともに歩んできました。

  戦後、地方自治法の制定により、支庁は、都道府県の条例によって任意に設置される総合出先機関と位置づけられました。 これにより、道では、昭和23年に『北海道支庁設置条例』を制定しています。」

北海道には、

「石狩支庁、渡島(おしま)支庁、檜山支庁、後志支庁、空知支庁、上川支庁、留萌支庁、宗谷支庁、網走支庁、胆振支庁、日高支庁、十勝支庁、釧路支庁、根室支庁」

「14の支庁」があるようです。それぞれに属する「市」は、

*石狩支庁=札幌市 江別市 千歳市 恵庭市 北広島市 石狩市、当別町、新篠津村

*渡島(おしま)支庁=函館市 北斗市、松前町、福島町、知内町、木古内町、七飯町、鹿部町、森町、八雲町、長万部町

*檜山支庁=江差町、上ノ国町、厚沢部町、乙部町、奥尻町、今金町、せたな町

*後志支庁=小樽市、島牧村、寿都町、黒松内町、蘭越町、ニセコ町、真狩村、留寿都村、喜茂別町、京極町、倶知安町、共和町、岩内町、泊村、神恵内村、積丹町、古平町、仁木町、余市町、赤井川村

*空知支庁=夕張市 岩見沢市 美唄市 芦別市 赤平市 三笠市 滝川市 砂川市 歌志内市 深川市、南幌町、奈井江町、上砂川町、由仁町、長沼町、栗山町、月形町、浦臼町、新十津川町、妹背牛町、秩父別町、雨竜町、北竜町、沼田町、幌加内町

*上川支庁=旭川市 士別市 名寄市 富良野市

*留萌支庁=留萌市、増毛町、小平町、苫前町、羽幌町、初山別村、遠別町、天塩町、幌延町

*宗谷支庁=稚内市、猿払村、浜頓別町、中頓別町、枝幸町、豊富町、礼文町、利尻町、利尻富士町

*網走支庁=北見市 網走市 紋別市、美幌町、津別町、斜里町、清里町、小清水町、訓子府町、置戸町、佐呂間町、遠軽町、湧別町、滝上町、興部町、西興部村、雄武町、大空町

*胆振支庁=室蘭市 苫小牧市 登別市 伊達市、豊浦町、壮瞥町、白老町、厚真町、洞爺湖町、安平町、むかわ町

*日高支庁=日高町、平取町、新冠町、浦河町、様似町、えりも町、新ひだか町

*十勝支庁=帯広市、音更町、士幌町、上士幌町、鹿追町、新得町、清水町、芽室町、中札内村、更別村、大樹町、広尾町、幕別町、池田町、豊頃町、本別町、足寄町、陸別町、浦幌町

*釧路支庁=釧路市、釧路町、厚岸町、浜中町、標茶町、弟子屈町、鶴居村、白糠町

*根室支庁=根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町

「ウィキペディア」には、

『北海道の支庁は、それぞれが他の地方の「県」に相当する面積を持ち、気候に影響を及ぼす山地、山脈などが境界線となっている場合が多いことから、天気予報の地域区分でも支庁名が使われている』

とありました。

・・・・・と書きかけたまま、6年が経ちました。

2016年6月16日、その「胆振地方」を震源とする「震度6弱」の地震が起きました。非常に狭い範囲の強い地震だったようですが、「ミヤネ屋」でも速報でお伝えしました。その際に「胆振」は、北海道以外の人には読むのは難しいだろうなと思って、

「いぶり」

とルビを振りました。

(2016、7、25)

2016年7月25日 11:58

新・読書日記 2016_114

『ミサイル防衛~日本は脅威にどう立ち向かうのか』(能勢伸之、新潮新書:2007、2、20)

もう9年前に出た本。当時買って、読もう読もうと思っていたのに、今になりました。一応その間、北朝鮮のミサイルが発射されることは、つい数日前もありましたが、日本に致命的な影響を与えるようなことは、ありませんでした。この10年程の間に、日本のミサイル防衛体制もかなり整って来たのではないかと思う。「Xバンド」の配備や「PAC3」等の実戦配備なども何度かあって、「ミサイル防衛」ということへの危機感や現実感が広がった。これは「防衛」という面では良いことだけど、「衝突の危険性が高まった」という側面からは、まさに一触即発の危険性が高まっているともいえる。

しかし、敵(相手)がどのような武器を持っているのか、そういった情報や知識を学ぶことは必要だと思う。たとえば「弾道ミサイル」ってよく聞くけど、どういう物を言うの?と聞かれて、即座に「それはね」と解説できる人が、どのくらいいるのか。いないでしょ。そういうことを知る、いい機会になると思う。

著者は、何とフジテレビの報道の人。今も解説委員としていらっしゃるようだが、勉強させていただきました。


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(2016、7、20読了)

2016年7月25日 12:45 | コメント (0)

新・読書日記 2016_113

『トランプがローリングストーンズでやってきた~言霊USA2016』(町山智浩、文藝春秋:2016、5、25)

いやあ、ついにトランプ氏がアメリカ大統領選挙の共和党候補に正式に指名されて、受諾してしまいましたね!

本書はこの1年、「週刊文春」に連載された町山さんのUSAに関するコラムをまとめたもの。5月に出ていたんだ、気付かなかった。毎週、読んでいて、毎回単行本も購入して読んでる愛読者。でも時々、(「文春」の)真ん中あたりのページにあるこのコラムを見つけられずに、見逃がしてしまうこともあるので、全部読んだとは言えず、単行本で初めて読むものも、1つか2つあった。しかし、要はこの1年のアメリカをまとめると「トランプ現象」に行きつくのでしょう。それがこの「言霊USA2016」を一言でまとめたタイトル。最初「ローリングストーンズでやって来た」という意味が解らなかったが、各地の演説でのBGMが「ローリングストーンズ」だってこと、。なるほど。今回の共和党・大統領候補指名大会での登場のBGMは「クイーン」だったが、その「クイーン」から「勝手に俺らの曲を使うな!」と抗議されて「使用料は払っている!」と反論。相変わらず、トランプらしい。

そのトランプ氏が司会をしていたリアリティー番組『ジ・アプレンティス』の後任司会者、誰だと思います?

なんとあの、「シュワルツェネッガー」なのです!

挿し絵の澤井健画伯が、シュワルツェネッガーーになぜか「関西弁」でこう言わせています。

「これはアレやね、むかし『大統領を目指した男』と、これから『大統領を目指す男』が入れ替わったってことやね。」

こういう、普通日本にいてはわからないような情報と「空気」を、わかりやすく伝えてくれるので、このコラムは好きです。


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(2016、7、18読了)

2016年7月24日 18:44 | コメント (0)

新・読書日記 2016_112

『感情的にならない話し方』(和田秀樹、新講社:2016、5、27)

ベストセラーの第2弾。

うーん、読んだけどね。読みやすいけどね。これ読んでも、毎日のように感情的になってますよ。さっきも郵便局で・・・。読んだから、そのとおりできるわけではないのです。本は「クスリ」ではありません。そういうことが分かる一冊、とでも申しましょうか。

これが売れるってことは、「感情的にならない話し方を、したいなと思う人」が多いってことでしょ。ということは、実は「感情的な話し方を、つい、してしまう人」が多いということじゃないですか。でも読んでも、治らないんだよ。その、確認。


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(2016、7、17読了)

2016年7月24日 12:43 | コメント (0)

新・読書日記 2016_111

『熱狂する「神の国」アメリカ~大統領とキリスト教』(松本佐保、文春新書:2016、6、20)

この間読んだ『中傷と陰謀~アメリカ大統領選狂騒曲』(有馬哲夫、新潮新書:2004、10、20=2016読書日記092)とも重なる部分もあるので、内容的にはわかりやすかった。大統領選挙だけでなく、その「ベース」にある「アメリカのキリスト教」についての理解が深まる一冊。アメリカには、一口に「キリスト教」と言ってもいろんな種類があって、中には憎み合っている宗派もあると。そして有権者がどの宗派の信者が多いか、大統領候補はどうか、それによって、どういった戦略を取るのか?といったことが記されている。

そもそもヨーロッパのキリスト教の専門家ではあっても、アメリカのキリスト教の専門家ではなかった著者。ヨーロッパ、特に英国においては、キリスト教信者と言ってもそんなに敬虔ではないのに(「カトリック」から離れるために=離婚するために、国王が「英国国教会」を作ったのだから)、アメリカ国民の多くは毎週日曜日に教会に通ったり、ご飯の前にお祈りをしたりする。それを不思議に感じた著者は、アメリカのキリスト教と大統領選挙を結び付けて書いた。

最初のほうに、歴代アメリカ大統領と2016年大統領選の候補者たち(※)の「宗派」が書かれている。

*米国聖公会(エピスコパリアン)

・フランクリン・ルーズベルト(第32代・民主)

・フォード(第38代・共和)

・ブッシュ・ジュニア(第41代・共和)

*長老派(プレスビテリアン)

・アイゼンハワー(第34代・共和)

・トランプ(共和)※

*バプティスト(洗礼派)

・トルーマン(第33代・民主)

・カーター(第39代・民主)

・クリントン(第42代・民主)

・クルーズ(共和)※

・ハッカビー(共和)※

*メソジスト

・ブッシュ・ジュニア(第43代・共和・合同メソジスト)

・ヒラリー・クリントン(民主・メソジスト)※

*ディサイプルス

・ジョンソン(第36代・民主)

*クエーカー

・ニクソン(第37代・共和)

*キリスト連合協会

オバマ(第44代・民主)

*カトリック

・ケネディ(第35代・民主)

・ジェブ・ブッシュ(共和)※

・サントラム(共和)※

・ルビオ(共和)※

だそうです。複雑なんですねえ。ブッシュ・ジュニアとヒラリー・クリントンは、同じ宗派なんだ!トランプはアイゼンハワーと同じ宗派なのか!ブッシュ家は、父親と息子2人で、3人とも宗派が違うんですね!

民主も共和も、宗派で別れるわけではなく、同じ宗派の中にも民主支持の場合も、共和支持のものあるんですね。うーん、ややこしい。でも、勉強になりました。

あれ、ちょっと待てよ、民主党でヒラリーと最後まで候補を争ったサンダースは?社会主義だから無宗教?


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(2016、7、16読了)

2016年7月23日 12:42 | コメント (0)

新・読書日記 2016_110

『陸王』(池井戸潤、集英社:2016、7、10)

このタイトルだけでは「一体、何の小説?」と思うでしょ。私は思いました。

本屋さんで池井戸潤の新しい小説だというので手に取って、立ち読みしていたら、なんと、「足袋のメーカーが、新規事業としてランニングシューズを作る話」

というではないですか!あ、そういえばこの前の用語懇談会で、TBSの委員の方から、

「足袋は『穿く』か?『履く』か?」

という議題が出ていた。これだとその答えが出て来るかも!と思って即購入。あんまりそういう理由で買う人はいないかも。(そういえば池井戸潤原作の『下町ロケット』『半沢直樹』シリーズは、TBSでドラマ化されているな)その答えは何と最初のほう、第1章の1ページ目(11ページ)に出て来ました。

「行田は足袋の町だった。日本人にとって足袋が日常の履き物であった頃」

少なくとも池井戸潤は「足袋」は「履き物」という認識であることが、わかっちゃいました!埼玉の行田が、そういう町だったとは知りませんでした。これも勉強になった。

そのほか「トンボ」の別名が「勝ち虫」と言うとか(54ページ)、「かねて御社に」と、「かねてから」「かねてより」は重複なので使わずに、正しく「かねて」を使っているとか(73ページ)、でも比較的新しい言葉「真逆」を使っている(79ページ・330ページ)とか、「ソールはシューズのキモです」と、これも新しい使用法の「キモ」を使っているとか(106ページ)、「結果を出していけば、富島さんもわかってくれるんじゃないですか」と「結果を出す」を使っているとか(128ページ)、5月末に18年ぶりに出た「NHKアクセント新辞典」で採用された、「ジャージ」という語尾を伸ばさない表現(これまでは「ジャージー」)を「ジャージを羽織って」と使っている(251ページ・338ページ)とか、同じく「NHKアクセント新辞典」で採用された語尾が伸びる「パーカー」(これまでは「パーカ」)を「パーカー付きジャケットを着た、白髪交じりの男だった」(264ページ)など、表記上も表現上も"注目のポイント"満載!

