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『道浦TIME』

新・ことば事情

6430「マミー・トラック」

いつも新しい言葉を見つけては報告してくれるママさんアナウンサーのMさんから、新情報が。

「道浦さん、『マミー・トラック』ってご存じですか?」

「『マミー・トラック』?知らない。何それ?」

「出産・育児休暇を終えて職場に復帰した女性が、時短などで他の社員と違う待遇で働いている時に、自分だけ違うトラックで走っているように感じる疎外感のことだそうです」

ふーん、知らなかった。「トラック」は「自動車」ではないのね。

「陸上競技のトラック}

なのですね。つまり「人生」、「働くこと」が、「陸上競技」のように「競争」になっているのですね。

それだけ、女性が「仕事の場」に組み込まれていることの表れでもあるなと思いました。

グーグル検索では(8月31日)

「マミー・トラック」=1万8600件

でした。

(2017、8、31)

2017年8月31日 18:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6429「ボギーを叩く」

8月13日のNHK19時のニュースを見ていたら(飛行機の中で、ですが)、

全米ゴルフ選手権に出場中の松山英樹選手が、

「1番ホールで、いきなりボギーを叩きます」

とアナウンサーが原稿を読んでいました。この

「ボギーを『叩く』」

に、違和感がありました。なぜなら、

「パーパットを外して、ボギー」

だったのです。そして「パット」は、

「打つ」

であって、「叩いて」は、いませんでした。

第1打をドライバーで打って「OB」なら、

「叩く」

でも良いと思いますが、なぜ「ボギーを叩く」なのでしょうか?

・・・あ、そうか!「パットを叩いた」でのはなく「ボギーを叩いた」、

つまり「叩く」は、

「『ミスショット』という『マイナスの結果』」

に対して使われるということなのでしょうか?「OB」もそうですもんね。

一般的な「叩く」とは、意味が違うのかもしれませんね。これが、

「記録を叩き出した」

だと、「プラスの意味の結果」で使われるんですけどね。

「平成ことば事情5919 叩き出す」もお読みください。


(2017、8、31)

2017年8月31日 15:16 | コメント (0)

新・読書日記 2017_100

『下に見る人』(酒井順子、角川文庫:2016、1、25)

おなじみ酒井順子さんのエッセイですが、テーマとして正にタイトル通り「人間の上下関係」が一本、筋として通っています。

日本では従来、儒教的な「年令による上下関係」があり、それに伴って「敬語」もある。ただ、「年令」ではなく「役割」によっての「上下関係」もあり、そこは「機能」として「敬語」を用いることで上手く世の中が回っていくと。最近、「能力主義」が欧米から入って来て(「最近」と言っても、もう数十年経つけど)、それによって従来の「上下関係」が崩れて来たことが、今の世の中の乱れにつながっているのではないか?などと書くと、まるで昨今の「ウヨ」系の人みたいですが、まあ、少し真実も含まれているのではないかな。そして「(相手を)下に見る=上から目線」であるから、その「上から目線」に対する反発が世の中に満ち溢れているのも、「なんだかな・・・」という感じがしますね。

酒井さんは「『先に生まれた方がエラい』にしておいた方が、『能力が高いほうがエラい』よりも、ストレスが少ないのではないかな」などと書かれています。

これまでの人生において、他人を「下に見て来た」酒井さんが、悔い改めたことを確認するの「懺悔の書」でもありますね。


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(2017、8、26読了)

2017年8月29日 16:35 | コメント (0)

新・読書日記 2017_099

『死ぬほど読書』(丹羽宇一郎、幻冬舎新書:2017、7、30第1刷・2017、8、16第3刷)

売れてますねえ。1か月足らずで3刷です。字も少し大きめだし、読みやすい。元・伊藤忠商事社長で、初の民間中国大使も務めた著者。読書とのかかわりを書いています。

先日新聞に、若者からの「読書は、なぜしないといけないのか?」とい投書があって、それに対する「アンサー」として書かれたのがこの本。

この本の印税は、伊藤忠創業者・伊藤忠兵衛関連の資料保存のため、滋賀大学の史料館と、中国からの日本への私費留学生のための奨学金とするために日中の友好協会へ全額寄付されるとのこと。エライ!

「他人の失敗談は役に立たない」「怒りを抑えるよりは、小出しに出す」

などなど、「なるほど」と思いました。本好きにとっては、特に目新しい内容ではありませんでしたが。

タイトルは、結構インパクトがあるが、最終章のタイトル「本の底力」というのも、この本で言いたかった「本質」なんじゃないかなあと思いました。


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(2017、8、25読了)

2017年8月29日 10:48 | コメント (0)

新・読書日記 2017_098

『潔白』(青木俊、幻冬舎:2017、7、10)

これはおもしろかった!

既に死刑が執行されて何年もたつ元死刑囚である父の冤罪を晴らすために、その元死刑囚の娘と、それに共感した弁護士・雑誌記者・新聞記者、父の死刑執行に立ち会った牧師などが出て来ます。

読み始めたら一気に読んでしまった。二転三転四転していく状況は、正にミステリー。後半にいくにつれて加速する感じ。実際の冤罪事件などの情報も盛り込んであるので、小説でありながら、現状の司法制度や捜査体制、DNA鑑定の信頼度の問題、冤罪、死刑制度、司法の硬直した権威主義・官僚制度の問題点などへの疑問点を突き付ける作品になっている。おもしろい・・・というとなんですが、大変興味深い一冊でした。


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(2107、8、27読了)

2017年8月28日 21:46 | コメント (0)

新・読書日記 2017_097

『笑福亭鶴瓶論』(戸部田誠<てれびのスキマ>、新潮新書:2017、8、20)

2016読書日記094 『1989年のテレビっ子』と、2016読書日記204『大人のSMAP論』(速水健朗・戸部田誠・みきーる、宝島新書)で、この著者の本は読んだことがある。去年からですね、読み出したのは。

巻末に「引用・出典一覧」があるのだが、かなりたくさんの引用がある。というか、主に直接本人に取材したものではなく、これまでに書かれた本や雑誌の文章や、番組での発言を集めて書かれた「笑福亭鶴瓶」論。少し「二次情報」に基づいている感じが強いが、それは、あえてそうしたのでしょう。しかし、物凄い量の資料を集めて来ているので、読んでいて感じたのは、何百・何千もあるジグソーパズルのピースを集めて「笑福亭鶴瓶」の肖像画を完成させたような感じですね。本人に会って、「パチッ」と写真を写したら出来るであろう肖像写真が、断片的なピース(その小さいピースもまた、鶴瓶の写真で出来ているような感じ)を組み合わせて出来た肖像画である。

最初の「第1章 スケベな男」から始まり「スケベな芸人人生」「スケベな家族」「スケベな縁」「スケベな哲学」まで、全5章がスケベ、いや"すべて"「スケベ」というキーワードでまとめられている。この「スケベ」は、いわゆる「エッチ」「わいせつ」という意味のストレートな「スケベ」ではない。「人間が好き」「人と人とのつながりを大切にする」「他人に対して好奇心が強い」という意味での「スケベ」である。著者は、まさにそれこそが「鶴瓶の本質である」と言いたいのだと思う。

