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『道浦TIME』

新・ことば事情

6590「落鉄」

11月26日の競馬「ジャパンカップ」で、悲願のG1初制覇を果たし馬「シュヴァルグラン」の「オーナー」が、"大魔神"こと、元メジャーリーガーで横浜ベイスターズの元投手の「佐々木主浩さん」である、という話を、「平成ことば事情6585オーナー」で書きました。競馬に詳しくない私が書く、その続き。

実はこのレースの「一番人気」は、「オーナー」が演歌歌手の「北島三郎さん」で、「騎手」が「武豊さん」という、競馬を知らない私でも知っているぐらい有名な、

「キタサンブラック」

でした。それがなぜ、下馬評通りには勝てなかったのか?その原因が、

「落鉄」

だったと言うのです。この言葉、初めて見ました。

「落馬」は、

「騎手が、馬から落ちること」

だと知っていますが、そうすると「落鉄」は、

「騎手が、鉄から落ちること」

でしょうか?いや、「鉄」には乗っていない。この場合は、

「"鉄"が馬から落ちた」

なのでしょう。調べて見ると「落鉄」とは、

「蹄鉄(ていてつ)がはずれて落ちること」

とありました。こういったことは、時々あるそうです。

グーグル検索では(11月28日)

「落鉄」=52万5000件

でした。

手元にある国語辞典では、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』『新潮現代国語辞典』『現代国語例解辞典』には「落鉄」は載っていませんでした。ところが!

『岩波国語辞典』

には載っていたのです!

*「落鉄」=馬の蹄鉄(ていてつ)がはずれて落ちること。

絶対、『岩波国語辞典』の編集担当の人の中に、「競馬に詳しい人」がいるな!

(2107、11、28)

2017年11月29日 20:48 | コメント (0)

新・ことば事情

6589「着弾」

11月19日、宮崎で行われていた男子ゴルフ「ダンロップフェニックストーナメント最終日」の3番ホール(パー3、実測175ヤード)で、松山英樹選手が、見事、日米両ツアーを通じて初めてとなる「ホールインワン」を達成しました。

それを報じたネットの『ゴルフダイジェスト』の記事を読むと、こうありました。

「8Iから繰り出されたショットは、ピン手前に着弾。ホールを取り囲んだギャラリーの『入れ』コールに導かれるようにするすると転がりカップに消えた。」

これを読んで、ゴルフをしない私が「おや?」っと思った表現は、

「着弾」

です。「ピン手前に着弾」。「着地」ではなく「着弾」。もちろん、「着弾」したのは、「砲弾」ではなく、

「ゴルフボール」

ですが、こういう言い方をするのか!知りませんでした。

スポーツの用語には、特にスポーツ新聞や雑誌の表現では、

「戦争用語」

が比喩的に用いられることは多いですからね。

「スポーツという戦い」

ですから。まあ許容範囲なのかなあ。グーグル検索(11月28日)では、

「ゴルフ、着弾」=27万1000件

もありました。

(2017、11、28)

2017年11月29日 18:47 | コメント (0)

新・ことば事情

6588「進化系」

11月7日の「かんさい情報ネットten.」を見ていたら、奈良市内をぶらぶら歩いてお店に入るという企画で、

「進化系!創作もんじゃ」

というサイドスーパーが出て来ました。この「進化系」という文字を見て、

「あれ?これは『進化形』ではないのかな?」

と思いました。そこで、11月16日に岡山で開かれた新聞用語懇談会・秋季合同総会の席で、ちょうど現在、関東幹事会で話し合われている『新聞用語集』の見直し審議についての報告があった際に質問しました。関東幹事会では去年9月から、

「同音異義語」

の検討をしているそうなので、好都合です。

「同音異義語の例として『系』と『形』の用例は載っていますか?先日番組で、

『癒やし系』

などで使われる『系』を使った、

『もんじゃ焼きの進化系』

という表記が出て来ました。これは本来『進化形』と『形』を使うのではないでしょうか。しかしネット検索してみると、この『進化系』のパターンも結構、出て来るんです。こういったところも、載せるように検討してほしいです。」

これに関して、日本新聞協会の用語アドバイザーからは、

「それは『イチオシ』を『押し』と書くか『推し』と書くかといった"流行語的"なものじゃないの?」

と言われたのですが、

「もう『イチ押し』『イチ推し』も、10年以上使われているので"流行語"ではなく、定着していると思われます。用例で取り上げるべきではないでしょうか?『進化系』『進化形』も、同じような感じだと思います」

と答えたところ、議長から、

「関東幹事会で検討します。」

というお答えを頂きました。

グーグル検索では、(11月28日)

「進化系」=43万6000件

「進化形」=51万4000件

と、大変、拮抗していました。

(追記)

「ミヤネ屋」でも12月15日の放送で、

「冷凍食品の"進化系"」

というテロップの発注が出て来たので、

「進化形」

に直しました。

(2017、12、18)

(追記2)

1年3か月が経った2019年3月27日に「ミヤネ屋」で、テロップなどを事前にチェックしていたら、

「超進化系カプセルホテル登場」

という文言(見出し)が出て来ました。しかし、最初は特には引っかかりませんでした(違和感がなかった。)でも「あれ?そういえば・・・」と思って検索すると、このコラムが出て来たので、一応、

「1年半ほど前に、こういったやり取りがあったよ」

ということを、担当ディレクターのT君に伝えると、

「あ、それ、文言変更しました!『超進化系』というと『ミヤネ屋』の視聴者層から言うと『ああ、若者向けね』とソッポを向かれる気がするので、『京町家カプセルホテル登場』に変更しました!」

ということで、「超進化系」は、この日は放送には出ないことになりました。

と思っていたら、「京町家カプセルホテル」と並んで、

「進化形カプセルホテル」

が出て来ました。「形」でした。

(2019、3、27)


(2019、3、27)

2017年11月29日 16:47 | コメント (0)

新・ことば事情

6587「背乗り」

「2017読書日記131」で紹介した竹内明(めい)さんの小説、

『スリーパー 浸透工作員~警視庁公安部外事二課(ソトニ)』(講談社)の中に出て来た言葉で、私が知らなかった言葉の一つに、

「背乗り」

がありました。これは、

「ハイノリ」

と読むそうです。意味は、

「日本人の戸籍を盗んで、その人に成りすますこと」

のようです。

手元にある国語辞典では、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』『新潮現代国語辞典』『現代国語例解辞典』、それに『岩波国語辞典』には「背乗り」は載っていませんでした。

ウィキペディアでは、

「背乗り(はいのり)とは、工作員など他国人が現地人に成りすますために身分・戸籍を乗っ取る行為を指す警察用語。」

「警察用語」なのか!

『スリーパー 浸透工作員』の中の説明によると、

「工作員が背乗りする日本人の身分は、偵察総局にやる厳重な審査のうえ、複数の候補から選択される。捜索願が出されることのない、天涯孤独の日本人で、北朝鮮に拉致された者、もしくは工作員によって殺害された者の身分が選ばれる。したがって、本物を名乗る者が現れることなど、共和国の工作史上あり得なかった。」240ページ)

ということで、

「倉本雅恵背乗り事件が絡んでいるのではありませんか?」218ページ)

などとも出て来ました。「拉致問題」の根底には、北朝鮮のこういった「工作」が絡んでいるのは間違いないでしょう。ただ、ネットで検索すると、どうも「陰謀説」がらみで出て来るものが多いのですが・・・。しかし、先日の秋田・由利本荘市に「北朝鮮籍」と思われる木造船で"漁師"が漂着した、というニュースを見ると、

「報道されないけれど、このほかにも漂着している船もあるのだろうな」

と、容易に想像できますね。

(2017、11、24)

2017年11月29日 14:46 | コメント (0)

新・読書日記 2017_139

『バカ論』(ビートたけし、新潮新書:2017、10、20第1刷・2017、10、30第2刷)

2017読書日記132の『安倍政権とは何だったのか~時代への警告』(適菜収、KKベストセラーズ)でも書いたが、この「バカ」というのは「大衆」のことを指している。そして「世の中」「世間」のことを指していると思う。それと同時に、たけしさんが言う「バカ」は、自分も含めた「愛すべきバカ・愛すべき大衆」なのだと思う。帯に、

「じょうがねえなあ~あらゆるバカを肴に 芸や人生を語り尽くす」

とある。まあ、たけしさんの「人生論」ですね。気軽に読めます。

先日、新作映画の宣伝で「ミヤネ屋」に生出演された時には、その前に、後日放送予定の「かんさい情報ネットten.」の中谷キャスターとの対談の収録があった。その収録の報道スタジオに行くために、たけしさんが報道フロアのど真ん中を突っ切って歩いて行った。突然のたけしの登場に、その場にいた約200人ほどの読売テレビのスタッフは、スタンディング・オベーションと拍手で、たけしさんを迎え見送った。たけしさんは何だか照れくさそうに、少し笑みを浮かべながらスタジオに入って行ったのが、印象に残っている。


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(2017、11、7読了)

2017年11月29日 15:33 | コメント (0)

新・読書日記 2017_138

『60歳からの外国語修行~メキシコに学ぶ』(青山南、岩波新書:2017、9、20)

著者の青山南さん。名前の「南」って、漫画『タッチ』のヒロインのようで「女性かな?」と最初思ったが「男性」、おっさんである。(失礼!)翻訳家で早稲田大学教授。もう60歳を過ぎている。以前一冊だけ、エッセイを読んだことがある(『ピーターとペーターの狭間で』)ので、名前は知っていた。翻訳家と言っても「英語の」であるが、その青山さんが、「英語圏」ではなく「スペイン語圏」である「メキシコ」に語学留学したという。その様子をつづったエッセイ。

スペイン語を少しかじったことのある私にとっては、大変興味のある本。

「60歳を過ぎて、一人で語学留学って、奥さんはいないのかな?」

と思ったが、いるみたい。よく奥さんは許してくれたな。いや、喜んで「いってらっしゃ~い!」だったかも。それはそれで、問題があるように思うが。

全く「白紙」に近い状態の「スペイン語」に、ホームステイしながら体当たりで学んでいく様子が、経験的語学学習の記録として綴られていて、ほほえましく興味深い。ある意味、「第二の青春」を楽しんでいるのであろうが、それは「人生の復讐」・・・ではなく「復習」をしているような感じなのかな。なんともおもしろかったです。最後に、青山さんの個人的な「単語帳」(=本文の中に出てきた「スペイン語」の数々と、その意味)まで載っていますよ。


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(2017、11、12読了)

2017年11月29日 12:31 | コメント (0)

新・読書日記 2017_137

『Black Box(ブラックボックス)』(伊藤詩織、文藝春秋:2017、10、20第1刷・2017、10、25第2刷)

いわゆる「告発本」。元TBSでフリージャーナリストの山口敬之氏に「レイプされた」と顔を出して会見を行ったフリージャーナリストの「詩織」さんが、今度はフルネームの「伊藤詩織」を出して書いた物。

「ブラックボックス」というタイトルは、あの小池都知事が「東京都議会」を指して使った表現を想起させるが、なんだか世の中、「ブラックボックスだらけ」ではないか。

「準強姦」

という罪には問えなかったが、これはやはり、おかしいのではないか。

なぜ、捜査が進んで容疑が固まり「逮捕状」まで出たのに、直前になってその「執行が停止」されたか。何か、見えない力が働いたのではないか?その力は「ブラックボックス」の中で働いた。

どう考えても、この男はおかしい。

少なくとも採用前の対象者の若い女性と二人きりで飲みに行くということが「李下に冠を正さず」ではない。そして、酔って気分が悪くなり(クスリ飲まされたかどうかは分からないが)「帰ります」と言っている女性を、自分が宿泊しているホテルに連れ込んで、コトに及ぶなどというのは、どう考えてもおかしいでしょう。それに尽きる。映像も残っていたんだから、それは「事実」である。

そして「逮捕状の執行を停止させた」のは誰なのか?そこの「忖度」はなかったのか?疑問だらけ、疑惑だらけである。


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(2017、10、25読了)

2017年11月29日 10:29 | コメント (0)

新・読書日記 2017_136

『国宝~京都国立博物館開館120周年記念特別展覧会』(京都国立博物館)

行ってきました、京都国立博物館。30分ぐらい並びました。4期に分かれている3期目。本当は最後の4期目で「燕子花図(かきつばたず)」の金屏風を見たかったんだけど、それは諦めました。代わりにこの「図録」買って来た。こういった図録は普通は2000円か2500円だけど、これは3000円もするし分厚くて重い。でも、その価値はあるでしょう。印刷もなかなか綺麗だと思います。

志賀の島の「金印」、以前、福岡で見たのは「レプリカ」だったのですが、今回のは「本物」。いずれにせよ、たぶん、皆さんが想像するより「ずっと小さい」です。

「最前列」(1列目)でそれを見るためには、かなり並ばなきゃいけないんだけど、別に2列目で見るなら、全然並ばずにスッと見られたし、そんなに「後ろから」という感じでもないので、あの「前列に並ばせる」というのは、ちょっと詐欺的な感じですね。後ろからで十分です。並んだ人、かわいそう。