また『陸王』というタイトルは、池井戸の過去の作品『民王』(たみおう)にも通じるし、何より池井戸さんの母校・慶應義塾大学の第一応援歌『若き血』の中に、

「陸の王者・慶應」

という歌詞も出て来るから、そこから取ったのかな?と思ってツイッターに書いたら、なんと池井戸事務所から、

「足袋メーカーの商品名を調べたところ、『○王』というネーミングが多かったので、名付けたのです」

という返事が!そうだったんですか!ご教示、ありがとうございました!!


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(2016、7、11読了)

2016年7月22日 21:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6110「無修正か?無修整か?」

夜の8時過ぎに報道のデスク周りで辞書を引いてウロウロしていたら、Sデスクから、

「いいところに、いらっしゃいました、実は・・・」

と質問を受けました。

「摘発・押収された無修正のDVDと言う場合の『無修正』、警察発表では『正』で書いてくるんですけど、モザイクを掛けたりしていないのは『無修整』ではないでしょうか?どちらが正しいんですか?」

「うーん、それはつまり『違法かどうか』ということだよね。見えちゃいけない所にモザイクをかけるというのは、『適法な範囲に収めるため』なんだから、『法的に正しく』するための『修正』をしているんだな。それがかっていないのは『違法』『適法ではない』、つまり『修正されていない』んだから、ここは『無・修正』の意味で『正』を使うのが正しいのではないかな。」

「なるほど!」

「だから、『修整はしているが「無修正」のDVD』というのも存在するんじゃないの?モザイクのかけ方が薄かったりで、『適法な範囲にない場合』は『無修正DVD』になるんじゃないのかな?」

「そうか、わかりました!」

Sデスクは、とってもすっきりした顔で、そう言ったのでした。

なお、この会話は「無修整」ではなく、多少の「修整・修正」がかけられていることを、お断りしておきます。

(2016、7、20)

2016年7月22日 17:46 | コメント (0)

新・ことば事情

6109「模試のアクセント2」

平成ことば事情6102「模試のアクセント」の続きです。スクラップを探していたら、昔の資料が出て来ました。もう20年近く前ですが、「1997年11月19日」の「ことば会議室」という「掲示板」での議論をプリントアウトしたものです。

そこでは、増田健一郎さんという名古屋出身の方が「摸試」のアクセントについて、

「自分は『ポ\チ』と同じように『頭高アクセント』で『モ\シ』と言っているが、東京の人は『虫(ム/シ)』と同じような『平板アクセント』で『モ/シ』と言っているようだが、関東・関西で違うのか?」

という疑問を提示しています。それに対する意見は、

「関東と関西の違いだと思う。埼玉県出身の37歳だが『ポ\チ』と同じ『モ\シ』だった。『平板アクセント』の『モ/シ』となるのは最近の傾向。『ア/ムラー』『シ/ノラー』なども『平板アクセント』。」

というsatopyさんのご意見。「アムラー」「シノラー」が、時代を感じさせますなあ。

そして、

「『平板アクセント』の『モ/シ』は新しい形ではないか。『サ/ーファー』『カ/レシ』なども『平板化』しており、最近、妙なアクセント(平板アクセント)の『カ/ナリ』も気になって仕方がない」

というのはTerryさん。

これに対して、この「ことば会議室」主宰の岡島昭浩先生(当時・福井大学、現在・大阪大学)が、

「これは『専門家アクセント』の一種だろう。元々『頭高アクセント』だった『電車(デ\ンシャ)』『映画(エ\ーガ)』が『デ/ンシャ』『エ/ーガ』などと『平板アクセント化』したのと同じで、最近では『日本史(ニ/ホン\シ)』も『ニ/ホンシ』という平板化が進んでいる。『摸試(モ/シ)』も、その一種だろう」

そして、小矢野哲夫先生(当時・大阪外国語大学)からは、

「今日、学生に聞いてみました。結果は、

『モ\シ』(頭高アクセント)= 6人

『モ/シ』(平板アクセント)=17人

やっぱり『専門家アクセント』の傾向は、ありそう。ちなみに、僕(48歳、鳥取・倉吉市出身)は、『頭高アクセント』の『モ\シ』で発音する。最近気になる『平板アクセント』には『カ/ナリ』がある。『非情に』の意味で使っているようだ」

ということで、この手の「平板アクセント」は、「カ/ナリ」前から使われているようですね。

ちなみに、報道フロアですれ違ったうちのアナウンサー4人に聞いてみたところ、

*「50代男性アナ・2人」=「モ\シ」

*「20第女性アナ・2人」=「モ/シ」

と真っ二つに割れました。


(2016、7、20)

2016年7月22日 11:41 | コメント (0)

新・ことば事情

6108「通知簿か?通知表か?」

報道のMKデスクが、お昼のニュースの前に質問に来ました。

「道浦さん、小学校の終業式で渡すのは『通知簿』でしょうか?それとも『通知表』でしょうか?学校側から送って来たFAXでは、『通知表』を使っているようなんですが・・・。」

「ああ、それねえ。今、大阪の小学校では『あゆみ』って名前になってるみたいだけど。うちの子ども達なんかは『通知表』とも『通知簿』とも言わずに『あゆみ』って言ってたけどなあ」

と言うと、奈良在住のK部長も、

「奈良でも『あゆみ』です」

また、スポーツ担当のHチーププロデューサーも

「兵庫県も『あゆみ』です」

でも「あゆみ」じゃあ、「人の名前」みたいだしなあ。「平成ことば事情4431」でも「あゆみ」について書いたけど。もう5年前だけど。

辞書で「通知表」「通知簿」を引くと、なんと「空見出し」で、

「『通信簿』を見よ」

となっています。『精選版日本国語大辞典』では「1926年」の用例が載っていました。そこから考えると、当初(昔)は、

「通信簿」

だったものが、いつの頃からか「簿」だけはそのままで、

「通知簿」

になり、更に「簿」というのも大げさなので(?)「表」となって、

「通知表」

になっているのではないか?と推測されます。そのようにMKデスクに伝えたところ、お昼のニュースでは、

「通知表」

で放送していました。ただ、「1学期の終業式」を取材した大阪市の「本田(ほんでん)小学校」で子ども達に手渡されていた「通知表」の表紙には、

「通知票」

と記されていました。読みは「つうちひょう」なので「通知表」と同じですが、「ひょう」の漢字が「表」ではなく、

「票」

だったのです!ややこしい!

その後に見たABC(朝日放送)のお昼のニュースでも、

「つうちひょう」

と女性アナウンサーは読んでいたのですが、「字幕スーパー」は出なかったので「通知表」か「通知票」かは、わからなかったのですが、その取材をしていた大阪市内の別の小学校で、先生が子ども達に手渡していた「つうちひょう」の表紙には、「あゆみ」でも「通知表」でもなく、

「学校の生活の記録」

と記されていました。硬い表現!

その後報道フロアですれ違った、うちのアナウンサー4人に聞いてみたところ、

「通信簿」(50代男性アナウンサー・福岡出身)

「小学生のときは『通信簿』。中学では『通知表』でした。小学生の時に『ツ/ーシンボ』と言うのが『ツ/クシンボ』『ク/イシンボ』『ア/マエンボ』と同じ仲間だと思っていて、何で学校で使う言葉なのに、こんなにカワイイ言葉なんだろうと思った記憶が。ちなみにアクセントは『家計簿』『出席簿』も『平板アクセント』で『カ/ケイボ』『シュ/ッセキボ』です。これは静岡(焼津)の方言アクセントですかね?」(50代男性アナウンサー、静岡・焼津出身)

「『通知表』。『あゆみ』とも言っていましたが、その後『かがやき』か何かの名前に変わりました。」(20代新人女性アナウンサー・神奈川・横浜出身)

「『通知表』ですが、祖父母は『通信簿』と言っていました」(20代2年目女性アナウンサー、岡山出身)

という回答でした。

(追記)

「ミヤネ屋」のADの若者たち(1986年から1992年生まれ)11人(複数回答)で聞いてみたところ、

(1)通知表=5人(大阪3、香川2:1987~1992年)

(2)通知簿=0人

(3)通信簿=0人

(4)あゆみ=7人(鹿児島2、兵庫1、岐阜1、大阪1、東京1、奈良1:1986~1992年)

という結果でした。(1人、小学校の途中で大阪から鹿児島に引っ越した人がいて、その人は大阪で「通知表」、鹿児島で「あゆみ」という結果にで、ダブルカウント。)

「あゆみ」の広がりは、関西にとどまらないようですね。

(2016、7、21)



(2016、7、20)

2016年7月21日 21:39 | コメント (0)

新・ことば事情

6107「勾留・禁錮・毀損」


放送で使う「用語の表記」も変わることがあります。

前回、大きく変わったのは「2010年11月」です。

放送で使う「漢字表記」は、「常用漢字表」の中に載っているものを使うのが原則なのですが、それまでの1981年に制定された「常用漢字表」が、29年ぶりに改定されたのです。それによって大きく変わったのが、

「禁錮」「勾留」「毀損」

です。それまでは「錮」「勾」「毀」が「表外字」=「常用漢字表に載っていない漢字」だったので、「禁錮」「毀損」は、同じ読みの「固」「棄」を使って

「禁固」「棄損」

そして「勾留」は、似たような意味の別の言葉、

「拘置」

を使っていたのです。それが法務省からの要請もあり「常用漢字」に入ったので、本来の表記である、

「禁錮」「勾留」「禁錮」

を使うことになりました。ちなみに「勾留」と同じ読み方で、別の漢字を使う、

「拘留」

は、意味も別で、

「30日未満の自由刑」

を意味するので、間違って「拘留」と書かないように。

なお、「勾留」の意味は、

「逮捕後、判決が確定するまでの間、容疑者や被告の身柄を拘禁すること」

です。

(2016、7、20)

2016年7月21日 18:03 | コメント (0)

新・ことば事情

6106「臨海公園と海浜公園」

7月19日の「ミヤネ屋」で、東京都知事選の有力候補の3連休中の様子を取り上げました。その中で、増田寛也氏の遊説先に、

「葛西臨海公園」

がありました。前日の「NEWS ZERO」では、

「葛西海浜公園」

と表現していたそうですが、前日の「ミヤネ屋」では、たしか、

「葛西臨海公園」

と表記したはずです。調べてみると、

「『陸地につながっている側』が『臨海公園』」

で、

「そこから橋でつながった『海の中の埋め立て地』が『海浜公園』」

という、名前が違う"別の場所"であることがわかりました。まあ、"別の場所"と言っても"ほぼ同じ所にある"のですが。「海に臨む(臨海)公園」は「海の前」にあって、「海の浜(海浜)の公園」は「海の中」にあるのですね。

増田氏の公式サイトの遊説先は、

「葛西臨海公園」

となっていたので、この日の放送では「臨海公園」で放送しました。

(2016、7、19)

2016年7月21日 10:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6105「首脳会談」

7月19日の「ミヤネ屋」で、モンゴルで行われた「ASEM」での「安倍首相」と「李克強首相」の、

「日中首脳会談」

の様子を伝えました。この、

「首脳会談」

という表現に違和感がありました。というのも、「首脳会談」というのは、本来、

「トップ会談」

だと思うのです。『精選版日本国語大辞典』では、

*「首脳会談」=「組織や集団の最高責任者が集まって開く会議」

とあります。

「首相同士」という意味では「カウンターパート」であり「対等」であり、「安倍首相」は、

「日本のトップ(最高責任者)」

ですが、「李克強首相」は、中国の「トップ」ではありません。トップは、

「習近平国家主席」

です。その意味では、

「『首脳会談』とは言えないのではないか?」

と思ったのです。しかし調べてみると、過去の「安倍×李克強」会談を、

「外務省HPで『日中首脳会談』」

としていました。つまり「広義」では「首脳会談」と言えるのかもしれません。「狭義」では、言えないと思うのですけど。

また、中国側から言えば、「習近平国家主席」は「国家元首」なので、

「日本のカウンターパートは『天皇陛下』」

と思っていて、

「『天皇陛下×習近平国家主席』でないと、『首脳会談』と言わない」

と思っているかもしれませんが・・・。そこは「国政のトップ同士」ということで、

「安倍首相×習近平国家主席」

狭義の「首脳会談」だと思います。

(2016、7、19)