本書の中で紹介された番組では、やはり「ぬかるみの世界」と「パぺポTV」が思い出深い。もっと詳しく書いてくれても良かったのにと思った。

一度だけ、まだ「パペポ」が読売テレビの旧社屋(大阪・南森町)で収録をしていた頃、先輩と一緒に行った小さな焼き鳥屋「美鳥亭」で、収録後に来られた鶴瓶さんに出会ったことがある。そのことを、次の週の「ぬかるみ」で話してくれたのは、うれしかったなあ。そんな風に「スケベ」なんですよね。一般的には「人たらし」と呼びますね。

で、「鶴瓶の家族に乾杯」を、今見てる。すごいな、鶴瓶さんは。自然なのに面白いです。改めて、スゴイと。


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(2017、8、24読了)

2017年8月28日 19:45 | コメント (0)

新・読書日記 2017_096

『日本水没』(河田惠昭、朝日新書:2016、7、30)

日本では、ことしもまた「水害」が起きた。1時間に100ミリを超えるような、これまでだと「五十年に一度の大雨」が、毎年、何度もやって来るのだ。防災の専門家の河田先生は、

「大地震に備えるのも大事だが、それよりも毎年必ずやって来る水害・豪雨災害に対して、日本は余りにも無防備である」

と、警鐘をガンガン鳴らしている。

アメリカ・テキサスでも今まさに、大変な洪水が起こっている!世界中で「水の災害」への「防災」を考えなくてはならない。

この本は去年出たものだが、まったく古びていないどころか、最新の内容だと思う。そして、国に対して「防災省」の創設を提案しているが、それは誰も今まで考えなかったが、この10年で当然必要とされる役所なのではないか。

消防のポンプ車では、地下50メートルの地下鉄の構内に溜まった水を汲み出せない。台湾では、海軍の艦艇の排水ポンプで汲み出したことがあるという。

また、「防潮堤」も、昔の基準でできているものが多いので、いざという時に閉まらなくなっているものもある。最新の災害を防げないと、意味がない。

そういう規模での防災を考えないといけないとなると、「防災省」は必要なのではないだろうか。


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(2017、8、6読了)

2017年8月28日 19:42 | コメント (0)

新・読書日記 2017_095

『冷戦とクラシック~音楽家たちの知られざる闘い』(中川右介、NHK出版新書:2017、7、10)

著者の中川さんから、直接お会いした時に贈呈して頂いた。ありがとうございます。

380ページ余りの分厚い新書。話が話だけに、カタカナの人名・地名などが多いので、なかなか頭に入って来なくて、読むのに、大変時間がかかった。が、内容は濃い。

いつも思うのだが、よくこれだけの歴史の流れを、頭の中で整理できるものだなと。すごいです。

「コンクールの話」が出て来るという点では、直木賞作品・恩田陸の『蜜蜂と遠雷』と同じだか、全然違う。『蜜蜂と~』が「個人のアーティストの闘い」であったが、こちら『冷戦と~』は、「国際政治の中でのコンクール」の存在に光を当てている。

郵便学者の内藤陽介さんが「切手はメディアである」と言い、「切手」を国家が外交手段として、統治手段として使っていたことを明らかにしているが、中川さんは「音楽コンクール」もまた社会主義国家にとっては、それと同じような「外交・統治手段」であったことを明らかにしているなと思った。

「あとがき」を読むと、冷戦時代のスパイを描いたスペルバーグ監督の映画『ブリッジ・オブ・スパイ』を見て、その中でショスタコーヴィチの『ピアノ協奏曲第二番』が流れるのを聞いて「ベルリン・冷戦・ショスタコーヴィチ」の三題噺を思いついて、膨らませたものだと。随分、膨らみましたね。

そのほか、いろいろ感じたこと、いくつか。

1989年7月16日、ソニーの大賀典雄会長(当時)と、ザルツブルクの自宅で会っている時に心臓発作で亡くなったカラヤン。もし、当時「AED」があれば、カラヤンは助かったのではないだろうか?(322ページ)

*チャイコフスキー・コンクールはいつの間にか亡命音楽家養成機関となっていた。(298ページ)=「音楽」は世界に開かれているので、本来は国境がない。優秀な音楽家であればあるほど、人間が人為的に作った「国家」という線引きを超えるのだろう。

*世界最強のソ連共産党をしてもロシア正教を根絶させることできなかった。それでも、ソ連の人びとはよほど信仰が強くない限りは教会で葬儀を行うことはなかった。だがムラヴィンスキーは遺言でロシア正教会での葬儀を望んだ。(310ページ)=「宗教・音楽・国家」の「三題噺」でもある。

などなど、とても勉強になりました。

後半に、誤植等、気になる表記が幾つか。

253ページ9行目 ×「ソ連政府による協力なコネがあった」→◯「強力なコネ」

265ページ5行目 ×「十五間」→◯「十五年間」

278ページ10行目 △「大統領選で再選したニクソン」

→○「大統領選で再選されたニクソン」「大統領選で再選を果たしたニクソン」

285ページ14行目 「審査委員長でもあるカジミエシ・コルド」と、

288ページ7行目 「審査員長のコルド」※肩書の表記不統一


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(2017、8、20読了)

2017年8月28日 12:16 | コメント (0)

新・読書日記 2017_094

『1984年の歌謡曲』(スージー鈴木、イースト新書:2017、2、15)

2017読書日記093『サザンオールスターズ1978-1985』の前に書かれたもので、まあ「姉妹書」というか、重なる部分もある。

この「1984年」というのは、私が大学を卒業して会社に入った年で、思い出深い年でもあるので、「読まなくちゃ!」と読みました。

これもほとんど、知っている(歌えそうな)曲が多いが、こんな分析は全くしていなかったなあ。ただ聞いて楽しんでいただけ。さすが専門家だと思いました。

実は音楽業界の中でも「世代交代」などが行われていた「分水嶺」的な年の一つだったのですね、「1984年」は。実感を持って、読むことができました。


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(2017、8、13読了)

2017年8月27日 12:11 | コメント (0)

新・読書日記 2017_093

『サザンオールスターズ1978-1985』(スージー鈴木、新潮新書:2017、7、20)

著者は1966年生まれ、大阪出身で早稲田大学政治経済学部卒業。後輩じゃん!

水道橋博士の「メルマ旬報」というウェブマガジンで連載していたものをまとめたという。

ハッキリ言って、おもしろい!ほぼ同年代(ちょっとズレるが)で、「青春時代」と「サザンの萌芽期」が重なっている。どの曲も知っている。1978年から1985年の初期のサザンこそが、「サザンの本質」であるという主張は「その通り!」だと思います。当時のCDを聞きながら読んでいたら、もう、はまってしまいましたね。ここまで詳しく分析したことはないけれど、「そうそう、そんな感じ!」「そうかそうか、そうだったのか!」と思いながら読めました。ありがとう!!