会場内はかなり混雑していましたが、すれ違ったおばさん2人が、

「それで、どれが『国宝』なんやろ?」

「さあ・・???」

と言っていたので、思わず、

「全部『国宝』なんですよ!200点以上もの『国宝』を集めた展覧会なんですから!」

と言ってあげようかと思いましたが、やめました。


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(2017、11、5読了)

2017年11月28日 23:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6586「女社長・女医」

先日の関西地区用語懇談会で「ジェンダー問題」について話し合いましたが、それで今、ちょっと、ジェンダー関係の言葉に敏感になっています。

そんな中、先日TBSの『世界!ふしぎ議発見』を見ていたら、お笑い芸人の東貴博さん(アズマックス)が、はるな愛さんに対して、

「こう見えて『青年実業家』なんですよ」

と言ったところ、はるなさんが、

「女社長!」

と訂正していました。この、

「女社長」

という言葉、放送ではあまり好ましくない言葉、となっています。「対語」「反対語」として、

「男社長」

というのはありません。それは、

「『社長』という職務が、本来『男性のもの』で、それを『女性が務めていると珍しい』ので『女』を付けた『女社長』という言葉ができた」

という、まさに「ジェンダー問題」に引っかかる言葉だからです。

しかし、「本人」が言うのならOKなんでしょうか?でも、本人は「女」なのか?また、「青年社長」と言われてそれを「女社長」に言い直すというのは、「青年」に「女」は含まないのでしょうか?「含む」と私は思うけどな。この場合の「女」は微妙ですが。あ、「青年」も微妙か、はるさなんは。

「1972年生まれの45歳」

ですからね。「日本青年会議所」に入れる「青年」は、

「40歳まで」

ですし。

また、テレビ朝日の人気ドラマ『DoctorX(ドクター・エックス)』の冒頭の、田口トモロヲさん(だよね?)のナレーションは、

「これは一匹狼の『女医』の物語である。」

というふうに、

「女医」

を印象的に使っていますが、特に苦情が来たという話は、聞いたことがありません。他局なので詳しくは知りませんが。まさに「女医」は強調したい言葉なんでしょうね、「ヒロイン」として。

(2017、11、27)

2017年11月29日 11:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6585「オーナー」

競馬は全く詳しくないので、なんなんですが、11月26日に行われた競馬の「ジャパンカップ」で、悲願のG1初制覇を果たし馬「シュヴァルグラン」の、

「オーナー」

が、"大魔神"こと、元メジャーリーガーで横浜ベイスターズの元投手の佐々木主浩さんであることが報じられていました。この「オーナー」というのは、

「馬主」

のことですよね?アナウンサーの中ではこの「馬主」の読み方がいつも問題になって、

「バヌシ」「ウマヌシ」「バシュ」

どれなのか?という疑問がいつも出ます。

日本新聞協会が出している『新聞用語集2007年版』の中の「放送で標準とする読み方例」には、

・「バヌシ」 =一般に馬の持ち主

・「ウマヌシ」=日本馬主協会連合会など

と記されていますが、「オーナー」と外来語で言うならば、読み方に問題が生じないですね。

(2017、11、27)

2017年11月29日 09:24 | コメント (0)

新・ことば事情

6584「駆け込み乗車は・・・」

先日、東京に行った時のこと。JR山手線の渋谷駅での駅員のアナウンスが、

「列車か遅れて他の方の迷惑となるので、駆け込み乗車はおやめください。」

というものでした。これが大阪ならば、

「危ない(危険)ですから、駆け込み乗車はおやめください」

と言うでしょう。

つまり、東京では・・・東京ならどこでもかどうかは、分からないけど、少なくともこの駅員は、

「駆け込み乗車をする『乗客の安全』よりも、それによって引き起こされる『他の乗客の利便性』を優先している」

ということですね。優先しているかどうかはわからないけど、

「乗客に対して、抑止力がある」

と考えるから、こういった物言いをするのでしょう。

これは、「みんな=多くの乗客」のことを考えているので、ある意味「優しい」のですが、「みんなを優先して、少数者の安全は犠牲にする」

・・・と言っても、

「当人が『駆け込む』から危ないんで、駆け込まなきゃいい」

「当人が、自らの意思で『安全性』を放棄して駆け込んでいる」

という正論の前には、あまり意味をなさないかもしれませんが、しかし状況によっては、ある意味「コワイ」ことになるんでしょうけどね。まさに、

「空気に支配される世界」

だなあと感心すると共に、そんなアナウンスに慣れ切ってしまっている人たちが、

1200万人以上も住んでいる「首都圏」というものが、少し怖くなりました。

(2017、11、27)

2017年11月28日 22:22 | コメント (0)

新・ことば事情

6583「駅社員」

先日、東京に行った時に、JR山手線「渋谷駅」のホームで見た看板に、

「線路に物を落とした方は、駅社員に申し出てください。」

と書かれていました。この中の、

「駅社員」

という言葉が引っかかりました。普通は、

「駅係員」

ではないのか?他の駅では「駅係員」という表記は見ました。

と、そこで「ハッ!」と閃きました。

「これは『駅・社員』ではなく『駅社・員』なのではないか?そうすると、正しくは、

『駅舎員』

と書くべきところを、書き間違えたのではないか?」

ということです。しかし、グーグル検索してみると(11月27日)、

「駅社員」=4万5000件

も出て来ました。それらはどうやら「JR」の用語のようですね。

「ヤフー知恵袋」で随分前(20014年11月)に、まさに、

『駅員を「駅係員」って言ったり、「駅社員」って言ったりしています。何か違うのですか?』

という質問が出ていました。それに対するベストアンサーは、

「会社によって呼び方が違うんじゃないですか。 検索してみたところ、

<駅係員>小田急、近鉄、東急、名古屋市交通局、横浜市交通局など

<駅社員>JR東日本、JR東海、JR北海道など」

ということでした。やはり「駅社員」は「JR用語」かな?

(2017、11、27)

2017年11月28日 20:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6582「『爪先』の読み方」

11月26日付の「朝日新聞」の「天声人語」にこんな文章が載っていました。

『沖縄の人は「小指の痛みは全身の痛み」と訴えてきた。日本が全身、沖縄が小指なら、辺野古や高江、奥は爪先だろう。』

この中に出て来る

「爪先」

ですが、これは、

「つまさき」

でしょうか?それとも、

「つまさき」

でしょうか?

「つまさき」と言うと、

「足の指」

を思い浮かべます。

「手の指」

の場合は、「つまさき」とは言わずに、

「つめさき」

と言うような気がします。いや、よく考えると「の」を入れて

「つめのさき」

と言いますね。あまり「つめさき」とは言いません。何で違うんだろう?

「爪に火を灯すような生活」

の場合は「先」が無いので問題がないか。

国語辞典では、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』には「つまさき」は載っていますが「つめさき」は載っていませんでした。また「つまさき」の意味は、

「指の先。主に足の指」

と書かれているものが多く、『新明解』は(1)と(2)に分けて、「足」と「手」それぞれの「指(爪)の先」を指していました。

(2017、11、27)

2017年11月28日 18:20 | コメント (0)

新・ことば事情

6581「『淡路町』のアクセント」

先日、東京に行った時に乗った地下鉄の駅名のアナウンスで、

「淡路町」

のアクセントが、「車内の女性アナウンス(録音)」は、

「ア/ワジチョー」

「平板アクセント」で、「プラットホームの男性アナウンス(録音)」は、

「ア/ワジ\チョー」

「中高アクセント」でした。

両方、使われていて、特に統一はされていないんですね。

(2017、11、27)

2017年11月28日 16:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6580「角界」

このところ、横綱・日馬富士の貴ノ岩関への暴行事件の話題が続いていますが、

この報道で出て来る、

「角界」

という言葉。なぜ「相撲界」を「角界」と呼ぶのか?それは「すもう」を漢字で書くと、一番よく知られている表記は、「相撲」ですが、実は、

「角力」

とも書くのです。なぜ「すもう」を「角力」と書くのか?諸説あるようですが、ネットで調べた中の一つは「中国由来」説。中国に、

「角觝(かくてい)」

という格闘技があり、

「角力(かくりき)」

とも呼ばれていたそうです。 頭と頭でぶつかりあい、まるで「牛の角突き合わせ」みたいだったので「角」が使われたのでしょう。江戸時代中頃に「すもう」の当て字として「角力(角觝)」が使われるようになりました。

また、『日本書紀』に出てくる"相撲の元祖"と言われる「野見宿禰(のみの・すくね)」「當麻蹶速(たいまの・けはや)」の戦いは、

「捔力」

と漢文で書かれ、

「スマヒ(トラシム)」

と訓読したようです。「スマヒ」→「スモウ」になったのですね。(「捔」は「木編に角」と書いてる書籍もあるそうです。)「相撲」も「角力」も、どちらも当て字のようなものなので、明治時代頃から昭和の初め頃までは「角力」が多く使われ、現在は、ほぼ「相撲」の文字を使われています。

その「角力」から一文字取って、

「角界」

なのです。

「相撲界」と言っても間違いではありませんが、「素人だな」と思われてしまう。そこで「角界」という表記を使うのですね。読み方は「促音便」で、

「かっかい」

です。そうすると、

×「各界」

と変換ミスしやすいので、ご注意ください。

間違いやすいと言えば、「貴乃花部屋」「貴ノ岩」関「の」が、

「親方と部屋の名前」「漢字」の「乃」

「所属力士」「カタカナ」で「ノ」

です。これも注意しましょう。

(2017、11、24)

2017年11月28日 12:15 | コメント (0)

新・ことば事情

6579「歌舞伎役者の『役を"勤"める』」

以前、歌舞伎や音楽・映画などに詳しい作家の中川右介さんの歌舞伎の本に、

「役を"勤"める」

とあったので、

「これは『役を"務"める』ではないのでしょうか?」

と中川さんに伺ったところ、

「歌舞伎役者は『役を"勤"める』と『勤』の漢字を使うのです。それは一般的な、『その役割をこなす』という意味ではなく、『その役になり切って演じる』という気持ちがあるからかもしれません」

と教えてもらったことがありました。そして、

「これって、ブログのネタになるね」

とアドバイスしてもらいましたので、書きました!

その後、中川さんから、

「今回の本では、平仮名の『つとめる』にすることにしました」

という連絡も頂きました。

中川右介さんの著書の最新刊、

『阿久悠と松本隆』(朝日新書)

も面白いですよ! 

(2017、11、24)

2017年11月28日 10:14 | コメント (0)

新・ことば事情

6578「『内々に』の読み方」

11月22日の「ミヤネ屋」で、大相撲の横綱・日馬富士の暴行事件について報じた際に、林マオアナウンサーと、吹き替え担当のY君から、同じ質問を受けました。

『「内々に」は『ウチウチニ』でしょうか?『ナイナイニ』でしょうか?』

これに対して私の答えは、

「両方の読み方があるが『秘密裡に』ということであれば、

○ナイナイニ

のほうが良いでしょう。これはきのうも質問を受けて『ナイナイニ』で放送しました。」

というものでした。これでよかったかな。

なんか「ウチウチニ」と言うと、

「お祝い事」

のような感じがしませんか?

(2017、11、24)

2017年11月27日 23:53 | コメント (0)

新・ことば事情

6577「ちんとする」

読売新聞朝刊に連載されている「ポケモンたのしい方言」という小さなコラム。毎日スクラップして楽しみにしています。

その11月23日に取り上げた「方言」は、「富山方言」で、

「ちんとする」

というものでした。知らないなあ。その意味は、

「じっとする」

でした。「ちんとしとられ」は、

「おとなしくしてなさい」

という意味なんだそうです。

「きちんとする」

「ちん」なのかなあと、一瞬思いましたが、その後に思い出したのは、子どもの頃、大人から言われた「幼児語」の、

「おっちん」

という言葉。

「すわってなさい」「おとなしくしておきなさい」

という意味だと理解していましたが、子供心に、

「なぜ『ちん』なのか?『男の子』だからか?でも、『女の子』にも言うなあ」

と疑問に思っていましたが、今回この富山方言の「ちんとする」を見て、閃きました。

「この『ちん』は『鎮座』の『鎮』なのではないか?」

と思ったのです。それなら「じっとする」「しずかにおとなしくする」という意味も理解できます。おそらく半世紀ぶりに意味が分かった言葉です!

「ポケモン」と「読売新聞」、ありがとう!!

