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『道浦TIME』

新・ことば事情 (2017、5、24)

6342「群雀蘭」

5月19日の「ミヤネ屋」で、"終活"について特集をしました。その中で、假屋崎省吾さんがデザインした「棺桶」を紹介しました。どれも、結構派手なデザインでしたが、そのうちの一つに、

「群雀蘭」

という名前のものがありました。この読み方に関して、パネルにルビが無かったので、

「これはルビを振るべきだろう、読めないもん」

と思って辞書を引いたら、

「群雀蘭(むれすずめらん)」

と載っていたので、そのようにルビを振るように指示しました。

ところが本番を見ていたら、

「群雀蘭(ぐんじゃくらん)」

になっていたので、慌ててこの日の項目デスクに電話したところ、

「発売元に確認したら、假屋崎さんの棺の『商品名』の読み方は『ぐんじゃくらん』なのだそうです。」

とのことでした。「商品名」なら、それに従うよりほかはありません。

ちなみに「植物の名前」は「むれすずめらん」で、

「オンシジウム」

とも言うそうです。また「群雀」は、

「むらすずめ」

とも読み、「むらすずめ」という「岡山のお菓子」もあります。ややこしいなあ!

2017年5月30日 12:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6341「カールビンソンか?カール・ビンソンか?」

トランプ大統領がシンガポールから朝鮮半島にUターン派遣させた原子力空母の、

「カールビンソン」

ですが、読売新聞と朝日新聞は「・」が入らない、

「カールビンソン」

で、毎日・日経・産経は「・」が入る、

「カール・ビンソン」

ですね。元々「人名」ですから「・」が入るのではないか?と思うのですが。

日テレは「・」が入っていたので、うち(「ミヤネ屋」)は、それに従いました。

私が観察した範囲では、NHK・テレビ朝日・フジテレビも「・」が入る

「カール・ビンソン」

です。

なぜ、読売では入れないのでしょうか?

ちなみに、おなじ人名が付いた空母「ロナルド・レーガン」は、全紙「・」が入ってますよね。

その違いは???

と、東京の読売新聞の知り合いに聞いてみたところ、以下のような返事が。

『特段の理由はないようだ。2語の複合語は「・」を入れないのが原則。「人名+一般」語の場合も、語源意識が薄れている場合は「ディーゼルエンジン」とか「アクセルジャンプ」などと続けて表記する。「姓・名」の場合については、そういう規定があるわけではないが、「カールビンソン」はそんなに有名な人ではないので、語源意識が薄いと考えればなくてもいいのかなとも思う。「人名」は「あくまで由来」であり、「空母」になった以上、ファミリーネームもファーストネームもないのだから。「・」を入れると、同種の「ビンソン」型のひとつといった勘違いも起こりそう。駆逐艦の「アーレイバーク」なども人名に由来するが、「・」は付けないというのが、入れない理屈になるかもしれないが、由来が「人名」なのだから、やはりそれを尊重すべきだという理屈も成り立つ。「ロナルド・レーガン」や「エイブラハム・リンカーン」は、さすがに誰もが知っている名前なので「・」を付けるのが自然だし、「ジョン・C・ステニス」のようにアルファベットが入ると、続けるのは日本語の表記として違和感があり、「・」は付けるけれど長すぎるので2度目からは「ステニス」だけになってしまったりする。これは「人名由来」だからこそ可能な省略だ。「ジョージワシントン」なんかも「・」があったり、なかったり。「ジョージワシントン大学」になると、「・」なしの方が多いのでは。』

ありがとうございます。

また、読売新聞大阪本社の知り合いは、

『この3月でも「カール・ビンソン」としており、これまでは社説でも「カール・ビンソン」と「・」ありで使っていたようだ。これは通達というより政治部・国際部が出稿してきたまま使っているのだと思う。「読売スタイルブック」の規定では、人名には「・」を入れるとある。例えば人名としては「ホー・チ・ミン」だが、「ホーチミン市」の場合は入れない。これを準用すれば、「カールビンソン」もありなのかもしれない。方針変換があったのか、確認する。』

とのことでした。

また、朝日新聞の知り合いにも聞いてみたところ、

『米空母の名称の紙面実績についてはご指摘の通り。理由はよくわからない。社内向けの通達みたいなものは、出ていない模様。過去記事によると、出稿部門によっては人名の空母に「・」をつけない場合もあるようだが、大統領名だと、おおむね「・」入りだ。「カール・ビンソン氏」は下院議員だったようだが、あまり有名ではないせいで「人名感」がないのかも。「ジョン・C・ステニス」のようにアルファベットが入ると大統領でなくとも「・」は略せない感じだ。』

というお返事を頂きました。

(2017、4、13)

(追記)

その後4月19日に、読売新聞大阪本社の知り合いから、

『「カールビンソン」は、方針変換で「カール・ビンソン」とすることになった。本日夕刊は「ロナルド・レーガン」「カール・ビンソン」となっている。東京本社の決定で詳しいことは分からないが「艦船の名前」より「人名」と考えたようだ。』

というメールを頂きました。

ということで、全国紙5紙で「・」が入らないのは「朝日新聞だけ」になっています。

(2017、5、8)

(追記2)

5月9日に行われた関西地区新聞用懇談会でも、「朝日新聞」を始め各社に、この表記について聞いてみました。

『米・原子力空母「カール・ビンソン」の表記ですが、「・」を入れるか、入れないか?その理由は?私が見た限りでは「朝日新聞」さんだけ、「・」入らない「カールビンソン」ですが、これは「艦名」であり由来の「人名」意識がもう薄れているからということでしょうか?「・」が入らない理由は?』(読売テレビ・道浦委員)

(朝日)1982年頃「カールビンソン」が就役した当時に「『・』なしで」と決めたと、ベテラン記者が話していた。その後「人名」の付いた空母の就役で「ロナルド・レーガン」「ジョージ・ワシントン」と「『・』あり」になった。「カール・ビンソン」(米・下院議員の名前)は有名ではないから「・」が付かなかったのかどうかわからないが、その後も「『・』を入れよう」という話はない。

(共同)人の名前由来なので「・」を入れる。

ということでした。

(2017、5、11)

2017年5月23日 11:42 | コメント (0)

新・ことば事情

6340「逆に」

ゴールデンウイーク前から現在まで、京阪電車などに張られている、

「ひらかたパーク(ひらパー)」

のポスター。ご存じ、枚方出身の俳優・アイドルの「ひらパー"園長"」を務める

「岡田准一さん」

がワンショットでサングラスをかけ、ド迫力で写って一言しゃべっているというもの。

そのセリフが、

「せや 逆に、ひらパー。」

です。この「せや」は「そや」がちょっと変形したものですが、私が気になったのは、

「逆に」

の使い方です。「ゴールデンウイーク前」に初めて見た時は、

「そうか、ゴールデンウイークは旅行や帰省などで遠出をする人が多いから、地元・近場の遊園地である『ひらパー』へ行くという『逆転の発想』ということで、『逆に』なんだな」

と普通に理解していたのです。

しかし、ゴールデンウイークが終わっても、このポスターは堂々と張られ続けています。

そうすると、もしかしたらこの「逆に」は「正反対に」という意味ではなく、最近の若者語というか、俗語で使われる、

「『正反対』という意味を持たない、注目を集める役割だけの『逆に』なのかな?」

とも思うのですが、どうでしょうか?

(追記)

6月26日に見た、別のパターンのポスターには(ゴールデンウイーク用だけではなかったんだ!)

「逆に楽しい」

とありました。つまり、この「逆に」は、普通の「逆説の逆に」ではなかったんですね!やっぱりね。

(2017、7、14)


(2017、5、19)

2017年5月22日 18:33 | コメント (0)

新・ことば事情

6339「『過重労働』と『過剰労働』」

「働き方改革」が取りざたされる最近、よく、

「過剰労働」

という言葉を目にします。先日読んだ『残業税』(小前亮、光文社文庫)という小説でも出て来ましたし、今読んでいる『「おもてなし」という残酷社会』(榎木博明、平凡社新書)は、そのサブタイトルが、

「過剰・感情労働とどう向き合うか」

で、「はじめに~なくならない過労死」では、

『「過剰労働」や「感情労働」といった労働現場の悲惨な実態をあらわす言葉が、マスネディアを賑わせている。』

で始まります。よく出て来るのです。違和感があります。これは従来、

「過重労働」

だったはず。「過剰労働」は新語でしょうか?

グーグル検索では(5月17日)

「過重労働」=41万2000件

「過剰労働」= 6万8800件

と、まだ従来の「過重労働」のほうがたくさん出て来ます。国語辞典を引いてみると、

『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『旺文社標準国語辞典』『岩波国語辞典』の「過重」の例文で「過重な労働」と出て来ますが、「過剰労働」は載っていません。

『三省堂国語辞典』で「過剰」の2番目の意味である、

「やりすぎること」

で「過剰」が最初に付く例文は、

「過剰警備」「過剰防衛」「過剰敬語」

の3語でした。ちなみに1番目の意味は

「あまるほど多いこと」

で、こちらの例文は、

「自意識過剰」「人口過剰」

でした。

ネット検索した中で厚生労働省のサイトでは、

『厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。実施期間 平成2811月1日(火)から1130日(水)までの1か月間』

というのがあり、

「過重労働」

を使っているようです。

思うに、「過重労働」は、同音の「荷重」のイメージもあって、

「自分の肩に食い込む、重すぎる仕事」

というイメージがありますが、「過剰労働」は、

「単にデータ上、残業時間が多すぎること」

というイメージがあります。

「働き方改革」で、とかく「労働時間」「残業時間」にばかり目が行くので「過剰労働」という言葉が生まれて来たのではないでしょうか。本当は「仕事の内容」にも注目しないといけないのですがね。

(2017、5、17)

2017年5月22日 10:30 | コメント (0)

新・ことば事情

6338「ベルトにつかまり」

いつも聞いてる・耳にしているけど全く気にならないことが、急に「あれ?」っと思うことはありませんか?私はきのう、そういう経験をしました。

駅のエスカレーターに乗る際に、注意を促す自動音声が流れていますね。あれです。

「エスカレーターにお乗りの際は、ベルトにつかまり・・・。」

というアナウンス。え?「ベルトにつかまり」?

「ベルトを持ち」

ではないのか?と思ったのです。

エスカレーターのベルトは、いわゆる「手すり」みたいなものですから、

「手を添える」

感じですよね。「つかまる」には、

  1. 対象の位置が上

  2. しっかりと体重をかける(預ける)ような感じで握る

というイメージがあります。背の低い人や子どもの場合は、ベルトの位置が高くて「つかまる」感じになるかもしれませんが、普通の大人は「つかまる」ような位置関係には、なりません。

乗り物で「つかまる」といって思い浮かべるのは、

「電車のつり革」

です。あれは「上の方」にあるので、「つかまる」感じになりますね。

また、高さはあまり関係ないもので言うと、同じ電車の、

「握り棒」

も「つかまる」と表現することがあるかもしれません。普通は、

「(握り棒を)しっかりと握り」

だとは思いますが。

なぜ、「つかまり」になっているのか?もちろん、全てのアナウンスがそうかどうかの確認はしていませんが。今後いろいろな所のアナウンスを、注意して聞いてみたいと思います。

(2017、5、19)

2017年5月21日 22:29 | コメント (0)

新・ことば事情

6337「中学時代か中学生時代か?」

「ミヤネ屋」のディレクターが、

「道浦さん、『中学生時代』ですか?それとも『中学時代』でしょうか?」

と聞いて来たので、

「そりゃあ『中学時代』だろ!」

と答えたのですが、ふと疑問が。

「中学、高校、大学は、それぞれ『中学時代』『高校時代』『大学時代』と言って、『中学生時代』『高校生時代』『大学生時代』とは、あまり言わない。でも『小学校』だけは、『小学生時代』『小学校時代』と言って、『小学時代』とは言わない。大体、学校の名前も『○○中学』『○○高校』『○○大学』とは言うけど、『○○小学』とは言わないで、『○○小学校』と『校』を付けて言う。なんでなんやろ???」

これ、答えはわからないんだけど、一応「疑問」として、挙げておきますね。

(2017、5、18)

2017年5月21日 18:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6336「『休場』か?『休業』か?」

大相撲夏場所5日目に、横綱・鶴竜が、

「休場」

を決めました。初場所で痛めた左足首のケガが悪化し「全治1か月」だそうです。年間6場所戦い巡業にも出ると、ケガが治る間も、なかなか、ないですよね・・・。

ところで、「春巡業」を休むのは、

「休場」

でしょうか?それとも「巡業」だから、

「休業」

でしょうか?こういった問題が「ミヤネ屋」でこの前、出て来ました。

そのときは、「読売新聞」「日経新聞」で、

「休場」

としていたので、それに従い「休場」にしました。「巡業」を休むのは「休業」ですが、「地方巡業」の「場所」(取組)を休むという意味では「休場」と言えますからね。

しかし、よく考えると、「力士」が「巡業を休む」のではなく、

「"巡業"そのものが休み」

という場合に、

「休業」

と言うのではないかなあと、気付きました。

今後も注目しておきます。

(2017、5、18)

2017年5月21日 10:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6335「マカロンとマコロンとマクロン」

(2013年4月30日にこれを書き始めました。と言っても、タイトルだけですが。それに「マクロン」が出てきたことで、このタイミングで日の目を見ることに。)

2017年5月7日、フランス大統領選挙において、

「エマニュエル・マクロン氏(39)」

が当選を果たしました。この名前を聞いて日本人の多くが思い浮かべたであろうことは、「マクロン?マカロン??」

ということでありましょう。

実は、4年前にこれを書き始めたきっかけは、当時、出始めたばかりの、

「マカロン」

というカラフルなお菓子と、日本各地で昔から「駄菓子」として存在していた、

「マコロン」

というお菓子は、元々は同じものではないか?という疑問からでした。「マカロン」は急速に日本社会・庶民の生活の中に浸透したように感じます。まあ、滅多に買ったり食べたりはしませんが。どちらかというと「プレゼント」として「もらう」印象が。そんなにもらったことも無いんだけど。4年経ってそこに、今度は、

「マクロン」

が殴り込んできたわけです。(殴り込んでは、いない。)

駄菓子の「マコロン」に関しては、当時の毎日新聞大阪の校閲部長さんが、会議後の懇親会の席でこの話をした時、興奮気味に、

「僕は、宮城県出身なんだけど、子どもの頃たしかに『マコロン』というお菓子を食べた!」

と話していらっしゃったのを思い出します。

たぶん、フランスのお菓子「マカロン」が、何らかの形で日本に伝わって、その時の発音が、

「カ→コ」

に変化して「マコロン」になったのだと思われます。

で、新しいフランスの大統領「マクロン」さん。「カ」でも「コ」でもなく「ク」です。

間違えないようにしないと!