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(2017、8、1読了)

2017年8月26日 19:09 | コメント (0)

新・ことば事情

6428「和ジェラート」

街を歩いていたら、

「和ジェラートのお店」

という看板を見かけました。ついに、ここまで「和」が進出したか。

「2001年12月」に、

「和チック」

という言葉に出会い(平成ことば事情521)、その後、注目して来た、

「和○○」

という言葉は、その6年後の「2007年2月」には、

「和チョコ」

が出て来て、さらに2年後の「2009年4月」には、

「和モダン」

に到り、ついに「2017年8月」、

「和ジェラート」

と、「和○○」の「○○」に、

「イタリア語」

が入りました。そのうち、

「和ピロシキ」「和ウオツカ」(ロシア語)

とか、

「和ブイヤベース」(フランス語)

とか、

「和タパス料理」(スペイン語)

とか

「和キムチ」「和カルビ」「和ナムル」(韓国語)

とか、

「和ザワークラウト」(ドイツ語)

とかも出て来るのでは?もう、あったりして。

(2017、8、25)

2017年8月26日 12:06 | コメント (0)

新・ことば事情

6427「『長細い』の読み方」

先日、「大阪と構想」の区割りの形が、南北に長い地域があるというニュースを放送していました。その際に、黒木千晶アナウンサーが、

「長細い」

という言葉を、

「ナガホソイ」

「濁らず」に「清音」で読んでいたので、

「それは『ナガボソイ』と『濁る』に決まっているだろう!」

と思って『NHKアクセント辞典』を引いてみたところ、なんと「清音」の、

「ナガホソイ」

しか載っていませんでした!

黒木アナウンサー(神奈川・横浜出身)に聞いてみたところ、

「私も『ナガボソイ』と『濁る』と思っていたのですが、お昼のニュースで虎谷アナウンサーが『ナガホソイ』と濁らずに読んでいたので、アクセント辞典を引いたら、『清音』しか載っていなかったので、濁らずに読みました。」

とのこと。

これはもしかしたら、「地域差」があるのではないか?と思って、知り合いのアナウンサー・元アナウンサーなど言葉の感覚の鋭い皆さんにメールで質問をしたところ、たくさん返事が返って来ました。質問文は、以下の通りです。

***************************************

さて、今回は、

「長細い」

の読み方についてお伺いします。「ニュース原稿」に出て来た場合に、どう読みますか?

(1)ナガホソイ(清音)

(2)ナガボソイ(濁音)

(3)ナガッポソイ(促音)

つまり「細い」を「ホソイ」と「清音」で濁らないか?「ボソイ」と濁音=濁るか?はたまた「~ッポソイ」と促音になるか?という問題です。

私は(2)の「ナガボソイ」しか思い浮かばなかったのですが、『NHK日本語発音アクセント新辞典』には、

(1)ナガホソイ(清音)

しか載っていないのです。また「国語辞典」もいくつか引きましたが(見出しが載っていないものも多かったのですが)、私が見た範囲で載っていたものは、全部(1)「ナガホソイ」(清音)でした。

ただ『三省堂国語辞典』は、見出しは(1)「ナガホソイ」(清音)でしたが、語彙説明の中に(2)「ナガボソイ」(濁音)も載っていました。

読売テレビアナウンス部内で聞いたところ、圧倒的に(2)ナガボソイ(濁音)が多かったです。

「ミヤネ屋」のスタッフにも何人か聞いたところ、「福岡県出身」の2人が、(1)「ナガホソイ」と「清音」で答えた以外は、(2)ナガボソイ」(濁音)でした。

皆さまはいかがでしょうか?

お返事お待ちしています!!

****************************************

そして、返って来たメールは以下の通りです。

(1)ナガホソイ派(清音)=13人

*O氏(ytv・神奈川出身)

私は、(1)「ナガホソイ」と迷いなく読みます。逆に、(2)の「ナガボソイ」は全く浮かびませんでした。(3)「ナガッポソイ」は、「そう言う人もいるかも」という程度です。

*S氏(元NHK・東京出身)

「長細い」については、貴局のアンケートに若干ショックを受けています。(2)「ナガボソイ」は、私の年代ではあまり聞いたことがなく、聞いたとしても『三省堂国語』が言うような「異形」ではなく、「誤形」と思うでしょう。東京方言では(3)「ナガッポソイ」がありますが、高齢者、男性に多い方言です。最近は「長細い」ではなく「細長い」を使う人が増えてきている感じがします。(意味は若干違うように思うのですが、同等と思っている人も多くなっています)「細」が「後部」に来る場合は、「前部が名詞」の場合は「濁音化」し、「前部が用言」だと「清音のまま」という原則がありそうです。「心細い、腰細、か細い」などに対して、「痩せ細る」があります。「長」が「名詞化」したということでしょうか?念のため、(2)「ナガボソイ」形使用者は、「ホソナガイ」と「ナガホソイ」どちら を優先するのでしょうか?ひょっとすると、「ナガボ(ホ)ソイ」は、使用語彙から転落しているのではないでしょうか?

*S氏(元ytv・埼玉出身→大阪)

(1)「ナガホソイ」。絶対、濁りません。

*A氏(ABC・東京出身→大阪)

「長細い」の読みですが、結論から言いますと、54年の人生で(1)「ナガホソイ」以外の読みをしたことはありません。今回の場合の「ホソイ」が「濁り読み」になるという発想、感覚は私の中には存在していないので、メールを拝読して驚いた次第です。日本語としての法則等は把握できていませんが、東京生まれの私の言語感覚では、今回のお尋ねの「長細い」の「ホソイ」の読みが「濁る」ことは、選択肢にありません。何が正しいのかはわかりませんが、私の感覚は以上のとおりです。これからも原稿に出てきた場合は、迷うことなく、(1)「ナガホソイ」の「濁りなし」の読みを採用します。

*H氏(ytv・静岡出身)

もし、「長細い」がニュース原稿の中に出てきた場合は、まずデスクに「これ、細長い、じゃないの?」と尋ねるかもしれません。「長細い」は関西方言か、若者ことばで、正しい言葉としては「細長い」だと思っていたので...。だから「NHKアクセント辞典」に「長細い」が載っていたことも意外です。敢えて「長細い」で読まなければならない場合は、濁らず(1)「ナガホソイ」です。完全な成語だという意識はないため、音便変化をさせないで、濁音化も促音化もなしです。ytvアナウンス部で(2)「ナガボソイ」が多かったとは意外です。しかし、言われてみれば確かに会話の中で「ナガボソイ」をずいぶん聞いたことがある気がします。

*K氏(テレビ東京)

私は生まれてこのかた(1)「ナガホソイ(清音)」しか使ったことないですし、聞いたことがないのですが。それで何か言われたり、困ったことはありません。

*T氏(ytv・青森出身→大阪)