(2017、11、24)

2017年11月27日 22:12 | コメント (0)

新・ことば事情

6576「熟し柿」

よく熟した柿とカッテージチーズを和えたもの、おいしいですよね。昨晩、食卓に上がりました。その際に妻が、

「ジュクシガキ」

と言ったのが気に留まりました。「よく熟れた柿」は、

「熟柿」

と書いて、

「ジュクシ」

と言います。しかし「柿」の音読みが「シ」だと知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?妻はこれまでも「ジュクシ」と聞いてはいたんですが、

「熟した柿」

だというのは意味も分かっていたけど、

「熟し柿」

だと思っていたそうです。

以前(2000年)、新聞用語懇談会で、

「これは、みんな読めるだろうから『常用漢字』に入れていいのではないか?」

として「39字」の漢字が候補に挙がったことがありました。

その中に「柿」も入っていました。「柿」は「表外字」だったのです。

「柿」なんて、小学生でも書けて読めるような漢字が、なぜ「表外字」なのか?

その理由は、ふだん新聞などでは果実の「柿」は「カキ」と「カタカナ」でカキます。いや書きます。それが一つ。そして「音読み」の「シ」という音を使う熟語が、京都の「落柿舎(たくししゃ)」と「熟柿」ぐらいしかなく、活用範囲が狭いというのがもう一つ。「常用漢字」になるには、

「音読みも訓読みも、そろってよく使われる」

ことが条件になるからです。上に書いたように、「柿」は訓読みの「かき」は簡単ですが、音読みの「シ」はなかなか使われません。

また、「常用漢字候補の39字」の中には、私が見て、

「これは、読めないものも、結構あるのではないか?」

と思って、知り合いの大学の先生などにも協力を仰いで、大学生や、読売テレビの若手スタッフなど169人に「漢字テスト」をしてもらったことがあります。

その際に挙げた「73語」の中で(対象となった漢字は「39字」ですが、「音読み」「訓読み」のパターンがあったので、これだけの種類になりました)、

「2番目に読めなかった、正答率が低かった」

のが、実は、

「熟柿」

だったことを思い出しました。

その時の結果は、以下のとおりです。

<表外字169人調査・読めなかった漢字ランキング>(2000、 6、20)

(正解者) (誤答者) (正答率)

1端唄 16人 153人 9,5%

2熟柿 22 147 13,0%

3領袖 25 144 14,8%

4瓦解 49 120 29,0%

5進退を賭する 50 119 29,6%

6鶴首 61 108 36,1%

7錦秋 63 106 37,3%

8怨恨 67 102 39,7%

9春駒 74 95 43,8%

10浮腫 77 92 45,6%

11食餌療法 78 91 46,6%

12深淵 85 84 50,3%

13一蹴する 98 71 58,0%

14虹彩 109 60 64,5%

15鍵盤 122 47 72,2%

16断崖 126 43 74,6%

17必須条件 133 36 78,7%

18毒牙 135 34 79,9%

19頓挫 138 31 81,7%

20賭博 139 30 82,2%

21怨念 140 29 82,8%

22長唄 141 28 83,4%

23妖怪変化 145 24 85,8%

24腎臓 146 23 86,4%

25餌付け 147 22 87,0%

25呪縛 147 22 87,0%

27世相を斬る 148 21 87,6%

27熊手 148 21 87,6%

29小脇 149 20 88,2%

30闇夜 150 19 88,8%

31呂律が回らない 151 18 89,3%

31虎ファン 151 18 89,3%

33斬新 152 17 89,9%

33蜂蜜 152 17 89,9%

35猛虎 153 16 90,5%

36白い牙 154 15 91,1%

37枕木 155 14 91,7%

37会席膳 155 14 91,7%

37ご冥福 155 14 91,7%

37鉄拳 155 14 91,7%

37瓦屋根 155 14 91,7%

37拉致 155 14 91,7%

43腫れる 156 13 92,3%

44蹴散らす 157 12 92,9%

44妖しい魅力 157 12 92,9%

44天丼 157 12 92,9%

44千羽鶴 157 12 92,9%

44餌をやる 157 12 92,9%

49崖っぷち 158 11 93,5%

49痴呆症 158 11 93,5%

51鍵穴 159 10 94,1%

52錦を飾る 160 94,7%

52瞳孔 160 94,7%

52死の淵 160 94,7%

52拳を振り上げる 160 94,7%

56焼酎 161 95,3%

56呪い 161 95,3%

58柿の種 162 95,9%

59謎かけ 163 96,4%

59釜飯 163 96,4%

59鏡餅 163 96,4%

62賭け事 164 97,0%

62袖口 164 97,0%

62黒い瞳 164 97,0%

65虹のかけはし 165 97,6%

66誰ひとり 166 98,2%

66風呂 166 98,2%

66串カツ 166 98,2%

66尻が重い 166 98,2%

70リンパ腺 167 98,8%

70匂い 167 98,8%

72野菜炒め 168 99,4%

73鍋料理 169 100, 0%

(2017、11、23)

2017年11月27日 20:05 | コメント (0)

新・ことば事情

6575「言えは、言えます」

11月11日の日本テレビ『嵐にしやがれ』のゲストは、モデルの滝沢カレンさん(25)でした。彼女の「ことば」は、結構、面白い。いつものように「嵐」の5人を、

「四字熟語」

で表していました。

「二宮くん=趣味在宅」

「櫻井くん=服装迷走」

「相葉くん=馬鹿脱皮」

「大野くん=海釣地蔵」

「松本潤 =俺松本潤」

(なぜか「松潤」だけ、呼び捨てになっちゃった。すみません)

そして同じ番組に出ていたお笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の吉村崇さんは、

「唇湿気男」

と名付けられていました。なかなか、こんなの言えないですよね。スゴイなあ。面白いし。

「四字熟語、言ってくれますか?」

と、櫻井くんから振られたときに、滝沢カレンさんが言った言葉が、

「言えは、言えます」

これもまた、面白い物言いですねえ。普通は、

「言えることは、言えます」

ですね。その、

「ること」

が省略されている。こんな言い方を、若い人はするのかな?と思いました。

グーグル検索では(11月23日)、

「言えは言えます」=1件

まさに、この「嵐にしやがれ」の出演での言葉が出て来ました。ということで、これは若い人はみんな言うわけではなく、

「滝沢カレン語」

と言えるでしょうね。

(2017、11、23)

2017年11月26日 16:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6574「ヘキとクセ」

「ミヤネ屋」でこれまでも、

「浪費癖」

が出て来た時に、本来は、

「ロウヒヘキ」

であり「癖」は「ヘキ」と読むべきだと思うのに、

「ロウヒグセ」

というように、「クセ(グセ)」と読むケースが多いです。その都度、直していたんだけど、そもそも「ヘキ」と「クセ」はどう違うのか?について考えてみました。

・「ヘキ」は「病的な繰り返す症状」。

・「クセ」は「無意識に繰り返してしまう動作」。

ということは、「繰り返す」というのが同じなら、

「病的かどうか」

がポイントになりますね。

「気質的に治すことが難しいもの」が「ヘキ」なのかな?

「性格」と「反復動作の傾向」ですね。程度としては、

「ヘキ」>「クセ」

のように思います。つまり、

「クセ」は「許容範囲」だけど、「ヘキ」になると、ちょっと「社会的許容範囲」を越えるような気がするなあ。

なかなか区別は、難しいです。

(2017、11、23)

2017年11月26日 11:51 | コメント (0)

新・ことば事情

6573「6敗の読み方」

15歳になった棋士・藤井聡太四段が、11月21日に「公式戦50勝」を達成しました。

そのニュースを11月22日の「スッキリ」で放送していましたが、その中で、日本テレビの三卜(みうら)アナウンサーが、「50勝6敗」の「6敗」を、

「ロクハイ」

「促音化せず」に読んでいましたが、これは普通は、

「ロッパイ」

「促音化する」のではないでしょうか?

こういった「数字の無促音化」の傾向は、随分広がっているように思います。

具体的には、

「11分」「11か月」

が、従来は、

「ジューイップン」「ジューイッカガツ」

「促音」になるのに、これを「数字」を独立させて「促音化させず」に、

「ジュイイチフン」「ジューイチカゲツ」

と言う傾向が出て来ていると。「数字を独立」させて言うのは、それより前に、

「3分」「4分」「何分」

という「時間」を言う時は、「分」の前が「ン」の発音の時は、「半濁音」で、

「サンプン」「ヨンプン」「ナンプン」

だったのが、「半濁音にならない」で、

「サンフン」「ヨンフン」「ナンフン」

と言う若い人が増えたということもあります。今後もこれは広がるのかなあ、いやだなあと思っています。

2005年に書いた「平成ことば事情2079 3ふん前、4ふん前」

2007年に書いた「平成ことば事情2843ジューイチか月」

「平成ことば事情2863 ジューイチカイ」

2014年に書いた「平成ことば事情5560 ジューイチカゲツ」

もお読みください。

(2017、11、23)

2017年11月25日 11:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6572「『再現』のアクセント」

今から13年前の「2004年」に書いた、

「平成ことば事情1561『全員』のアクセント」

「平成ことば事情1890『残忍』アクセント」

の中にも記した、

「再現」

のアクセントに関しての話です。

当時『NHK日本語発音アクセント辞典』(1998年改訂)には、「再現」のアクセントは、

「サ/イゲン」

という「平板アクセント」しか載せていませんでした。

「今もそうかな?」と思って、きょう確認のため、「2016年5月」に出た『日本語発音アクセント新辞典』で「再現」を引いてみたところ、なんと!

「サ/イゲン」という「平板アクセント」の後に、

「サ/イゲ\ン」

という「中高アクセント」が載っているではありませんか!知らんかった!

ちょっと、「残念(ザ/ンネ\ン)」です・・・。

(2017、11、23)

2017年11月24日 20:49 | コメント (0)

新・ことば事情

6571「『3・2・1』と『アン・ドゥ・トロワ』」

11月23日の日本テレビ「ストレイトニュース」を見ていたら、クリスマスシーズンに向けてフランス・パリのシャンゼリゼ通りがライトアップされたというニュースが流れていました。

その際に、ジョニー・デップの娘という若い女性が「点灯式」にゲストとして招かれて、イルミネーション点灯のスイッチを押す役を務めていました。

その「スイッチオン」のタイミングを告げる司会の人は、もちろんフランス語で、

「アン・ドゥ・トロワ」

と言っていたのですが、字幕スーパーは、

「3・2・1」

になっていたので、違和感がありました。

フランス語の「アン・ドゥ・トロワ」はもちろん、

「1・2・3」

ですよね。でも日本語ではこういう場合は、

「カウントダウン」

でセレモニーを行うので、「日本語に翻訳した」ということなのでしょうが、

「1・2・3!」

あるいは、

「1、2の3!」

で良かったんじゃないかなと思いました。まあ、どちらにしても、

「『2』の順番は変わらない」

のですけどね。

(追記)

11月29「日に行われたアメリカ・ニューヨークの「ロックフェラーセンター」のクリスマスツリーの点灯式。こちらはなんと、

「3・2・1」

という「カウントダウン」でした。国によって違うんですね!


(2017、11、23)

2017年11月24日 17:47 | コメント (0)

新・ことば事情

6570「中ジョッキは何mlか?」

最近、お店で飲む「中ジョッキ」が、小さくなったように感じませんか?

え?あんたが大きくなったんだろうって?横に。そりゃあ、昔よりは大きくなりましたが、ここ10年以上、あんまり変わっていません。どちらかというと、縮んだぐらいです、いや、本当に。

きょう、「ミヤネ屋」で、「ロカボ」という「低糖質食事」のパネルをチェックしていたら、

「生ビール 中ジョッキ 500ml」

という文字が出て来ました。そうですよね、

「中ジョッキは500ml」

だと思いますよね。「500ml」と言えば、

「缶ビールのロング缶」

ですよね。「普通の缶」は、

「350ml」

です。「びんビール」だと、

「大びん 633ml」「中びん 500ml」「小びん 334ml」

ですね。つまり、

「ロング缶=中びん=中ジョッキ」

だと思っていました。ところが!先日、行きつけのホールセールの酒屋さんが移転するということで「売り尽くしセール」をやっていて、その際に、

「ご自由にお持ち帰りください」

と、「ビールジョッキ(=中ジョッキ)」が置かれていたので、1つもらって帰りました。家でその「中ジョッキ」に、

「普通サイズの缶ビール=350ml」

を注いでみると、なんと!ピッタリ入ったではありませんか!!

ということは、

「最近の『中ジョッキ』は350mlではないか?」

という疑問が。何となく「昔の中ジョッキ」は、もっと大きかった気がするんですよね。「500」が「350」だと、

「30%減」

になっていることになりますが、どうなんでしょうか???

サラリーマンのお父さんにとっては大問題ですよね、これ。

「勤労感謝の日」に、働きながら考えました!