(2017、5、18)

2017年5月20日 18:26 | コメント (0)

新・読書日記 2017_061

『サザエさん2017春~「週刊朝日・臨時増刊号2017・5・15」・「サザエさん」生誕70周年記念特別号』(長谷川町子、朝日新聞出版:2017,4、25)

ああ、懐かしい!サザエさん。70周年なのか。

4コマ漫画「サザエさん」は、1946年から1974年まで朝日新聞などに掲載され、今回は単行本の『よりぬきサザエさん』全13巻から、300作品を厳選して載せたものだそうです。その時代時代で、ちゃんと「時代」を読み込んでいますねえ・・・。

でも結構「読んだ覚えがある漫画」も多かったです。

巻末に「サザエさんの社会見学」というエッセイがあって(イラスト付き)、そこでサザエさん(長谷川町子さん)は、将棋の「名人戦」を見学しています。昭和26年(1951年)4月6日夕刊掲載。当時の名人は、一時は「負ければニュース」になると言われその無敵ぶりが大相撲の横綱・双葉山と並び称せられた木村義雄(当時46歳)で、挑戦者は升田幸三八段(当時28歳!)。当時の記録を辿ると、その木村名人も棋士生活の晩年を迎えており、この「第10期名人戦」では、升田幸三八段の挑戦をはねのけたものの、翌昭和27年(1952年)の「第11期名人戦」で、大山康晴に1勝4敗で敗れ、「よき後継者を得た」の名文句を残して引退の道を選んだそうです。

まさに「歴史」を振り返るきっかけとなる一冊ですね。

そうそう、この本には載っていないですが「サザエさんの社会見学」では、サザエさん(長谷川町子さん)が、港で船のスケッチをしていたら「スパイ」と間違われたという話も載っていると、ツイッターで知りました。「共謀罪」ができたら、そういうことになるかも・・・という話でした。


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(2017、4、28読了)

2017年5月20日 10:27 | コメント (0)

新・読書日記 207_060

『謎の漢字~由来と変遷を調べてみれば』(笹原宏之、中公新書:2017、4、25)

今は早稲田大学教授になっている笹原さん。もう十数年前になるが、まだ国立国語研究所にお勤めの時に、大阪で一度だけお会いしています。漢字の専門家。本もたくさん出していらして、専門的な話を一般の読者にも興味を持って読んでもらえるように、うまーく工夫されている。

今回もキャッチーなタイトル「謎の漢字」。ほら、タイトルを見ただけで、

「え?何なの?読んでみたい!」

となりますよね。しかもサブタイトルが、

「由来と変遷を調べて見れば」

ですから、

「フムフム、それで?」

と引き込まれていきますね。導入がうまい!ついつい買って読んでしまいます。

第一部が「日本の地名・人名と謎のJIS漢字」。人名も地名も興味があるけど「謎のJIS漢字」、これは惹かれますよね!

そして「第二部」がまた秀逸!

「海老蔵は蝦蔵か」

へ?どういうこと?歌舞伎に興味はあるけど、それほど詳しいわけではない私なんぞは、つい興味を持って、まず「第二部」から読み始めてしまいましたよ。つまり「海老蔵」の表記の歴史を辿ると「蝦蔵」も出て来るそうなんです。え?それは本物なの?偽物なの?・・・ほらほら、興味が広がるでしょ?

中川右介さんの著作も出て来ましたよ!

そして「第三部」は「科挙と字体の謎」ということで、漢字の字体の違いに関する話で、これも実に興味深い!ということで、読み応え満載の一冊です!!(やたら、「!」が多いな)


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(2017、4、29読了)

2017年5月19日 18:25 | コメント (0)

新・読書日記 2017_059

『羽生善治 闘う頭脳』(羽生善治、文春文庫:2016、3、10第1刷・2016、12、12、5第4刷)

中学生棋士・藤井聡太四段の快進撃で、「将棋」に注目が集まっています。

これまでも羽生三冠の本や、その関連の加藤一二三九段の本は読んで来ましたが、やはり羽生さんは"別格"のような気がします。

ということで、読んでいたら、ちょうど藤井四段の活躍に注目。グッドタイミング!

30数年にわたり第一線で活躍してきた羽生三冠。最近スポーツ界でも、以前では考えられないぐらい長く現役生活を続ける選手が増えましたが、将棋もやはり20、30代がピークで、その後はだんだん衰えていくものです。しかし、羽生三冠によると、

「たしかに体力や、読み切る力は、若い頃のほうがあった」

と。25歳で前人未到の「七冠」を達成していますもんね。しかし、

「大局観、全体を見通す力は、年齢が上がってからのほうがある」

とも。これも納得ですね。「フィジカルな面(体力)」では「若さ」が勝ちますが、経験に裏打ちされた「読み」は、年齢と経験を重ねた方が「上」に決まってますからね。それを実感して話されている様子が、「なるほど」と思わせるところですね。

あと、加藤一二三九段を見て、羽生三冠も驚き感心し尊敬しているのは、その「継続力」「持続力」。これだけ長く(60年)も将棋をやって来て、まだ飽きずに前を向いて将棋を指すという「好奇心の旺盛さ」。これは「才能」であり尊敬に値すると。

「私なんて、まだ加藤先生の半分しか・・・。」

そうですね。先は長いですよ。

この本では、羽生善治の「思考力」「勝負力」「発想力」「人間力」「持続力」という5つのテーマ・能力について、いろんな人が語り、本人が語り、対談して語り、考えている。

巻末には、沢木耕太郎との対談、阿川佐和子との対談も載っています。

この分厚さ、380ページで「660円+税」というのは、お安いと思います。


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(2017、5、8読了)

2017年5月19日 10:23 | コメント (0)

新・読書日記 2017_058

『なぜメリル・ストリープはトランプに噛みつき、オリバー・ストーンは期待するのか~ハリウッドからアメリカが見える』(藤(とう)えりか、幻冬舎新書:2017、3、30)

この長い長いタイトル、「寿限無、寿限無・・・」のようなタイトルにつられて買った感じがしますね。タイトルの勝ち!

著者は朝日新聞の記者。そういえばツイッターで一時期、フォローしていたことを思い出しました。(先日、フォロー復活!相互フォローしてもらいました。)アメリカ支局の特派員経験もあって英語も堪能、アメリカの映画界にも詳しい。そういった視点から、今回のトランプ大統領の誕生前後の様子をアメリカ映画界はどう見たのか?ということを、直接のインタビューで示すことで紹介している。

直接「会って」のインタビューもあるが、結構「電話インタビュー」とか「テレビ電話インタビュー」もある。それはちゃんと書いてあるので「そういう時代になったんだなあ」と、改めて感慨が深い。

紹介されている33本の映画は、まだ見ていない映画も多いが、その中では『ニュースの真相』『ハドソン川の奇跡』『ジェイソン・ボーン』『ラ・ラ・ランド』『帰って来たヒットラー』『ヒトラーの忘れもの』は見た。やはり、見た映画に関しては、特に興味深かった。

他の映画も「見てみたいな」と思ったものが多かった。


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(2017、4、25読了)

2017年5月18日 20:20 | コメント (0)

新・読書日記 2017_057

『時間の言語学~メタファーから読みとく』(瀬戸賢一、ちくま新書:2017、3、10)

とっても難しい哲学の本だった。薄い新書なのに、読むのに時間がかかった

でも、最初の方がとっても興味深く面白かったので、読み始めたのですね。

何がおもしろかったかって言うと、「過去」「現在」「未来」という3つの「時間」に関する表現について。これが『広辞苑』と『新明解国語辞典』で、「全く正反対の表現」をしていると。すなわち、

『広辞苑』=「過去」から「未来」へ

『新明解』=「未来」から「過去」へ

「時間」は流れると表現されているというのです。

おもしろい!

つまりこれは、「時間」が主語なのか、それとも「自分(考える主体)」が主語なのかで、「逆」になると。「相対的な関係だ」ということなのですね。

「時間」が流れるのではなく「自分=私」が「前(未来)」に向かって進むから、「時間」は「後ろ(過去)」へと流れ去っていくと。当たり前のことなのですが、視点を変えることで見え方が違う。

電車に乗って窓の景色を見る時に、「進行方向に向かって乗る」のと「進行方向に背を向けて乗る」ので、当然のことながら景色の流れ方・見え方は変わりますよね。そういうことかな。面白い?面白くない?


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(2017、5、2読了)

2017年5月18日 10:17 | コメント (0)

新・読書日記 2017_056

『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』(吉川圭三、小学館新書:2017、4、4)

ビートたけし(北野武)・明石家さんま・所ジョージという、ここ40年ぐらい(つまり「現代」)の日本のテレビ・お笑い界をリードし続けていた大御所、その3巨頭と一緒にテレビ・バラエティー番組を作って来た著者は、元・日本テレビのディレクター・プロデューサー。『世界まる見え!テレビ特捜部』『恋のから騒ぎ』等の名物番組・お化け番組を生み出したプロデューサーが、お笑い3巨頭の「天才」「狂気」を語る・・・というだけで興味深く面白そうで、実際に読んだら面白い一冊。テレビ好きの方は、是非読むべし!!

著者は現在「ドワンゴ」に出向して、ネットの世界にいる。「ネット」という新しい世界でまた、新企画を打ち出してきそうだ!


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(2017、4、22読了)

2017年5月17日 20:15 | コメント (0)

新・読書日記 2017_055

『ゴーマニズム宣言~天皇論平成29年』(小林よしのり、小学館:2017、3、4)

漫画ではあるが、黒々と書かれた絵と共に、ほとんどが「文字」で埋め尽くされており、老眼になった今は、大変読みにくい。読み通すのに1か月近くかかってしまった。

そもそも550ページぐらいあって、重くて分厚い。

以前「天皇論」は出ているが、今上天皇の「退位」(譲位)が現実のものとなって来た去年8月の「お気持ちの表明」以降、改めてこの問題に正面から取り組んだものだと思う。敬意を表する。

いろんな意見の方がいて、それが「国民の象徴」としての「天皇の存在」を考えるきっかけになることは良いと思うし、また、「歴史」をもう一度学ぶきっかけになることは良いと思うので、今読んでおきたい本の一冊である。


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(2017、4、3読了)

2017年5月17日 16:34 | コメント (0)

新・読書日記 2017_054

『毎日新聞・校閲グループの ミスがなくなるすごい文章術』(岩佐義樹、ポプラ社:2017、3、25第1刷・2017、4,11第2刷)

「用語懇談会総会」で、年に2度ご一緒する、毎日新聞の用語幹事・岩佐さんの著作。

表紙に似顔絵入り。

「これを読めばミスがなくなる」?かどうかはわからないが、よく読んで身に付ければ、

「ミスが減る」

ことは受け合う。

まあ、ほとんどは知ってることではあるが、このようにまとめてもらうと、頭の中が整理できて助かります。毎日新聞さんではこういった点に注意してるのね、という力の入れ方も分かって勉強になりました!

覚え間違いも発見!「鍛治」の「治」って「さんずい」だと思ってたら、「にすい」の「冶」なんですね!そうか、「冶金(やきん)」の「冶」だな。「人格の陶冶(とうや)」の「冶」。

また、「崇拝」の「崇」と「祟(たた)り」の「祟」、似てますよねえ。「杮落し」の「杮」が、秋の果物の「柿(カキ)」と区別がつかないように。でも別の字。

もう一つ、「へえー」っと思ったのは、

「あの店は、高級すぎて"敷居が高い"」

という場合の

「敷居が高い」

は、一般的には「誤用」とされていますが、この本では、

「昔からそういう使い方はある」

として「認める」方向である点です。今後、どうなるのでしょうね?

この本、私が買った時点で「2刷」と、売れているようで、なによりです!


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(2017、4、27読了)

2017年5月17日 10:30 | コメント (0)

新・読書日記 2017_053

『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由(ワケ)』(汐街コナ著・ゆうきゆう監修・執筆協力、あさ出版:2017、4、11第1刷・2017、5、15第4刷)

2017読書日記050で書いた、ホリエモンの『すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論』(堀江貴文、光文社新書)では、

「会社なんて、辞めたかったらいつでも辞めなさい」

と説いていたが、この本では、

「辞めたくても、先輩や後輩に迷惑が掛かると思うと、悪くて辞められない・・・」

という「心やさしい人たち」が、いかにたくさんいるかということがよく分かる一冊。

「自分が一番、他人のことなんて気にしない。それぞれやったらいいじゃん」

という人にはわからない世界。その意味では、私もあんまりわからない。でも一応、

「そういう人もいるんだな」

ということは、分かる。

著者(女性)はデザイナーとして会社勤めをしていたころ、「しんどい、辞めたいけど、辞められない」という状態に陥ったが、家族の一言がきっかけになって、何とかその会社を辞めることができて、その後会社勤めもしたし、夫の転勤について行ったりする内に、イラストや漫画の仕事ができるようになったと。その間に、何度か精神的にも追い詰められた経験などをマンガで書いているもので、精神科医のゆうきゆうさんが監修に当たっている。

この本、結構売れているらしい。(5月8日の読売新聞夕刊によると、8刷で6万2000部だそうです)

ということは、こういったことで悩んでいる人が多いってこと。その人たちを、死の淵から生還させるためにこの一冊が役に立てば・・・という思いなんだろうなと、よく分かりました。


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(2017、5、14読了)

2017年5月16日 22:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6334「手足口病のアクセント2」

2017年5月16日の「ミヤネ屋」で、お笑いタレント「ナインティナイン」の矢部浩之さん(45)が、普通は乳幼児がかかるという病気、

「手足口病」

にかかったという話題を取り上げることになりました。この、「手足口病」のアクセントについては、前の『NHK日本語発音アクセント辞典』には載っていなかったので、

「平成ことば事情5208 手足口病のアクセント」

で、読売テレビアナウンス部のアナウンサーに聞いて調べたことがありました。

「2013年8月」のことです。

その2年後の「2015年7月」に「追記」で、NHKのニュースでは、

「テ\アシ・ク/チビョー」

と読んでいたと記してありました。そして、今回です。

去年(2016年)新しく出た『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみたところ、なんと載っていました!