先日、昼ニュースの原稿に「長細い」が出てきました。正直言いますと「細長い」じゃないの??と最初、思いました・・・。なので「長細い」という言い方自体にひっかかり、「NHKアクセント辞典」を調べたので、<そこに(1)「ナガホソイ」しか載っていなかったので>、何の疑問も持たず(1)「ナガホソイ」と読みました。

*S氏(フジテレビ)

スミマセン、清音(1)「ナガホソイ」派です。

*M氏(ytv・大分出身→大阪)

(1)「ナガホソイ」。濁りません。

*A氏(フジテレビ)

私は(1)「ナガホソイ」ですね。濁って読むことは無いと思います。もっと言うと「長細い」より「細長い」と言う方が圧倒的に多いです。

*T氏(テレビ金沢)

弊社では特に迷ったことはありません。『NHK日本語発音アクセント新辞典』の988ページに基づき、(1)「ナガホソイ」と濁らずに読みます。

*I氏(テレビ信州)

私は、(1)ナガホソイです。お願いします。

*O氏(ytv・埼玉出身)

(1)の「ナガホソイ」です。

(2)ナガボソイ派(濁音)=17人

*I氏(ytv・長野県出身)

私も道浦さんと同じく(2)「ナガボソイ」と、濁って言っていました。

*M氏(元テレビ新潟・神戸出身)

(2)「ナガボソイ」!!でした。(1)「ナガホソイ」が正式なら、盲点でした。ひえー。「カン、ハツヲイレズ」とか「キラ、ホシノゴトク」とかのたぐいで、間違えないように!の範疇ですかねー。ショック&感謝です。

*S氏(テレビ岩手・兵庫出身→東京→岩手)

自分の人生で、「長細い」を(1)「ナガホソイ」と発音したことはありません。(2)「ナガボソイ」(濁音)です。アクセント辞典や国語辞典のほとんどが、(1)「ナガホソイ」(清音)のみを載せているというのには驚きました。でも、次に原稿に出てきても、(2)「ナガボソイ」(濁音)としか読めません・・。

*K氏(元ytv・岩手県出身→福岡→大阪)

興味深い話題ありがとうございます。小生は(2)「ナガボソイ」です。「理論的裏付け」はありませんが、形容詞が二つ、つながって出来ている言葉は「濁る」ことが多いような気がします。「赤黒い⇒アカグロイ」。他に類例が思い浮かびませんが・・・

*T氏(MBS)

「長細い」は、私も道浦さんと同じく(2)「ナガボソイ」と連濁したいです。「長い」と「細い」をそれぞれ独立性を高くして、「細いこと」もしっかり立てたいなら「ナガホソイ」です。「心ぼそい」という言葉も影響しているかも知れません。

*H氏(元ytv・京都出身)

僕も迷いもなく(2)「ナガボソイ」です。ただ言われてみれば(1)の「ナガホソイ」も 絵面が伝わってきますね。

*H氏(ytv・大阪・豊中出身)

私も「濁る派」で、(2)「ナガボソイ」です。

*T氏(ytv・兵庫出身)

私も(2)「ナガボソイ」だと思っておりました。

*S氏(ytv・岡山出身)

私は(2)「ナガボソイ」派です。今の今まで気が付きませんでしたが、会社PCだと(2)の「ナガボソイ→長細い」の一発変換も出来ないんですね。また、私自身は日頃は「長細い」よりも「細長い」を使っている気がします。

*K氏(MBS・愛知県出身)

私も(2)の「ナガボソイ」しか思い浮かびませんね。ちなみに私は愛知出身です。

*K氏(MBS・大阪出身)

(2)の「ナガボソイ」しかありませんよ!

*H氏(ytv・大阪出身)

私は(2)の「ナガボソイ」と迷わずに読んでしまうと思います。

*M氏(ytv・長崎出身)

私は(2)「ナガボソイ」で読みますが、(1)「ナガホソイ」でも違和感はありません。

*H氏(和歌山放送)

「長細い」は、やはり(2)「ナガボソイ」でしょう。(1)「ナガホソイ」では、かなり違和感があります。周りに聞いても、(2)「ナガボソイ」でした。

*S氏(中京テレビ)

私の周辺では、すべて(2)「ナガボソイ」でした。日常、(1)「ナガホソイ」という「清音読み」は聞いたことがありません。恥ずかしながら、辞書で調べたことはありませんでした。

*S氏(南海放送)

「長細い」の件ですが、私自身も(2)「ナガボソイ」と読みますし、弊社の上長にも確認したところ(2)「ナガボソイ」と「濁音」で読むとのことでした。

*M氏(ytv・福岡出身)

私は(2)「ナガボソイ」ですねぇ。さらに「ハダザムイ」と「濁る」派。こうなってくると「ココロホソイ?」はないですが・・・失礼。

(1)と(2)混在の回答=7人

*K氏(福島中央テレビ)

・福島県民・東京都民 ⇒(1)「ナガホソイ」(清音)

・大阪出身アナは ⇒(2)「ナガボソイ」(濁音)これで疑ったこともなかったそうです。

(3)「ナガッポソイ」(促音)は、聞いたことがありません。

*K氏(WOWOW・神奈川出身)

横浜出身です。僕は疑問の余地なく、清音の(1)「ナガホソイ」だと思いますが、元アナ&山口県出身の妻は、間違いなく濁音の(2)「ナガボソイ」だと言ってます。

*I氏(KTV・神奈川・川崎出身)

(1)「ナガホソイ」を使います。妻が大阪市内出身で、普段から(2)「ナガボソイ」と言うので、以前から気になっていました。ただ関東人の私としては「長細い」より「細長い」を使いたくなります。原稿に「長細い」があったらデスクに「細長い」に言い換えていいか聞くと思います。

*K氏(高知放送)

 弊社アナウンス部員に確認しました。

10人中「ナガホソイ」「ナガボソイ」=「5対5」と半々になりました。

(1)「ナガホソイ」が東日本(東京、埼玉、北海道出身)、

(2)「ナガボソイ」が西日本(京都、大阪、宮崎、鹿児島出身)

と、見事に東日本と西日本に分かれました。「濁音」派は、心細い・か細いと同じという意見です。私は「清音」です。これは個人的な感覚でいいますと「細長い」と似た言葉だから「濁らない」のかなと。といいましても、皆あまり深く考えたことはなかったようです。参考になれば幸いです。

*K氏(元・日本テレビ)

私は、(1)「ナガホソイ」の「清音」派です。周囲では、ほぼ全員が(1)「ナガホソイ」(清音)でした。いずれも関東圏の出身です。熊本出身者と松山出身者の2名だけが(2)「ナガボソイ」(濁音)でした。(九州は割れましたね)東京・下町出身者さんは(3)「ナガッポソイ」(促音)とも言うと・・・(笑)。やはり、地域差があるのではないでしょうか...。その"境目"が気になります。面白いですね。

*O氏(テレビ大分)

アナウンス室のメンバー7人に聞いてみたら...