2016年7月20日 20:37 | コメント (0)

新・ことば事情

6104「最大都市」

先週土曜日(7月16日)、トルコで突然「クーデター未遂事件」が起こり、290人が亡くなりました。(7月19日付の日経新聞夕刊によると、トルコのユルドゥルム首相は死者数を「232人」と修正したそうです。)

まあ、「クーデター」は「突然」起こるに決まっているんで、予行演習もないし、そんなのやってたら「クーデター」にならないんですが、突然だけにビックリしますし、コワイです。日本で言うと、差し詰め「2・26事件」でしょうか。

さて、このクーデターが起きたトルコの都市は「首都・アンカラ」、それに、

「最大都市・イスタンブール」

でした。この、

「最大都市」

という言い方、日本においては、あまり使いません。なぜなら「日本の首都=東京」は、

「首都=最大都市」

だからです。しかし世界の国においては、必ずしも「首都=最大都市」であるとは限りません。トルコもそうですし、「アメリカ」だって最大都市と言えば「ニューヨーク」でしょうけど、首都は「ワシントン」だし、今度オリンピックが開かれる「ブラジル」も、最大都市は五輪が開かれる「リオデジャネイロ」で、首都は「ブラジリア」ですよね。「ミャンマー」も、昔「ビルマ」の時代の首都が「ラングーン」で、その後名前が「ヤンゴン」に変わり、さらにその後、首都が、

「ネビドー」

に移転したけど、やはり最大都市は「ヤンゴン」でしょうし。(違ったらごめんなさい)

そのほか、昔の「西ドイツ」も、最大都市は「ベルリン」でしたが、首都は「ボン」でした。昔・・・といっても江戸時代ですが、その時代の日本も、最大都市は「江戸」で、首都は「京都」でしたからね。結構あるんですね。

この「最大都市」に注目していたら、今度はきのう(7月18日)「カザフスタン」で「テロ」事件が。そのニュースでも、

「最大都市・アルマトイ」

と出て来ました。あれ?「アルマトイ」は「首都」じゃなかったのか?調べて見ると、

「首都=アスタナ」

でした。知らんなあ。このテロのニュースをNHKのツイッターニュースで知った後、毎日新聞のツイッターニュースでは、

「カザフスタン首都でテロ事件」

という見出しが。あれ?っと思って本文を読むと、ちゃんと、

「最大都市・アルマトイで」

と書いてある。記事を書いた人と、見出しを付けた人が別の人で、見出しを付けた人が間違ったんだね。ツイッターなので そのことを指摘してあげたら、こっそり直していたようです。

【訂正】

ブラジルの「最大都市」は「リオデジャネイロ」ではなく「サンパウロ」でした。

「リオデジャネイロ」は「第二の都市」した。失礼しました。

(2016、8、8)


(2016、7、19)

2016年7月20日 16:35 | コメント (0)

新・ことば事情

6103「『付き出し』か?『お通しか』?」

2015年5月の関西地区用語懇談会で、

「その居酒屋ではまず、季節の食材を使った【付き出し】が出てくる。」

の「付き出し」という表現を、直すか直さないか、アンケートを取りました。その結果は、

×直す=9社     ○直さない=11社

でした。実はこの設問は、

「『突き出し』か?『付き出し』か?」

という「表記」を問うものだったのですが、多くの社(特に放送局)が、

「『付き出し』か?『お通し』か?」

という表現の問題と勘違いしてしまったようです。私もその一人です。各社の意見は以下の通りです。

直す

【毎日】×...「突き出し」の語源として、お客に「突き出すから」という説もある。「付」にすることで意味が通る言葉になるわけでもない/注文しなくても、酒に「付」いて「出」されるからか、居酒屋などの品書きやレシートを見ても「付き出し」と間違って印刷されているケースがほとんど。毎日新聞用語集の「間違えやすい漢字」の項で取り上げ、注意を喚起している。用語集で「突き出し」になっているので直す。

【読売新聞】×...(直す6、直さない5)

・「突き出し」が正しい。そもそもは、料理に付いて出てくるものではなく、料理の前に出てくるもので、「付く」はおかしい

 ・「お通し」の関西方言との説もあり、使用してもいいのではないか

【日経新聞】×...「突き出し」とする。辞書にならって対応

【産経新聞】×...用語集どおり「突き出し」に。世間ではかなり浸透しているようだが

【共同通信】×...辞書は「突き出し」。相撲などで使う「付け出し」と混同したのだと思うが、「付き出し」じゃ語の組み合わせが変。でも居酒屋などで実際に見かける気もする。直さないという意見もあった。なぜ「突き出し」か、少し興味はあるが、新聞であまり使いそうにない語。過去3年で使用例は見当たらない。手直し例として出たのは「突き出し」「お通し」「先付け」など。一人を除いて全員「突き出し」に直すと。

【時事通信】×...お通し

【TVO】×...お通し。コース料理では「先付け」というのもあるのでは?

【愛媛新聞】×...突き出し 

直さない

【ABC】○  聞いてわかるので「付き出し」が良い。

 1・直さない...一般に"聞いてわかる"ので。表記の文字は突き出しではあるが...

2・直さない...「先付け」と呼ばねばならぬほど肩の張らないお店の"アミューズグル"は「お通し」と並んで「付き出し」も使っているようです。アナウンサーの場合は「お通し」が上品か?

【MBS】○...充分通用しているし誤解を招かないから。辞書などで「突」が正しくとも、「付」とする。または取材先の店のメニューの表記に従う。「お通し」「つき出し」のケースもあるだろう。

【神戸新聞】○...原稿にほぼ出てきたことのない言葉。そのまま使って誤解を生むとも考えられず、問題ないと考えます  【山陽】○...記述なし 【中国】○...記述なし

【徳島新聞】○...「お通し」とした方がよいかも知れない 

【高知】○...ふつう使うと思われる

【サンスポ】○...記述なし

【スポニチ】○...記述なし

【日刊スポーツ】○...記述なし

【YTV】△...「付き出し」は関西弁、「お通し」は関東弁。「その居酒屋」が「どこの居酒屋か」によってかわる

【朝日新聞】△...市民権を得ているから直さない、との意見がある一方、(直すとすれば)つき出し、突き出し、前菜、お通し

ということだったのですが、この中のYTVの私の発言、

「『付き出し』は関西弁、『お通し』は関東弁」

を裏付けるデータがありました。NHK放送文化研究所の2014年「ことばのゆれ調査」によると、「つきだし」と言う人の割合は「全国平均」では「37%」で、「おとおし」という人が「55%」と、全体としては「おとおし」派が多いのですが、「つきだし」と言う人の割合を地域別に見てみると、

「関東」=12%、「甲信」=13%「東北」=7%、「北海道」=2%

と低いのに対して、

「東海」=48%、「関西」=82%(!!)、「北陸」=44%、「四国」=68%、「中国」=69%、「九州」=55%

と、圧倒的に「西日本」では「つきだし」が使われているのです。

調査は2014(平成26)年1 月10 日~26日に、調査員による個別面接聴取法で行われ 調査対象は「 満20 歳以上の男女(全国)2000 人、有効回答数(率)は、1339 人(67,0%)だったということです。

(2016、7、18)

2016年7月19日 15:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6102「模試のアクセント」

<2014年9月25日に、このタイトルだけを書きました。>

当時、「模擬試験」の略、

「摸試」

ですが、このアクセントは、

  1. 「モ\シ(頭高アクセント)」

  2. 「モ/シ(平板アクセント)」

のどちらでしょうか?

私は(2)「モ/シ(平板アクセント)」派なのですが、当時(2014年9月)、『NHK日本語発音アクセント辞典』には「摸試」のアクセントは載っていませんでした。

アクセントも載っている国語辞典『新明解国語辞典』には載っていました。数字で、

「1」

とあったので、

「頭高アクセント」

なので、私とは違うなあと思ったのでした。

そして!NHKのアクセント辞典が、この5月になんと「18年ぶり」に改定されて、その名も、

『NHK日本語発音アクセント新辞典』!!!

「新」が付いています。それを引いてみたら、載っていました!

「モ\シ」

やはり「頭高アクセント」しか載っていませんでした。

しかし、「頭高アクセント」だと、

「英語の『if』の『も\し』」

と、アクセントが同じになってしまうではないですか!

「摸試」と「if」の「もし」を「もし」間違えたら、ややこしいじゃないですか!

私は「平板アクセント」を採りたいなあ。

(2016、7、18)

2016年7月18日 17:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6101「子どもたちの将来の夢2」

「平成ことば事情2137」で書いた「子どもたちの将来の夢」の続編です。

あれを書いてから(2005年)、もう10年以上、経ってしまいましたが、この間(2016年3月)久々に、娘の小学校の卒業生たちの「将来の夢」についての記述に目が留まり、メモしておきました。(それからもう4か月ぐらい経ちましたが)

11年で、子ども達の「将来の夢」はどう変わったか?

まず「2005年」の分を再掲します。

第1位「プロ野球の選手」=13人(うち2人はメジャーリーグの選手)

第2位「プロ・バスケットボールの選手」=12人(うち9人は米NBAの選手)

第3位「プロサッカー選手」=5人

第4位「声優」「ファッション・デザイナー」=各4人

第6位「動物関係の仕事」(獣医、動物看護師、ペット屋さん)「小説家」=各3人

<その他>

「2人」=医者、キャビンアテンダント、バレリーナ、イラストレーター、先生、プロ・テニスプレーヤー

「1人」=F1レーサー、コック、マッサージ師、ピアニスト、ソフトボールの選手、バドミントンの選手、パティシエ、宇宙飛行士、保母、建築家、科学者、俳優、松下電器のサラリーマン

でした。当時12歳だった子どもたちも、今は23~24歳。夢はかなったんでしょうか?

そして「2016年」は、人数は集計しませんでしたが、「職種」の「広がり」と「深まり」が感じられました。指定が細かいんです。よく知ってるなあと思うのだけど、あまりにも指定が具体的過ぎて、もしその「夢」が叶わなかった時の"バックアップ"というか"方針転換"がうまくいくのかなあ?と、ちょっと心配な気もするんですが。

とりあえず、列挙します。

*「ゲームクリエイター」「ロボットクリエイター」「デザイナー」

男の子はやはり「ゲーム好き」。それが高じると「作り手」になりたくなるんですね。女の子は、洋服などのデザイナーでしょうか。

*「ホテル・コンシェルジュ」「一流シェフ」「ウェディングプランナー」「トリマー」「一人一人の好みに合わせてできるネイリスト」「メイクアップアーティスト」

このあたりは女の子でしょうか。「サービス業」で、しかもちょっと豊かな生活をイメージできそうな「横文字のお仕事」です。たぶん、30~40年前だと、この分野には「アナウンサー」「スチュワーデス」「コピーライター」という仕事が入っていたんだと思います。「エレベーターガール」は、もっと古いか。

サービス業で言えば、次は11年前にはなかった「夢」です。

*「来た人みんなが笑顔になるようなディズニーのキャスト」「USJのスタッフ」

「ディズニー派」と「USJ派」に分かれていますが、要はテーマパーク(昔でいう遊園地)の従業員。大阪・枚方市の小学生なのだから「ひらかたパーク(ひらパー)」のキャストとか、「園長」(今、岡田准一君がやってくれています)とか書いてほしかったところですが、生活の中にこういったテーマパークが入り込んでいるのでしょう。何度も何度も行ってるんでしょうね、この子たちは。「年パス(年間パス)」の影響もあると思われます。