「テ\アシ・ク/チビョー」

というアクセントのみ、載っていたのです。やはり「どう読むの?」という質問が多かったのでしょうね。それと「手足口病」がニュースで出て来ることが増えたのでしょう。

そして、前回の「追記」(2015年7月)も、最初に書いて(2013年8月)から、

「2年後」

でしたが、今回も「前回の追記」(2015年7月)から、

「2年後」

になりました(2017年5月)。もしかしたら、

「『手足口病』の流行は『2年周期』」

なのかもしれませんね。

(2017、5、16)

2017年5月17日 12:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6333「クリムゾンとスカーレット」

(2009年9月16日に書き始めて、ほったらかしでした)

「赤」を表す2つの英語、

「クリムゾン」「スカーレット」

これはどのように違う赤なのか?前から気になっていました。私の持つイメージは次の通りです。

*「クリムゾン」=(1)深紅色の、(2)血生臭い(血腥い)、ものすごく不気味な=濃いくれない色

*「スカーレット」=緋色=茜色=紫色を帯びた赤黄色、鮮やかな赤いカーテン

と、このメモを残したまま、

8年が経ちました・・・・

で、ことし(2017年)4月、「名探偵コナン」の映画の新作、

『名探偵コナン~から紅の恋文(ラブレター)』

を公開初日に見て来ました。

おもしろかった!!

舞台が大阪と京都で、大阪で出て来る、

「日売(にちうり)テレビ」

の社屋が、全くもって、

「読売テレビ」

の社屋がモデルで、周辺の描写も「実写」のようでそっくりだったので、

「うわあ、そっくりや!」

と思って見ました。

さて、この映画のタイトルの「英語表記」が、「から紅(くれない)」を、

crimson(クリムゾン)」

と記していました。

そうか「から紅(唐紅)」が「クリムゾン」なのか!と思いました。それまで私の持っていた「クリムゾン」という言葉のイメージはと言うと、ジャン・レノが主演した映画、

「クリムゾン・リバー」

で、これは、

「血の川」

というような意味だったと思います。

一応、辞書を引いてみます。○は載っていたもの、×は載っていなかったもの。

<クリムゾン>

○【広辞苑】深紅色。濃紅色。

○【新潮現代国語辞典】「クリムソン」と濁らない見出し。濃い紅色。深紅色。

○【デジタル大辞泉】「クリムソン」と濁らずに、~見出しで、本見出しは「クリムソンレーキ」。深紅色の西洋絵の具。

△【精選版日本国語大辞典】「クリムゾンレーキ」として載っていました。(クリムソンレーキ・クリムソンレーク)深紅色の顔料(「外来語辞典」1914)

×【明鏡国語辞典】「見出し」なし。「クリムゾン」で検索したら「くりまんじゅう(栗饅頭)」が出て来ました・・・。

×【新明解国語辞典】「見出し」なし。「クリムゾン」で検索したら、なんとこれも「くりまんじゅう(栗饅頭)」が出て来ました!

×【旺文社標準国語辞典】「見出し」なし。「クリムゾン」で検索したら、なんと今度は「グリム兄弟」が出て来ましたー!

×【NHK日本語発音アクセント辞典】「見出し」なし。「クリムゾン」で検索したら「クリミア」が出て来ました。「クリミア半島」の「クリミア」。ウクライナです。

×【三省堂国語辞典】「見出し」はなし。

×【岩波国語辞典】「見出し」はなし。

「クリムソン」は「クリムソンレーキ」という染料(の色)の略称で、それが濁って「クリムゾン」になったのでしょうね。「ウィキペディア」では、

「クリムゾンまたはクリムソン (英語: crimson) は濃く明るい赤色で、若干青みを含んで紫がかる。彩度が高く、色相環上ではマゼンタと赤の中間に位置する。もともと地中海世界においてケルメス属のカイガラムシから、後に南米産のコチニールカイガラムシ(エンジムシ、学名 Dactylopius coccus)から得られる染料の色であったが、一般的に赤い色を指し示すようになった。」

とあります。

<スカーレット>

○【広辞苑】深紅色(しんこうしょく)。緋色(ひいろ)。

○【明鏡国語辞典】緋色(ひいろ)。深紅色。

○【新明解国語辞典】深紅色(の染料)。緋()

○【精選版日本国語大辞典】緋(ひ)色。真紅(しんく)。深紅色。猩猩緋(しょうじょうひ)。

○【デジタル大辞泉】緋色。深紅色。

○【三省堂国語辞典】深い紅色。緋(ヒ)。

○【新潮現代国語辞典】緋(ヒ)色。深紅色。

×【旺文社標準国語辞典】「見出し」なし。「スカーレット」で検索したら「スカーフ」が出て来ました。

×【NHK日本語発音アクセント辞典】「見出し」なし。「スカーレット」で検索したら、これも「スカーフ」が出て来ました。

×【岩波国語辞典】「見出し」はなし。

『精選版日本国語大辞典』に出て来た「猩猩緋(しょうじょうひ)」って、何?「猩猩」は「サル」でしょ?「サルのお尻(ホッペタ)の色」ってことかな?

ちなみに、ここまでよく出て来た「深紅色」も引いてみました。

<深紅(しんこう)色>

○【広辞苑】(1)→しんく(2)陶土にカルミンを加えた紅色の絵具。クリムソンーレーキ

○【新潮現代国語辞典】(1)濃い紅(クレナイ)。絵の具のクリムソンレーキの色で、黄色味のない濃いあか。(2)まっか。しんく。

○【新明解国語辞典】「しんこう」=濃い紅(の絵の具)「深紅色」

○【精選版日本国語大辞典】(1)濃いくれない。深紅色。真紅(しんく)。(2)礬土(ばんど)にコチニールという動物性色素を加えて作った紅色の絵の具。クリムソンレーキ。

○【デジタル大辞泉】(1)→しんく(2)礬土(ばんど)に動物性色素のコチニールを加えて製する紅色の絵の具。クリムソンレーキ。

×【旺文社標準国語辞典】「見出し」はなし。

×【NHK日本語発音アクセント辞典】「見出し」はなし。

×【明鏡国語辞典】「見出し」はなし。

×【三省堂国語辞典】「見出し」はなし。

×【岩波国語辞典】「見出し」はなし。

「深紅色」は「クリムソンレーキ」のことで、その作り方まで『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』には載っているのですね。

そして「コナン」の映画では「crimson(クリムゾン)」と英訳されている「から紅」も!

<から紅>

○【広辞苑】(韓紅)(韓から渡来した暮れに亜の恋色。深紅の色。古今和歌集の(秋)「ちはやぶる 神世もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」

○【明鏡国語辞典】(唐紅・韓紅)あざやかな濃い紅色。深紅色。▽舶来の紅の意

○【新明解国語辞典】(唐紅)濃くて美しい紅色。深紅色。▽「韓紅」とも書く。

○【精選版日本国語大辞典】(韓紅・唐紅)(1)(舶来の紅の意)濃い紅色。深紅色。その染め色の美しさを特に賞美していう語。(2)(1)の色をした意図や布。(3)植物「寒紅梅」の異名。(4)香りの名・分類は伽羅(きゃら)。

○【デジタル大辞泉】(唐紅・韓紅)(舶来の紅の意)鮮やかな濃い紅の色。

○【三省堂国語辞典】(唐紅・韓紅)(雅)美しい、こい紅色。

○【新潮現代国語辞典】(韓紅)濃い紅色。鮮紅色の美称。

○【旺文社標準国語辞典】(唐紅)こい紅色。深紅色。

○【NHK日本語発音アクセント辞典】(から紅【韓】)「見出し」あり!

○【岩波国語辞典】(唐紅・韓紅)濃く美しいくれない。深紅色。

ということで、「濃い紅色」の表現はいろいろあって、どうもかなりの部分、重複しているような感じがしました。

(2017、5、15)

2017年5月16日 17:25 | コメント (0)

新・ことば事情

6332「『が』ではない!」

「ミヤネ屋」で5月11日に放送前に直したテロップに、こういうものがありました。

★助詞は「を」です。

×「巡査部長が逮捕」→○「巡査部長を逮捕」

×「地域課の巡査長が逮捕」→○「地域課の巡査長を逮捕」

これは、なんで間違いなのか?

元々の形は、

「巡査部長が逮捕された」

「地域課の巡査長が逮捕された」

というように、語尾に「受け身」を意味する「された」が付くはずです。

それを、見出しやスーパーで文章を短くするために「された」を省略したとによって、

「文章にねじれが生じてしまっている」

のです。「された」がないと、意味上は「した」になるため、

「巡査部長が逮捕」「地域課の巡査長が逮捕」

は、主語が「巡査部長」「地域課の巡査長」になってしまうために、

「『誰を』逮捕したのかがわからない文章」

になってしまいます。と言うか、

「本来『逮捕された』はずの『巡査部長や地域課の巡査長』が『逮捕した立場』に逆転してしまう」

のです。そのため「された」を省略するならば、「助詞」を「を」に変えて、

○「巡査部長を逮捕」

○「地域課の巡査長を逮捕」

として「逮捕」の「目的語」を「巡査部長」「地域課の巡査長」にすることが必要です。

どうしても「それはイヤ」というワガママな人は、

「助詞を取る」

という手があります。そうすると、「スペース」が、助詞「を」の役割を果たしてくれて、

「巡査部長 逮捕」「地域課の巡査長 逮捕」

になり、意味は「やや受け身形に近付く」のです。

(2017、5、11)

2017年5月16日 15:22 | コメント (0)

新・ことば事情

6331「米とコメ」

5月10日の「ミヤネ屋」で、20年前に脱北した人にインタビューしたVTRがありました。その中のコメントフォロースーパーで、

「米を食べていない」

というものがありました。普通、放送では「ライス」の「コメ」は、

「主食はコメ」

のように「カタカナで書く」ことになっているのです。しかし今回は、カタカナの「コメ」だと、

「まだ炊いていないイメージがある」

と思ったので、

「米は食べていない」

と漢字で「米」と書いて、

「『ごはん』のイメージ」

を出しました。

(2017、5、10)

2017年5月15日 22:48 | コメント (0)

新・ことば事情

6330「ムニューシンか?ムニューチンか?」

4月27日の「テレビ朝日」のニュースで、アメリカの「財務長官」のことを、

「ムニューシン」

と読んでいました。テロップもそうでした。あれ?この人って以前は、

「ムニューチン」

だったのではないか?

ネット検索したら、

「米財務長官Steven Mnuchin 氏、日経新聞では(おそらくきのう=2017年2月22日から?)ムニューチンからムニューシンへ変更になりましたね。本人が、『ムニューシン』だと言われたそうです。でも、文字だけ見たら、ムニューチンだと思いますよね。」

という記述が見つかりました。それによると、

Mnuchin

という姓はアメリカでも一般的ではないようで、ムニューシン氏のひいおじいさんはロシア生まれのユダヤ人で、ロシア系ユダヤ人には珍しくない名字だそうです。

これに関して、2017年5月9日に行われた「関西地区新聞用語懇談会」で議題に出しました。

『アメリカの財務長官の名前の表記は「ムニューチン」でしょうか?「ムニューシン」でしょうか? これは何か変更があったのでしょうか?』(読売テレビ・道浦委員)

これに対しての各社の回答は、

(共同通信)ことし2月18日付で「ムニューチン」から「ムニューシン」に変更した。理由は、現地音に近い表現で、日本の財務省も変更を発表したから。

(読売新聞)共同通信と同じ。2月23日付で「チン」→「シン」への変更について、紙面で「おことわり」を出した。日本の財務省が、米・財務省に確認して(現地音に近いということもあり)変更したことを受けて。

ということでした。つまり今は、

「ムニューシン」

になったのですね。

(2017、5、15)

2017年5月15日 20:47 | コメント (0)

新・読書日記 2017_052

『宇宙兄弟30』(小山宙也、講談社:2017、1、23)

『コミック・モーニング』で連載中の漫画。『モーニング』は買い忘れない限り、最近は大体、読んでるので、この巻に収められた話も、ほぼ9割はすでに読んだ物だったが、まとめて読むと、また雰囲気が変わる。ちなみに『モーニング』で読んでるのは「宇宙兄弟」「神の雫」「コウノドリ」「グラゼニ」など。

宇宙飛行士といっても、いろんな思いを抱えている。

兄・六太よりも先に宇宙へ・月へ行った弟・ヒビトは、月面で事故に遭い九死に一生を得たがPTSDとなる、それを克服してアメリカのNASAを辞め、ロシアの宇宙飛行士として一から再び宇宙を目指す。なぜ、そうまでして宇宙を目指すのか?やはり「そこに宇宙があるから」なんだろうな。それにしても「兄弟で宇宙飛行士」って人が、結構、出て来ます。友情・兄弟愛・ロマン。そういったものをユーモアを交えて描いているこの漫画、好きだ!