(1)「ナガホソイ」派=5人

(2)「ナガボソイ」派=2人

でした。うちは、ほとんどが大分県出身、全員が九州出身なのですが。

*Y氏(日本テレビ・長野出身)

私は、(1)の「ナガホソイ」しか思い浮かびません。周りにいるアナウンサーや報道フロアの人間に聞いても、(1)「ナガホソイ」という「清音」が多数派でした。(2)の「ナガボソイ」派は、大阪出身のTさんと、滋賀県出身のKキャスターだけでした。やはり東西差があるのでしょうか?でも、「か細い」とか、「心細い」は、ともに「ボソイ」と、濁音になりますね。マジックの極細も、「ゴクボソ」と濁音ですね。もしかしたら、何か法則があるのでしょうか?

まとめると、

(1)ナガホソイ(清音)=13人

(2)ナガボソイ(濁音)=17人

ですが、最後の「(1)(2)混在」というのは、ご本人以外の方にも聞いて頂いた結果「混在」ということなので、その人数(わかっている分)を(1)と(2)に振り分けた上、、私、道浦=(2)ナガボソイ(濁音)も人数に加えると、

(1)ナガホソイ(清音)=19+α

(2)ナガボソイ(濁音)=21

ということになります。「+α」は「K氏(元・日本テレビ)のオフィスの周囲にいた関東出身の人たち」と「Y氏(日本テレビ・長野出身)の周りにいるアナウンサーや報道フロアの人間」です。それぞれ「5人ずつ」と仮定すると、「10人」プラスになって、

(1)ナガホソイ(清音)=29※(推定)

(2)ナガボソイ(濁音)=21

といった感じですね。いずれにせよ、かなり拮抗しています。また、「生まれ育った"地域差"」があるようで、大きく分けると、

*東日本=(1)ナガホソイ(清音=濁らない)

*西日本=(2)ナガボソイ(濁音=濁る)

という傾向があるようです。

しかし、大分出身者を始め「九州」は、混在しているような感じですねえ。

これはおもしろいな。「清音・濁音」で「東西差」がある言葉では、

「保健所」「研究所」「保育所」

などの「所」は、

*東日本=ジョ(濁音=濁る)

*西日本=ショ(清音=濁らない)

と、「長細い」とは逆での傾向があるんですけどね。

同じように「名字」の読み方でも、

「中島」「浜崎」

の「島」「崎」については、

*東日本=ジマ、ザキ(濁音=濁る)

*西日本=シマ、サキ(清音=濁らない)

という傾向があるようですが。日本語って面白いなあ。

(2017、8、25)

2017年8月25日 18:20 | コメント (0)

新・ことば事情

6426「ペトリコール」

先日ツイッターで知った言葉、

「ペトリコール」

これは、

「雨が降る時に、地面から立ち昇る匂い」

なのだそうです。

英語には、こういう状況を指す言葉・単語がちゃんとあるのですね。日本語にもあるのでしょうけど、パッとは思いつきません。

グーグル検索では(8月18日)

「ペトリコール」=6万5700件

でした。「ウィキペディア」によると、

「ペトリコール=この言葉は1964年にオーストラリア連邦科学産業研究機構の鉱物学者ベアー(Isabel Joy Bear)とトーマス(R. G. Thomas)が『ネイチャー』に発表した論文の中で作られた造語。論文では、"長い間日照りが続いた後の最初の雨に伴う独特の香り"をペトリコールを定義している。特定の植物から生じた油が地面が乾燥している時に粘土質の土壌や岩石の表面に吸着し、雨によって土壌や岩石から放出されることにより独特の匂いが発生するとしている。(中略)雨の匂いの原因となる物質としては他に、雷によって発生するオゾンや土壌中の細菌が発生させるゲオスミンなどが知られている。」

とのことでした。

「特定の植物から生じた油」が関係するから「ペトリ」なのか!

(2017、8、18)

2017年8月25日 15:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6425「到着しております」

東京へ行った帰りの新幹線。名古屋に着きました。

停車中、女性車掌のアナウンスが気になりました。

「ただ今、名古屋に 到着しております」

うん?

「到着しております」

なんかヘンだなあ。

40分後、今度は京都に到着。そして、アナウンス。

「ただ今、京都に 到着しております」

これって、「到着」ではなく「停車」を使って、

「ただ今、名古屋(京都)に 停車しております」

ではないでしょうか?「到着」を使うのは、

「到着しました」「到着です」

でしょう。それと、

「ただ今」

と組み合わせるからおかしいので、もしこれが、

「すでに」

と組み合わせて、

「すでに、名古屋(京都)に到着しております」

なら、おかしくない。または、

「先ほど、名古屋に到着しております」

でも、まあOKかなあ。

この言葉は「発売」と「販売」の関係に似ていて、「到着」も「発売」も、

「ある限られた瞬間を指す」

ので、その「継続状態」というのは、ちと、おかしいですね。

この車掌さんの口癖なのでしょうか?他の人は、言わないのかな?

(2017、8、24)

2017年8月25日 15:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6424「『かわいい』と『かわいくない?』」

若い女の子が言う、似た意味の言葉に、

「これ、かわいい!」

というのと、

「これ、かわいくない?」

があります。以前は「これ、かわいい」と言っていたのが、最近は「これ、かわいくない?」のほうが、よく耳にする気がします。どう違うのか?考えてみました。

それによると、「かわいい」は、

「自己評価・絶対評価」

ですが、「かわいくない?」は、

「評価の決定を他者に委ねた相対評価」

のような気がします。「クエスチョンマーク」が付く「疑問文」の形(付加疑問文っぽい)を取っているほうが、「婉曲表現」ですね。他人に気を使っているという。それだけ、自分の考えに自信がなくなってきているのかな?配慮しないとダメなのか、空気を読まないと。これも「忖度」の一つなのかもしれませんね。

(2017、8、21)

2017年8月22日 11:13 | コメント (0)

新・読書日記 2017_092

『Mr.トルネード~藤田哲也 世界の空を救った男』(佐々木健一、文藝春秋、2017、6、15)

著者の佐々木健一さんは、NHKのディレクター。以前、一度だけお目にかかったことがあるが、以降メールで色々と連絡をくれる。素晴らしい作品を、これまでにもいくつも作り出しているが、映像では描ききれなかったことをこうやって文字で本にして書かれている。この本を入れて、これまでにも3冊書いているが、いずれも素晴らしい。

何が素晴らしいか?まず着目点。この本の「Mr.トルネード」と呼ばれた竜巻の研究者「藤田哲也」という人、皆さん知ってますか?私は知りませんでした。「トルネード」って「野茂投手」かと思っていました。

しかし、読んでいくと「竜巻のスケール」を表す「F」というのは、これまでに聞いたことがあった。その「F」は、実は「藤田のF」なのだという。それは知らなかった。

そして、航空機墜落事故の原因が「ダウンバーストである」と解明したのは、まさにこの藤田博士だという。その藤田博士とは、一体どんな人だったのか?解明していく様子は、まるでミステリーを読んでいるよう。

全世界の人々が安心して飛行機に乗れるようになったことの要因の大きな一つとして、この「ダウンバースト」の解明があった。その本を、3年ぶりの海外家族旅行で行った飛行機の中で読みました。ありがとう、藤田博士、佐々木さん!