*「小学校の先生」

これは定番。11年前も2人、「先生」になりたいという人がいましたね。

*「スペースを見つけてパスを出せるガンバ大阪の選手」「世界で活躍してバロンドールを獲る」

単なるサッカー選手だけでなく、しかも「ガンバ大阪の選手」というだけでなく「スペースを見つけてパスを出せる」というのが"シブイ"ですね。普通は「ゴールをたくさんゲットするストライカー」とか、「ファインセーブでチームの危機を救うゴールキーパー」など、目立つポジションを希望すると思うのですが、「パスを出せる」というのは本当にシブイ。"ツウ"好み。その意味では「世界で活躍」「バロンドール獲得」という雄大な目標を抱えている子のほうが、子どもらしい感じがします。

*「患者さんを笑顔にできる看護師」

単なる「看護婦さん」ではなく「患者さんを笑顔にできる」という条件が付いています。この職業に対する強い思いが感じられます。

*「カネモ(=金持ち)」

うーん、ダイレクト。まさに「ゲンキン」な。フツー、そのまま書くか?しかも今「カ/ネ\モ」と「3拍中高アクセント」で、関西の子ども達は言うようですね。

一方で、「それが"夢"なの?」と思ってしまうものも。

*「大企業で成功できるOL」「仕事をしっかりとこなせる大企業のOL

これも「単なるOL」ではなく「大企業の」と「成功できる」「しっかりと仕事をこなせる」という条件付きです。きっと、家でお父さんお母さんが、そう言ってるんだと思います。「夢」というよりは、かなり「現実的な目標」のように感じますが、「大企業」というところが泣かせます・・・。前回も「松下電器のサラリーマン」という子がいました。お父さんかお母さんが「松下電器」にお勤めだったのでしょう。それも、社名が「パナソニック」に変わってしまいましたが。

*「大きな発見ができる研究者」

このところ毎年のように日本人が「ノーベル賞」を取っていますから、こういった目標を持つ人も増えているのでしょうね。ただ、これを書いた子は「研究者」の「者」の字の下の部分がが「日」ではなく「目」になっているので、まずは「漢字の勉強」をしっかりとしてほしいと思います。

前回との大きな違いは、最初に書いたように「職種の分散と深まり」と共に、お気付きのように、

「前回1位だった『プロ野球選手』と、同じく2位だった『プロ・バスケット選手』を挙げた子が、一人もいなかった」

ということです。日本の「野球」は、どうなってしまうんでしょうか。私はサッカーファンですが、気になります。

つなみに、「ミヤネ屋」の20代の社員ディレクターに、

「おまえ、小学校の時の"将来の夢"は何だった?」

と聞いてみたら、

「『宇宙飛行士』と『お笑い芸人』です」

と言っていました。フム、確かに"夢"がある。

(2016、7、13)

2016年7月15日 18:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6100「労相」

東京都知事選挙の告示事を今月14日に控え、いろいろな候補の名前が上って来ました。

その中に、

「山口敏夫元労相」

の名前がありましたが、この

「労相」

というのは、

「労働大臣」

の略です。ところがこれを、7月5日の日本テレビ「every.」では、

「労働相」

としていました。

7月6日付各紙朝刊では、産経・毎日・日経が、

「元労相」

でした。その後見ていたら、日本テレビの各番組でも、

「元労相」

になっていました。

テレビ朝日は、

「元労働大臣」

でした。これは「略していない」んですよね。略した場合、従来はやはり「労相」だったんです。「労働相」とは略さない。

でも「労働省」は、2001年1月6日に「厚生省」と合併して、

「厚生労働省」

になり、その略称も、

「厚労省」

と「3文字」で、大臣も「厚労相」と「3文字」だし、もう昔の「労相」なんて略称は知らない人も増えて、つい今の「3文字略称」に合せてしまって、

「労働相」

にしたのではないかなあ・・・と思いました。

同じことは、1年ほど前に前に「町村元文相」が亡くなった際に、

「文部相」

という表現が出てきたことがありました。その辺りの話は「平成ことば事情5763文相」をお読みください。

(2016、7、14)

2016年7月15日 11:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6099「玄関先」

「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、

「玄関先に入った」

という文章が。そこで疑問が。

「『玄関先』という場合の『先』は、『前』ということ。だから『玄関先』は『玄関』(=家の中)には『入っていない』のではないか。つまり『玄関先に入った』という表現は間違いで、正しくは『玄関に入った』なのではないか?」

と思ったのです。

分かりにくいと思いますが、「玄関」とは、

「家の建物の戸・ドアの中で、土足で入る所」

だと私は思うのですね。土間とか三和土とかタイル張りとかで。その「先」というのは、

「戸・ドアの外」

だと思うので、そこに「入る」という表現は、なじまないのではないかと。

『広辞苑』で「玄関先」を引いてみると、

「玄関のあたり」

とあります。「あたり」というのが微妙で、それだと「中も外も含む」のかもしれませんね。『精選版日本国語大辞典』でも、

「玄関のあたり。玄関前」

とそっけない表現です。『デジタル大大辞泉』でも

「玄関の前。玄関のあたり」

と順番が変わっただけ。あんまり、詳しく悩んだことは無いような表現です。

しかし、こういった意見もありました。

「外から来ると、家の『門』があってその先に『家』があって『玄関』があるとすると、『門』の中の敷地には入ったけど『玄関』には入らず、という状態は、『玄関の前=玄関先』にいるんだから、『玄関先に入る』という状況もあるのではないか?」

あ、なるほど、一軒家では有り得ますね。マンションやアパートでは使えないけど。

結局、原稿は「先」は外して「玄関に入った」にしました。

(2016、7、14)

2016年7月14日 21:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6098「不利を奪回」

「ミヤネ屋」のディレクターが質問して来ました。

「『不利を奪回』という表現は、使ってもいいでしょうか?」

「ああ、それは『汚名挽回』と同じ問題だね。両方の意見があるけど、基本的には『マイナス』の意味を持つものに『奪回』『挽回』という言葉を使うのは、やはり違和感があるから、避けたほうが良いだろうな。」

ということで、「奪回」を使うのはやめて、

「不利を覆す」

に直しました。

「奪回」するものが「不利」という「マイナスのもの」なのは、やはりおかしいと、私は思います。

(2016、7、14)

2016年7月14日 17:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6097「150%と5505%」

私、怒ってます!何ですか、6月29日に小池百合子・元防衛相が発表した「東京都知事選出馬表明」に対する、自民党東京都連のコメントは。

「小池氏を自民党都連が応援することは、150%ない」

という中の、

「150%」

という中途半端な数字は!「100%」でいいじゃないですか!というか、「可能性」を表現する場合の「パーセンテージ」は、

「『100』の数字の中で行わないとダメ」

でしょ!(もちろん、「売り上げ」が前年比で「120%」とか「200%」というように使われることはありますし、それはOKなのですが。)

この間は、都知事選出馬の可能性を聞かれた鈴木大地スポーツ庁長官も、

「5505%くらいない」

という、またまた「訳のわからない中途半端な数字」を出して来たし。あれは、

「バカな質問をするなよ」

という意味で、ええかげんな数字で返して来たのでしょう。まだ理解できます。

思い起こせば、こんなええかげんな数字の出し方がメジャーになったのは、やはり橋下徹氏大阪府知事選挙出馬に関して、

「2万%、ない」

と言っておきながら、出馬して以来ではないでしょうか。

あれ以来私は、こういった「自らの意思に関する可能性」について問われた場合に、

「0~100%の範囲を"超える"数字」

で「%」を表現する人は、原則、

「ウソつき」

だと思っています。ウソつきではなくても、少なくとも、

「その人は、自分のしゃべる言葉に、責任を持つつもりがない」

ことの表明だと思っています。「言葉」に対する真摯な姿勢がなければ、「信頼性」が失われます。特に政治家ほど「言葉」で生きている職業は無いのに、信頼を失わせる言葉を使って恥じないというのは、プロとして失格ではないでしょうか!

(2016、6、29)

(追記)

その後、自民党東京都連は、増田寛也・前岩手県知事で元総務相を擁立することになり、小池百合子氏は、一旦出した自民党都連に出した公認要請を取り下げる事態となりました。それどころか、

「小池氏を応援した場合(親族を含む)は、処分する」

という"お触書き"まで出す事態に。「党員」は縛れるでしょうが、

「党員の親族まで」

そういった党則のようなもので縛ることが、できるのでしょうか?根拠は何でしょう??一体全体「何の権限」をもって「親族を処分」できるのでしょうか?それは「どんな処分」になるのでしょうか?そこに「言論の自由」はあるのでしょうか?不思議な文書ですよね。

しかしまあ、そういった意味では、

「小池氏を自民党都連が応援することは、150%ない」

ということは、今回は、

「ウソではなかった」

ことになりますね。「100%」を超えた「50%分」は、

「親族も含む処分」

ということになるのでしょうか?

(2016、7、13)

2016年7月14日 16:16 | コメント (0)

新・読書日記 2016_109

『戦後政治を終わらせる~永続敗戦の、その先へ』(白井聡、NHK出版新書:2016、4、10)

「永続敗戦論」で注目を浴びた著者の新著。なんとなく、わかったような気になった「永続敗戦論」だったが、この本を読むことで、「そうか、そうだったのか!」と理解が進んだ。

本書の目的は「完全に行き詰まりに陥った戦後日本政治を乗り越えるための指針を導き出すこと」。その意味で「真の戦後レジームからの脱却」だという。

「敗戦」を「終戦」と言い換えたのは「敗戦の否認」であり、その意識に基づいた政治体制(レジーム)が、とっくに耐用年数を超えたのに続いていると。「敗戦の否認」という政治体制が有効だったのは「冷戦の終了」まで。それから20年以上もたつのに、新しいレジームを作り出せないまま行き詰まっていると分析。そして「敗戦」を認めることは、我々が「被害者」であると同時に「加害者」であったことも引き受けなければならないのだが、その覚悟が無い。

「対米従属」の政治姿勢を続けている中で、その「指令書」が「年次改革要望書」から「構造改革協議」「金融ビッグバン」「金融資本の移動の自由化」、そして「TPP」へと変わってきているのだという。ああ、どれも過去20~30年ぐらいに耳にしてきた「日本の進むべき道」として示されたものだよなと、改めて。宮沢内閣の頃、1992~93年ぐらいか、ブッシュ大統領(父)が示した「グローバル・スタンダード」がブームとなったが、たしかに「一国主義」ではなく「グローバル化」するのは、良いことだと思ったが「ちょっと待てよ」と。これは本当の「グローバル化」ではなく、「アメリカン・スタンダードのグローバル化」、つまり「全世界のアメリカ化」なのではないのか?「マクドナルド」が世界中どこにでも出来たのと同じではないか?と気付いた。20年ほど経って「マクドナルド」の元気が無くなってきたぐらいに、今度は「スターバックス」が同じように「アメリカ化」を成し遂げているではないか。それは最初「カッコいい」ことだったが、現在ではあまりにもありふれてしまって「普通の風景」になってしまっている。「スナバ(コーヒー)」の鳥取県にも「スタバ」ができたんですよね。

共和党の大統領候補トランプ氏は、TPPに反対しているが、それはこれまでのアメリカを支配してきた層=ヒラリー・クリントン氏を支持してきた層への抵抗である。アメリカ国内も一枚岩ではないのだろう。ここ10年の「新自由主義」は、その10年前の「グローバル・スタンダード」の焼き直しである。同じことだ。

「ポスト55年体制」のために必要なことは3つ、「政治革命「社会革命」「精神革命」だという。具体的には、

*「政治革命」=「立憲主義擁護」の一点での野党共闘

*「社会革命」=「排除」へと向かった統治の原理を、再び「包摂」へと向かわせる

*「精神革命」=個々人が具体的な「抗議行動」を起こす

ということだという。

かなり煽っている一冊だが、「NHK出版」がよく出したなあと思った。


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(2016、7、3読了)

2016年7月14日 17:30 | コメント (0)

新・読書日記 2016_108

『21世紀の戦争論~昭和史から考える』(半藤一利・佐藤優、文春新書:2016、5、20)

「昭和史の大家」である半藤一利さんと、「インテリジェンスのプロ」佐藤優さんの対談によって、「昭和史」がリアルに浮かび上がってくる。「昭和史」、特に「昭和20年まで」の歴史は「戦争史」とイコールであった。そこから考えられる現在=21世紀の「戦争」とは?これを知ることによって「戦争」を未然に防ぐ。帯には「新しい戦争には、新しい昭和史が必要だ」と。