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(2017、5、3読了)

2017年5月16日 20:22 | コメント (0)

新・読書日記 2017_051

『残業税』(小前亮、光文社文庫:2017、2、20第1刷・2017、3、20第3刷)

小説である。

今、世の中で「残業問題」「働き方改革」が問題になっているところに着目した、非常に「ユニーク」な視点。興味深い。

舞台は、残業をすればするほど、取られる税金が増える「時間外労働税」というものが導入された日本。これによって、残業時間は劇的に減ったが、もっと働かせたい企業も、残業代を稼ぐために残業したい労働者も多く、「サービス残業」という"脱税"も後を絶たない。そんな中、主人公は「マルザ」と呼ばれる「残業調査官」と、「熱血・労働基準監督官」のデコボコ・コンビ。ちょっとコミカルな『相棒』といった感じの構成は、読みやすい。

そして、「残業」というものに対する「日本人の思い」が詰まった作品だと思う。

「仕事」「会社」「お金」

この3つについての「日本人的な感情」を抜きにして、徹底的な「働き方改革」は成り立たないように感じるのだが。

「電通・過労自殺事件」を経て、身体的にも精神的にも「自殺」に追い込む(追い込まれる)ような働き方は間違っているということは、ほとんどの国民に知れ渡ったと思うが、それは当然のこととして、その次へ進むには、この"感情"の問題を解決しなくてはならないのではないか。(解決しなくても良いのかもしれないが。)


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(2017、5、3読了)

2017年5月16日 11:21 | コメント (0)

新・読書日記 2017_050

『すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論』(堀江貴文、光文社新書:2017、3、20)

ハッキリ言って、私は「ホリエモン」はキライである。考え方が合わない。でもこの本はタイトルに惹かれた。

「すべての教育は『洗脳』である」

うーん、そうとも言えるが、「逆」かな、

「すべての洗脳は『教育』である」

とは思ったけど、「洗脳=教育」という考え方はそうだと思ったので(以前から、そう考えていたので)、興味を持って買った。第二次大戦の時にアメリカは日本を研究してたけど、日本は「英語敵性言語だ」とか言って勉強しなかった」という経験から言っても、「嫌いだから」と避けてばかりいてもダメだとも思って。サブタイトルは、買う時には見落としていたのだが、「21世紀の脱・学校論」。これも興味深い。

で、結論から言うと、

「能力のある人はこういう生き方をできるけど、万人ができるわけではない。と言うよりも、ほんとんどの人はできない」

ということでしょうか。学校に行かなくても成功する人は少ない、と私は思う。

ホリエモンは、

「『学校』という制度に合わない人は、必ずしも行かなくてもいいんだよ。『会社』も同じ。嫌なら辞めたらいいじゃん」

と。これを読んで「そうだったのか!」と会社を辞められる人は、そしてそれで何とかなっていく人は良いが、この「会社を辞める」という決断が、すっごく難しい人もたくさんいる、ということを、この後に読んだ、

『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』

という本を読んでわかった。やっぱり、いろんな物事、

「できる人と、できない人がいる」

ということなのだなあ・・・。


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(2017、5、7読了)

2017年5月16日 10:19 | コメント (0)

新・読書日記 2017_049

『なぜ、残業はなくならないのか』(常見陽平、祥伝社新書:2017、4、10)

常見さんは、「学生の就職関係」専門のライターさんかと思っていたが、「働くこと全般」のライターさんだったのか。著者者紹介の所には「働き方評論家」とあった。

やはりきっかけは「電通・過労自殺"事件"」。あの"事件"をきっかけに、タイトルの「なぜ、残業はなくならないのか」について考察された本。

1980年代から現在にいたるまで「労働時間」は減り続けているが、「正規労働者」に限って言うと、労働時間は横ばい(「正規労働者」以外の派遣やバイトといった「短時間労働者」が増えたことで、「平均」の労働時間は減って来ている)であるし、「サービス残業」もあり、「長時間労働」が多く、「有給休暇を取りにくい」というのが現状。

「第2章」が、タイトルと同じ「なぜ、残業は発生するのか?」では、「企業側から」と「労働者側から」のその「理由」をまとめている。それによると「企業側」は「顧客からの不規則な要望に対応するために必要」「業務量が多いため」「仕事の繁閑の差が大きいため」に「残業」が発生する。一方「労働者側」は「人員が足りないため(仕事量が多いため)」「予定外の仕事が突発的に発生するため」「業務の繁閑が激しいため」。

著者は日本における「残業」の根本的問題は「仕事の任せ方」にあると論じる。欧米型の「仕事に人をつける」(ジョブ型)ではなく、日本では「人に仕事をつける」(メンバーシップ型)。つまり「会議を減らす」とか「仕事が終ったらすぐに帰る」といったような小手先の「改善」ではコトは解決しない。「改革」は、「採用方法」から「仕事の契約」に関するまでの「変更」を伴うものであることがわかる。そこまで手を付けないと「改革」とは言えない。つまり「終身雇用制度の解体」であろう。それが果たして企業にとって、労働者にとって「良いこと」なのだろうか?欧米型の働き方が「良い働き方」なのだろうか?すでに「正規社員」をあまり採らなくなっていることで「終身雇用制度」は崩壊しつつあるが、その結果、「より良い労働環境」になっていると言えるだろうか?

そのほか著者は「成果と時間を切り離すと、ますます労働時間が増える可能性もある」と指摘(179ページ)、つまり「成果主義」への疑問である。そりゃそうだろうと思う。会社で仕事をしないだけで、いわゆる「風呂敷残業」になるだろうし、家だと、時間を気にしないで(仕事を)やってしまう恐れも高い。

「働き方改革に企業が本気で取り組むには、投資が必要となる。人事が制度を作るだけでなく、人材の投入、IT投資、総務によるオフィスの投資などが必要となってくる。部門間の連携がないと、成功しにくい」(191ページ)とも述べている。

「やっぱりな」という感想。示唆に富む一冊であった。でも、できるのかな、本当に。・・・・。


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(2017、5、10読了)

2017年5月15日 20:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6329「お鍋屋さん」

5月9日、日本テレビの『ZIP!!』を見ていたら、渡辺直美さんが出て来て、お店を紹介するコーナーがありました。その中で渡辺さんが行きつけの「鍋料理店」のことを、

「お鍋屋さん」

と言っていました。ナレーションも、

「おしゃれなお鍋屋さん」

と言っているのを聞いて、違和感が。

「おしゃれなカフェ」

というのは聞くけど「おしゃれなお鍋屋さん」というのは、なんかちょっとヘン。

そもそも「お鍋屋さん」というのは、

「鍋を売ってる店」

であって、

「鍋料理を提供する店ではない」

のではないでしょうか?「お鍋屋さん」という言い方は、

「鍋=鍋料理」

という「略語の認識」があってこそ成り立つ語法ですね。ちょっと違和感がありました。

たとえば「お肉屋さん」は「ステーキ店」?「肉を売ってる店」ですよね。「パン屋さん」も「魚屋さん」も「パンを売っている店」「魚を売っている店」ですよね。

「鉄板焼き」のお店のことを「鉄板屋さん」とか言う?(言うかも)

「ケーキ屋さん」は「ケーキを食べさせる店」?「ケーキを売ってる店」ですよね。(食べさせる店もあるな)

・・・よく考えると、「お寿司屋さん」は「お寿司を売っている店」ではなく、

「お寿司を食べさせる店」

ですし、「カレー屋さん」も「カレーを売っている」というよりは、

「カレーを食べさせる店」

ですね。

「今晩はお鍋しようね」

と言う時の「お鍋」は、

「鍋料理」

だよなあ。じゃあ、「お鍋屋さん」もおかしくないということかなあ。あまり耳にしないだけでしょうか?

グーグル検索では、

「お鍋屋さん」=    9570件

「お鍋屋」  =  1万0200件

「鍋料理店」 =152万0000件

でした。

(2017、5、9)

2017年5月11日 12:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6328「『嵐山』のアクセント」

「平成ことば事情5816小早川家の秋」で、小津安二郎監督の1961年作品『小早川家の秋』の中で出て来る京都の地名

「嵐山」

のアクセントが、

「ア/ラシ\ヤマ」

「中高アクセント」だったことを書きました。東京の方はこれを、

「ア/ラシヤマ」

「平板アクセント」で読むことが多いのですけどね。去年5月に出た『NHK日本語発音アクセント新辞典』でも、「平板アクセント」の、

「ア/ラシヤマ」

しか載せていません。この件に関しては、去年(2016年)12月の新聞用語懇談会放送分科会の席で、アクセント辞典の編纂に関わったNHK放送文化研究所所の塩田雄大さんに伺いました。

(ytv・道浦委員)『NHKアクセント新辞典』では、京都「嵐山」のアクセントが、「平板」の「ア/ラシヤマ」しか載っていない。「地元局アクセント」の「中高アクセント」の「ア/ラシ\ヤマ」を入れてほしかったが、検討はしたのか?

(塩田氏)この「中高アクセント」の「ア/ラシ\ヤマ」については検討したが、地元の京都放送局が一貫して「ア/ラシヤマ」(平板アクセント)で放送しているという回答だったので、「中高アクセント」は採用しなかった。伝統的(方言)としては「アラシ\ヤマ」だと思うが。

という答えでした。

しかし、やはり地元では「中高アクセント」のようです。

先日、ゴールデンウイークに、久々に「嵐山」に行ってきました。その際に、阪急電車の車内アナウンスは、

「ア/ラシ\ヤマ」

と「中高アクセント」だったのです。「地元アクセント」は「中高」です!

NHK京都放送局さん!「中高」ではないの???

「平成ことば事情5983『三千院』のアクセント」もお読みください。

(2017、5、8)

2017年5月11日 00:21 | コメント (0)

新・読書日記 2017_048

『大阪的』(津村記久子・江弘毅、ミシマ社:2017、3、25)

本屋さんでいっぱい並んでいた、この本の表紙を見ていたのだが、結局、上田玉芳堂に頼んで取り寄せた。それで驚いたのは、薄い本やねん!95ページしかないの。表紙だけ見たら300ページぐらいあるもんやと思っていたので、ちょっと(表紙だけに)拍子抜け。

冗談はさて置き、生粋の大阪人である二人が、「大阪」について語る。別に「大阪愛」な本ではなく、大阪人が大阪を客観的・第三者的に見たら、どないなるんやろ?みたいな感じかな。とりあえず、目次を見たら、雰囲気はわかると思う。

「イケアを大正化しちゃった大正区民」

「みんな方言しゃべったらええのに」

「天満も福島も全然違う、けどなんか似てる」

「すごいローカルなことを守っている都会」

「大阪は最後の『ローカル連合』」

「『トランプってヅラかな』ってずっと思い続けないとあかん」

「ガラ悪いところをガラ悪いって書くのは嫌や」

などなど。是非、読んでみてや!


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(2017、4、17読了)

2017年5月11日 12:12 | コメント (0)

新・読書日記 2017_047

『「ミヤネ屋」の秘密~大阪発の報道番組が全国人気になった理由』(春川正明、講談社+α新書:2017、3、16)

「ミヤネ屋」に出演している、読売テレビの解説委員長・春川正明氏の初の著作。

出てすぐに、近くにの本屋で探したのだけど、何軒か回ったけど、なぜか全然見つからず、結局、いつも注文する本屋さん(上田玉芳堂)に頼んで取り寄せて、ようやく手に入れた。品薄なのか?

第1章と第2章で「ミヤネ屋」制作の舞台裏と言うか、密着ドキュメントみたいな苦労話を、第3章・4章はメイン司会者の宮根誠司さんの素顔を、第5章で春川氏自身のこれまでのジャーナリスト人生に関連したことが書かれている。

まあ身内だから、我々にとっては内容は、大体読まなくても知っていることばかりではありますが、かなり赤裸々に書いてありますので、テレビ番組・テレビ局の報道マンの仕事の内容を知りたい「学生さん」なんかには、お勧めです。

なお、1か所、誤植発見!65ページから66ページにかけて、

×「取材最前線が最も偉いという考えに必ずしも捕らわれない理由は」

→○「取材最前線が最も偉いという考えに必ずしも捉らわれない理由は」

この場合の「とらわれない」は、「捕捉」の「捉」を使います。「ミヤネ屋」では、そう直します。もし、重版が掛かるようであれば直してくださいね。(事前にゲラを見せてくれれば、直せたのに。)まあ、偉いも偉くないも、ないんだけどねえ。


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(2017、4、19読了)

2017年5月10日 22:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6327「中原永世名人か名誉王座か」

<2009年4月10日に書き始めて、そのまま、ほったらかっしになっていました)

2009年3月11日、将棋の中原誠・十六世名人が引退を表明しました。それを報じた翌日(12日)の新聞は、各紙

「中原永世名人引退」

と見出しを打ちました。その中で「日経新聞」だけ、

「中原名誉王座」

としていました・・・あ、そうか、将棋のこういった「冠戦」は、各新聞社がそれぞれ主催するものがあって、中原さんがもしそれを取っている場合には、自分の社の冠をつけているのではないか?と思いました。記事によると、中原さんは、

「永世名人、永世十段、永世棋聖、永世王位、名誉王座」

のタイトル(?称号?)を持っているそうです。たぶん「日経新聞」は「(名誉)王座」戦を主催しているのでしょう。

たしか「名人戦」を巡っては「毎日新聞」と「朝日新聞」の綱引きも、数年前にあったはず、などと思って調べて見ると、

  • 竜王 →読売新聞

  • 名人→毎日新聞・朝日新聞

  • 棋聖→産経新聞

  • 王位→3社連合

  • 王座→日経新聞

  • 棋王→共同通信

  • 王将→スポニチ・毎日新聞

    ということで、やはり「そういうことだったのか」と。

    ****************************************と、ここまで書いて8年経ちました。とくに書き足すことは無いのですが、14歳の中学生棋士、

    「藤井聡太・四段」

    の快進撃で、また「将棋」にスポットライトが当たって来たなということで思い出して、これをアップします。

(2017、5、8)

2017年5月10日 21:42 | コメント (0)

新・読書日記 2017_046

『経理部は見ている。』(楠木新、日経プレミアシリーズ:2016、9、8第1刷・2016、9、20第2刷)

そりゃ見てるでしょ、「経理部」は。それが仕事だもの。

そして「金の流れ」を見れば、当然その社員がどういう仕事の仕方をしているかは、「経理」という専門家には、全てお見通しだと思います。

私も一応、管理職のはしくれで、部下の「金の使い方」を見ていた時があるが、「伝票の出し方・書き方」を見ていたら、その人の仕事の仕方や性格までも、よくわかった。仕事ができるか、できないかも、わかる。そういったこと・作業をするのが「楽しい仕事」か?というと、私にとっては疑問符が付きますが。でも、わかるよね、そりゃ。

一般企業ではどういう例があるのか、その辺りに興味があって読みました。

べ、べつにこれを読んで、経理部のウラを書いてやろうとか、そんなことは、

「これっぽっちも」

思っていませんからね!!