(2017、11、23)

2017年11月24日 15:46 | コメント (0)

新・読書日記 2017_135

『学生を戦地へ送るには~田辺元「悪魔の京大講義」を読む』(佐藤優、新潮社:2017、7、30)

戦前、「田辺元(たなべ・はじめ)」(1885―1962)という京都大学の教授がいた。

京大の西田幾多郎が、東北大学に務めていた田辺を呼び寄せた。その田辺が行った講義の記録がある。それを、佐藤優が「チューター」(指導者・先生)になって、2015年6月12日の夜から14日昼にかけて箱根・千石原で行った「講座合宿」で読んでいった様子を記録した一冊。つまりその「講座合宿」に行かなくても、これを読むことで佐藤優の講義を「追体験」できるのですね。「講座合宿」にわざわざ出席された(もちろん有料でしょう、結構な額の)方々も、大変、意欲と知識・教養のある方ばかりだと思いますが、勉強になる一冊ですね。講義録だから「話し言葉」でわかりやすいし。「佐藤優」と「田辺元」を一冊で味わえる、1粒で2度おいしい。いや、1冊で2度おいしい。

この田辺元の講義は、京大生たちを戦地へ送り込んだと言われていることから「悪魔の講義」とも呼ばれるそうだ。知識のある京都帝大の学生たちが、"自ら進んで"戦地へ行きその若き命を散らした。どうしたら、そんなことになってしまうのか?それを学ぶことで、もし同じようなこと起きた時に、つまり「第二の田辺元」が現代に出現した時に、騙されないようにしないといけない。それが本講義&本書の目的ですね。

この本の「まえがき」がコワイ。少し長いが、引用する。

「時代が嫌な方向に動いている。特にドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任したことによって、この傾向が加速している。トランプ大統領がハンドリングを誤れば(誤るというよりも、米国の国益にとって必要と考え乱暴な選択をすると表現した方が正しいのかもしれない)、中東や朝鮮半島で戦争が勃発しかねない。米国と北朝鮮の間で武力紛争が起きれば、日本もそれに巻き込まれる。さらにシリアとイラクにおいて、イラン、ロシア、米国などの軍事介入によってイスラム教スンナ派過激派『イスラム国』(IS)が近未来に解体されることになる。その結果、シリアとイラクの一部領域を実効支配していたISという事実上の国家はなくなる。それと同時に、ISの戦闘員が世界規模で拡散し、『第2イスラム国』を建設する策動を強めるであろう」(下線は道浦)

これを読み終わって数日後に、なんとこんなニュースが流れた。

「イラクのアバディ首相は(11月)17日、過激派組織『イスラム国』が支配していたイラク最後の町を奪還したと発表した。これにより、『イスラム国』はイラク国内から、ほぼ一掃されたことになる。」

佐藤さん、この本は「予言」の書?7月に出ているのに4か月後を予言?これから世界中に「ISの戦闘員」が、まるでウイルスのように撒かれるというのか・・・。1か所にまとまっていてくれた方が、まだマシだったのか・・・・?


star4

(2017、11、7読了)

2017年11月23日 20:58 | コメント (0)

新・ことば事情

6569「和グラノーラ」

「平成ことば事情6557和ジェラート」では、

「『和ジェラート』という表現は、おかしい」

というようなことを書いたのですが、この、

「和○○○」

という表現は、かなり広がっているようです。今回見つけたのは、

「和グラノーラ」

です。ネットで見つけました。そもそも「グラノーラ」が何なのか、よく分かっていませんが「食べ物」ですよね。今回は、

「京都産あられと宇治抹茶のグラノーラ~カプチーノ風」

というもの。その説明を見てみると、

「ただのグラノーラではなく、京都産の素材を組み合わせた和風グラノーラ」

なんだそうです。やっぱり、

「和=和風」

なんですね!写真を見ると、たしかにおいしそうですし、

「和風」

という感じがしました。グーグル検索では(11月22日)

「和グラノーラ」 =4260件

「和風グラノーラ」=2800件

ついでに、

「和ジェラート」 =1万5300件

「和風ジェラート」= 9800件

でした。

(2017、11、22)

2017年11月23日 17:56 | コメント (0)

新・ことば事情

6568「6・7号機の読み方」

10月4日、原子力規制委員会は、新潟県の「東京電力柏崎刈羽原発6・7号機」が、新規制基準に適合しているとする審査書案を了承しました。

この中の「6・7号機」の「6・7」を、読売テレビのニュースでは、

「ロク・シチ」

と読み、日本テレビのニュースでは、

「ロク・ナナ」

と読んでいました。

普段、日本テレビのアナウンサーは、

「7」は「シチ」、「9」は「ク」

と読むのを原則として、かなり厳密にそれを守ってらっしゃいますが、今回はなぜか、

「ナナ」

でした。前に「6」が付くと、「7」を「ナナ」と読むのかな?

読売テレビのアナウンス部では、「7」「9」に関しては、

「シチ・ナナ」「ク・キュー」はどちらでも良い

としています。ただ、

「7月」「17日」「27日」

に関しては「ナナ」ではなく、

「シチ」

と読むようにしています。

しかしこれが、ラテ兼営の「朝日放送」出身のアナウンサー宮根誠司さんや、赤江玉緒さんは、

「ナナ」

と言います。「シチ」を「ナナ」と言うのは関西ではよくありますし、また、

「1」と「7」=「イチ」と「シチ」

聞き間違えない様にする配慮であると聞いたことがあります。

「聞くメディア」である「ラジオ」ではそう指導されているのかな?と思って、朝日放送や、同じくラテ兼営の毎日放送のアナウンサーの方に聞いたのですが、

「そんなことはない」

という答えが返って来て「あれ?」と思ったこともありますが。

話がそれましたが、私の語感では「6・7号機」の「6・7」は、

「ロク・シチ」

しかないのになあと思いました。

(2017、11、22)

2017年11月23日 13:56 | コメント (0)

新・ことば事情

6567「いきが上がっています」

先日の「ミヤネ屋」で、「箱根駅伝3連覇」の青山学院大学・陸上部監督の原晋さんと、中央大学陸上部監督の野村修也さんが同じ日に並んでコメンテーターとして出演されました。初めてかもしれません。

そのときに、司会の宮根さんが、

「原さんの青学は3連覇ですが、野村さんところの中央も、今年は予選会通って、箱根、出るんですよね」

と水を向けると、野村監督は、

「そうなんですよ。去年は悔しい思いをしましたが、今年は箱根に出られるということで、部員全員、意気が上がっています!」

と言ったところ、それを受けて宮根誠司さんが、

「息が上がってちゃ、ダメじゃないですか!」

と突っ込みました。一瞬「?」と思いましたが、

「意気が上がる」と「息が上がる」

を混同したんですね、きっと。わざとかな?

それで思い出したのが、以前、後輩の女性アナウンサーと一緒に、私が所属する「早稲田大学グリークラブのOB合唱団」と「慶應ワグネルソサエティ男声合唱団のOB会」とのジョイントコンサート、

「コーラス早慶戦」

の司会をやった時に、

「歌の勝ち負け」

を、私が司会の権限で判断するという状態だったのですが、その際に、

「私は"早稲田"ですが、『公平無私』に判断しますからね!」

と言ったところ、その女性アナウンサーは、

「『無視』したらダメじゃないですか!」

とボケてくれました。

「無私」と「無視」

を間違えたんですね。ね!中元さん!

(2017、11、22)

2017年11月23日 10:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6566「なに、女と話しとんねん」

先日、東京出身の同期のカメラマンが、話しかけて来ました。

「あのさあ、けさのニュース見てたら、Tアナウンサーのアクセントがさあ・・・」

「どうしたの?」

「なんか、因縁を付けた奴が逮捕されたとかいうニュースで、その因縁の部分が『関西弁』だったんだけど」

「ふんふん」

「『なに、女と話しとんねん』というものだったんだけど、最初の部分のアクセントが、

『ナ/ニオ\ンナト・/ハナシト\ンネン』

っていうように『ナ/ニオ\ンナ』が『何女』って聞こえたんだけど、おかしいよな?」

「そりゃ、おかしいね。『ナ\ニ・オ\ンナト・/ハナシト\ンネン』だな、関西弁のアクセントだと」

「だろう?」

あれ?・・・・あれあれ????

ちょっと待った!

「あ、やっぱりそれはあり得るね。単語ごとに区切れば、確かに『ナ\ニ・オ\ンナト・/ハナシト\ンネン』になるけど、ことばのつながりを考えると『ナ/ニオ\ンナト・/ハナシト\ンネン』もあるな。それの最初の部分は『何女』に聞こえるな。」

「え?そうなの?そうかあ・・・」

「しかし、ストレートニュースの中のコメントに、そんな完全な関西弁を入れるのは、どうなのかなあと、原稿の作り方でちょっと、どうかなと思うけどね」

ということで、会話は終わったのでした。

ストレートニュースの中に入った「カギカッコ付の方言」は表現が難しいです。

ちなみに、Tアナウンサーは「関西人」です。

(2017、11、22)

2017年11月22日 22:53 | コメント (0)

新・読書日記 2017_134

『BLUE GIANT SUPREME 3』(石塚真一、小学館:2017、11、4)

ヨーロッパ・ドイツへ旅立った主人公のサックス吹き・大。これが「世界一のサックスプレーヤー」を目指す大の、世界進出第一弾であり、武者修行でもある。グローイングアップの様子がワクワクする。

けど、作者は取材とか大変だろうなあとも思いました。

ヨーロッパでのンドを組むメンバー探しも、佳境に入って来ましたね!

ワクワクしますね、本当に。


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(2017、11、4読了)

2017年11月22日 22:49 | コメント (0)

新・読書日記 2017_133

『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった』(久米宏、世界文化社:2017、9、25)

アナウンサーの大先輩、久米宏さんが書いた自伝、と言ってもいいのかな。

続けて読んだ「TBS本」の2冊目。

タイトルの「ニュースステーションはザ・ベストテンだった」は「逆もまた真なり」で、「ザ・ベストテンはニュースステーションだった」だろうな。日本のニュースショーを変えたと言われた「ニュースステーション」の土台は、「ザ・ベストテン」にあったと。

「ザ・ベストテン」は、それまでの単なる歌謡番組ではなく「流行歌」を「ニュース」として扱い、基本的に「生放送」でお茶の間にお届けする。それって正に「報道」であり、「ニュース」じゃない!!

永六輔さんから「ラジオ」というメディアについて学んだ久米宏さんは、そこで学んだ技法・テクニックを「テレビ」の「ザ・ベストテン」に持ち込み、そこで永六輔さんの盟友たる黒柳徹子さんからも学んだ。そして「ザ・ベストテン」で学んだ手法を、今度は「報道番組」に持ち込んだ、と。うーん、これは、

「メディアの"わらしべ長者"」

じゃないか!

そして、今はまた「ラジオ」に戻って「古希」を迎えたと。

今や「久米宏」を知らないでアナウンサー試験を受けに来るアナウンサー志望者もいると思うけど、こういう本を読んで学んでから、アナウンサー試験を受けに来て下さいね。

必読の書です。


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(2017、10、30読了)

2017年11月22日 18:46 | コメント (0)

新・読書日記 2017_132

『安倍政権とは何だったのか~時代への警告』(適菜収、KKベストセラーズ:2017、10、5)

ことし最初に読んだ本が同じ著者の『安倍でもわかる政治思想入門』(適菜収、KKベストセラーズ)だった。

「安倍政権とは何だったのか」と「過去形」で書かれたタイトルだが、まだ「過去」になっていない、「真っ最中」である。

見出しを並べれば、内容はご想像がつくと思う。

*「第一章 安倍政権とはなんだったのか」

戦後レジームからの脱却? 松本人志と共謀罪

*「第二章 だからあれほど 言ったのに」

肩書や学歴に騙される人たち B層の聖域になった安倍晋三 維新新喜劇と一億総活躍社会 「バカ消費者」を手玉にとる政治家

*「第三章 無知とデマで世界はまわる」

国の命運を国民投票で決めるな 邪悪な人間と闘うために 始まる前からゲームオーバー

パラリンピック そろそろやめたらどうか?

*「第四章 安倍晋三の正体」

「劇場型政治」が日本を滅ぼす 東京の「橋下化」が止まらない 周回遅れのグローバリスト

どうでしょうか?「バカ」と言うのが下品ですが、最近分かりました。この「バカ」というのは、同じ著者が言う「B層」のこと、すなわち「大衆」のことだと分かりました。つまり「バカ」をバカにしてはいけない、いや「大衆」をバカにしてはいけないのです。

「大衆」の「大」は「多数派、マジョリティー」。「数」という「力」を持っているのです。しかし、だからと言って「正しい」とは限らない。それどころか、往々にして間違った道に進んでしまう・・・。それに気付く人を、少しでも増やして「大衆=マジョリティー」にしないといけないと感じたのでした。


star4

(2017、10、28読了)

2017年11月22日 14:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6565「独島は『ドクト』か『トクト』か?」

トランプ米大統領がアジアツアーで韓国を訪問した際の「晩さん会」で出されたメニューに、

「独島で捕れたエビ」

があり、問題になりました。そのニュースの際に、

「竹島の韓国名『独島』の読み方」

が問題になりました。

読売テレビを含む「日本テレビ系列」では、

「ドクト」

と、最初が「ド」と濁ります。(と、日テレの用語手運遺書いてあります)

しかし新聞を読んでいると「読売・朝日・産経」は、

「トクト」

と「濁らないルビ」(「ト」)が振ってありました。

一体どちらが正しいのか?また、いつから、その読み方なのでしょうか?