「731部隊」が現代によみがえって来ていること。「ノモンハン(事件)の歴史的意味を問い直せでは、「ノモンハン事件」と言われるが、「単なる国境紛争」ではなく、あれは「戦争」だった。しかも当時のソ連は、かなりこの「ノモンハン」を重要視していたのに対し、日本は軽く見ていた(現在も)という違いがあった。現在でもソ連(ロシア)は「ノモンハン」での大きな被害を覚えている。「戦争」は「どう終わらせるか」が難しい。「8月15日」は「終戦」ではない。「昭和陸海軍の官僚組織」は、「戦後日本」にも引き継がれ、「第二の敗戦」と言われる現代日本の敗因に繋がっている。

「国際法」が重要になって来た一つのきっかけには、昭和3年(1928年)に結ばれた「パリ不戦条約」に実質的な効果があった、佐藤は言う。「それまでは、手続きさえ踏めば、いつ戦争を仕掛けても構わなかったのが、戦争が違法となったことで、『平和を維持するため』という理屈を付けないと戦争できなくなった。これは画期的なこと」だっという。現代では、たとえ「先制攻撃」をしても「防衛のため」と、ぬけぬけと言うのはそのためか。「大量破壊兵器があるから」と言って攻撃して、戦争が終わると「やっぱり、なかった」というのは、まさにこのパターン。

現代の中国軍は「まず現実を作って、法律はそれに合わせて作ればいいと思っている」と。「西南の役」で西郷軍が、着火に手間取る旧式のエンフィールド銃だったのに対して、明治政府は大枚をはたいて、最新式のスナイドル銃、ヘンリー・マンチーニ銃、ガトリング砲、アームストロング砲までそろえた。そのわけは「南北戦争が終わったアメリカに、武器が山ほど余っていた」からだと。あれ?イラク戦争・アフガン戦争が終って余っている「オスプレイ」をたくさん買わされた、「どこかの国」と似てないか?

ワシントン軍縮条約破棄を昭和9年(1934年)12月に通告したが、その10月には「戦艦大和」建造案が提出された。「大和」は艦幅が「約40メートル」。ところがアメリカの選管は、パナマ運河を渡るために、「幅が32メートル」までに制限していたと。つまり「大和」では「パナマ運河」を通れないから、ワシントン・ニューヨーク(東海岸)まで攻め込むことは出来なかった。日本軍には、そういった「世界戦略は無かった」と。「巨艦主義」は、時代遅れだったのだ。

それを読んで「そうだったのか!」と、目からウロコが落ちた次の日(6月27日)の読売新聞に、こんな記事が載っていた。

「パナマ運河拡張 日本天然ガス輸入に恩恵」

パナマ運河の拡張工事が終り、6月26日から利用が始まったという記事だ。その記事には、地図と共に「タンカーの絵」が描かれていて、これまでのパナマ運河は、

「幅32メートル、長さ294メートル」(喫水12メートル)

の船しか通れなかったが、拡張が終ったパナマ運河では、

「幅49メートル、長さ366メートル」(喫水15メートル)

の船まで通れるようになり、これによって最大貨物量は何と「約3倍」になるという。

いや、それより注目は、これまでのパナマ運河は「幅32メートル」の船しか通れなかったと。戦後70年以上たっているが、それまで「戦艦大和が通れないパナマ運河」のままだったのだ!ああ、今なら「大和」もパナマ運河を通れるのだな、と。ということは、「運河」は「交通・運輸のため」だけでなく「国防のための武器」でもあるのだなと感じました。「万里の長城」のようなものね。

また「武器」と言えば、明治38年に作った「三八式歩兵銃」。日露戦争後、戦争をしなかったので、この古い銃と銃弾が山ほど余っていた。だから、それが無くなるまで、この銃と銃弾を使わなければならなかった、と。同じようなことは、ビジネスの場でもありそうですね・・・。

「三八式歩兵銃」は、殺傷能力が低い銃で、敵側には死者よりも負傷者がたくさん出る。米軍は負傷兵を見捨てない。だから、1人の負傷兵を後方へ送るために3~4人の兵が付くので戦力を弱めることができた、と。ところが、ソ連兵は負傷兵を見捨てるので、そういう効果は無かったとのこと。そのソ連兵が震え上がるのがイラン軍。「第三次世界大戦」は「どこで」始まるのか?について、佐藤は「サウジアラビア・イエメン戦争」の可能性が高いと指摘している。イエメンには「フーシ派」と呼ばれる「シーア派」がいて、シーア派大国の「イラン」が支援している。

2016年1月にサウジ政府が、シーア派の聖職者・ニムル師を処刑したことに怒ったイラン人が、サウジアラビア大使館を襲撃。それを受けたサウジアラビアは、イランと「国交断絶」している。「シーア派」の「イラン=イエメン」と、「スンニー派」の「サウジアラビア」「イスラム国」が同調すれば、中東が大混乱になる恐れがあると。

あれ?これ、他の本でも読んだぞ!いずれにせよ、ちょっと「サウジアラビア」と「イラン」の動きには、注目ですね。


star5

(2016、6、23読了)

2016年7月13日 19:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6096「有効数字」

先日の参院選を取り上げて「ミヤネ屋」のパネルを事前にチェックしていたら、「投票率」の表記が、

「57、8%」「62、6%」

となっていましたが、正しくは、

「57、80%」「62、60%」

なのです。

「えー?『57,8』も『57,80』も、おんなじなんじゃないの?」

と思ったからこそ、こういう発注でパネルができて来たと思いますが、「0」まで書くことには意味があります。それは、

「『有効数字』が『小数点以下2ケタまで』ということを示している」

のです。

「57、8%」の場合、有効数字は「小数点以下1ケタ」ですから、「小数点以下2ケタ」の範囲でこの数値が含む範囲は、

「57,75%~57,84%」

までになります。それに対して「57,80%」は、まさに

「57,80%だけ」

なので、

「精度が違う」

のです。「0」には「0」の意味があるのです。中学校で習っているはずなんだけどなあ。

(2016、7、13)

2016年7月14日 11:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6095「50年に一度の大雨」

7月13日の天気予報の中で、九州地方が、

「50年に一度の大雨」

という表現が出て来ました。その後の蓬莱さんの予報では、

「24時間雨量が200ミリを超える」

と言っていました。「50年に一度」=「半世紀に一度」というのは、

「めったにない」

という「希少性(頻度」と、

「そのぐらいすごい量の大雨」

という「規模の大きさ(量・程度)」を表しています。しかし、「ちょっと待てよ」と。この言葉、

「最近、よく耳にする気がする」

のです。「50年に一度ではない」のではないか?と。

調べてみましょう。「50年に一度」で検索すると「気象庁」のサイトが出て来ました。

「気象等の特別警報の指標」というものです。そこには、

「50年に一度の値とは?」

という説明がありました。それによると気象庁は、

「平成3年(1991年)以降の観測データを用いて、50年に一回程度の頻度で発生すると推定される降水量及び土壌雨量指数の値」=「50年に一度の値」

を求め、これを「大雨特別警報」に用いているとのことです。その値は、

「過去50年の間に実際に観測された値の最大値というわけではありません」

とも記してあります。ん?「過去50年に実測された最大値」ではない?そうすると、どうやってその頻度と規模を「推定」するのでしょうか?「データに基づく」とあるではないですか。これが「第一」の疑問。さらに、この値は、

「日本全国を5km四方に区切った領域(「格子」と呼びます)ごとに算出」

してあり、

「この値は、毎年更新します」

とのことです。そして、

「『50年に一度の値』以上となる格子がいくつ出現するかを、大雨特別警報の指標としています」

ということですから、

「地域によって『50年に一度』の『量』は違う」

のですね。だからその後に、

「『50年に一度の値』の大小が、特別警報の発表判断に大きく影響するものではない」

とあります。なんだか、ややこしい。

さらにその後の「指標を満たす主な事例」の一覧表を見てみると、「50年に一度の大雨」は「1993年から2012年までの間」に、「13回」記録されています。つまり、

「20年間に13回、『50年に一度の大雨』が降っている」

のです。このペースで行けば、「50年経ったら『32、5回』大雨が降る」ことになります。「100年」ならば「65回」です。

これって「論理矛盾」と言うか、素直に聞いて意味が分かりますか?

私は、よく分かりません。単純に考えれば、「50年に一度の雨」は、

「100年に2度」

しか降らないんじゃないでしょうか?確率論的には。それが「65回」って・・・・。

直近の5年でも(2013年から2016年はデータが載っていませんが)、「2011年」に「3回」、「2012年」に「1回」の「計4回」、「50年に一度大雨」が降っています。おかしいですよね?

そもそも「大雨」を「頻度」で示すのに無理があるのでは?「頻度」は「確率」であり、「規模」ではないのです。「大雨の危険性」を示すには「規模」を言うのが分かりやすいと思うのですが・・・。いかがでしょうか?

(2016、7、13)

2016年7月13日 22:20 | コメント (0)

新・ことば事情

6094「ボード」

7月13日、東京都知事選挙の告示前日に、有力候補4人による「共同記者会見」が、東京・日本記者クラブで行われました。「ミヤネ屋」でも生中継しました。

この会見の司会は、日本テレビ報道局所属で選挙に関する著書もあるキャスターの小栗泉さんでした。その小栗さんが各候補者に、

「事前に、それぞれの主張を『ボード』に書いていただいております」

と言っていました。それを聞いて、少し疑問が。というのは、何かを各硬い紙のことは、「民放」では、

「フリップ」

と言うのです。日本テレビでも「フリップ」と言っているはずです。一方NHKでは、

「パターン」

と言うのだと思います。もしかしたら、「フリップ」でも「パターン」でもない言い方を、小栗さんは選んで、

「ボード」

と言ったのかもしれません。本当のところは、わかりませんが。

(2016、7、13)

2016年7月13日 17:13 | コメント (0)

新・ことば事情

6093「三井ダイレクト損保のアクセント」

俳優の仲村トオルさんが出ている損保会社のCMに目が留まりました。損保会社のセールスマン(?)である中村さんが、街中で携帯電話をかけていて、そこで自分の会社の名前である、

「三井ダイレクト損保」

の「アクセント(イントネーション)が違う!」ということを、電話相手に説明しているというものです。仲村さんは、

「ミ\ツイ・ダ/イレクトソ\ンポ」

ではなくて、

「ミ/ツイダイレクトソ\ンポ」

だと力説しているのです。「2語」ではなく「コンパウンドした1語」なんですね。

私なら、「2語」で発音するところですが、「コンパウンドした1語」だというのは、

「全体で一つの言葉」=「社会に認識されている」

ということをアピールしようと意図しているのだと思います。

ネット検索してみると、今月1日から放送されている新しいCMのようで、

「イントネーションは"こうだ!"篇」

と名付けられているようです。ホームページから引用してみると、

【イントネーションは"こうだ!"篇】

男が三井ダイレクト損保の良さを一生懸命に伝えようとしていますが、電話の向こうで後輩が発する「三井ダイレクト損保」のイントネーションが気になるようです。

電話越しにも関わらず全身を使って、三井ダイレクト損保のイントネーションは"こうだ!"と「熱く」伝えようとする仲村さんのコミカルな演技が光ります。

ということだそうです。

「アクセント」や「イントネーション」をメインに据えたCMで思い出されるのは、もう40年以上前になるかもしれませんが(調べたら1974年でした!)、松下電器(現・パナソニック)のカラーテレビ、

「クイントリックス」

のCM。外国人相手に、日本人のおじいさん(坊屋三郎)が、1音1音、区切るように、

「く・い・ん・と・り・っ・く・す!言ってごらん!」

と新商品の名前を「8音節」で言うと、相手の外国人が、

「クイントリックス!」

と早口で「2音節」で言ってしまうので、おじいさんが、

「英語で言ってごらんよ、く・い・ん・と・り・っ・く・す、だよ!」

と"発音指導"をして最後に、

「外人だろ、アンタ」

と言う、ユーモラスなものでした。その間に「商品名」を視聴者に印象付けるという「連呼型」のCMです。あのパターンだな、この仲村さんのCMは。

当時はまだ「外人」という言葉が、テレビで普通に使われていたんだなあ。今は「外国人」ですねえ。

(2016、7、11)