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(2017、4、15読了)

2017年5月10日 20:07 | コメント (0)

新・読書日記 2017_045

『世界観』(佐藤優、小学館新書:2016、12、6第1刷・2016、12、25第2刷)

大きく出たが、それだけのことはある。「世界」を見ることの第一人者・佐藤優ならでは。

去年(2016年)の年末に出ている。オバマからトランプに大統領が変わったことを受けての一冊。ちょうどその前に、その2年前に出た手嶋龍一さんとの対談集を読んだばかりだったので、2年の時間を考えて、比較しながら読むことが出来た。で、結論は、

「世界のルールが変わった」

ということ。オバマは「チェンジ」できなかったのだが、それによって「変わった」というのは皮肉な話だ。その中でロシア・プーチン大統領の存在が、より重要になって来たと。プーチンがスノーデンをどう見ているかなども参考になる。

そしてやはり「テロとの闘い」が重要になるとも。しかし「イスラム国」よりも「サウジアラビア」が、国際情勢の攪乱要因になると述べている。

また日本も「イスラム国」との戦争における「当事者意識」を持つべきであると。勇ましいことを言う安倍首相には、実はそれが欠けている。

3章では、中国・北朝鮮・韓国=東アジアの命運について書かれている。

そして第4章は「危機に備えよ」。「『日本人テロリスト』が東京を襲撃する日」という恐ろしいタイトルが並ぶ。(でも22年前に「オウム」は、それをやったのだ)

現在の日本の政治の在り方への危機感を綴っている。


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(2017、4、12読了)

2017年5月10日 12:06 | コメント (0)
2017_044

『賢者の戦略~生き残るためのインテリジェンス』(手嶋龍一・佐藤優、新潮新書:2014、12、20第1刷・2014、12、25第2刷)

「インテリジェンス」の専門家の二人による対談の第3弾。もう3年前に出た本だが、勉強になる。少し時間が経っている事から、現在から見ると「予言の書」的な部分も。

「21世紀の火薬庫・ウクライナ」をどう扱うか、また「イスラム国」の脅威とは?東アジアの北朝鮮・中国と日本とアメリカの関係、さらには「集団的自衛権」を巡って安倍首相の抱えるトラウマにまで言及している。

「ほほう、そうだったのか!」と思った所のページを折っていったら、ほぼ全ページ、折ってしまったよ。

*「オバマの変節に怒りをたぎらせたのはイスラエル」(83ページ)

*サウジのバンダル王子は、ワシントンのジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号を取り、サウジ空軍でパイロットという経歴。1983年から2005年までサウジの駐米大使を務めた。その後、総合情報庁長官に。オバマ政権は、アサド政権への武力行使を見送ったことで、この要人を怒らせてしまった。(83~85ページ)

*「パキスタン・サウジアラビア秘密協定」=イランに核兵器があることが確認されたらば、可及的速やかにパキスタンにある核弾頭のいくつかをサウジアラビア領域内に移転するというもの。(87ページ)

*安倍晋三という政治家は、一貫して「戦後レジームからの脱却」をスローガンにしているが、これがレトリックでなく本気であるならば、相当な危険思想と言わざるを得ない。その意味するところが「ポツダム宣言受諾」「ミズーリ号上での降伏文書調印」「日本国憲法成立」「サンフランシスコ平和条約の締結」という戦後の一連のプロセスを反故にすることを意味するなら、アメリカならずとも聞き流すわけにはいかない。(143~144ページ)

などなど、もうこれ以上書くと、全ページ引き写すことになるからやめておきます。

(2017、3、21読了)

2017年5月10日 10:05 | コメント (0)

新・ことば事情

6326「vs(バーサス)」

「○○対××」

の「対」を表す、

「vs」

の読み方に関して、以前、新聞用語懇談会・放送分科会で話し合ったことがあります。その際は以下のような討議がなされました。

【2015年12月】

(テレビ朝日)

<A>画面表記での使用になんらかの『ルール』(口頭での指示や了解事項を含む)を設けていますか? ⇒たとえば、「使用はスポーツ系番組やスポーツニュースに限る」「一般の報道ニュースでは乱用しない」「見出し、メインタイトル、サイドタイトルに限る」など。

<B>『表記』はどうしていますか? ⇒「vs.」は本来小文字で「省略符(ピリオド)」が必要ですが、「大文字(前後の文字と同じ大きさということ)でも可」としていますか。「省略符は不要ですか必要ですか」。

<C>『読み』はどうしていますか? ⇒英語の発音はバーサス(versus ヴァーサス)ですが、この読み方は聞いたことがありません。ふつうは「○○"対"××」と読むでしょう。ブイエス(ヴイエス)と読むこともありますか。局のアナウンサーだけでなく、外部のリポーターやナレーターにどのように読ませているでしょうか。テレビ朝日の報道では、表記も読みもルールはない。ただ、最近よく出て来るものの、そもそも「vs.」は「日本語ではない」(外来語でもない)と思うのだが・・・・。

(ytv)報道局としては決めていないが「ミヤネ屋」では「vs.」と「ピリオド」を入れるように指導している。「大文字」か「小文字」かは決めていない。その場合、読みは「バーサス」が多いが、「対(たい)」と読むこともある。フジテレビの「VS嵐」は「ブイエス」だが。「ブイエス」は、少し古い感じがする。アナウンス部で聞いたところ、

「スポーツ分野なら、仮に『○○vs.××』と原稿表記があっても、きっと『対(たい)』と読み替える。」

ytvスポーツ原稿では『○○vs. ××』の表記は、ほとんど見たことがない。『○○-××』はある。『対』と読む。」

「バラエティーなど制作番組の場合、前後の文脈に違和感がなく、またディレクター要請があれば『対』には拘らない。その場合『vs.』を『バーサス』と読む」

「『ブイエス』と読む」

というように、意見は分かれた。

(MBS)12月6日(日)夜10時から放送の『林先生の初耳学』という番組の事前チェックで「さかなクンVS ○○」のが出て来た。大文字でピリオドなし。ナレーターの読みは「バーサス」。演出上、インパクトがあるので使うこともある。

(TBS)話は少しそれるが、アルファベットを使った表記と読みに関していうと、「AM」「PM」「am」「pm」を大文字か小文字か、ピリオドを打つかどうか、また「時刻の数字」を「前」にするのか「後ろ」にするのかなどの問題がある(「PM5:00」か、「5:00PM」か)。「前」か「後ろ」かに関しては、正しい表記は「5::00PM」だが、日本では「午前・午後」の代わりに「AM・PM」を置くことが多いので、仕方なく「PM5:00」も認めることにした。また、「Xmas」「Xマス」なども出てくるが、本来は間違いの「'」(アポストロフィー)が付いた「X'mas」も、仕方がないので認めることにした。さらに、毎年11月第3木曜解禁の「ボジョレ・ヌーボー」についても、従来の「ボジョレ・ヌーボー」という表記以外に、標品名(固有名詞)でなくても「ボジョレー・ヌーボー」など異なる表記もOKにした(2015年10月より)。なお、「ハロウィーン」については、手を付けていない。発音は「ウィ」にアクセントがある「ハ/ロウィ\ーン」だと指導している。

(MBS)その話は今、初めて聞いた!MBSは、今「解禁」と言われたものは「全て禁止」にしている。きょう、この会議の後、JNNの用語委員会があるので、その席で話したい。

(日本テレビ)日本テレビでは、英単語のドット(ピリオド)などは、全部、省くことになっている。この場合「読み」は「対(たい)」。大文字か小文字かは、決めていない。

(NHK)ルールはないが、「vs.」は省略形なので、ピリオドを打つことになっている。少し古い調査だが、25年前(1990年)に1800人を対象に「VS」の読み方を尋ねた調査では、「ブイエス」=48%、「たい(対)」=40%、「バーサス」=4%だった。当時からは、随分状況は変わっていると思うが。

(読売新聞用語幹事)もしかしたら「vs.」は使っているかもしれない。

(テレビ大阪)「vs.」も使うが、「G大阪×広島」「阪神×広島」のように「×」を使うことが多いように感じる。

(MBS)「×」も使うが、「G大阪―広島」のように、「-」もよく使う。スポーツアナウンサーに聞いたところ、「vs.」は「対(たい)」と読むが、制作番組などでDJ風に「バーサス」と読むこともあるとのこと。

(WOWOW)決まりはないが「VS」と表記している(ピリオドなし)。大文字の場合も小文字の場合もある。読みは「対(たい)」だが、番宣でナレーターさんが「バーサス」と読むこともある。

(テレビ朝日)ストレートニュースでは「vs.」は使わないのか?

(フジテレビ)本記では使わないが、タイトルなどでは「自民vs民主」のように使っている。(小文字・ピリオドなし)

【2016年6月】

(毎日放送)「vs.」あるいは「vs」について東京支社制作番組では表記に「.」を必ず入れるよう決めました。読みは「バーサス」が基本ですが「ブイエス」「対」も可としました。

VS Veterinary surgeon 家畜の外科医

VS. Versus.      

V.S. vide supra 上を見よ

このほか、「.」の有無で、全く場所が異なる事例。

「世界の日本人妻は見た!(J系火曜日)」で過去あった表記

ロサンゼルスを LA(ピリオドなし)表記(修正してOA

LALouisiana(ルイジアナ)

L.A.Los Angeles

で、きのう(5月7日)の日本テレビ『世界の果てまでイッテQ』の中で出て来た、

「ジョンアンリラVS内村」

という、タイで行われたお祭りで、コブラ(蛇)の「ジョンアンリラ」と、タレントの「内村光良」さんが、水泳で対決するという企画。この「VS」を男性ナレーターが、

「バーサス」

と読んでいました。「VS」は「大文字」で、「.」(ピリオド)は、ありませんでした。

また、5月10日の読売新聞ラジオ・テレビ欄に載った「ミヤネ屋」の番組紹介文は、

「注目VS北 韓国新大統領」

云々(うんぬん)とありまして、文章の意味は分かりにくいのですが、それは置いておいいて、VSは、

「大文字・半角・ピリオドなし」

でした。

「平成ことば事情1146VS」も、お読みください。


(2017、5、8)

2017年5月10日 17:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6325「ヨロデス」

連休に京阪電車に乗っていたら、車掌さんの車内アナウンスが聞こえて来ました。

「ヨロ、ヨロレス」

思わずヨロけてしまいましたが、たぶん車掌さんは、

「淀、淀です」

と言ったつもりなんでしょうね。「淀駅」の手前でしたから。

滑舌がやや甘かったのと、マイクに口を近付けすぎたせいか、「ヨド」が「ヨロ」に聞こえたと。いや、待てよ、伝統的な大阪弁では、

「きつねうどん」→「けつねうろん」

のように「き→け」「ど→ろ」に「音韻転換」することがあるので、この

「よど→よろ」

というのは、

「うどん→うろん」

同じ「音韻転換」ですので、車掌さんは「生粋の大阪人」だったのかもしれません。

ひとつ、ヨロ(シク)!

(2017、5、8)

2017年5月 9日 20:31 | コメント (0)

新・ことば事情

6324「『一家』は全員か?」

去年(2016年)11月に富山で開かれた新聞用語懇談会の秋季総会で、私からこんなテーマを出しました。

『三笠宮さまご逝去の際の「斂葬(れんそう)の儀」で、秋篠宮家では、悠仁さまを除いた4人が出席されました。この場合に、出席された「秋篠宮家の4人」を指して「秋篠宮家ご一家」と「一家」を使っていいのか?とスタッフから質問を受けました。「一家」は「全員」というイメージがあり、辞書でも「全員」と記したものもありますが、そこまでは書いていないものもあります。「秋篠宮さまとご家族」のようにしたほうがいいのでしょうか?』

これに対する各社からの対応は、以下の通りです。

(日本テレビ)今回の三笠宮さまの「斂葬の儀」では「秋篠宮ご夫妻、眞子さま、佳子さま」とした。コメントの尺的には「秋篠宮さまご一家」と「2秒」も変わらない。しかし今回のケースは、年少でまだご公務ができない「悠仁さま」がいらっしゃらなくても「ご一家」として良いのではないか。これが「ご家族で夏休み」というようなケースは、全員おそろいでないと「ご一家」は使えない。

(朝日新聞)今回は「皇太子ご夫妻と皇族方」とまとめた。「一家」は、一般的には「全員そろっている」イメージがあるが、「1人欠けても可」だろう。ただし「いる」「いない」が問題になるケースでは「全員」でないとダメ。お子さまは(ご公務に関係ないので)いなくても問題にはならないだろう。ただ「皇室」は、読者・視聴者がよく知っていて関心も高いので、注意が必要。

(産経新聞)全員そろってはいない場合、「秋篠宮ご家族」ではどうだろうか。

(毎日新聞)今回は「一家」は使わず「秋篠宮ご夫妻ら」とした。社会部デスクに聞いたところ、「1人でも欠けていたら『一家』は使わない」とのことだった。辞書を引くと「一家総出で」「一家そろって」という用例が多いので、「全員」のイメージが強いが、「必ず『全員』」と縛るのは難しい。

(読売新聞)「一家=全員」のイメージを持っている人が多いので、今回のようなケースには使わないほうが良い。今回は「秋篠宮ご夫妻ら皇族方」「秋篠宮家の長女・眞子さまら」とした。