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(2017、8、11読了)

2017年8月21日 21:12 | コメント (0)

新・ことば事情

6423「借りたい放題、使いたい放題」

8月21日の日本テレビ『スッキリ!!』で、コインランドリーの特集を放送していました。この話題、「ミヤネ屋」でも1か月ぐらい前に放送した覚えがあります、梅雨の時期に。

それはそれとして、その中に出て来た言葉で、

「借りたい放題」「使いたい放題」

というナレーションがありました。

しかし、画面上で文字で出ていたのは、

「借り放題」「使い放題」

でした。それが本来だと思いますが、話し言葉では、確かに「たい」を入れた形の、

「借りたい放題」「使いたい放題」

を耳にする気がします。

グーグル検索では(8月21日)

「借り放題」  =  30万7000件

「借りたい放題」=   2万6700件

「使い放題   」=117万0000件

「使いたい放題」=  31万1000件

ということで、従来の言い方のほうが「ヒトケタ、数が多い」ですね。

厳密には、「借り」「使い」(放題)は、

「実際に動作に入っている」

ように思えますが、「借りたい」「使いたい」(放題)は、

「そう思っているだけで、まだ動作に入っていない」

ように思えます。微妙にニュアンスは違うのかな?しかし、これから増える言い方かもしれませんね。

なお「放題」関連では、「平成ことば事情4288 食べ放題 払い放題」と「平成ことば事情5913 超食べ放題」も、お読みください。

(2017、8、21)

2017年8月21日 21:09 | コメント (0)

新・ことば事情

6422「『白人至上主義』の読み」

8月13日NHK19時のニュースで、アメリカ・ヴァージニア州で、白人至上主義者と差別反対の団体が衝突し死者が出た事件のニュースで、女性アナウンサーの読み方が気になりました。「白人」の、

「は」

が「無声化」(息が漏れて)してしまった上、「あ」の母音が、口が狭すぎるためか「う」の母音になってしまったために、

「ふ」

に聞こえて、その結果「白人至上主義」が、

「福神至上主義」

に聞こえるのです。私の耳が悪いのかもしれませんが。どうしても、カレーに添えられた、「福神漬け」

が頭の中に浮かんできてしまいました・・・。

(2017、8、21)

2017年8月21日 14:35 | コメント (0)

新・ことば事情

6421「『好不調』のアクセント」

NHK8月13日の19時のニュース。全米プロゴルフ選手権に出場していた松山選手のニュースで、女性アナウンサーが、「好不調の波」の、

「好不調」

をコンパウンドして、

「コ/―フ\チョー」

と読んでいたのを聞いて、違和感を覚えました。これは元々、

「好調」「不調」

という「反対の意味の2語」を合わせたものですから、読み方(アクセント)も2語に分けて、

「コ\ー・フ/チョー」

なのではないでしょうか?

『NHK日本語発音アクセント新辞典』には、「好不調」は載っていませんでした。

(2017、8、21)

2017年8月21日 14:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6420「観光バスと観光客」

8月19日のNHK正午のニュースで、北海道で観光バスが道路脇に転落、39人がケガをしたというニュースが流れていました。その際アナウンサーが、

「観光客」

というのを読み間違えて言い直しました。アクセントが、

×「カ/ンコーキャ\ク」

だったのです。正しくはもちろん、

◯「カ/ンコ\ーキャク」

と、「コ」の後で下がります。

それを聞いて、「なぜ読み間違えたか」を推測しました。

おそらくは、その前に出て来た、

「観光バス」

のアクセント、

「カ/ンコーバ\ス」

につられたのでしょうね。「観光」は同じですしね。

しかし、もう少し先まで見通して原稿を読まないと、事故を起こしてしまいますね。それはバスの運転手と同じですね。

(2017、8、21)

2017年8月21日 14:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6419「外車か?外国車か?」

7月の半ば頃、「ミヤネ屋」のテロップチェックをしていたら、

「外車」

という言葉が出て来ました。一旦「○」を付けてから「ちょっと待てよ」と。

もうずいぶん前から、

「外人」

という言葉は使わずに

「外国人」

という言葉を使っていますね。その伝でいけば、「外車」は使わずに、

「外国車」

にすべきではないか?と思ったのです。

一応、「外国車」に直したのですが、これは、あまりこれまでに取り上げられたことのないポイントではないかなと思いました。

(2017、8、21)

2017年8月21日 14:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6418「ウマやか 2」

もう17年前も書いて、追記以来でも11年ぶり。「平成ことば事情198 ウマやか」の続編です。そう、大阪の京阪電車・京橋駅の売店の後ろの広告看板に書かれていた、

はれやか。しとやか。なごやか。

 

まろやか。さわやか。こまやか。

 

しなやか。はなやか。おだやか。

 

かろやか。すこやか。にぎやか。

 

スポやか。ウマやか。

という「○○やか」の言葉の羅列。その中に

 

「ウマやか」

という変わった言葉があったと。

7月26日に、そのいつもの広告看板を何気なく見たら、なんと、変わっていたのです!

「サンスポ ZBAT競馬」

たぶん、

「ズバッと」

と読むんでしょうね、「ZBAT」は。

なんか普通になっちゃって、寂しい感じがしました。

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(2017、8、18)

2017年8月18日 18:54 | コメント (0)

新・ことば事情

6417「『ひらく』か『あく』か?」

6月23日、乳がんと闘病して来たフリーアナウンサーの小林麻央さんが、22日に亡くなったと報じられました。34歳でした。若すぎる・・・哀悼の意を表します。

そのニュースの中で紹介する麻央さんのブログに、闘病で痛みに耐えていると、フッと楽になる瞬間があると。その際には、

「口がぽわーっと開いてしまう」

と書かれていました。この、

「開いてしまう」

の「開いて」の読み方ですが、

「ひらいて」

でしょうか?それとも、

「あいて」

でしょうか?

「口をひらく」というと、

「何かを話す」

ときにも使われるように、

「自分の意思で、口をあける」

ときに使う気がします。それに対して「口があく」は、

「自分の意思かどうかとは関係なく、あいた状態になる」

という気がします。そして、

「ひらく」=動詞的

「あく」=形容詞的

というイメージがあります。今回の場合は、

「闘病で痛みに耐えていると、フッと楽になる瞬間がある」

ということですから、

「自分の意思とは関係なく開く」

ので、

「あいてしまう」

のほうが妥当なのかなあと思いました。

(2017、8、18)

2017年8月18日 18:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6416「トリコン」

テレビを見ていたら「フォンテーヌ」のCMで、

「トリコン」

という言葉が出て来ました。何の略語かと言うと

「トリートメント・イン・コンディショナー」

の略だそうです。

私はもうてっきり、読売テレビが主催して毎年琵琶湖で開かれる、

「鳥人間コンテスト」

のことかと思いました!(ヨッ!愛社精神!)