2016年7月12日 17:38 | コメント (0)

新・ことば事情

6092「注視したい」

6月20日の夜9時のNHKニュース、イギリスの「EU離脱を巡る国民投票」についての解説で、解説員の男性が、

「EU残留派と離脱派の動きを、しっかりと『チュ/ーシ』したいと思います」

と言ったのですが、それを聞いた私は、

「え?『中止』したい?」

と聞いてしまいました。なぜなら、「平板アクセント」だったから。もちろん本当は、

「注視したい」

と言ったのだと思うのですが、それならばアクセントは、「頭高アクセント」で、

「チュ\ーシシタイ」

と言うべきだったと思います。

きっとその解説員は、

「EU離脱は、中止してほしい」

と思っていたのではないでしょうかね。

しかし、ご存じのように6月23日に行われた「国民投票」では「離脱派」が勝ってしまいました。より、今後の動きは「注視」しなくてはならなくなりましたね。

(2016、7、8)

2016年7月12日 11:35 | コメント (0)

新・ことば事情

6091「バングラデシュ?バングラディシュ?」

バングラデシュの首都ダッカで7月1日、日本人7人を含む20人が殺害されるテロが起こりました。IS(「イスラム国」)を名乗る、いわゆる「ホーム・グロウン・テロリスト」の犯行とみられています。亡くなった皆様は、本当に無念だったこととお察し申し上げ、お悔やみ申し上げます。

さて、テロ事件の起きた国「バングラデシュ」ですが、「平成ことば事情1471バングラデシュとフィーチャー」でも書いたように、

「バングラディシュ」「バングラディッシュ」

というように「ディ」「ディッ」と発音する人がいます。今回の事件のニュースでも、テロップのほうは正しく、

「バングラデシュ」

と書いているのですが、中継している記者や原稿を読んでいるアナウンサーでも、

「バングラディシュ」

と「ディ」で発音しているように聞こえる人が多数いました。

読売テレビから上海支局に行っている高井望記者も、応援でダッカへ行って中継していましたが、

「バングラディシュ」

と言っていましたし、東京・羽田空港からの中継で、政府専用機が現地へ行くという内容のリポートをしていて日本テレビの女性記者も、

「バングラディシュ」

と言っていました。他局でも、テレビ朝日7月4日のお昼のニュースでダッカから中継していた登島貴之記者も、最初は「バングラディシュ」と言っているように聞えました。しかし、2回目・3回目は「バングラデシュ」と聞こえました。私の耳が悪いのかもしれません。

もしかしたら、昔は日本では、

「バングラディシュ」

と言っていたのではないか?それがいつからか、正しい発音の、

「バングラデシュ」

に修正されたのだけど、昔の習慣でつい、

「バングラディシュ」

と言ってしまうのではないか?と思い、「バングラデシュ」の歴史を少し調べてみました。

「バングラデシュ」という国は、もともとは、

「東パキスタン」

と呼ばれていました。インドを挟んで東側と西側に「パキスタン」はあったんですね。その東パキスタンが独立したのが、「1971年12月」。当時の新聞をひもといてみました。『読売新聞』の縮刷版を見てみると、「12月18日」の1面に、

「印パ戦争14日ぶり終結」

「ヤヒア大統領 西パの停戦受諾」

「『東』独立か自治拡大か」

という見出しが躍っています。そして、その前日の「12月17日」の紙面には、

「バングラ・デシュ政府 一両日中に 正式樹立宣言」

というふうに、「バングラ」と「デシュ」の間に「・」が入っていたのです!思えば「マスコミ」も、当初は「マス・コミ」と「・」が入っていましたが、いつの間にか無くなりましたからね。「2語の略語」から「1語」として認識されるようになれば、「・」は付かなくなります。「バングラ・デシュ」は、いつから「・」はなくなったのでしょうね?

でも当初から「バングラディッシュ」「バングラディシュ」では、なかったのですね。

勉強になりました。グーグル検索では(7月8日)、

「バングラデシュ」  =1020万0000件

「バングラディシュ」 =  59万8000件

「バングラディッシュ」=  48万2000件

でした。

(追記)

これだけ取り上げられているのに、まだ気付いていないアナウンサーがいました。

7月22日のNHKお昼のニュースで、大阪放送局から関西ローカルニュースを伝えていた、もうベテランと思しき白髪交じりの男性アナウンサー。テロップは、

「バングラデシュ」

と正しく出ているのに(おそらく原稿も)、盛んに、

「バングラッディシュ」

と読んでいました・・・これ、もし読むことがあったら、次から気を付けてくださいね。


(2016、7、8)

2016年7月11日 21:30 | コメント (0)

新・ことば事情

6090「政府専用機のアクセント」

7月5日の日本テレビのお昼のニュース「ストレイトニュース」を見ていたら、森富美アナウンサーが、「政府専用機」を、

「セ/ーフセンヨ\ーキ」

と「コンパウンド」して読んでいました。これは私なら、

「セ\ーフ・セ/ンヨ\ーキ」

と「2語」に分けて言うところです。

複合語のアクセントは、最初は「2語」のアクセントを残しますが、次第に、その複合語をよく使う人たちは「1語」として「コンパウンド」して言うようになります。

その意味では、森アナウンサーのほうが、私よりも多く「政府専用機」という言葉を使っているのでしょう。

でもやっぱり「2語」に分けたほうが、落ち着きが良いように、私は感じますけどね。

(2016、7、11)

2016年7月11日 17:29 | コメント (0)

新・ことば事情

6089「断つと絶つ」

「退路をたつ」

という場合の「たつ」を漢字で書くと、

「断つ」

ですね。これに対して、

「消息をたつ」

という場合の「たつ」は、

「絶つ」

です。この「断つ」と「絶つ」の違いに関して、『読売スタイルブック2014』には、

*「断つ」=続いていたものを切る

*「絶つ」=続くはずのものが切れる

とあるのですが、私の感覚で言うと、(擬音語・オンノマトペで表すと)、

*「断つ」=「ブチッと」

*「絶つ」=「プツンと」

というような感じです。皆さんはいかがでしょうか?

(2016、7、8)

2016年7月11日 11:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6088「モハメドか?ムハマドか?」

6月3日、74歳で亡くなったボクシングのレジェンド、モハメド・アリ。

私の世代だと、まず、あの猪木との「異種格闘技」を思い出します。また、1996年のアトランタ五輪では、パーキンソン病に侵されながら聖火の最終ランナーも務めた姿も思い出されます。あれも衝撃的でした。

そして訃報に接しては、「モハメド」か「ムハマド」かという問題が。

我々にとっては「モハメド」と言わないと、「本人」という感じがしないんですが、

「読売・朝日」を除く全国紙と共同通信は「ムハマド」でした。

テレビ局は、全て「モハメド」でした。

6月の新聞用語懇談会放送分科会で、この点に関して質問しました。

「先日亡くなった元ボクシング世界チャンピオン『モハメド・アリ』氏の表記が、『モハメド』『ムハマド』の2つありました。どちらを使われましたか?また、その根拠は?(イスラム教で「モハメッド」が「ムハンマド」になったのと同じようなものでしょうか?)

私の調べ(ネット)では、テレビ局は全て『モハメド』。新聞社は読売と朝日、それと時事通信が『モハメド』で、毎日・産経・日経・東京・共同通信が『ムハマド』でした。

これに対する各社の回答は、

(共同通信)2001年3月改訂の『共同通信記者ハンドブック・第9版』で、それまでの「モハメド」から「ムハマド」に変更した。実は1990年代の記事から「ムハマド」が多くなってきて混在していたので、統一したということ。しかし、アリ氏が亡くなった当日は加盟社や読者から「なぜ『ムハマド』なんだ?『モハメド』ではないのか?」という問い合わせや質問が相次いだ。放送原稿も「ムハマド」で出した。(しかし、放送局はその原稿を「モハメド」と読んだのかもしれない。)

MBS)テレビ局が「モハメド」を用いたのは、もしかしたら「テレビの事情」があったのかもしれない。というのは、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の当時(1970年代)の映像の実況などでは、すべて「モハメド」と言っていた(テレビ朝日さんが6月12日に放送された「追悼番組」でもそうだった)ので、それとの「整合性」を取らないと、混乱するからではないだろうか。

(フジテレビ)外信部デスクに確認したところ、「一般にすぐにわかる名前で放送するのがスジだろう」ということで、これまでの「モハメド」を使ったとのことだった。

(ytv・道浦)1996年アトランタ五輪の最終聖火点灯者で登場した際の実況で、NHKは「モハメド」「ムハマド」のどちらを使ったのか?

NHK)「モハメド」を使った。

(共同通信)現役当時のアリ選手のセコンドが着ていたTシャツには「MUHAMAD」と書かれていたので「ムハマド」のほうが原音に近いのではないか?

NHK)ボクシングが好きなので、よく当時のビデオ・DVDなども見るが、当時のリング・アナウンスを聞くと「モハメド」と聞こえた。

ということでした。

その後、ベースボールマガジン社から出た「追悼記念特集号」を買って読みましたが、やはり、

「モハメド・アリ」

でした。

ところが!

その「追悼記念特集号」の最終ページに全面掲載されていた、同じベースボールマガジン社発行の『プロレスs&ボクシング1972年4月増刊号』の表紙のアリの写真を見ると、

「ムハマッド・アリ(クレイ)」

と書かれているではないですか!

「クレイ」は「カシアス・クレイ」、「アリ」を名乗る前の名前ですが、当初は、

「ムハマッド」

だったのか!うーん、話がよけいに、ややこしくなってきたような・・・。

なお、「モハメド」か?「ムハマド」か?については、過去にも用語懇談会の席で議題に上がっていました。【2011年9月】

『フジテレビの委員より。「9・11同時テロ10年」で、実行犯の「モハメド・アタ容疑者」。死亡しているのに「容疑者」をつけるのか?呼称はどうしたか?「ビンラディン容疑者」に関しても同じ。うちは仕方なく「容疑者」をつけたが、各社はどう判断を?「受刑者」でも「死刑囚」でもなく死んでしまったが・・・「呼び捨て」にするという意見は出なかったか?』

<各社>「容疑者」をつけた。特に疑問の声は上がらなかった。

<NHK>「容疑者」には特に意見は出なかったが、視聴者から「モハメド・アタ」でいいのか?「ムハンマド」ではないのか?という意見は届いた。本人は「中東生まれ・中東育ち」ではなく、「アメリカ生まれ・アメリカ育ち」なので、英語風に「モハメド」でいいのではないか?ということになったが...。「モハメド・アリ」ぐらい定着していたらいいが...。

(2016、7、8)

2016年7月10日 18:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6087「『検挙』と『逮捕』」

林マオ・アナウンサーから質問を受けました。

「『覚醒剤での検挙者数』のグラフが出て来るんですが、『検挙』と『逮捕』は、どう違うんでしょうか?」

良い質問ですねえ。こういうときは、読売新聞社『読売スタイルブック2014』の「法令関連用語」の欄です。さっそく引いてみました。

*「検挙」=法律用語ではないが、警察内部で使われる「逮捕と任意取り調べ(その後の書類送検も含む)を引っくるめた総称」。

そして、

『記事では「5人を逮捕、3人を任意で調べた」と書き、「8人を検挙」とはしない。ただデモなどの際、警察署ですぐ釈放する者も含めて連行した場合、「検挙○○人」と発表することがあり、逮捕者数がすぐにはわからないときは、使用もやむをえない。』

とありました。「逮捕」は、警察が裁判所に「逮捕状」を請求して、OKが出たら、容疑者の身柄を拘束するが、逮捕状を請求するまでもなく「任意で取り調べ」のためにしょっ引いても「検挙」の数には入るということですね。そういう疑いを持たれる人ですから、「クロ」ではないにしても「限りなくクロに近いグレー」の関係の人の数、ということになりましょうか。