(日経新聞)今回は「○○さま、○○さまら皇族方」とした。一般論で「一家」は「必ずしも『全員』でなくても良い」。ただし「全員かどうかが問題になるケース」ではダメ。

(東京新聞)今回は「ご一家」は使わず。「そのご家族だけで」どこかへ行かれる場合には、全員そろっていなければ「一家」を使ってはダメだろう。

(産経新聞)「一家=一族=全員」のイメージがあるが、1人でも欠けたら「一家」と言ってはダメか?と言うと、そうでもない。秋篠宮家でも、眞子さまが留学中に、それ以外の4人を指して「秋篠宮さまご一家」と使っていた。また、悠仁さまは「未成年」で「ご公務ができない」ので、(「ご公務」に関連した場合は)除いても可。データベースで検索したら、「秋篠宮(さま)ご家族」という表現は出て来なかった。なお、産経新聞では「ら」は使わないので、今回は「秋篠宮ご夫妻はじめ皇族方」とした。

(共同通信)「秋篠宮ご夫妻」とした。「一家」「家族」は使わず。社会部デスクに聞いたところ、「『全員』じゃないので『ご一家』は使わなかった」とのこと。『日本国語大辞典』『広辞苑』には「一家=全員」と書いてある。そう思っている人も多いので、全員そろっていないときには「一家」は使わない。

(時事通信)今回は「皇族方」とした。皇室担当記者に聞くと、「具体的に個人名を書くほうが良い」とのことだった。「一家」は「全員」のイメージが強い。

(NHK)今回は「ご一家」は使っていない。状況に応じて使う。

(TBS)今回は「ご一家」は使っていない。眞子さまの場合のように「留学されていて不在なのが自明である場合」は、全員でなくても「一家」を使っても良いのではないか。

(MBS)日本テレビと同じく、4人しか映っていないのであれば、「秋篠宮ご夫妻と佳子さまと眞子さま」と全員の名前を言う。悠仁さまが欠けた「4人」で「一家」は使わない。「秋篠宮ご夫妻とお子様方」もOK。ただ、正月の「皇室アルバム」では毎年、両陛下・皇太子ご夫妻・秋篠宮ご夫妻らを「天皇ご一家」と言うが、過去に「何人(1~2人)か欠けている場合」があったが「ご一家」を使っていた。

というような意見が、各社から出ました。

(2017、5、4)

2017年5月 9日 17:30 | コメント (0)

新・ことば事情

6323「別日」

最近、よく耳にする言葉に、

「別日」

があります。「べつび」。会社でも聞きますし、きのうは、うちの大学生の息子が使っていました。これは、普通は(以前は)助詞の「の」を入れて、

「別の日」

と言っていたのではないでしょうか?

国語辞典を引いてみましたが、『精選版日本国語大辞典』『現代国語例解辞典』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『デジタル大辞泉』(以上、電子辞書)『三省堂国語辞典』には、「別日」は載っていませんでした。グーグル検索(5月8日)では、

「別日」=40万5000件

出て来て、その中のネットの辞書には、載っていました。(goo辞書&コトバンク)

*「別日(べつび)」=別の日。ほかの日。「挙式と披露宴は別日に行います」

(出典:デジタル大辞泉)

『デジタル大字泉』は「電子辞書」には載っていなくても「ネット辞書」には載っているんですね。それだけ「新しい言葉」ということでしょうか。

「ビジネス用語」のように感じます。

(2017、5、8)

2017年5月 9日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6322「盤石な」

新横綱・稀勢の里の2場所連続優勝を報じた3月27日の「ミヤネ屋」で、原稿をチェックしていたら、

「盤石な横綱相撲」

という表現が出て来ました。これは「盤石な」ではなく、

「盤石の横綱相撲」

ではないか?と思って、そのように直しました。

思えば、

『問題な日本語』(北原保雄、大修館書店)

という本が出て、「問題な」という表現がおかしい、本来は、

「問題の日本語」

であるべきだという考えの下で、新しい表現が出て来ていることを指摘したのが、

「2004年12月」

で、あれからもう「12年以上」たつわけです。

もう「問題な」「盤石な」に違和感を覚えない世代が、かなり優勢になって来ているのではないか?という気もしないではありません。この2つの表現の違いは、文法的には、

*「の」=「動詞+助詞の『の』」

*「な」=「一つの言葉=形容動詞」

という違いがあります。

とは言え、「問題な」「盤石な」に「OK」を出す気はありません。

もう少し、様子を見守りたいと思います

(2017、5、8)

2017年5月 8日 22:25 | コメント (0)

新・読書日記 2017_043

『下山の時代を生きる』(鈴木孝夫・平田オリザ、平凡社新書:2017、4、14)

何が驚いたって、鈴木孝夫先生が、もう90歳を過ぎてなお矍鑠(かくしゃく)とお元気であるということだ。二人による対談。平田オリザさんは私と同い年。鈴木先生とは「親子」を越えて「祖父との対話」のような感じ。平田さんが学生時代に韓国に留学した際に、鈴木先生の著作をよく読んでいたそうで、「私淑」していたような感じ。平田さんの「オリザ」という名前が、「ラテン語」で「コメ」を表すというのは知らなかった。

鈴木先生の考え方は極端だが、方向性は間違っていないと思う。割と突っ走られる方のように思う。随分昔、出演依頼の電話を差し上げたことがあるが(断られた)、出演の話とは関係ない話を1時間近く話されたのを覚えている。ご自分の興味のあることに対するバイタリティーは、スゴい。

この本でも出て来るが、鈴木先生が書かれた「虹の色・太陽の色の表現は、国によって違う」ということは、当時(20年ぐらい前)まさに「目からウロコ」だった。これは文化の大切さ、国際交流のスタート点である「みんな違うんだということを認めることが大事だ」という話。「鎖国」をしながらもお互いの国・国民の良さを認めるという、一見、ハチャメチャな事を言っているようにも思うが、面白い対談集だ。


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(2017、5、3読了)

2017年5月 8日 21:05 | コメント (0)

新・読書日記 2017_042

『重版出来9』(松田奈緒子、小学館:2017、4、17)

この『重版出来』はテレビドラマ化もされて話題になり、第62回小学館漫画賞(一般部門向け)受賞。『BLUE GIANT』と同時受賞。一方『響』は「マンガ大賞2017 大賞」受賞。全部、読んでる。

『重版出来』は、連載は読んでいなくて「単行本」で全部読んでいます。たまたま入った大阪・鶴橋の本屋さんで発見!これも巡り合わせか。

やはり、前向きで明るい若者が主人公だと、元気がもらえますね、。そして一生懸命、真っ直ぐに生きようとする人たちの苦悩は、共感できます!いい漫画だ!


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(2017、4、19読了)

2017年5月 8日 15:59 | コメント (0)

新・読書日記 2017_041

『BLUE GIANT SUPREME 1』(石塚真、小学館:2017、3、10)

漫画。天才ピアニスト・雪祈(ゆきのり)が、交通事故で手に大けがしたことを受けて、トリオを解散、一人ヨーロッパ・ドイツへ旅立った主人公のサックス吹き・大。これが「世界一のサックスプレーヤー」を目指す大の、世界進出第一弾であり、武者修行でもある。グローイングアップの様子がワクワクする。

けど、作者は取材とか大変だろうなあとも思いました。


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(2017、3、27読了)

2017年5月 8日 13:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6321「イチケン」

2015年10月23日、夕方6時のフジテレビで、横浜のマンションで傾きが見つかり、杭打ちのデータが改ざんされていたニュースを伝えていました。その中で、横浜のマンションのデータ改ざんに関わった人物が担当していた他のマンションなどの件数が、

「41件」

であると伝えていました。その原稿を読んだ男性アナウンサーが、

「ヨンジューイチケン」

と読んでいました。これは正しくは、というかこれまでは、

「ヨンジューイッケン」

と、「促音」で、

「イッケン」

と読んでいたものです。

最近「1」の後に「件」「本」「分」などの助数詞が来た場合に、従来は「イッ」と「促音」で発音されていたものが「促音」にならずにそのまま、

「イチ」

で発音されるケースが、アナウンサーの中にも聞かれるようになってきました。ゆゆしき事態です。

同じようなことは、2014年9月の新聞用語懇談会放送分科会で、

『「11か月」の読み方』

について報告しました。それよると、

『2014年の9月9日、「5年11か月ぶりの円安」のニュースで、「11か月」を、「ジューイチカゲツ」と読んでいるケースを(弊社も含め)耳にしました。正しくは当然、「ジューイッカゲツ」だと思うのですが、若い人の間に「ジューイチカゲツ」と読むような傾向はありませんか?(読売テレビ・道浦委員)

(朝日放送)最近の若い人は、時間の「4分」は、もう全員「ヨンフン」と言う。

(毎日放送)デスク・クラスまでもが「ヨンフン」と言っている。

(テレビ朝日)「11分」について、アナウンサー7人に聞いたところ、1人だけ「ジューイチカゲツ」と言う人がいた。理由を聞くと「スポーツ中継などでは"数字を強調したいから"」ということだった。

(NHK)『NHKアクセント辞典』の改訂作業に際して「11か月」は「ジューイッカゲツ」で間違わないだろうが、同じ「11」でも「11か国」「11か所」「11か条」は、「ジューイッカ(国・所・条)」と「ジューイチカ(国・所・条)」の言い方があると思うので、悩んでいる。

(関西テレビ)「ジューイチカゲツ」と言うといった30歳の男性アナウンサーは「『ジューイチカゲツ』のほうが"丁寧な感じ"がする」と答えた。

(日本テレビ)「8」を「ハチ」と言うか、促音で「ハッ」と言うかということに似ているかもしれない。

(毎日放送)たしかに、「(0時)28分」を「ハチフン」と言うか「ハップン」と言うかだと、事件・事故のニュース原稿で「ハップン」は、軽い感じがして、違和感がある。』

ということでした。

実はこれに先立つ2007年4月22日にも以下のようなことがあり、当時の用語委員だったNHKの原田さんにメールを送りました。

『今、NHKの夜7時のニュースを見ていたら、カゲ読みをしている女性アナウンサーが、京都の市営住宅の火事で幼い女児2人が死んだというニュースで、「11か月」を、「ジューイチカゲツ」 と読んでいましたが、これは「ジューイッカゲツ」 ではないのでしょうか?最近、民放でも「ジューイチカゲツ」というような読み方を時々耳にしますが、どうなっているのでしょうか?』

と送り、

『これは「ジューイッカゲツ」しかないでしょう。』

という返事を頂いています。もう10年前か。

「平成ことば事情2843ジューイチか月」「平成ことば事情2863ジューイチカイ」「平成ことば事情5560ジューイチカゲツ」もお読みください。

(2017、5、4)

2017年5月 8日 17:58 | コメント (0)

新・ことば事情

6320「『なたね』と『なばな』」

ことしの3月5日、近くのス-パーで「春を告げる食材」を見つけました。

「菜の花」

です。からしマヨネーズで和えると、少し苦くておいしいですよね。

しかし、「あれ?」っと思ったのは、その「菜の花」は大分県産で、

「なたね」

と札に書かれているのですが、商品本体には、

「なの花」

と書かれたシールが。

そして、その横には、熊本県産の、

「なばな」

がありました。これは商品にも札にも「なばな」と書かれていました。

ちなみに「なの花」は「花の部分」で、「なばな」は「葉の部分」でした。つまり、「菜の花」という食材は、

*「花の部分」=「なの花」「なたね」

*「葉の部分」=「なばな」

と分けられているのでしょうか?

ネット検索してみると、「菜の花と菜花(なばな)の違い」という、まさに「そのものズバリ」のサイトに行き当たりました。

http://flower777.mimoza.jp/article/166345957.html

それによると、簡単に言うと、

「品種の違い」

のようです。つまり、このサイトによると、

*「なの花」=「日本の在来系の品種」

*「なばな」=「西洋系の品種」

のようなのです。味の違いは、あまりないそうですが、西洋系の品種である「なばな」の方が「苦みが抑えられていて、甘みが強い」のだそうです。

知りませんでした。

「なたね」は、どうなったのだろうか?

(2017、5、4)

2017年5月 8日 10:56 | コメント (0)

新・ことば事情

6319「予備軍か?予備群か?」

もう4年前ですが・・・。

2013年6月の新聞語懇談会放送分科会で、TBSの委員からこんな疑問・問題が提起されました。

「予備軍か?予備群か?」

『遠い過去に関東幹事会で「メタボ予備軍」か「メタボ予備群」かを討議した記憶があるそうですが、その後、どうお使いになっているでしょうか。辞書の項目は「予備軍」のみですが、厚労省が「メタボ予備群」「糖尿病予備群」のように使って、これを機に医学会で「予備群」がどんどん広まっているようです。

また、主だった辞書の中で『広辞苑』だけは、

「予備軍=現在活動している集団に対して、将来そうなる可能性のある人々」

を意味に加えていますが、他の辞書は全て軍隊・戦争用語としての記述のみです。「病気の予備グン」以外の「犯罪予備グン」「スター予備グン」「有権者予備グン」「薬物中毒予備グン」などに使おうとする時に、語源を考えても「予備群」の方が腑に落ちるような気がしますが、皆さまの局では指針を出していらっしゃるでしょうか。辞書の項目に従って「軍」だけか、厚労省関連だけ「群」か、意味に沿って「群」に統一か伺わせて下さい。』

ということで、各社の意見です。

(NHK)過去の原稿検索では、

「軍」=66件(犯罪予備軍、候補者予備軍)

「群」=8件(生活習慣病予備群、メタボ予備群)

また、国立国語研究所のデータでは、

「軍」=130件(犯罪者予備軍、産業予備軍(=失業者のこと)

「群」=31件(厚労省関連のものばかり)

どちらかに決めるのが難しいので"様子見"。

(日本テレビ)社としては使い分けを決めていない。過去の原稿は全て「予備軍」。「メタボ」も「予備軍」。

(テレビ朝日)過去2年の原稿は「軍」のみ。当面は「軍」で行く。昨年9月の民主党の関連で「離党者予備軍」というのが多かった。

(テレビ東京)社としての統一はなし。個人的には「軍」だが、厚労省のペーパーが「群」なら「群」でいく。バラエティー番組は「群」のような気がする。

(フジテレビ)過去の原稿はすべて「軍」。「群」は2000年の厚労省発表原稿で「メタボ症候群」の1件のみ。

(共同通信)2007年に「辞書に『予備群』は載っていないので『予備軍』でいこう」と決めた。もとは軍隊用語だが、今や日常語。最近多い「○○症候群」は「群」。医学関係の専門家は「予備群」を使う傾向がある。

(WOWOW)社としては決めていないが、医学的なものは「予備群」。

(MBS)統一はないが、当社・柏木委員は「軍隊用語なので『予備軍』」。マイナスイメージの物に「予備軍」はダメ。言い換えるべきだ。プラスイメージの「スター予備軍」はOK。

(ABC)取り決めなし。混在している。

(KTV)これまでは「軍」だが、最近「群」が増えてきた。時々使い分けている。

(ytv)読売新聞社『読売スタイルブック2011』に準じて「予備軍」にしている。『新聞用語集2007年版』には載っていない。

(テレビ大阪)メタボリックに向かっているのは「軍」ではなく、群がっている「群」。「エコノミー症候群」あたりから増え始めた「症候群」の「群」に引っ張られて、「予備群」が増えているのではないか?