11月16日に岡山で開かれた「新聞用語懇談会・秋季合同総会」で、ルビを振っていなかった(と思う)「毎日・日経」など他の新聞社や共同通信・時事通信、放送各社にも聞いてみました。その結果は、以下の通りです。

(共同通信・議長)では「ド」と濁る社と、「ト」と濁らない社、挙手を。

・「ド」(濁る)  =毎日新聞・テレビ朝日・日本テレビなど

・「ト」(濁らない)=東京新聞・読売新聞・朝日新聞・産経新聞・日経新聞、NHKなど

(朝日新聞)「トクト」と濁らない。朝鮮語は「有声音」(濁音?)と「無声音」(清音?)の区別はない。語頭は「無声音」(清音)の「ト」で、母音に挟まれた語中は「有声音」(濁音)の「ド」。昔「金大中」氏の読み方は、1965年の時点では「キム・テ・チュン」と「清音」だったが、1972年の拉致事件の際になぜか「キム・デ・ジュン」と「濁音」になった。「独島」に関しては、1982年以降、一貫して「トクト」と濁らない。

(共同通信)語頭は濁らないので「トクト」。調べた範囲では、2009年以降は、濁らない「トクト」。それ以前は、ルビを振っていなかった。

(時事通信)ずっと濁らない「トクト」。

(毎日新聞)ルビを付けるかどうかは、出稿部(記者サイド)の判断。毎日新聞では、外信部とも協議して、2014年以降「ドクト」と「語頭が濁る形」を採用している。共同通信の外信記事が「トクト」と「清音」で来たら、毎日用に「ドクト」と濁った形に直す。

(NHK)韓国・朝鮮語は、NHKでは「カタカナ表記」だが、「トクト(独島)」としている。韓国語では「語頭」は濁らない。しかしアルファベットでは「D」で始まる。「Dok-Do」と表記する。

(テレビ朝日)「独」に引っ張られて「ドクト」と濁る。現地発音に近い音だと「ド」と「ト」の中間。韓国・朝鮮語に堪能な社員に聞いたところ、「ト」と濁らないそうだが。

ということでした。

なお、今回の会議にTBSの委員は欠席だったんですが、ネットで見限りでは、

TBS「あさチャン」と「Nスタ」では、「ドクト」。

日テレも「ドクト」で、朝日新聞は「トクト」でした。

やはり「放送=ド」、「新聞=ト」の傾向があるようですが、どうやら「ト」と濁らない方が、「現地音」に近いようですねえ・・・。

(2017、11、21)

2017年11月22日 21:43 | コメント (0)

新・ことば事情

6564「晩さん会か?夕食会か?」

アメリカのトランプ大統領初来日の際、11月6日に安倍首相が迎賓館赤坂離宮で主催した「夕食会」を、読売テレビの「ミヤネ屋」を始め多くの放送局は、

「晩さん会」「晩餐(ばんさん)会」

と表現しましたが、多くの「新聞」は、

「夕食会」

と表現していたようです。理由は恐らく「晩さん会」は、

「皇居で天皇陛下が主催して国賓を迎えるもの」

なので、「天皇」も出席せず、「皇居」で行われるものでもなく、「国賓」でもないトランプ大統領(公式実務者訪問)には、使わなかったのだと思われます。

また、チェックできていないのですが、韓国で国賓として迎えられたトランプ大統領を招いた会は「晩さん会」だったのでしょうか?それとも「夕食会」だったのでしょうか?

もし「晩さん会」だとすると、

「国内と国外では基準が違う」

ということでしょうか?海外の場合に、

「王室主催で国賓を招いて宮殿で行われ」

ないと「晩さん会」とは言わないのでしょうか?

この疑問について、11月16日に岡山で開かれた「新聞用語懇談会・秋季合同総会」で質問しました。それに対する各社の委員の回答は、以下の通りです。

(共同通信・議長)これもどちらを使ったか、まず挙手で。

・「晩餐(ばんさん)会・晩さん会」

=産経新聞・NHK・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日ほか

・「夕食会」=MBS・東京新聞・読売新聞ほか

(読売新聞)「夕食会」とした。「晩さん会」は国賓・皇居に限定と『スタイルブック』に書いてある。海外は、国内に準じて「夕食会」。ただし「ノーベル賞」の場合は「国王」主催なので「晩さん会」。

(共同通信)『ハンドブック』で、「晩さん会」は「夕食会」に書き換えることになっている。「来賓」が「国賓」かどうかは関係なく、「主催者」が「皇室・王室」の場合は「晩さん会」。「大統領」主催は「夕食会」。「ノーベル賞」の場合は「国王」主催なので「晩さん会」。

(産経新聞)今回は、漢字で書いてルビを振って「晩餐(ばんさん)会」。特に決めているわけではなく「晩餐(ばんさん)会」「夕食会」両方使っている。出稿部の原稿を直したりはしない。10月1日以降の原稿データベースでは、「晩餐(ばんさん)会」=85件、「夕食会」=157件だった。特に皇室だから「晩餐(ばんさん)会」というわけではなく、出稿部から出てきたとおりで、「晩餐会」の漢字にルビが抜けていたら、ルビを振るぐらい。

(朝日新聞)使い分けはしていない。「晩さん()」は改まった豪華な食事会。そんなにギチギチには(使用基準を)決めていない。ただし「宮中晩さん会」は固有名詞扱い。トランプ大統領を迎えての食事会は、政府によると11月6日の迎賓館赤坂離宮のは「晩餐会」、前日のステーキハウスは「夕食会」だった。(首相官邸サイト)

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201711/05usa.html (11月5日「夕食」)

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201711/06usa.html (11月6日「晩餐会」)

「晩餐会」の「餐」が表外字なので、できるだけ「夕食会」を使うようにしている。

(NHK)「皇室」だから「晩餐会」を使うという取り決めはない。そこでどう表現されるか?に従う。今回のトランプ大統領の来日の場合は11月5日は「夕食会」、11月6日は「晩さん会」とした。

(日本テレビ)NHKと同じく今回のトランプ大統領の来日では、11月5日は「夕食会」、11月6日は「晩さん会」だった。やはり「迎賓館赤坂離宮」で開かれた11月6日のは「晩さん会」。しかし「晩さん会」を「夕食会」と置き換えることは可能。

(フジテレビ)弊社も11月5日は「夕食会」、11月6日は「晩さん会」と、政府の発表に従った。(今回のトランプ大統領の来日は、「国賓」ではなく「公式実務者訪問」だったが。)また、韓国の大統領主催の会は「晩さん会」、中国の会は「公式夕食会」とした。

また、「皇居」で行われる「国賓」のための食事会は「宮中晩さん会」とする。

(テレビ朝日)11月5日は「夕食会」。政府発表に従った。韓国の食事会は、韓国政府発表が「晩さん会」だったので、それに従って「晩さん会」とした。

(テレビ東京)韓国のは「夕食会」で、中国のは「晩さん会」で放送した。

ちなみに、11月13日にネットで見たニュースの記事で、「朝日新聞」は、共産党・志位委員長の発言で、

「『首相主催の晩さん会に招かれなくなった』と、首相主催の夕食会に招かれなくなったことを・・・」

と、「直接発言の引用」は「晩さん会」で、地の文では「夕食会」にしていたので、「晩さん会」は極力使わない方向性なのでしょう。

また同じニュースで、「共同通信」の配信記事も「夕食会」のみで、志位委員長発言の「直接引用」はなく、「晩さん会」は使っていませんでした。

(2017、11、21)

2017年11月22日 19:41 | コメント (0)

新・ことば事情

6563「『お乗り換えください』のアクセント」

「お乗り換えください」

という京阪電車の車内アナウンスを聞きました。このアクセントが、

「オ/ノ\リカエクダサイ」

という「の」が高いアクセントでした。このアクセントでの「乗り換え」は、

「名詞」

で、それに「お」が付いた形ですね。でも、そうすると「(お)乗り換え」という「名詞」を「下さい」(動詞)という事になってしまい違和感があります。この場合は実は、

「動詞」

として言っていると思われます。つまり、

「乗り換える」

という「動詞の連用形」を、

「お~ください」

という「命令形の敬語」(尊敬語)ではさんでいると。そう考えると、本来、「標準語アクセント」であるならば、

「平板アクセント」

になり、

「オ/ノリカエクダサ\イ」

ではないでしょうか。ただ、「関西弁」だとすればこのアクセントで良いのかもしれません。

朝の通勤電車から降りて、そんなことをプラットホームで感じました。(ボーットそんなことを考えていて、線路に落ちないように、気を付けなきゃ)

(2017、11、21)

2017年11月22日 17:39 | コメント (0)

新・ことば事情

6562「アゼルバイジャンは『東欧』か?」

11月1日、くりぃむしちゅー・上田さん司会のテレビ朝日のクイズ番組『ミラクルナイン』を見ていたら、回答者の一人、ピーター・フランクルさんが、

「この前アゼルバイジャンに行ったら、日本人みたいな顔をしてると言われた」

と言って、上田さんから、

「してねえよ!」

と突っ込まれていました。その、

「アゼルバイジャン」

という国名の後に、テロップで、

「東欧の国」

と説明書きが出ているのに違和感が。

「アゼルバイジャンは、『東欧』か?そもそも、東西冷戦が終わって30年近く経つのに、まだ『東欧』ってあるのか?」

という疑問です。「東西冷戦」があったから、

「思想的に東と西だったのでは?」

と思ったのです。もちろん「地理的」にも「東西」はあるでしょうが。

「北欧」と「南欧」の場合は「地理的分類」しかないと思いますが、「東西」は2つの意味があるんですよね。「中欧」はどうでしょうか?また「西欧」は?

これに関して、11月16日に岡山で開かれた「新聞用語懇談会・秋季合同総会」で質問しました。

『先日見ていたテレビのクイズ番組で「アゼルバイジャン」という国名の後にテロップで「東欧の国」と説明書きが出ていて、違和感がありました。「東西」という場合には、当然「地理的」に「東」と「西」があります。「アゼルバイジャン」は「カスピ海」と「黒海」の間に位置します。「南」は「イラク」、「西」は「アルメニア」と「ジョージア」。「トルコ」よりも東に位置します。「ヨーロッパ」の国々の集まりである「EU」に、「トルコ」は入れてもらえません。その「トルコ」よりも、「アゼルバイジャン」はヨーロッパから遠いのです。(ちなみに、この地域は「カフカス・コーカサス」とも呼ばれます。)

もう一つ「政治的」に「東と西」があります。「アゼルバイジャン」は、「ソ連」が崩壊した後に「元ソ連の自治共和国」であった国々で作った「CIS」に含まれていますが、東西冷戦が終わって30年近く経つのに、まだ「東欧」なのでしょうか?「東欧」「西欧」(あるいは「中欧」)の区分は、どうされていますか?急に面倒なことを質問して、すみません。』

これに関する各社の用語医院からの回答は、以下の通りです。

(朝日新聞)関連で、「グルジア」が「ジョージア」に国名変更した際に「AIIB」参加国の図版を作ったことがある。その際に「ジョージア」は「欧州」か?「アジア」か?が問題になった。結局「外務省のサイト」を見たら、「ジョージア」は「欧州」に区分されていた。おそらく、「CIS」の国々は「欧州局」が管轄しているからではないか。その後、「西アジア」という区分を作って「ジョージア」をそこに入れた。「中央アジア」でもある。「地理的に」ということだが。

(共同通信)「東西」に関する「地理的な概念」と「政治的な概念」は必ずしも一致しない。一般的に「東欧」と言えば「旧ソ連の構成国」だろう。例えば「東アジア」と言ったときに、「狭義」では「日中韓(北朝鮮)」の「3(or4)か国」だが、「広義」では「東南アジア」も含む。日本の外務省では、「欧州局」が「CIS」を担当している。

(ytv)サッカーのワールドカップ予選では、昔、1990年代の後半は「カザフスタン」は「アジア予選」に出て来たが、今は「ヨーロッパ予選」に区分されている。

(朝日新聞)サッカーでは昔は「イスラエル」も「アジア」に区分されていた。

(ytv)その意味ではサッカーの予選分けは「地理的」ではなく、「政治的」な配慮があるのかもしれない。

会社に戻ってから、、帝国書院の「世界地図」(2010)を見てみたら、

「『アゼルバイジャン』は『アジア』」

に区分されていました。そのほか「アジア」には、

ジョージア(旧グルジア)、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トクメニスタン、イラン、イラク、クウェート、シリア、ヨルダン、レバノン、サウジアラビア、カタール、トルコ、キプロスも「アジア」に区分。一方「ヨーロッパ」には、

ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モンテネグロなどが。

「地図帳」だけに、純粋に「地理的に分類」しているのでしょう。

一方「外務省のサイト」を確認すると、「アジア」に分類されている国は、

インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、韓国、中国、

ネパール、パキスタン、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、

ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、

ラオスの他、北朝鮮、香港、マカオ、台湾が別グループで載っていますが、

「アゼルバイジャン」などはありません。そして「欧州」の国々の中には、

アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キプロスなどがありました。「外務省」的には、

「アゼルバイジャンは、『欧州』」

なんですね。これは明らかに、

「政治的な分類」

ですね。また、外務省のサイトの「アジア」にも「欧州」にも、「サウジアラビア」「イラン」「イラク」「カタール」などの「中東」の国はありません。これは、

「中東」

という別の区分が、ちゃんとあるんですね。「中東」には、

アフガニスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、イスラエル、イラク、イラン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、シリア、トルコ、バーレーン、

ヨルダン、レバノンそれとパレスチナ。わりと「中東」と言われて、納得する国々です。

外務省の組織図を見ると、

「アジア大洋州局」「欧州局」「北米局」「中南米局」「中東アフリカ局」

「5局」があり、「アジア大洋州局」の下に「南部アジア部」が、「中東アフリカ局」の下に「アフリカ部」がありました。

ついでに「FIFA(国際サッカー連盟)」のサイトで、「アゼルバイジャン」はワールドカップのどこの予選に区分されているかを見ると、

「ヨーロッパC組」

でした。アゼルバイジャンと同じ組には、

「サンマリノ、チェコ、北アイルランド、ドイツ、ノルウェー」

がいます。ヨーロッパだ!ドイツと同じ組ですか、かわいそう。

「ヨーロッパ予選」の各組の国(地域)は、

(A組)ベラルーシ、フランス、ブルガリア、ルクセンブルク、スウェーデン、オランダ

(B組)アンドラ、ラトビア、ハンガリー、フェロー諸島、スイス、ポルトガル

(C組)アゼルバイジャン、サンマリノ、チェコ、北アイルランド、ドイツ、ノルウェー

(D組)ジョージア、オーストリア、セルビア、アイルランド、ウェールズ、モルドバ

(E組)カザフスタン、ポーランド、デンマーク、アルメニア、ルーマニア、

モンテネグロ

(F組)リトアニア、スロベニア、スロバキア、イングランド、マルタ、スコットランド

(G組)アルバニア、マケドニア、イスラエル、イタリア、スペイン、

リヒテンシュタイン

(H組)ボスニア・ヘルツェゴビナ、エストニア、キプロス、ベルギー、ギリシャ、

ジブラルタル

(I組)フィンランド、コソボ、クロアチア、トルコ、ウクライナ、アイスランド

でした。ご参考までに。

こういったことに関して大変詳しい博覧強記の郵便学者・内藤陽介さんにツイッターで、

「アゼルバイジャンは、アジアなんでしょうか?ヨーロッパなんでしょうか?『地理的概念』と『政治的概念』の線引きは、どのようにするのでしょうか?」

と質問してみたところ、詳しいご説明を頂きました。

「帝国書院の地図帳は、地図帳ですので『地理的概念』で『アジア(ウラル山脈以東)』に入れたのでしょう。外務省が『中東』としたのは、アゼルバイジャン人が言語的・文化的にテュルク系であることに加え、イランの人口の25%を占めているという事情から、中東の担当者が扱ったほうが好都合だということだと思います。『ヨーロッパ』という区分については、例えばワールドカップや五輪は、『旧ソ連』から分かれたという経緯でアゼルバイジャンは『欧州扱い』です。文化面でも同様のケースが多く、iTVが欧州放送連合(EBU)の加盟国ということで、アゼルバイジャンはユーロヴィジョンにも参加しています。切手の世界でも、アジア連盟の加盟国にはなっていなかったはずです。旧ソ連諸国の場合、基本的には『人的なネットワーク』としてロシアとのつながりが強く、組織運営のシステムや国内のルールなども、ソ連時代からの流れで欧州の方がやりやすいということではないかと思います。また、おそらく欧州連盟ではロシア語は公用語でしょうが、アジア連盟では違うでしょう。」

ということは「政治的な区分」というよりは、「文化的視点」や「人的ネットワークの面から「ヨーロッパ」と「アジア」の区分がなされるのでしょうか?そう問うたところ、

「特に、言葉の問題は大きいです。公式の場ではみんな英語で話していても、食事やパーティー・非公式な打合わせなどでは、言語ごとのグループに分かれて(アジアでは、そもそも人口の関係もあって、「中国語」と「非中国語」のグループに分かれることが多いですが)内密の話は『その言語』でということも多いです。

いずれにせよ、アゼルバイジャンを含む南コーカサスの旧ソ連諸国に関しては、その時々で、『アジア』に入れたり『欧州』に入れたり、というのが実情のようです。彼らも『欧州』に入れられることには、不満を持っていないようですが。」

ここで、テレビ番組で「アゼルバイジャン」が「東欧」とされていたことついて言うと、

「なるほど、たしかに『アゼルバイジャン』を『東欧』というのには違和感がありますね」

と共感して頂けました。内藤さん、ツイッターという文字数に制限のある中で、詳しいご説明を、ありがとうございました!(しかも、夜中に)

そうそう、「南北」に関しても「北欧」と「南欧」は「地理的な概念」だけかもしれませんが、それ以外にも「経済的な概念」がありますね。

・「南」=貧しい、自然がある、農業

・「北」=裕福、都市、工業

というようなイメージが。これは「イタリア」の場合には歴然とありますし、「スペイン」も少しあるのかな。「南」に対してはありそう。「フランス」や「ドイツ」はどうなのかな?

いずれにせよ「政治的な区分」「経済的な区分」(これも「政治的な区分」だが」)という、

「人間が勝手に、恣意的に決めたもの」

に加えて、歴史の中で培われて来た、

「文化的・言語的区分」

も絡んで来るのですね。「分類という思想」も複雑ですね。思わぬ勉強になりました。

(2017、11、22)

2017年11月22日 12:38 | コメント (0)

新・読書日記 2017_131

『スリーパー 浸透工作員~警視庁公安部外事二課(ソトニ)』(竹内明、講談社:2017、9、26)

北朝鮮の若い工作員が主人公。現実の出来事と、我々は知らないので現実かどうかわからないことが、ないまぜになっている。ちょうど「北朝鮮の脅威」を安倍首相があおって衆議院解散を行った頃に読み始めたので、「こういうスパイが、本当に日本に入り込んでいるのではないか」(たぶん)ということを、現実感を持って読むことができた。しかし、これだけシリアスなものをリアルに書ける作家さんがいたんだなと思って、著者の「竹内明(めい)」さんの「著者略歴」を見ると、1969年生まれで慶應義塾大学を卒業して、1991年TBS入社。え?同業者か?今年3月まで「Nスタ」のキャスターも務めたと。すみません、勉強不足で、全然知りませんでした。それでTBSを辞めた訳でもなく作家活動もしていたのですね。凄いなあ。TBSも懐が深い。

ちょうどこの時期に読んだ「3冊の本」が、部「TBS」がらみ。この本の他の2冊は、1冊は「久米宏」さんが書いた本、『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった』。彼も元・TBSアナウンサー。そして、もう一冊はTBSの社員が書いたのではなく、元TBS社員の男が「準強姦罪」で訴えられた話。そう、伊藤詩織さんの『ブラックボックス』。本当、TBSは、懐が深いわ。

読んで気になって点を箇条書きにします。

・「T字路の突き当たりの青い屋根の家。これが筒見のかつての我が家だった。」(81ページ)=「T字路」。「丁字路」ではなく。

・「ステガノグラフィー」=インターネット上の画像に隠されたテキストや音声ファイルを復号して、指令を受信する暗号(104ページ)=知りませんでした。

・「先日、交番で応対した女警に当時の状況を再聴取したら、妙なことを言うのです。」(218ページ)

「若い女警なのですが、芸能人のことをあまり知らないらしくて」(218ページ)=「女警」という言葉があるのか「婦人警察官」が「婦警」というのはあったが、「女性警察官」は略すと「女警」なの??

・「倉本雅恵背乗り事件が絡んでいるのではありませんか?」(218ページ)

・「工作員が背乗りする日本人の身分は、偵察総局にやる厳重な審査のうえ、複数の候補から選択される。捜索願が出されることのない、天涯孤独の日本人で、北朝鮮に拉致された者、もしくは工作員によって殺害された者の身分が選ばれる。したがって、本物を名乗る者が現れることなど、共和国の工作史上あり得なかった。」(240ページ)=「背乗り(はいのり)」という言葉。知らなかった。

・『机の上に一眼レフカメラがあった。ニコン製の高級機、ずっしりと重いプロ仕様のものだ。電源を入れ、再生ボタンを押した。「これは、、、」言葉がこぼれた。モニターに表示されたのは、夜、撮影された写真だった。』(232ページ)=モニターが付いて再生できるようなデジタルカメラでも、「一眼『レフ』カメラ」があるのか???

・『「お目覚めですか。頭痛や吐き気は?」筒見はこの女が医師であることに気付いた。「ああ、大丈夫だ」女医はペンライトを筒見の両眼の瞳孔に当てた。』(235ページ)=「女医」という言葉。さっきの「女警」といい、ハードボイルドな、ジェンダー表現とは無縁な漢字の小説。

・「老婆は半年前のある日、浅草駅前の交番に現れ」(240ページ)=「老婆」も最近見ない表現。「老婆の休日」なんちゃって。

・『筒見は片方の口の端を僅かに持ち上げた。「私は一線を越えてしまいました。飯島さんたちは私に何があっても、知らぬふりを通してください。」』(249ページ)=これは流行語の「一線を超える」を織り込んでいるのか?(笑)

・「晩秋の好天に恵まれた朝、北朝鮮は捨て身の挑発に打って出た。アメリカや中国の警告を無視して大陸間弾道ミサイルの発射実験を行ったのだ。新型ミサイルは北東方向に飛び、北海道上空を越えて、六千キロ離れたアメリカ・アラスカ沖に着弾した。」(286ページ)これは「事実」を織り込んで来てますね。そういったところがあると、真実味が出ますね。


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(2017、10、27読了)

2017年11月21日 19:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6561「打っちゃえゔぁ?」

先日近くのパチンコ店の前を通ったら、こんな看板が。

eva.jpg

この看板、ちょっと右側は木の枝で隠れて見えにくいけど、

「当店でエヴァ、打っちゃえゔぁ?」

と書かれています。ダジャレ系で、わりと好きです。こういうの。脚韻、踏んでるのね。しかしこの表記の、

「えゔぁ」

という表記は、見慣れません。

パチンコかスロットの機械(台)が、

「ヱヴァンゲリヲン」

の絵が描かれていたり、そういう種類なのですね。それで「ヱヴァンゲリヲン」の表記に引っかけて、

「エヴァ、打っちゃえゔぁ?」

になったのだと思われますが、「平仮名」の、

「ゔぁ」

は、ワープロソフトでは出ないよ!発音が粘り気がありそうな。

珍しい表記でした。

(2017、11、15)

2017年11月17日 16:30 | コメント (0)

新・ことば事情

6560「牛カレー」

先日、カレー屋さんの前を通った時に、

「牛カレー」

という文字が目に入りました。

「GYU」

と、アルファベットでルビが振ってあったので、

「ギューカレー」

と読むのでしょう。「ウシカレー」ではなく。

curry.jpg

でも、それなら普通は、

「ビーフカレー」

と言うのではないでしょうか?

しかし「ビーフカレー」なら当たり前すぎて、あまり特徴が無い。そこであえて、

「牛」

という漢字を前に出したと。そこまで前に出したのなら、

「国産黒毛和牛」

の上等なお肉を使っているとか、何かあるのかな?・・・と思わせたら「勝ち」かな?

知らんけど。

(2017、11、15)

2017年11月17日 16:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6559「ひゃくいちぽん」

先日、電車に乗っていたら、お母さんとおじいちゃんと幼い兄弟が4人で座っていました。そのお兄ちゃんのほうの、

「5~6歳の男の子」

が、車窓から見える「電柱の数」を数えていました。お兄ちゃんは、

「101本」

まで数えて、これをちゃんと「促音化」して、

「ひゃくいっぽん」

と言っていました。一緒に乗っていた、

「2~3歳の男の子」

つまり、弟のほうも、お兄ちゃんのマネをして数えていたのですが、彼は「101本」を、

「ひゃくいちぽん」

「促音化せずに」、でも「本」は「ぽん」と「半濁音」で言っていました。

ということは、大体「4歳」を境にして、

「数字と助数詞の組み合わせの中の促音化」

を覚えるのかな?と思いました。あ、年齢は「推定」です。

(2017、11、15)

2017年11月17日 13:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6558「行ったところ」

11月9日の「かんさい情報ネットten.」で若一さんと一緒にロケに行った黒木アナウンサー。その日に行くロケの場所が、「数週間前に取材したばかりの場所」だったことを指して、若一さんが黒木アナウンサーに、

「こないだ言ったところ」

と言ったら、黒木アナは、

「こないだ行った所?どこだろう?」

と。これは、おそらく若一さんは、

「行ったばかり」

というように、

「時間があまり経っていない」

という意味で「ところ」を使ったのに対し、黒木アナは、

「行った場所」

というように勘違いしていたようです。もしかしたら、

「~したところ」

という言い方は「関西特有」なのかな?そんなこと、ないよね。

(2017、11、15)

2017年11月17日 13:00 | コメント (0)

新・ことば事情

6557「和ジェラート」

新しくできたお店に、

「和ジェラート」

という文字を見つけました。違和感が。

だって、「ジェラート」は「イタリア」のものです。「和」ではありません。

これを許せば、

「和イタリアン」「和フレンチ」「和中華」「和コリアン」「和アメリカン」「和メキシカン」「和スパニッシュ」「和ドイッチェ」「和ボルシチ」「和シシケバブ」・・・もう、何が何だかわからなくなります!