『日テレ放送用語ガイド2011』には、こう載っています。

『検挙=捜査機関が容疑者を特定する捜査行為のこと。容疑者を逮捕した場合だけではなく、任意で調べた場合(その後の書類送検や微罪処分も含む)を含めた総称。原稿では、一つの少年事件で「逮捕された者」と「補導された者」、「非行事実で児童相談所に通告された者」がいる場合に、「危険な運転を集団で繰り返したとして、警視庁は少年○人を検挙しました」と使う。また、交通違反の一斉取り締まりの場合に、「初日の出暴走の一斉取り締まりで、警視庁は○人を検挙しました」と使う。』

とあります。

(2016、2、18)

2016年7月10日 10:52 | コメント (0)

新・読書日記 2016_107

『「安倍一強」の謎』(牧原出、朝日新書:2016、5、30)

帯には、

「アベノミクス、安保法制~反対が多いのに なぜ支持率が下がらないのか?」

とある。たしかに人気が高い安倍内閣。その秘密を、「政治学の新旗手が解明」(これも帯に書いてあった。)

著者の牧原出氏は1967年生まれの政治学者。東大教授。著書では、たしか「聞き書き・野中広務」を読んだ覚えがある。

各章のタイトルを見ると、序章の「国民の信頼は一瞬にして失われる!?」から始まり「政権交代で何が変わったのか?」「菅義偉官房長官仕様の『官邸』」「安保法制という混迷の政策転換」「内閣の性格を変えた2014年総選挙」「安倍首相の言葉と野党党首の言葉」、そして終章が「野党が政権を奪い返す条件」。

「政権交代」がキーワードで、自民党から政権を奪取した2009年の民主党。しかし、「こんなはずでは・・・」という失望を味わわされた3年余で、自民党が政権に復帰した2012年。2度目の総理の座についた安倍首相は、着々とその地盤を固め、「前回の内閣でやりたかったのに、できなかったこと」を達成するために邁進している。その「官邸」をしっかりと固めているのが、官房長官である菅義偉だ。2000年には「186人」しかいなかった「内閣官房」が、2015年10月現在は「1007人」にも膨れ上がっている。強大な組織だ。「官邸」はここで回っている。やはりそうか。ある意味、「政権交代」から、また「政権奪還」となったのだから、一見「二大政党」による政治体制が回り始めたようにも見える。しかし実際は、民主党(民進党)は、未だに政権を失ったショックから立ち直れていない様に見える。「二大政党」とはとても言えないのが、現状である。4日後に行われる参院選挙を経て、安倍・自民党は、そして日本は、一体何処へ向かっていくのか。しっかりと、見つめなければならない。(2016年7月6日記)


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(2016、6、18読了)

2016年7月 9日 12:48 | コメント (0)

新・読書日記 2016_106

『重版出来!6~7』(松田奈緒子、小学館、(6)2015、10、14第1刷・2016、4、12第3刷:(7)2016、4、4)

第6巻では、なんと「校閲」が取り上げられました。普通、漫画は「プロの校閲専門」の人は入らないそうですが、今回は「校閲」に取材してその世界も描いているという、ちょっと思わぬ展開で、興味深い。

そして第7巻は、新人漫画化を育てて行くのも、なかなか個性的な漫画家であればあるほど、物凄くお互いに気を使うし大変。人気投票の結果にも一喜一憂するのは、別の漫画家漫画「BAKUMAN」で嫌というほど読んだけど、やはりそこは外せないんだなあと。そんな闘いの中で、敗れて行く者もある。世の常・・・。


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(2016、5、8読了)

2016年7月 8日 15:46 | コメント (0)

新・読書日記 2016_105

『重版出来!5』(松田奈緒子、小学館、2015、4、15)

ひと口に「漫画の編集者」と言っても、漫画雑誌だとグラビアがあったり、いろんなイベントがあったり、元漫画家で今は巨匠・芸術家になってしまった大先生のパーティーを企画したり、また、昔に売れた漫画のデジタル化権の交渉など、昔以上に多岐に亘る仕事があるのだなあと実感できる、お仕事マンガ。なんか、買ったの忘れて2冊も買っちまったよ!!


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(2016、5、1読了)

2016年7月 8日 06:44 | コメント (0)

新・ことば事情

6086「『崎』『碕』『埼』2」

「平成ことば事情6041『崎』『碕』『埼』」の続報です。

その後もこの漢字の使い分けが気になっていたら、やはりこの業界の人はみんな、同じことを考えているんですね、なんと『共同通信記者ハンドブック』に、

「主な岬、崎、埼、碕」

というページがあるではないですか!最新(ことし3月24日に出た)の「13版」では、588~589ページに載っていました!そこでは、

「『・埼』は灯台名」

と書いてあります。つまり、「岬」の名前(地名)としては普通の「崎」を使うが、「灯台名」のときは「埼」を使うということがあるみたいなんですね。抜き書きしてみましょう。

【青森=4】大間崎・埼(おおまざき)、尻屋崎・埼(しりやざき)、竜飛崎・埼(たっぴざき)、艫作崎・埼(へなしざき)

【岩手=2】魹ケ崎・埼(とどがさき)、綾里崎・埼(りょうりざき)

【秋田=1】入道崎・埼(にゅうどうざき)

【福島=1】塩屋崎・埼(しおやざき)

【千葉=4】犬吠埼、洲崎・埼(すのさき)、太東崎・埼(たいとうざき)、野島崎・埼(のじまざき)

【神奈川=2】観音崎・埼(かんのんざき)、剣崎・埼(けんざき)

【新潟=1】弾崎・埼(はじきさき)

【石川=1】禄剛崎・埼(ろっこうざき)

【静岡=2】石廊崎・埼(いろうざき)、御前崎・埼(おまえざき)

【三重=1】大王崎・埼(だいおうざき)

【和歌山=2】樫野崎・埼(かしのざき)、日ノ御埼(ひのみさき)

【島根=1】日御碕(ひのみさき)

【高知=1】興津崎・埼(おきつざき)

【長崎=1】大瀬崎・埼(おおせざき)

【大分=1】鶴御崎・埼(つるみさき)

【沖縄=1】喜屋武岬・埼(きゃんみさき・さき)

この内、「灯台名」ではなく「岬そのもの」の名前として「埼」「碕」が使われているのは、

*「埼」=犬吠埼(千葉)、日ノ御埼(和歌山)

*「碕」=日御碕(島根)

だけでした。しかも「石へん」は「島根」の「日御碕」のみでした。

(2016、7、7)

2016年7月 8日 10:15 | コメント (0)

新・ことば事情

6085「太陽電池」

テレビを見て(聞いて)いたら、保険のCMで、

「これ、太陽電池じゃない?」

というコメントが出て来ました。映像は、西部のガンマンが腰に巻いていたベルトに入っている、

「銃弾」

が、よーく見てみると「乾電池」だった。保険もよーく見直さないと、という趣旨のコマーシャルです。

「へえー、『乾電池』にも『太陽電池』のものが、あるのかあ・・・」

と思ってから、「ちょっと待てよ」と。「乾電池」に「充電池」はあるけど、「太陽電池」は無いでしょう。「太陽電池」・・・「たいようでんち」・・・・あ!そうか、

「単四電池」

って言ってるんだ!

私の耳が悪いのか、女優さんの発音が悪いのか、はたまた、その両方か・・・。

「太陽」「単四」

の音を、アルファベット&カタカナでアクセントで比べてみると、

「TAIYOU」:「タ/イヨーデ\ンチ」

「TANYON」:「タ/ンヨンデ\ンチ」

うーん、早口で言うと似ているかもしれない。アクセントパターンは同じ。

今後、発音するときには、注意をしないといけないな。

(2016、7、7)

2016年7月 7日 22:26 | コメント (0)

新・読書日記 2016_104

『池上無双~テレビ東京報道の「下剋上」』(福田裕昭+テレビ東京選挙特番チーム:2016、6、10)

同じ業界のニュースなのでわかっていることも多かったが、池上さんの仕事のやり方というのが、画面から見ている所の裏側(というほどでもないが)が、思っていた以上に丁寧で、視聴者目線に沿っているのだなということが、本書を読んでよくわかった。そして「池上目線」を即、番組内容に反映していこう!とするテレビ東京のスタッフの心意気も、よくわかった。

テレビ東京は、後発で系列の放送局が少ないこともあり、特に視聴率においては、他のキー局とは同列で論じられないことがこれまで多かった。(つまり、圧倒的に数字では負けていた。)しかし、他局との差異を武器に、「お年寄り」と「お子様」、そして「ビジネスマン」にターゲットを絞り、温泉・演歌・旅行など高齢者に好まれる番組と、子ども向けの「アニメ」、更にはビジネスマン向けのビジネスニュースやドキュメント番組という分野を開拓してきた。

また、「人海戦術」がモノをいう「選挙報道」では、「池上彰」という強力な武器を手に入れることで、他のキー局では思いつかない、思いついてもやらない手法での選挙報道番組を作り、それが視聴者の支持を得た。つまり「視聴率」という形で表れてきた。それが「下剋上」の意味だ。いまや、他のキー局が「打倒!テレビ東京」「打倒!池上彰」を旗頭に「選挙番組」を戦っている状況である。

で、今度の参院選挙。当然、各局、必死で戦います。ある意味、選挙の候補以上に頑張っているのかも。ぜひ、櫻井くんの『ZERO選挙』と、関西は「シミケン&中谷しのぶ」の選挙特番を見てくださいね、皆さん!


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(2016、7、4読了)

2016年7月 7日 18:47 | コメント (0)

新・読書日記 2016_103

『日本語大好き~キンダイチ先生、言葉の達人に会いに行く』(金田一秀穂、文藝春秋:2016、6、10)

キンダイチ先生が対談の相手に選んだ「言葉の達人」は、加賀美幸子・桂文枝・谷川俊太郎・外山滋比古・内館牧子・安野光雅・ロバート キャンベル・きたやまおさむ・三谷幸喜・出口汪(ひろし)・糸井重里。土井善晴・吉本ばななの各氏(13人)。それぞれに興味深い対話が繰り広げられていて、大変おもしろい。出口さんって知らなかったが興味深い。

一番「日本語の乱れ」を糾弾していたのは、脚本家の内館牧子さん。大相撲の横綱審議委員をしていた時も、歯に衣着せぬスパッとした物言いだったが、「日音語の乱れ」に対してもかなり厳しく、前向きに戦おうとする。大体、言語学者や日本語学者は「乱れ」というものを認めない。なぜかと言うと「言葉は変化するもの」だからだ。「乱れ」というのは「正しい基準」があって、その正しい範囲からはみ出たもの。しかし、時代と共にその「正しい基準」も変わっていくのであれば、それは単に「変化」であって、「乱れ」という「マイナスの価値観」を持って評価はできない、というのが「学者」である金田一先生の立場。それで内館さんに反論を試みるのが、内館さんは全く聞く耳を持たない。気持ちが良いぐらい、全否定。そこが面白かったです。内館さんは、ちょうど『カネを積まれても使いたくない日本語』(朝日新書)を出されたばかりの頃(2013年夏)だったので、よけいに力が入っていました。いろんな意見があって、それはそれでいいと思いました。


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(2016、6、30読了)

2016年7月 7日 14:45 | コメント (0)

新・読書日記 2016_102

『心地よい日本語』(金田一秀穂、KADOKAWA:2016、3、24)

大阪・京阪枚方市駅前に5月にできた『TSUTAYA』の本屋さんで見つけて購入。金田一先生は、いつものトーンでした。

『毎日が発見』という高齢者向けの雑誌で2004年3月号~2011年1月号までに掲載されたことばの数々(54語)についてのコラム。肩の力が抜けた感じ。この中で気になった言葉は、「△」「大丈夫」「寛容」「ヘナチョコ」「なおらい」「ちょうど」など、生活の中で出て来ると、たしかに「ん?」と気になる言葉たちでした。字も大きくて読みやすいです。


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(2016、6、29読了)

2016年7月 7日 10:44 | コメント (0)

新・読書日記 2016_101

『脳が壊れた』(鈴木大介、新潮新書:2016、6、20)

大変ショッキングなタイトルなのだが、本屋さんの店頭の大量の本の中に埋もれると、意外と平凡な文字列になってしまっていて、その重大性が目立たなかったが、ツイッターで、「え?あの『最貧困女子』なんか書いてたジャーナリストの鈴木大介さん、本人が脳梗塞なの!」

と分かって緊急購入して読みました。鈴木大介氏の著署は『最貧困シングルマザー』(朝日文庫)=「2015読書日記047」と『老人喰い~高齢者を狙う詐欺の正体』(ちくま新書)=「2015読書日記049」で読んでいたが、41歳の若さで脳梗塞って・・・一体何があったんだ???