「鳥人間コンテスト」は、今年「第40回」を迎えました。大会の模様は、

「8月23日午後7時から放送」

されます。また、その「鳥人間コンテスト」をテーマにした小説を、土屋太鳳さん主演で映画化した映画、

「トリガール!」

は、「9月1日公開」です!楽しみですね・・・・って、実は私、会社に入ってからこれまで、たったの一度も「鳥人間コンテスト」を見に行ったこともなければ、仕事が付いたこともないんですけど・・・「一視聴者」としてテレビを見ているだけです。これも、うちの社員としては、珍しいことかもしれませんね。

で、何の話でしたっけ?

あ、「トリコン」ね。

そもそも「トリートメント」と「コンディショナー」って、そもそも「同じ物」ではなかったの?前に書きませんでしたかね、これ。しかも最近・・・あ、書いてないな。書いた気がしたのに・・・。

記憶によると、昔は、

「リンス」

と呼んでいたものが、最近は、

「コンディショナー」

と呼ばれるようになって、さらに、

「トリートメント」

というのも出て来たけど、「コンディショナー」と「トリートメント」は違う、と。

こんな話ではなかったか、と思います。

それが今回「トリコン」では「1つ」になっていると。

昔、薬師丸ひろ子さんがやっていた、

「チャン・リン・シャン」

というコマーシャルで宣伝していた、

「リンス・イン・シャンプー」

というのがあって(「リンプー」だっけか?)愛用していましたが、大分あとになって、

「『洗い流すもの(シャンプー)』と、『とどまって効果を発揮するもの(リンス)』が1つになっていて、本当にどちらも効果を発揮できるのか?」

というような疑問も耳にしました。そう言えば最近は、あまり目にしなくなりましたね。

「トリコン」は、どうなんでしょうか。これは、

「どちらも、とどまることで効果を発揮する」

から、良いのかなあ。

で、こういうことは女性、それも若い女性が詳しいと思って、新入社員の女性やアルバイトの女子学生に聞いたところ、黒髪の美しい若手女性社員が、

「私は『コンディショナー』は整える、『トリートメント』は保つという意識ですけど」

と答えました。その話を横で聞いていた、それほど髪が長くない男性学生アルバイト君が急に口を挟んで来ました。

「『シャンプー』が"アルカリ性"なので、『コンディショナー』はそれを中和して"弱酸性"に戻すんです。そして『トリートメント』は、髪に栄養を与えるんです」

「え!なんで君がそんなに詳しいの?」

「いやあ・・・」

「そう言えば、『コンディショナー』はサッと洗い流すけど、『トリートメント』はしばらくそのままにして、浸み込むのを待ちますよね」

「おじさん(=私)は『リンス派』なんだけど、そうすると『リンス』はどう違うの?」

「『リンス』は、『コンディショナー的』ですかねえ」

「でも、結構、浸み込むのを待つ感じもあるよね」

「そうですねえ」

と、結局みんな、「何となく」使っている感じでした。

こういう時はやはり『三省堂国語辞典』かなあ。引いてみましょう。

まずは「コンディショナー」から。

*「コンディショナー」(=ヘアコンディショナー)洗った髪(かみ)をしなやかにし、手触りをよくするための液体。リンス。

って、やっぱり「コンディショナー」は「リンス」なのか!

それで「トリートメント」は、

*「トリートメント」(=ヘアトリートメント)いたんだ髪(かみ)を直すための薬剤。

ついでに「リンス」も。

*「リンス」=シャンプーのあと、かみの毛をしなやかにするために使う液体。ヘアリンス。

わかったような感じもします。あくまで「感じ」ですが。ついでに「シャンプー」も。

*「シャンプー」=かみの毛を洗うときに使う、あわだちのよい液体。また、それで洗うこと。ヘアシャンプー。

それにしても「コンディショナ―」と「トリートメント」「髪」「漢字にルビ付き」で、

「髪(かみ)」

なんですが、「リンス」と「シャンプー」「平仮名」で、

「かみの毛」

なのは、なぜ?

おそらく「シャンプー」「リンス」のほうが古くて、昔は「平仮名」を使った「かみの毛」という表記(「髪」は「表外字」なので、「平仮名」で書くことが徹底されていた)だったけど、新しく追加された「コンディショナー」「トリートメント」では、より雰囲気が伝わるように「漢字」を使った(でもやはり「表外字」だからルビを振った)ということかな?しかも、

「髪(かみ)の毛」

というように「の毛」が付いた形ではなく、あくまで、

「髪(かみ)」

で、「の毛」は付きません。最近の傾向かもしれませんね。

(2017、8、3)

2017年8月 7日 18:56 | コメント (0)

新・読書日記 2017_091

『どアホノミクスの断末魔』(浜矩子、角川新書:2017、6、10)

このタイトルの下品さが嫌いで、これまで手に取らなかった。著者の写真も結構怖いし、怒られそうで。そんなことを書くと怒られるかもしれませんが、勇気を振り絞って書きます!この本も、帯の写真、髪の毛の色「紫」ですやん!魔女か!!いや、マジか!(「マジ」なんて言葉、初めて使ってしまったわ)でも、その帯の言葉、

「働き方改革は 労働者の奴隷化」

という、大変インパクトの強い言葉に惹かれて、勉強しようと買ってしましました。

確かに、国が主導で行っているのは「働き方改革」の部分もあるけど、どちらかというと「働かせ方改革」のような気もするし、良い面もあるけど、どうかなという面もある。そして「日本株式会社」が目指している先にあるのは、決して"バラ色の未来"ではないなということは、よくわかりました。


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(2017、7、26読了)

2017年8月 6日 12:31 | コメント (0)

新・ことば事情

6415「射出」

北朝鮮のミサイル発射のニュースでよく出て来る言葉に、

「射出」

があります。あまり聞き慣れない言葉ですが、

「シャシュツ」

と読みます。

「射出角度」

などと使われますが、日常生活では、あまり目にしませんね。意味は、

「発射」

と、ほぼ同じですね。グーグル検索では(8月2日)、

「射出」=2200万件

も出て来ました。ネットの『デジタル大辞泉』によると、(1)の「発射」の意味以外にも、意味があるようです。

(1) 矢・弾丸などをうち出すこと。発射。

(2) 水などを、細い口から勢いよく噴き出させること。また、噴き出すこと。

(例)「型の中にプラスチックを射出する」

(3) 中央の一点から諸方向にまっすぐ出ること。放射。(例)「光線が射出する」

ということで、「ミサイル専用」の言葉だと思っていたので、

「あまり、こういう言葉が頻出しないほうが良いな」

と思っていたのですが、「ミサイル」以外にも「専門用語」として使われる言葉のようですね。

(2017、8、2)

2017年8月 5日 12:58 | コメント (0)

