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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_145

『みみずくは黄昏に飛びたつ』(村上春樹・川上未映子、新潮社:2017、4、25)

作家・川上未映子(訊く)が、作家・村上春樹(語る)に「インタビュー」をしている本です。表紙に川上さんの所に「訊く」と書いてあるように、本当に「聞く」でも「聴く」でもなく「訊く」。「訊問(じんもん)」しているような感じなんですね。それも「インタビュー」と言うよりは、もう「対談」です。インタビューしている方が、こんなにたくさんしゃべるなんて、普通はありませんから!「対談」ですよ、もう。

4回にわたるロングインタビューを1冊にまとめている。川上さんは、本当に「村上春樹ファン」で、よく読み込んでいる。村上春樹は、昔書いた自分の本の内容なんて、もうあんまり関心が無くて、登場人物の名前や細かいことは忘れているんだけれど、ファンである川上は著者より詳しい。まるで「優秀な秘書」のよう。そんな頓珍漢な感じが面白いが、実はそんなもんだよなあと、私もちょっと思いました。もうこんなにたくさん書いてたら、自分が何を書いてきたかなんて、「体幹部分」は覚えていても、「枝葉」は忘れちゃうよね。

川上さんが「フェミニスト」として、村上春樹作品の中の女性の描き方を「追及」するところがあるけど、あれはちょっと、「ピンとはずれ」だなあと感じました。

まあ、しかし、親子ほど年齢が離れているけど、やはり「プロとして同じ仕事(職業)をしている先輩と後輩」として、お互いに認め合っているということで、話がキッチリと噛み合っていて、客観的に読者としては面白かったです。


star4

(2017、12、2読了)

2017年12月13日 17:09 | コメント (0)