(読売新聞)2008年春の富山での総会で、当時病院の言葉の言い換えを国語研究所でやっていたので、この話題を出した。当時はまだ「群」は少なく「軍」が多かった。『読売スタイルブック』には「注意したい用語」として載せて「軍」に統一。厚労省発表ものも「軍」に代えている。

(新聞協会・伊藤氏)最近、新聞表記で「予備群」も増えて来ているので、次の改定の際の「議題」に挙げてもいいのではないか。

というところまで意見が出ましたが、その後、話し合いは行われていないようです。

(2017、5、4)

2017年5月 7日 21:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6318「『社員』のアクセント

新入社員が入って来て1か月経ちますが、今、読売テレビの新入社員は研修の一環で『ミヤネ屋』の見学をしています。「ミヤネ屋」の仕事の様子を、一週間密着して勉強してもらおうというものです。毎年恒例です。もちろん、他の番組や部署の研修も、ずっと続いています。

その中で、番組終了後の反省会で、新入社員に感想を言わせました。その日は、8人いた新入社員の中から、新人女性アナウンサーが感想を言いました。

「社員の皆さんが頑張っている様子がよく分かり、こういったが社員の皆さんの頑張りで番組が支えられているんだなと、改めて知ることができました」

とかなんとか、まあ当たり障りのないことを言ったのですが、みんなが「ピクッ」と反応したのは、

「社員の皆さん」

の部分です。今「ミヤネ屋」の制作スタッフは、読売テレビの「社員」は20人ぐらいで、残り80人ぐらいは「外部スタッフ」。「読売テレビの社員」ではありません。いろんな会社から派遣されている人たちが「ミヤネ屋」の看板の下、「チーム・ミヤネ屋」として一丸となって頑張っているのです。

新社会人で、そういった細かい組織のことは分かっていないので仕方がないのですが、こういった機会にそれは学んでもらわないといけないということで、Nプロデューサーが、そのあたりの事情を説明して、

「話す時には、そういったことにも注意しないといけない」

と指導しました。

その際に「アナウンサー」ということで、もう一つ、注意しないといけないことがありました。それは、「『社員』のアクセント」です。彼女は「平板アクセント」で、

「シャ/イン」

と言ったのですが、『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみても、「頭高アクセント」の、

「シャ\イン」

しか載っていません。普通、「平板アクセント」の「シャ/イン」と言うと、

「社印」(=会社の印鑑)

を思い浮かべます。そのあたりも(まだアナウンス部の新人研修は始まっていないと思いますが)研修ではしっかりと指導してもらいたい、身に付けてもらいたいと思います。

(2017、5、4)

2017年5月 7日 20:39 | コメント (0)

新・ことば事情

6317「『追従』の読み方」

4月25日の「ミヤネ屋」で北朝鮮の放送局員の吹き替えをsっウィていたら、

「米帝と追従勢力」

という文言が出てきました。この「追従」を、

「ついじゅう」

と読むか?それとも、

「ついしょう」

と読むか?迷いました。結局、迷った末に、

「ついじゅう」

にしました。辞書(広辞苑)を引くと、

*「ついじゅう」=他人のあとにつき従うこと。(例)他人の意見にツイジュウする

*「ついしょう」=他人のあとにつき従うこと。転じて、こびへつらうこと。おべっかをつかうこと。(例)おツイショウを言う

ということは元々は「ついじゅう」で、それが転じて「ついしょう」となったということなので、本来は、

「ついじゅう」

で良いということですね。

(2017、5、1)

2017年5月 7日 16:36 | コメント (0)

新・ことば事情

6316「『1日』のアクセント」

1月11日の朝刊各紙に

「2019年元日 新天皇即位」

というような大きな見出しの記事が出ました。

「平成」という時代(元号)は、区切りのよい、

「(平成)30年12月31日」(平成30年=2018年)

までとし、翌「2019年1月1日(=元日)」から「新しい天皇」が即位し、「元号」も新しくするということです。「生前退位」だからこそ、できることですね。その、「2019年11日に」という原稿の、

「1日に」

という部分を、「かんさい情報ネットten.」の中谷しのぶアナウンサーが、

「ツ/イタチニ」

というように「平板アクセント」で読んだので「おやっ?」と思い、メールを送りました。

「1日」のアクセントですが、「名詞」のときと「副詞」のときでアクセントが違います。

*名詞=「ツ/イタチ\」(尾高アクセント)

*副詞=「ツ/イタチ」(平板アクセント)

なのです。「2019年1月1日に」という場合の「1日」は「名詞」なので、

×「ツ/イタチニ」(平板アクセント)→○「ツ/イタチ\ニ」(尾高アクセント)

なのです。

これは「日にちを表すような言葉」の場合、例えば「きのう」「おととい」でも同じで、

*名詞=「キ/ノ\」(中高アクセント)

*副詞=「キ/ノー」(平板アクセント)

*名詞=「オ/トト\イ」(尾高アクセント)

*副詞=「オ/トトイ」(平板アクセント)

となります。

「名詞」か「副詞」かは、後ろに「だ」が付く場合は「名詞」、後ろに「行った」などの「動詞」が付く場合は「副詞」です。

意外と、これ、知らない若いアナウンサーが多いんですよね。

嘘だと思ったら、「アクセント辞典」を引いてみてくださいね。

(2017、1、11)

2017年5月 7日 12:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6315「『大楠』のアクセント」

5月3日の『かんさい情報ネットten.』の中で、2年目の黒木千晶アナウンサーが、若一さんとロケに行った香川県三豊市詫間町「志々島」の樹齢約1200年の、

「大楠」

の木のことを、

「オ\ークス」

「頭高アクセント」で読んでいましたが、違和感がありました。

もしかしたら、地元の人は「オ\ークス」と「頭高アクセント」で呼んでいるかもしれませんが、関西風のアクセントですね。これは標準語アクセントでは「平板アクセント」で、

「オ/ークス」

ではないでしょうか?

「オ\ークス」

と読むと、英語の、

oaks

に聞こえます。ちなみに「oak」は日本では、

「カシ(樫)」

と訳されることが多いのですが、実は、

「ナラ(楢)」

の木だそうです。(「平成ことば事情3688 オークは樫か?」参照)

いずれにしても「頭高」だと「クス(楠)」に聞こえない感じです。

という趣旨のことを書いて、黒木アナウンサーに送っておきました。

(2017、5、3)

2017年5月 6日 17:51 | コメント (0)

新・ことば事情

6314「バンバン ババババ ババババン」

5月3日の「ミヤネ屋」で、3月に亡くなった「ムッシュかまやつ」こと「かまやつひろし」さんの「お別れの会」の様子を放送しました。

その際に担当ディレクターのY君から質問を受けました。

「ザ・スパイダースの曲の『バン・バン・バン』の歌詞ですが、昔のレコードの歌詞カードを見ると、

『バンバン バババ ババババン』

と、真ん中の『バババ』が『3つ』しかないのですが、堺正章さんらが歌っているのを聞くと『ババババ』と『4つ』歌っています。最近のカラオカの歌詞を見ても『4つ』なのですが、歌詞のスーパーフォローは、どっちにすればいいでしょうか?」

うーん、細かい所まで、よくチェックしているな。エライ!これについては、

「昔の歌詞カードは、『バババ』とか『ルルル』のような『スキャット』部分、合いの手部分は、『こういう形で続く』という意味で書かれていることが多く、必ずしも歌っている『バ』の数と同じとは限らないので、こちらで歌詞をスーパーフォローする場合は、歌っている数に合わせて『バ』は『4つ』にしてください」

と答えました。

オンエアーを見ると、堺正章さんや井上順さんはやはり「バ」を「4つ」で、

「バンバン ババババ ババババン」

と歌っていました♪

(2017、5、3)

2017年5月 6日 11:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6313「イチゴのショートケーキ」

5月3日の「ミヤネ屋」に、「TK」こと小室哲哉さんが生出演してくれました。

その紹介VTRを作っていたディレクターのH君から、質問を受けました。

「小室哲哉の『TKの日常を大暴露』というスーパーに" "を付けて強調するなら、『TK』に付けたほうがいいでしょうか?それとも『日常』に付けるのでしょうか?はたまた『TKの日常』に付けるのがいいんでしょうか?どれが正しいでしょう?」

私の答えは、

「『TKの日常』に付けて『"TKの日常"を大暴露』だね」

それに続けてこんな「たとえ」を言いました。

「『TK』を『イチゴ』、『日常』を『ショートケーキ』としたら、どちらか単体ではなく『TKの日常』という『ショートケーキ全体』に" "を付ける、ということだね」

と自分で言ってから、

「うまいこと、たとえるなあ」

と、自画自賛しました(笑)。

(2017、5、3)

2017年5月 5日 21:49 | コメント (0)

新・読書日記 2017_040

『村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!』(大森望・豊﨑由美、河出書房新社:2017、4、30)

タイトルの通り。村上春樹の新作小説『騎士団長殺し』の書評。2人による討論。春樹作品に愛情を持ちつつも厳しい評価も与える、プロの批評家ならではの批評。帯には、

「最凶コンビが痛快に読み解く!村上春樹最新ガイド」

とあります。

新作が出てサッと読んでそのポイントを話し合うって、仕事とはいえ大変だなあ、しかもこんなに早くそれが一冊の本になるなんてと思いましたが、タイトルを読むと『騎士団長殺し』だけの批評のように見えますが、実は過去に出た『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』『1Q84・Book1&2&3』『女のいない男たち』についても評論しているので、これ一冊はオトクです。しかも『騎士団長殺し』の「要約」も書かれているので、まだ読んでいない人はネタバレなので読まない方が良いとは思うけど、読まずに作品の内容を知りたい(知ったかぶりをしたい)人には、とっても便利です(笑)。

面白かったです。


star4

(2017、4、17読了)

2017年5月 5日 15:44 | コメント (0)

新・読書日記 2017_038&039

『騎士団長殺し・第1部 顕(あら)れるイデア編』『騎士団長殺し・第2部 遷(うつ)ろうメタファー編』(村上春樹、新潮社:2017、2、25)

村上春樹の新作。2月25日の発売日に買ったけど、1か月間、読み始められなくて、3月下旬にようやく読み始めて、2冊読むのに2週間かかってしまいました。

  1. 100ページぐらいまで読むまでペースが出ないというか。あまり面白くない。

「色を免れる」という漢字を書く「免色さん」という謎めいた人物が登場して、物語が動き始める。ミステリーとホラーの要素も含まれて面白くなって来るけど、実はあまりホラーじゃないんだよね。「騎士団長」が出て来ると、笑える。騎士団長の特徴的な喋り方である、「あらない」だけど、実は関西弁の否定形である「へん」が付いた「あらへん」の「へん」の代わりに「ない」を置いたと考えると、そんなにヘンでも「あらない」でのある。

村上春樹は「色」と「音楽」ということを、いつも考えているのではないかなあという気が感じられた。

タイトルの「イデア」と「メタファー」も難しいし、「あらわれる」と読む「顕れる」や、「うつろう」と読む「遷ろう」など難しい読み方の漢字を使っているが、これは物語を「ミステリー」のベールでくるんだということなのかなあ。

でも、全体としては嫌いじゃないお話でした。

面白かったのは、この小説に出て来るクラッシック音楽を集めたCDが出ているのを発見したこと。(買った。)どこにも「騎士団殺し」とも「村上春樹」とも出て来ない。

「あの毎年ノーベル賞候補に上る人気作家の、話題の新作小説に出て来るクラシック音楽」

と書かれていました!許可が下りなかったのかな?良い企画だと思うけど。


star4

(第1部:2017、4、 5読了)(第2部:2017、4、12読了)

2017年5月 4日 19:41 | コメント (0)

新・読書日記 2017_037

『高台家の人々1~5』(森本梢子、集英社:(1)2013、9、30第1刷・2016、4、20第19刷(2)2014、5、28第1刷・2015、12、16第13刷(3)2015、1、28第1刷・2016、4、20第8刷(4)2015、9、30第1刷・2015、12、16第3刷(5)2016、5、30第1刷)

なんかねえ、字を読むのがおっくうで。最近、漫画ばっかり読んでる感じですね。

子どもが買って来て家にあった漫画。去年、映画化されてもうDVD化されたので、この間、借りて来て見たのですね。それで、原作も読んでみようと。映画は、かなり原作に忠実に作られているし、イメージも近いなあと思いました。

他人の心が読める一族、といっても全員がそうではないという・それを知られると、やはり周囲の人たちから嫌われる(怖がられる)ので、それは隠していたんだけど、好きになって結婚を考える相手が出来て・・・というようなラブコメディ―です。面白かったです。

この本の原作漫画を描いた森本梢子さんは、あの『ごくせん』を描いた人です。

こういう発想が、面白いですね。


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(2017、4、2読了)

2017年5月 3日 15:11 | コメント (0)

新・読書日記 2017_036

『BLUE GIANT 10』(石塚真一、小学館:2017、3、10)

漫画。このシリーズは、この第10巻で一旦の区切りが。夢に見たステージに手が届いた途端の悲劇。それを乗り越えるために、主人公・大はトリオを解散して、一人ヨーロッパへと旅立つ。ヨーロッパ編は、新シリーズ『BLUE GIANT  SUPREME 』で。これも読むよ!