新・ことば事情

6414「アラハン」

「朝日新聞」電子版の記事で、こんな見出しを見かけました。

「アラハン本、続々」

この、

「アラハン」

とは何ぞ?「アラハン」とは、

「アラウンド・ハンドレッド」

つまり、

「100歳前後の人」

を指すようです。「アラハン」の人が書いた本が次々とベストセラーになっていると。ついこの間亡くなった日野原重明先生や、書道家の篠原桃江さん、『くじけないで』の詩集で有名な故・柴田チトヨさん、『置かれた場所で咲きなさい』の著者で昨年末亡くなった故・渡辺和子さん、このところベストセラーを連発している作家の佐藤愛子さんなど、やはり女性が多いですねえ。男性より長寿だから。さすがに「人生の大先輩」のお言葉だけに、読んだ人は皆「素直に『なるほど』」という気になるんでしょうね。私もいくつか読みましたが、面白かったです。

それにしても、「30歳前後」を指す「アラサー」から始まり、

「アラフォー」(40歳前後)

「アラフィフ」(50歳前後)

「アラ還」(60歳=「還暦」前後)

と来て、「70歳前後」「80歳前後」「90歳前後」は飛び越して、「100歳前後」に来ましたか!「超高齢化」ですねえ。あ、「70歳前後」「80歳前後」「90歳前後」は、

「アラコキ」(70歳=「古希」前後)

「アラサン」(80歳=「傘寿」前後)

「アラソツ」(90歳=「卒寿」前後)

というのがあったような気もしますが、それほど定着していないはずです。

念のため、グーグル検索しますね(8月2日)。

「アラサー」 =1810万0000件

「アラフォー」=1980万0000件

「アラフィフ」= 451万0000件

「アラ還」  =  26万0000件

「アラコキ」 =     1680件

「アラサン」 =      384件

「アラソツ」 =      384件

「アラハン」 =   3万2400件

でした。ほら、これを見ても「70・80・90歳」を、飛び越えてますよね、「アラハン」。

それにしても、2009年に「平成ことば事情3487 アラ還」を書いてから、「8年」も経ったんだなあと思いました。

(2017、8、2)

2017年8月 4日 12:39 | コメント (0)

新・ことば事情

6413「何十億か何千億か」

7月28日の深夜に、北朝鮮が大陸間弾道ロケット(ICBM)の打ち上げを行ったことを受けて、アメリカのトランプ大統領が、それを抑止できなかった中国に対してツイッターで文句を言っていました。

「中国にはこれまで何十億ドルも稼がせてやってるのに、何の役にも立たない」

というようなことを、英語でつぶやいたわけですね。この、

「何十億ドル」

の部分ですが、英語では、

「hundred of billions of dollars」

とありました。

「billion」=10億

「hundred」=「100」

ですから、単純に掛け算をすれば、

「hundred of billions」=「1000億」

となります。ただこれは、

「実際の数」

を表したのではなく、

「たくさん」

ということを表した表現なのではないか?日本語で言うと、たとえば、

「八百万(やおよろず)の神」

「八百万」が、「800万」という具体的な数ではなく「たくさん」という意味を表しているように。また、

「七色の変化球」「五色の短冊」「八尋(やひろ)」

等の「七」「五」「八」も、具体的に「7」「5」「8」を表す場合もありますが、やはり同じように「たくさん」を意味するような例もありますよね。

そういうふうに考えれば、「hundred of billions」を日本語に訳す場合は、

「『何十億』でも『何千億』でもOK」

とも考えられます。

しかしその場合、「数が大きいほうが良い」んじゃないかなと考えて、

×「何十億ドル」→○「何千億ドル」

として、7月31日の「ミヤネ屋」では放送しました。(その部分の吹き換えは、私。)

そういえば先日、東京の昭和女子大学・人見記念講堂で開かれた、

「第21回東西四大学OB合唱演奏会」

で、早稲田大学グリークラブのOB団体「稲門(とうもん)グリークラブ」の一員として私もステージに立って歌った、草野心平作詞・多田武彦作曲の男声合唱組曲『北斗の海』の中の歌詞に、

「億 兆億の雪が沈む」

というのがありました。この、

「億兆億」

というのも、

「数えきれないほど、たくさん」

という意味ですよね。

(2017、8、2)

2017年8月 3日 12:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6412「食料か?食糧か?」

8月2日の「ミヤネ屋」で、北朝鮮の漁船が日本の漁場を荒らしているというニュースをお伝えしました。

その中で、北朝鮮が、

「食糧難」「食糧不足」

という話が出て来ました。

この「食糧」という文字の、「食料」との使い分けですが、基本的には、

*「食糧」=主食、特に穀物をさす

*「食料」=食べ物全般をさす

というように使い分けます。「食料」のほうが、指す範囲が広いです。

北朝鮮では、

「食べ物全般が不足」

しているであろうから、この場合は、

「食料」

のほうが良いのではないか?と思いました。

しかし、調べてみるとこの情報の出どころが「国連」の、

「食糧農業機関」(FAO)

であり、その記事には、

「穀物生産地が干ばつなどの被害を受けており、食糧難の恐れ」

と書かれていたので、

「食糧」

としました。

前に同じようなものを書いていないか、検索してみたところ、やはり書いていました。

7年前に、「平成ことば事情4085食料と食糧」で書いていたんですね。

大体、書いていますが、大体、忘れています。

それを読むと、「北朝鮮への"ショクリョウ"支援」という場合は、

「食糧」

が使われる傾向があるようですね。勉強になります。何度も、勉強になります。

(2017、8、2)

2017年8月 2日 21:03 | コメント (0)

新・ことば事情

6411「千と百」

実は、日本テレビ系列の「ニュース」では、「数字の単位」としては、

「『千』『百』は使わない」

ことになっています。「5けた以上の数字」については、原則として、

「『万』以上の単位語(=「万」「億」「兆」等)を使って、わかりやすくする」

ことになっているのですが、

「百」「千」

に関しては、

「かえって煩雑になるので使わない」

ということなのです。これって新聞とは違うところかもしれません。たとえば、「日本の人口」は(2015年10月1日現在・国勢調査による)

「1億2709万4745人」

と表記します。「千」や「百」を用いて、

「2千7百9万人」「4千7百45人」

とは書きません。

また、「千」を用いたことが、間違いを誘発することもあります。

以前、警備員を増員したというニュースのパネルで、手書き発注の字が汚くて、

「5千人増員」

と発注したのが、出来がりでは、

「54人増員」

と、えらい小規模になっていて「おかしいいな」と思ってチェックして直したことがありました。これも発注を「千」を使わずに、

「5000人」

にしていれば、防げた間違いですね。もちろん、

「千夜一夜物語」「千日前」(地名)「千秋楽」「千と千尋の神隠し」

などは「千」を使います。

「1000夜1夜物語」「1000日前」(地名)「1000秋楽」

「1000と1000尋の神隠し」

などにはしません。「固有名詞」でもありますしね。

ややこしいのは、

「千円札」

これは漢字の「千」を使いますが「1000円札」でもOKのような・・・。意味上の使い分けとしては、

「千円札で、1000円ちょうど支払った」

というところなのですが、お分かりになりますか?

(2017、8、2)

2017年8月 2日 17:00 | コメント (0)