でも、これ、「風」を付けて

「和風ジェラート」

ならば、納得です。「風」は略さないでほしいです。

しかし、グーグル検索では(11月17日)、

「和ジェラート」=149万件

もありました!一方の、「和風ジェラート」は、

「和風ジェラート」=43万3000件

でした。

(2017、11、17)

2017年11月17日 12:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6556「入境」

その日本人が北朝鮮にいるかどうか?という問いに対して、北朝鮮側からの回答が、

「未入境」

だったと。その表記について「ミヤネ屋」のスタッフが、

「元の原稿には『未入境』になっているんですが、これは『入境』でいいでしょうか?『入国』ではないんでしょうか?どちらでしょう?」

と質問して来ました。

この「入境」、国語辞典に載っていません。そこで考えてみました。

正式のパスポートを持っていて、ビザも取ってその国の領土に入って来るのは、

「入国」

ですよね。それに対して、わざわざ「入境」と区別するのはなぜか。

「入境」の「境」は、当然、

「国境」

でしょう。国境を越えてその国に入って来るが、正式な「入国審査」は受けていない可能性がある。これが、

「入境」

なのではないでしょうか?それが「未(=確認できない)」という状態が、

「未入境」

ではないか。だから、これは、「未入国」に置き換えるのではなく、その言葉通り、

「未入境」

という言葉を使った方が良いだろうと答えました。

あとでネットを調べると「Weblio日中中日辞典」というのがトップに出て来て、なんと、

「入境」「出境」「出入境」

というのは、

「中国語」

だったのです!その「出入境」の意味は、

「一定の国からの出国と、その国への入国」

つまり日本語では、

「出入国」

だというのです!知らなかった!また、こんな記述も。

「中国本土への入国には必ずビザが必要ですが、香港は中国本土とは異なる入境管理政策を持つ特別な地域で、特に、ビジネス目的での入境は比較的容易です。170以上の国や地域からの訪問者に対し、最長7日から180日までのいずれかの日数を上限として、香港へのビザなし入境が許可されています。日本のパスポート保持者の場合は、香港入境後90日以内の滞在であれば、ビザは不要です。」

ということで、「香港」などの地域は、日本語でも、「入国」ではなく

「入境」

が使われているようです。

(2017、11、15)

2017年11月17日 12:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6555「『11か国』の読み方」

アメリカが抜けてしまって、

「TPP11」

と呼ばれるようになった貿易交渉は、参加国の数が、

「11か国」

だから、その名があるわけですが、この「11か国」をこれまで正しくは、

「ジューイッカコク」

「促音」で読んで・話してきました。しかし 最近これを、

「ジューイチカコク」

「促音化しない」で話す様子を、何度か耳にしました。

11月9日のテレビ朝日の『お昼のニュース』で、「米抜きTPP最終合意へ」というニュースで、女性記者が中継で、

「ジューイチカコク」

と促音化しないで言っていました。

また、11月10日の日本テレビ『スッキリ』の中のニュースで、男性記者が、

「TPPジューイチカコク」

と、やはり促音化しないで言っていました。この広がり、イヤな感じがします。まだアナウンサーには及んでいないといいのですが・・・。

実は3年前、2014年9月の新聞用語懇談会放送分科会で、

「11か月」

の読み方を、従来の、

「ジューイッカゲツ」

という「促音」ではなく、

「ジューイチカゲツ」

と「促音化しない傾向がある」ことを指摘して、各社の意見を聞いたことがあったので、それをここに載せます。

*「11か月」の読み方=2014年9月

9月9日、「5年11か月ぶりの円安」のニュースで、「11か月」を、「ジューイチカゲツ」と読んでいるケースを(弊社も含め)耳にしました。正しくは当然、「ジューイッカゲツ」だと思うのですが、若い人の間に「ジューイチカゲツ」と読むような傾向はありませんか?(読売テレビ・道浦委員)

→(朝日放送)最近の若い人は、時間の「4分」は、もう全員「ヨンフン」と言う。

(毎日放送)デスク・クラスまでもが「ヨンフン」と言っている。

(テレビ朝日)「11分」について、アナウンサー7人に聞いたところ、1人だけ「ジューイチカゲツ」と言う人がいた。理由を聞くと「スポーツ中継などでは"数字を強調したいから"」ということだった。

(NHK)『NHKアクセント辞典』の改訂作業に際して「11か月」は「ジューイッカゲツ」で間違わないだろうが、同じ「11」でも「11か国」「11か所」「11か条」は、「ジューイッカ(国・所・条)」と「ジューイチカ(国・所・条)」の言い方があると思うので、悩んでいる。

(関西テレビ)「ジューイチカゲツ」と言うといった30歳の男性アナウンサーは「『ジューイチカゲツ』のほうが"丁寧な感じ"がする」と答えた。

(日本テレビ)「8」を「ハチ」と言うか、促音で「ハッ」と言うかということに似ているかもしれない。

(毎日放送)たしかに、「(0時)28分」を「ハチフン」と言うか「ハップン」と言うかだと、事件・事故のニュース原稿で「ハップン」は、軽い感じがして、違和感がある。

やはりNHKの委員が言っているように、「11か月」だけでなく「11か国」も、そういった「促音化しない傾向」が、3年前にはあったのですね。

これはヤバイなあ・・・。

10年以上前に書いた「平成ことば事情2843 ジューイチか月」もお読みください。

(2017、11、14)

2017年11月16日 12:37 | コメント (0)

新・ことば事情

6554「お賃金を頂いています」

ネットを見ていたら、書き言葉でこんな言葉が出て来ました。

「お賃金を頂いています」

それを見て、すぐにつぶやきました。

「賃金に『お』はつかへんやろ。(なんか別の物に聞こえる。)『給与』にも『お』はつかない。『給料』『給金』には『お』はつく。」

「お給料」「お給金」と「お賃金」

この「違い」は、何でしょうか?

普通は「お」は「和語」に付き、「ご」は「漢語」に付くような気がします。

【漢語】=「ご褒美」「ご協力」「ご自愛」「ご丁寧に」「ご希望」「ご宿泊」

【和語】=「おほめ」「お力添え」「お望み」「お泊まり」「おねだり」

など。

でも「給料」も「給金」も、そして「給料」も全部「漢語」ですよね。だのに「給料」と「給金」は「お」が付く。一方「賃金」には「お」も「ご」も付かない。

「給料」と「給金」に「お」が付く理由は、恐らく、

「漢語由来ではあるが、もう和語扱いとなるぐらい日本人になじんでいるから」

でしょう。ありがたいことに、毎月「お給料」を頂いてますからね、サラリーマンは。

しかし「賃金」というのは「労働の対価」であり、日常的な言葉ではありません。「労使交渉」などでは出て来ますがね。会社に入ってから、労働組合に入って初めて、

「チンカツ」

という言葉を聞いた時は、

「チキンカツの仲間」

かと思って、おいしそうな感じがしましたが、それが実は、

「賃カツ」=「賃金カット」

だと分かった時には、「カツ」がどこかに飛んで行ってしまいました。

話がそれましたが、「賃金」という言葉は、ちょっと理屈っぽい感じの「漢語のまま」です。ここに理由があるのでしょう。

しかも「給料」は「もらうもの」ですが、「賃金」は「払うもの」ですから、

「主語が違う」

のではないでしょうか。この辺に「お賃金」に違和感を覚えた根本的な理由があると思います。でもやっぱり、「音の響き」がなあ・・・。

(2017、11、14)

2017年11月15日 16:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6553「グータッチ」

11月6日の朝刊各紙には、前日来日したアメリカのトランプ大統領が、安倍首相とゴルフをしている写真が掲載されました。二人が仲良く、

「拳を握りしめてタッチ」

をしている写真です。その写真のキャプションに「読売新聞」と「朝日新聞」は、

「グータッチ」

という言葉を使っていました。これは辞書に載っている言葉かな?と思って、新しい言葉をいち早く載せることで有名な『三省堂国語辞典』を引いてみましたが、載っていませんでした。

そこで、ちょうどその日に開かれた「関西地区新聞用語懇談会」という会議で、質問してみました。

「けさの朝刊1面を見ていたら、きのうゴルフをした安倍首相とトランプ米大統領が、拳を突き合わせる写真のキャプションに、読売新聞と朝日新聞が『グータッチ』という言葉を使っていましたが、新しい言葉をいち早く載せることで知られる『三省堂国語辞典』をはじめとした国語辞典には載っていない言葉でした。『グー』は日本語、『タッチ』は英語ということで、『グータッチ』は『和製英語』でしょう。『グー』の手をしたドラえもんの握手を『ドラえもん握手』と呼ぶこともありますが、いずれも俗語で、全国紙の1面に出て来るとは思えない言葉ですが、これはもう『1面に載る言葉』として認識されているのでしょうか?」

これに対する回答ですが、

(朝日新聞)・・・・・。

(読売新聞)キャプションはともかく、3面の記事本文でも使ってしまったのは、ちょっと・・・。

という感じでした。これに関して「スポーツ紙」の用語担当者が、

(スポニチ)これは、巨人の原辰徳氏が監督時代にやり出して広まったもの。スポーツ紙ではバンバン出て来る。「ハイタッチ」だと、突き指をしたり、ケガをしがちなので「グー」にしたと聞いている。

と教えてくれました。そういえば、原監督、やっていたな!ちょっと思い出した。追加で聞いてみました。

(ytv)日米両首脳は「片手で」タッチしているが、「片手で」やるものなのか?

(スポニチ)原・元監督の「グータッチ」は「両手で」やるものだ。

とのことでした。『三省堂国語辞典』は、次の改訂で「グータッチ」を載せますかね?それと来年1月に出る『広辞苑』の「第七版」にも載っているか、注目したいと思います。

(2017、11、14)

2017年11月15日 13:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6552「壁」

アメリカのトランプ大統領が選挙戦で公約していた、

「メキシコ国境に壁を造る」

という話、ついに「壁の試作品」が出来たと、10月27日の日本テレビのお昼のニュースで放送していました。ツイッターで数日前に見ましたが、なんだか、

「アート作品」

のようでした。

「壁」

と聞いて思い出すのは、まず、

「ベルリンの壁」

そして、

安部公房の小説『壁』

ですね。高校の時に読んだだから、もう40年も前なので、内容忘れちゃったなあ。安部公房も長生きしていたら、ノーベル文学賞、取ったんじゃないかなあ。

そうそう、

養老孟司先生の『バカの壁』

というベストセラーもあったな。あれももう、ひと昔以上前ですね。

そんなことを考えさせた、

「メキシコの壁」

でした。

(2017、11、14)

2017年11月15日 10:46 | コメント (0)

新・ことば事情

6551「全力で」

<2017年2月2日に書きかけたままでした。>

ことし(2017年)の年賀状を読んでいて、一番腹が立ったというか、驚いたのは、

25年ほど後輩のアナウンサーから届いたハガキでした。

そこには自筆で一言、こう書かれていました。

「今年も、全力でご指導ください」

え?「全力で」ご指導ください?

それって、俺が手を抜いて指導してるってこと?

普通は、

「今年も全力で頑張ります!よろしくご指導ください」

と書くんじゃないの?社会人の常識として・・・。真ん中を略したら、あかんやろ!

来年はどんな手書きの一言が添えられているか、楽しみです。

ちなみに、今年(2017年)俺は、一応「全力で」、お前を指導したからな!!

(2017、11、14)

2017年11月14日 22:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6550「肩峰、肘頭」

インフルエンザの予防注射をしてもらいに、会社の健康管理室(昔の「医務室」ですね)に行きました。そこには、

「注射を打ってもらう時の姿勢」

が図示されていました。その中にこんな文字が、

「肩峰」「肘頭」

何と読むのでしょうか?「かたみね」?「ひじがしら」?