家事から取材(仕事)から何でも完璧に出来なくてはという完全主義で、いっぱい・いっぱいになっていた、という状況がまずあった。そして奥さんも大きな病気を患っていたり、性格的に著者とは相いれない感じだったりで、それが気に入らないのだけど我慢していたり、後から考えると、「ああ、それはものすごいストレスを抱えるよな」と納得してしまうような状況。実際、闘病=リハビリでかなりの部分、こうやって原稿が書けるぐらいに復活できたのは、物凄い努力があったからでしょう。でも高次脳機能障害が残ってしまった。その障害の様子を、さすが「モノを書く仕事のプロ」だけに、経験したことがない読者にもわかりやすく、おもしろく伝えてくれている。そんなに「おもしろい」はずがないだろうけれど、その大変さというのは、笑いの陰に隠しているようにも感じた。お大事に!頑張りすぎないようにね!!


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(2016、6、28読了)

2016年7月 6日 23:43 | コメント (0)

新・読書日記 2016_100

『モハメド・アリ~永遠のチャンピオン』(ベースボールマガジン社:2016、6、17)

先月、74歳で亡くなったボクシングのレジェンド、モハメド・アリ。その特集雑誌。私の世代だと、あの猪木との「異種格闘技」を思い出す。1996年のアトランタ五輪では、パーキンソン病に侵されながら聖火の最終ランナーも務めた姿も思い出す。そして訃報に接して「モハメド」か「ムハマド」かという問題が。我々にとっては「モハメド」と言わないと、「本人」という感じがしないんだけれども、読売・朝日を除く全国紙と共同通信は「ムハマド」だった。テレビ局はすべて「モハメド」。そしてこの特集雑誌(ベースボールマガジン社)は、もちろん「モハメド」だった。それでよし。


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(2016、6、20読了)

2016年7月 6日 21:40 | コメント (0)

新・読書日記 2016_099

『僕たちの居場所論』(内田樹・平川克美・名越康文、角川新書:2016、5、10)

内田樹・平川克美・名越康文の3人による鼎談。このうち内田・平川は同級生。名越は少し年下という年齢構成。それぞれは気の合う仲間だが、やはり性格の違いから、「一番落ち着ける場所」の状況というのは、三人三様。

「デノテーション(明示的)」と「コノテーション(暗示的)」とか、哲学的な話も出て来るのが、カフェの雑談的。第3章の『好き嫌いと価値観の共有』では、いろんな本も紹介してくれて、「グローバル化した世界を覆う無力感」「匿名性の社会のひずみ」「中国とアメリカの脅威の差異」「イスラムVS残りの国という構図」「暴力性をどうやって制御するか」「『景気がいい』は悪くなる前ぶれ」など、世界規模・地球規模の視点で、その本質に迫っていく。主に内田・平川のコンビなんですが、名越先生もちょうどいいポジションで立ち回っている感じがしました。


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(2016、6、21読了)

2016年7月 6日 18:39 | コメント (0)

新・読書日記 20116_098

『生とは、死とは』(瀬戸内寂聴・堀江貴文、角川新書:2016、4、10)

ホリエモンは、全く好きではないのだが、気にはなる。瀬戸内寂聴と、一体どんな話をしてるんやろ?という興味でこの対談集を読みました。瀬戸内さんのストライクゾーンが広いので、結構、二人の話は息が合っている。唯一「原発」に関する態度だけは「平行線」だった。どちらかというと、私も瀬戸内さんと同じで「原発反対」だが、現在すでにある原発と使用済み燃料棒を、安全に処理して廃炉に持って行くためには、原子力に関する知識のプロが、これから何十年にもわたって必要なのに、原発をもう作らない・使わないとなると、廃炉へ向けての仕事をやる若い人たちが、どんどんいなくなってしまう。それも大問題。いかに今後「使わない」ことにしていくための「安全な技術と知識」を身に付ける人を、絶やさずに育てて行くかを、国は真剣に考えないといけない。そこは、ホリエモンとちょっと意見が合いました。(私が)


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(2016、6、27読了)

2016年7月 6日 18:37 | コメント (0)

新・ことば事情

6084「ナツバ」

京阪電車の駅で見かけた、大きな文字のポスター。丸いハンコの印面のような枠の中に、こう書いてありました。

「ナツバ」

なんだろうな?と思ってみたら、この「バ」の字が大きい。あ、そうか、

「『夏場』と『夏バーゲン』の略語をかけた、複合語だ!」

と気付きました。グーグル検索では(7月4日)、

「ナツバ」=1560件

しかありませんでした。また、検索ワードを広げて見ても、

「ナツバ・夏・バーゲン」=252件

でした。そして、

「夏バーゲン」=20万7000件

こちらは、たくさん出て来ました。「ナツバ」が「夏のバーゲン」には結びついていないのですね。他のシーズンはどうか、検索してみましょうか。

「春バーゲン」=2万1000件

「秋バーゲン」=2万5800件

「冬バーゲン」=5万4300件

夏「バーゲン」が一番多く、次が「冬バーゲン」ですね。「夏物・冬物」は一掃セールがあるから「春・秋」より「バーゲン」が多いのかも。そして、

「ハルバ」= 3万9300件

「アキバ」=71万7000件

「フユバ」=    451件

あきらかに「アキバ」は「秋葉原」を意味している言葉が出て来ていますね。また、「ハルバ」は、何か食べ物の名前がトップに出て来ました。それ以外は、ほとんど使われていない言葉のようです。ついでに、

「ハルバ・春・バーゲン」=    163件

「アキバ・秋・バーゲン」=12万8000件

「フユバ・冬・バーゲン」=      5件

でした。

(2016、7、4)

2016年7月 5日 17:43 | コメント (0)

新・ことば事情

6083「大丈夫じゃね」

ワイン漫画『神の雫』の続編で『コミック・モーニング』に連載されている、

『マリアージュ』

「マリアージュ」とは「フランス語」。英語で言えば「マリッジ」、つまり「結婚」ですが、この場合は、

「ワインと料理の相性・取り合わせ」

のことですね。その『マリアージュ』の51話。(『コミックモーニング』2016年7月14日号)で、主人公の神崎雫たちが「ラタトゥーユ」(野菜の煮込み)を作るための買い出しに行ったシーンで、材料を買い揃えて、

「これでオッケーかな?」

と聞かれて、

「うん、大丈夫じゃね」

と雫が答えています。

これ、文字面だけを見ると、金水敏・大阪大学教授が提唱されている「役割語」での、

「お年寄り・博士語の語尾『じゃ』」

に、「ね」が付いたように見えなくもないです。しかしこれは、「若者」である主人公・雫の発言であることを考えると、

「大丈夫じゃない?」「大丈夫じゃねえか?」

という意味の、アクセントは語尾が高く上がる、

「大丈夫じゃね」

ではないでしょうか。アクセントを書くと、

(博士語)=「ダ/イジョ\ーブジャ・/ネ」(中高アクセント系)

(若者語)=「ダ/イジョーブジャネ」(平板アクセント)

というように大きく異なります。しかし、文字だけを見て、音声を聞けなければ、間違ってしまうかもしれないなと思ったのでした。

(2016、7、4)

2016年7月 5日 12:37 | コメント (0)

新・ことば事情

6082「たった今」

6月30日のテレビ朝日のお昼のニュースを見ていたら、フィリピンのドゥテルテ新大統領が「就任式」に臨んでいるというニュースを、マニラから中継で伝えていました。それを伝えた記者が、こう話していました。

「ドゥテルテ新大統領は、この建物の裏にあるマラカニアン宮殿で、たった今、就任式に臨んでいます。」

そのコメントに違和感を覚えました。

「たった今」

という言葉の後には、

「完了形・過去形」

を伴うのではないでしょうか?つまり、

「たった今、就任式を終えました(終えたばかりです)」

もしくは、

「まさに今、就任式に臨んでいるところです」

とすべきなのではないでしょうか。

この「たった」を『精選版日本国語大辞典』で引いてみると、3番目の意味で、

「ごく近い過去であったという気持ちをそえる」

と書かれていました。用例は、鈴木三重吉の『桑の実(1913年)18』からで、ちょっとおもしろい使い方ですが、こんなものでした。

「たった こなひだのやうに 思ってゐたけれど」

「たった」の後に「こないだ」が来る使い方、この用例から100年余りが経った現在では、あまり耳に(目に)しない気がしますね。

『三省堂国語辞典』で「たった」を引くと、

「わずか。ただ」

しか載っていませんでしたが、「連語」として「たったいま」が載っていて、

「いましがた。ただいま」

と意味があり、用例は

「たったいま帰りました」

というものでした。「ただいま」と同じようには使えない場合もあるとは思いますが、やはり「過去形」か「完了形」を伴いますよね。

そんなことを書いていたら、「たった今」(7月1日の午後6時15分)、関西テレビの「関西ローカルニュース」で、

「宝塚市で女性が腹を刺された」

というニュースを伝えていました。そのニュース、直前に「全国のニュース」でも放送していたので、関西テレビにお男性アナウンサーは、

「たった今、お伝えしましたが」

と「たった今」と「過去形」を組み合わせて使っていました。

(追記)

先ほど(7月6日)、野々村竜太郎・元兵庫県議の判決公判で、

「懲役3年執行猶予4年」

の判決が出ました。「ミヤネ屋」では、河中・長谷川記者・藤村リポーター・三浦アナウンサーがリレー形式で、神戸地裁前から裁判の様子を中継でお伝えしましたが、その中で、長谷川記者がこう言いました。

「たった今、野々村被告の裁判が、始まっておりまして」

あ!これも、

「『たった今』+進行形」

だ!本来であれば、

「たった今、野々村被告の裁判が、始まりました」

と「完了形・過去形」で言わなくちゃいけないところでした。

いま、もしかするとこういう「たった今+進行形」が増えているのかもしれません。

(2016、7、6)


(2016、7、1)

2016年7月 4日 22:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6081「名門」

2015年(去年)7月10日の読売テレビの夕方の関西ローカルニュース「かんさい情報ネットten.」で、

「名門復活」

というサイドスーパーが出て、あるボクシング部を取り上げていました。この、

「名門」

という言葉は「差別的」であるかどうか?

ええ?なんで?「名門」って、よく言うやん、どこがアカンの? 

と、普通は思う・・・と思うんですが、過去に何度か用語懇談会の席で「議題」に上がっています。ご紹介すると、

「2003年5月」の関西地区新聞用語懇談会では、

中国新聞の委員から、

マニュアルにはないが、『名門』『名家』『旧家』は、不快語に当ると判断して使わないことになっている。」

という意見が出ました。それ以外の意見はメモしていませんが、

「へえ。そんなこともあるんだ」

と思ったのは覚えています。

その後、「2009年9月」の新聞用語懇談会放送分科会では、

(フジテレビ)「名門」「家柄」はニュースで使った。

(毎日放送)「家系」「名門」を使っている。

(朝日放送)「政治家の一族」「名門」は○。

という意見が。

また「2013年6月」の新聞用語懇談会放送分科会でも、

(共同通信)「名門」など、出自に関する語はできるだけ使わない。ただ、「歌舞伎」の世界は「名門」という"幻想"で成り立つ世界なので、使わざるを得ない。「高校野球」に「名門」を使うのはダメ。

というような意見が出たことがあります。

きょう(2016年6月28日)の「ミヤネ屋」でも、覚醒剤&大麻所持の疑いで捕まった元俳優の高知東生容疑者(51)の半生を紹介した中で、高校時代に野球をやっていて、

「名門・明徳義塾」

という表現が出て来ましたが、文脈には全く差別的な意味合いもないので、そのまま放送しました。

(2016、6、28)

2016年7月 4日 18:43 | コメント (0)