「膝頭(ひざがしら)」

はよく使うけど、「肘頭」は言わないなあ。

お医者の先生に聞いてみたら、「音読み」で、

「けんぽう」「ちゅうとう」

と読むのだそうです。

「大体こういった身体の部位などは『音読み』が多いですねえ」

と話してくれました。

グーグル検索では(11月14日)、

「肩峰」=38万9000件

「肘頭」= 6万7700件

でした。

(2017、11、14)

2017年11月14日 20:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6542「『に』か?『を』か?」

助詞の「に」と「を」の使い分けが、よく間違っています。

11月14日の「ミヤネ屋」のテロップの事前チェックの例で言うと、

×「カメラマンを暴行」→○「カメラマンに暴行」

×「知人男性を暴行」→○「知人男性に暴行」

というのがありました。

「暴行」という単語の前には、

「目的語=暴行をする対象の人(暴行を受ける人)」

が来るので、「暴行(暴力行為)をする人」から見ると、

「に(暴行)」

になります。

これは単語によって変わります。もし「殴る」「蹴る」であれば、その前に来る、

「目的語="殴る""蹴る"をする対象の人(殴られる人・蹴られる人)」

の後には、

「を」

が来て、

「カメラマンを殴る(蹴る)」「知人男性を殴る(蹴る)」

となるわけです。「暴行」は「名詞」ですが、

「暴力を行う」

という意味があり「動詞的な名詞」です。しかしこれを「動詞」にするには「する」などを付けて、

「暴行する」「暴行を加える」

という形にしなくてはなりません。その「する」「を加える」を省略した形だと考えられます。そうすると自然と、助詞は「に」になるはずです。

(2017、11、14)

2017年11月14日 21:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6549「滑り込み」

フィギュアスケートの羽生結弦選手が、NHK杯の公式練習で「4回転ルッツ」の着氷の際に右足靭帯をケガしてしまいました。その前のインタビューで彼は、「4回転ルッツ」に関して、

「滑り込みが足りない」

と話していました。この、

「滑り込み」

というのは、

「滑る練習=フィギュアのワザの練習」

のことだと思いますが、普通に「滑り込み」と聞いて私が思い浮かべるのは、

「野球のスライディング」

です。そちらを思い浮かべながら聞くと、なんだかちょっと違和感がありますね。でも、

「走り込みが足りない」

というのはよく耳にします。

「泳ぎ込みが足りない」

はどうでしょうか?たまに耳にするかな。野球のピッチャーなら、

「投げ込みが足りない」

バッターなら、

「打ち込みが足りない」

でも、サッカーで、

「蹴り込みが足りない」

とは言わないなあ。

この「○○込み」という言葉は、面白いですね。

(2017、11、13)

2017年11月14日 18:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6548「訪中中」

アジア歴訪中のアメリカのトランプ大統領。

日本、韓国と訪問して、きのう(11月8日)から中国を訪問しています。その様子を伝えた「ミヤネ屋」の画面左上のサイドスーパーに、

「きょう訪中」

ところが、中国へ行ったのは

「きのう」

ですから、「きょう訪中」と書くと、

「きょう、中国へ行った」

ように感じてしまいます。きのうから訪中して現在も滞在中ということは、

「訪中中」

「ホーチューチュー」?

なんか変です。結局、放送では、

「現在訪中」

としたのですが、これもなんだかヘンな感じです。

「訪米中」「来日中」

というような表現は普通にあるのに、なぜ「訪中中」はおかしく感じるのか?

「~しているところ」

を意味する、

「○○中」

の「中」の前に、

「『中国』の略称である『中』が来る」

ので、ヘンな感じになるのでしょうね。もう一つ「中」が来ると、「ポン」してしまいそうです。「中」のみ。

「きのうから訪中」

にすれば良かったな。

(2017、11、9)

2017年11月10日 11:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6547「左のかたは」

「京セラドーム大阪」前の屋外エスカレータに乗ろうとしたら、自動音声の女性の声が聞こえて来ました。

「左のかたは、右側のエスカレーターをご利用ください」

え?左のかたは、右なの?クロスするの?

と思って戸惑っていたら、もう一度、自動音声が流れて来ました。

「下りのかたは、右側のエスカレーターをご利用ください」

でした。「ひだり」ではなく、「くだり」だったのですね。1字違いだ!

で、「のぼり」が「ひだり」なのね。

(2017、11、7)

2017年11月 8日 15:54 | コメント (0)

新・ことば事情

6546「大原れいこさん」

眼科の定期検診に行きました。去年、網膜剥離で1か月入院してから、1か月に1回は検診に行っています。もうね、平日の午前中ですが、もの凄く混んでいます。「老若男女」から「若」を抜いた方々でいっぱいです。100人以上います。200人はいないかな。いっぱいですから、時間もかかります。トータルで2時間40分ぐらい待ちました。。本を2冊読み終えることができました。目の検査に行って、目を酷使してどうする!検査は5分、診察は3分でした。

そうやって椅子に座って待っていると、看護師さんが患者さんの名前を呼びます。自分の名前が呼ばれるのを、ひたすら待っていたら、こんな声が聞えました。

「大原さーん、大原れいこさん!」

え?おおはられいこ!?大原麗子!と思っていたら、隣に座っていたおばあちゃんが、よろよろと立ち上がりながら、

「ハ~イ」

うわああ、びっくりしたー!というのを悟られないようにしないと、と動揺を隠して平静を装うのに苦労しました。

「大原れいこさん」が診察室に消えて行った後に、今度は看護師さんが、

「福田さーん、福田たけおさん!」

え?今度は「元首相」か!でも、「大原麗子さん」も「福田赳夫さん」も、もうお亡くなりになってますよね。こちらの患者さんは、もちろん生きている「大原さん」と「福田さん」です。

すごい病院やなあ、ここ。大物がおるわ。と思っていたら、最後にこう来ました。

「中村さーん、中村みつこさーん」

「演歌歌手」もおるんかい!大阪やから・・・って関係ないか。

周りの人たちは、気付いてないんやろか?こんな大物(と同じ名前の)の患者たちが来ていることに。

次回の診察が楽しみです。(全て「実話」です。)

(2107、11、7)

2017年11月 8日 11:53 | コメント (0)

新・ことば事情

6545「『2014年』のアクセント」

11月6日、テレビ朝日のお昼のニュースで「パラダイス文書」についてのニュースを放送していました。その中で、若い男性アナウンサーが読んだ、

「2014年から」

「14年」が「平板アクセント」で、

「ニ/セ\ン・ジュ/ーヨネンカラ」

となっていましたが、これは、

「ニ/セ\ン・ジュ\ー・ヨ/ネンカラ」

と区切って読むべきところでしょうね。

もう少し古い(伝統的)アクセントなら「14年」は、「頭高アクセント」でひと息に、

「ジュ\ーヨネン」

となるところです。

(2017、11、6)

2017年11月 7日 23:35 | コメント (0)

新・ことば事情

6544「秋田犬」

11月2日の「ミヤネ屋」で、今月5日に初来日するアメリカのトランプ大統領についてパネルで特集しました。その際に過去の「国賓クラス」の元首の来日の際の「お土産」についても紹介しました。

その中で、ロシアのプーチン大統領に対して過去に、

「秋田犬」

をプレゼントしたことがあるという話が出ました。この「秋田犬」の「犬」は、

「イヌ」と読むのか?「ケン」と読むのか?

という疑問が出ました。結論から言うと、

「イヌ」

と読みます。過去の新聞用語用語懇談会で、この「秋田犬」について話し合ったことがあったので記録を残しておきます。

【2016年2月 新聞用語懇談会放送分科会】

『新聞用語集』の前回の記述をそのまま引き継いだ「秋田犬」の読み方の「アキタイヌ」の注意書きは、

「秋田犬保存協会の決定呼称」

でしたが、改めて調べてみたところ、どうも「秋田犬」に関しては、

「(社)秋田犬保存会」(本部・秋田県大館市)

「(社)秋田犬協会」(本部・神奈川県鎌倉市)

という二つの団体があるようです。そして、「秋田犬保存会」のホームページの年表によると、この会は昭和2年(1927)に設立され、昭和29年(1954)に「秋田犬保存協会」と一本化されて「秋田犬保存会」となったようです。つまり現在は「秋田犬保存『協』会」は存在しないようなのです。

「秋田犬保存会」に電話して聞いてみたところ、自分のところのホームページに一本化したと掲載しているにも関らず、なんだか警戒されたのか、

「うちでは、『秋田イヌ』と言っています。一本化のあたりの経緯は、古い話なので分かりません。秋田犬保存協会という団体は、知りません。」

という答えでした。いずれにせよ、「秋田犬保存『協』会」は、存在しなさそうです。

【2016年12月 新聞用語懇談会放送分科会】

『NHK新アクセント辞典』では、「秋田犬」の「第2アクセント」に「平板」が入っているのに違和感がある。なぜ落とさなかったのか。(ytv・道浦委員)

→(塩田氏)個人的には「平板アクセント」は言わないが、元々「1998年版」に入っていた。そして第2回&第3回の調査報告に上がって来なかったので、削らなかった。

東京の古いアクセントをよく残している『新明解アクセント辞典』に「秋田犬」は、

    1. ア/キタ\イヌ ②ア/キタイヌ(平板アクセント) ③ア/キタ\ケン

の順番で載っている。平板アクセントの「ア/キタイヌ」は、古いアクセントだろう。

「支持率が半々」ぐらいのものは残している。

(2017、11、2)

2017年11月 7日 21:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6543「DM」

神奈川・座間市の6畳+2畳の自宅アパートから9人の遺体が発見され、死体遺棄容疑で逮捕された、白石隆浩容疑者(27)。恐るべき猟奇的犯罪です。

その白石容疑者がツイッターで「首吊り士」と名乗り、自殺志願者の相談に乗るような申し出をしていたと「ミヤネ屋」で伝えました。その中で出て来た、

「DM」

という文字。最初、

「ダイレクトメール」

だと思ったのですが、ツイッターでは「M」は「メール」ではなく「メッセージ」の略、つまり、

「ダイレクトメッセージ」

です。「ミヤネ屋」の視聴者層は年齢が高いと思われますので、これは少なくともルビを振った方が良いなと考えて、

「DM(ダイレクトメッセージ)」

と、ルビを振って放送しました。

(2017、11、2)

2017年11月 2日 21:37 | コメント (0)

新・ことば事情

6541「瑪瑙のアクセント」

現在開催中の「第69回正倉院展」。その内容を紹介する特集を、11月1日の読売テレビ『かんさい情報ネットten.』」で放送していました。Hアナウンサーのナレーションです。しっとりしていて、内容によく合ったナレーションでした。さすが、ベテラン!!

しかしその中で、

「瑪瑙(めのう)」

のアクセントを、

「メ/ノー」

と「平板アクセント」であったのは違和感がありました。私の語感は「中高アクセント」の、

「メ/ノ\ー」

なのです。

そこで、『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみると、

「メ\ノー」(頭高)、「メ/ノ\ー」(中高)、「メ/ノー」(平板)

の順番で、「3つのアクセント」が載っていました。その事実をメールで伝えると、Hアナウンサーから返事がありました。

「『瑪瑙』、どのアクセントでも聞いたことのある言葉です。読み合わせでは、私も、一番自分の語感に近い『中高』で読んでみました。でも読んだ時に、なんだか違和感があって、『瑪瑙→箕面』みたいに聞こえはしないかと心配に・・・。そんな妙な心配に引っ掛かることはなかったかも知れませんが、アクセント辞典を調べたうえで、『頭高』よりも私の語感により近い『平板』を選択した次第です。」

とのこと。なるほどね。難しいですね、アクセントは。

「箕面(みのお)」

という地名も「中高」「頭高」、両方のアクセントがありますね。

でも「平板アクセント」だと、

「未納」

みたい・・・。

(2017、11、2)

2017年11月 2日 17:36 | コメント (0)

新・ことば事情

6540「ノーノー」

11月1日、プロ野球日本シリーズ第4戦。ソフトバンクの「王手」を受けて、DeNAが6--0でソフトバンクに勝利。対戦成績を1勝3敗としました。

この試合、8回1アウトまで、

「ノーヒットノーラン」

の好投を続けていた先発の新人左腕・濱口遥大投手。

私がテレビのチャンネルを変えて日本シリーズを見始めたとたんに、濱口投手が打たれてしまいました。ごめんね・・・って、私には全く責任ないけど。

この試合のことを伝えたネットの「スポーツニッポン」の見出しが、

DeNAノーノー逃すも初勝利」

とありました。この、

「ノーノー」

というのは、

「ノーヒットノーラン」

のことなのでしょうか?初めて見ました。

ネットでさらに検索してみると、

「【日本シリーズ】DeNA・浜口が8回途中までノーノーの快投 ソフトバンクに一矢報いる」(東京スポーツ)

など複数あり、他でも使われているようです。でも「ノーノー」じゃ「No,No」と、

「拒否」

されているような感じ。

グーグル検索では(11月2日)、

「ノーノー」=81万5000件

「ノーノー」「日本シリーズ」=7万0100件

でした。

(2017、11、2)

2017年11月 2日 15:34 | コメント (0)