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(2017、3、25読了)

2017年5月 2日 19:05 | コメント (0)

新・ことば事情

6312「高く舞い上がった投ゴロ」

4月27日に東京・神宮球場でナイターで行われた、春季高校野球・東京大会の決勝の、

「早稲田実業 対 日大三高」

注目の早実・清宮選手がホームランを2本打つ活躍!試合は乱打戦の末、延長で早実が優勝するという熱戦になりました。

その試合の様子(途中経過)を報じた、ネット版の「デイリースポーツ」(4月27日18:43配信)に、こんな見出しが。

「早実・清宮、第1打席は珍ケース 高く舞い上がった投ゴロ」

この、

「高く舞い上がった投ゴロ」

という表現を見て、なんじゃそりゃ?と思いました。よく記事を読むと、

「野手が、高く上がったフライをお見合いをして、落ちたボールを2塁へ送り封殺。記録は、投ゴロ。」

ということだそうです。つまり、

「高く上がった打球」

の状況と、

「記録としては投ゴロ(=ピッチャーゴロ)」

を合わせると、こんな文章になったわけですね。ヘンな表現。

1塁ランナーが2塁で封殺(=フォースアウト)なので、バッター本人は、1塁に生きたのですが、これは記録としては、

「ピッチャーゴロ」

になるというわけです。でも、わかりにくい文章!!わざとだな、これは。注意を引くために、わざとヘンな見出しにしたんだな、きっと。

まんまと、その作戦に引っかかってこの記事を読んでしまった私でした

(2017、5、2)

2017年5月 5日 18:57 | コメント (0)

新・ことば事情

6311「マツエク屋さん」

日本テレビの『マツコ会議』という番組を見ていたら、

「マツエク屋さん」

という言葉が出て来ました。

この番組に出て来たキャバクラ嬢が「副業」として始めたのが、「マツエク屋さん」なのだそうです。パッと聞いてもわからなかったのですが、ちょっと考えてあ、そうか、

「まつ毛エクステンション屋さん」

のことなのかと気付きました。男は普通わかんないよ、しないから「まつ毛エクステンション」なんて。

でも恐らく、女性の間では、普通に使われている言葉なのではないでしょうか?

グーグル検索では(5月2日)、

「マツエク」=647万0000件

「まつエク」= 43万8000件

「マツエク屋」   =5410件

「まつエク屋」   = 843件

「マツエク屋さん」 =3710件

「まつエク屋さん」 = 300件

でした。やはり「マツエク」という言葉は、かなり普通に使われているようです。

(2017、5、2)

2017年5月 5日 11:37 | コメント (0)

新・ことば事情

6310「ハグ」

沢尻エリカさん主演の日本テレビのドラマ『母になる』を見ていたら、祖母役の風吹ジュンさん(1952年5月12日生まれ・64歳)が、小学生6年生ぐらいの孫に対して、

「ハグしていい?」

という台詞を話していたのに、少し違和感がありました。

おばあちゃん(64歳の女性)が「ハグ」と言うのか?と疑問に思いました。普通は、

「抱きしめてもいい?」

と言うか、あるいは、

「ギューしてもいい?」

と言うのではないか?と。

それと共に、「ハグ」という言葉がかなり「日本語」として定着してきたのではないかなあと感じたのでした。

国語辞典では、『三省堂国語辞典』はもちろん『広辞苑』『明鏡国語辞典・第2版』は「ハグ」を見出しで採用していましたが、『新明解国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『旺文社標準国語辞典』『明鏡国語辞典・第1版』『現代国語例解辞典』『新選国語辞典』には載っていませんでした。また『デジタル大辞泉』も「バグ」(=コンピューターのプログラム上の誤り)と「パグ」(-犬の種類)は載っていましたが「ハグ」はありませんでした。

『新明解』、「恋愛」にはご執着でも、「ハグ」に関しては古風なんでしょうか?

『明鏡』は「第1版」が「2002年12月」、「第2版」が「2010年12月」に出ているので(奥付)、「この8年間」に「ハグ」という言葉が一般に普及したのではないでしょうかね?

(2017、5、2)

2017年5月 4日 18:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6309「太客」

日本テレビの『マツコ会議』を見ていて耳にした言葉で、

「うちのフトキャク」

というのがありました。たぶんこの「フトキャク」は、

「太客」

と書くのでしょう。「太い客」です。と言ってもマツコ・デラックスのようなお客さんを指しているわけではないでしょう。「太い」というのは「体格」ではなく

「常連」

であるとか、

「たくさんお金を使ってくれる(落としてくれる)客」

のことを指すのでしょうね。俗語・隠語だと思われます。

ネットで「太客」を引くとトップに「日本俗語辞書」というサイトが出て来ました。

http://zokugo-dict.com/28hu/hutokyaku.htm

それによると、「太客」とは、

「『太っ腹な客』の略で"ふときゃく"と読む。主にホストクラブ、他に風俗店で使われる言葉で、ホスト(ホステス)や経営者から見て多額のお金を使う客を意味する(一度の来店における額でなく、月にその店で使う額から決めていることが多い。基準額は店やホストのレベル、価値観によって異なる)。太客の類語・対語に極太客・細客・極細客がある。」

とありました。

2番目に出て来たサイトは「キャバクラ嬢」のサイトでしたから、やはりそういった、

「風俗関係の店」

で使われている言葉なんでしょうね。時々マツコさんはこういう「業界用語」を使いますね。この「太客」、『三省堂国語辞典』には載っていませんでした。米川明彦先生の『日本俗語大辞典』にも載っていませんでした。グーグル検索では(5月2日)

「太客」=32万件

でした。結構、あるんやな。

(2017、5、2)

2017年5月 4日 12:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6308「秘訣と秘密」

5月2日の「ミヤネ屋」で、

「強さの秘訣(ひけつ)」

というスーパーがありました。なんかちょっと違うなあと思って、

「強さの秘密」

に変えました。

「『秘訣』と『秘密』は、どう違うんですか?」

とディレクターに聞かれたので、こう答えました。

「『秘訣』は、それをすれば誰でも勝てるようになる、できるようになるというようなもの。一方『秘密』は、たとえそれを知ったところで、常人はマネのできないようなもの、かな」

と答えたら、納得していました。

(2017、5、2)

2017年5月 3日 18:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6306「ハムストリングス」

(2017年4月10日に書き始めました)

北海道日本ハムファイターズの大谷選手が、

「左ハムストリングス故障」

だそうですが、この、

「ハムストリングス」

って何?「日ハム」だから「ハム」?

調べてみると、「太ももの裏側」の3種類の筋肉

「大腿二頭筋(Biceps femoris muscle)」

「半膜様筋(Semimembranosus muscle)」

「半腱様筋(Semitendinosus muscl)」

の総称のようです。これって、みんな知ってるの?私は、初めて知りました。

「ハムストリングス(Hamstrings)=大腿屈筋群」

やっぱり「太もも」は「ハム」なのか。「筋」が「ストリング」なのかな。

「スポーツ科学」が日本でも浸透してきたということなのでしょうかね?

グーグル検索(5月2日)では、

「ハムストリングス」=39万3000件

でした。

(2017、5、2)

2017年5月 3日 11:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6305「ロンダートか?ロンダードか?」

4月5日の「ミヤネ屋」で、宮根さんと木村拓哉さんの対談を放送しました。その中で、宮根さんが今、

「バク転」

にはまっているという話をしたところ、木村拓哉さんがアドバイスとして、

「ロンダードから入るといいですよ」

と言いました。この

「ロンダード」

というのは、いきなり「バク転」をするのではなく、ちょっと側転のようなのをやって勢いを付けてから「バク転」するという技のことだそうです。

「バク転」なんてもちろんできないしやる気もないし、体操のマット運動が苦手な私には全く縁の無い言葉です。

そして、最後の音が「ド」か「ト」か、両方あるそうなんです。

担当のTディレクターが辞書で確認した上で、宮根さんが通っている体操教室の先生にも確認したら、

「ロンダート」

「濁らない」という答えだったそうなので、放送では

「ロンダート」

「ト=濁らない」形でスーパーして放送しました。木村さんと宮根さんは「ド」と濁って話していましたが。

ちなみにグーグル検索では(4月5日)、

「ロンダート」=8万8100件

「ロンダード」=1万8000件

と、「濁らない」ほうが多かったです。

(2017、4、13)

2017年5月 2日 21:24 | コメント (0)

新・ことば事情

6307「バーニャカウダ」

最近テレビや雑誌、そしてレストランのメニューなどで、よく耳に・目にするけど、実はちゃんとわかっていない言葉(メニュー)に、

「バーニャカウダ」

があります。「ナンジャソレハ?」という感じです。

「オシャレなサラダ(生野菜)の名前」

ぐらいの認識でした。

調べればいいんですよね。調べました。ネットで。

これはイタリア・ピエモンテ州の料理で、ピエモンテ語では、

「バーニャ」=「ソース」

「カウダ」=「熱い」

なのだそうです。あれ?野菜は?うーん、わからんな。『三省堂国語辞典』を引きました。たぶんこれは載っている。塩田雄大さんが載せているはず・・・ありました!なんだ、前に僕も引いてるやん、赤線、引っ張ってあるわ。

*「バーニャカウダ」(イ)(bagna cauda)(料)オリーブオイルやニンニクで作ったソースを食卓で温めながら、それに野菜をつけて食べるイタリア料理。またはそのソース。

なるほどね。食べたことありますが、食卓で温めたりはしなかったな。単にソースが出て来ただけだったなあ。あれは、違う料理なのかなあ?

(2017、5、1)

2017年5月 3日 12:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6304「丁子麩」

先日、実家の父が京都の錦市場に行った時に買って来たという「麩」をもらいました。滋賀・近江八幡名物の、

「丁子麩」

です。これは、

「チョージフ」

と読みます。名前の由来は、当時の近江八幡の城主・豊臣秀次が、天守閣から見た城下町の町並みの美しさを見て、

「兵糧に欠かせない麩は形が丸いのでかさばる。携帯しやすいように、町並みのように角形にしよう」

と思いついたそうです。そして「丁字麩」の両面に入っている「線」は「街の小路」を示すもので、そこから「丁子麩」の名があるのだそうです。

そう言えば「植物の名前」にも、

「丁子(チョージ)」

がありますね。つぼみの形が「丁」の字状になっているので、この名があるようです。

それで思い出したのが

「丁字路」

です。こちらは、

「テイジロ」

と読みます。最近はアルファベットの「T」を使って、

「T(ティー)字路」

とされることが多いですが。

話がそれた。要は、「丁」と書いて「チョー」と読むのか?「テイ」と読むのか?両方ある、という話です。

「テイ」 =漢音

「チョー」=呉音

ということで、「呉音」の「チョー」のほうが古いのですね。

もしかしたら、「麩」はお寺でもよく食されていて(精進料理で)、

「お寺=仏教」

と言えば「呉音」ですから、「チョー」なのかもしれません。

「丁字路」については「平成ことば事情269丁字路」「平成ことば事情6164丁字路か?T字路か?」に書きましたので、併せてお読みください。

(2017、5、1)

2017年5月 2日 21:23 | コメント (0)

新・ことば事情

6303「『ピッケル』のアクセント」

4月27日の日本テレビのお昼の「ストレイトニュース」を見ていたら、栃木県那須町で雪崩の被害に遭って高校生ら8人が死亡した事故から1か月のリポートをしていていました。そのリポートで牧尾太知記者が、

「ピッ/ケル」

「平板アクセント」で話しているのを聞いて、

「うん?『ピッケル』は『頭高アクセント』で『ピッ\ケル』でしょう!」

と思ったのですが、インタビューに答えていた被害に遭った高校生も、

「ピッ/ケル」

「平板アクセント」で話していました。もしかしたら「専門家アクセント」で、その言葉をよく使う人は「平板アクセント」になるというものかな?と思って、一応『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみたら、なんと、

「ピ\ッケル、ピ/ッケル」

と、「頭高・平板」の順番で「両方のアクセント」が載っていました。そうだったのか!

じゃあ、他のドイツ語由来の「登山用語」はどうか?と思って、

「アイゼン」「ザイル」「ケルン」

を引いてみましたが、これらは「頭高アクセント」しか載っていませんでした。なぜか「ピッケル」だけは「平板」が載っていたのです。それだけ、よく使われるのかなあ?

(2017、5、1)

2017年5月 2日 12:22 | コメント (0)

新・ことば事情

6302「コカルドOBP店」

いつも資料のコピーを取ってもらったりしているアナウンス部のアルバイトの女性が辞めるので、お礼にお菓子を買って渡しました。そのお菓子を買いに行った先のお店でもらったレシートの一番上にゴシック体でこう書かれていました。

「コ カ ル ド

 O B P 店」

お店の名前なのですが、1行目と2行目の間がもっと狭かったので、一瞬、私は、

「ハングル」

かと思いました。韓国のお店ではないのに。

ということは、「ハングル」の特徴は、

  1. 上部と下部、あるいは左と右の2つの部分からできている。

  2. 上下の組み合わせの場合、上は四角く角ばっていて、下は○などの曲線がある

ということなのではないかなあと思ったのでした。

(2017、4、28)

2017年5月 1日 21:20 | コメント (0)

新・ことば事情

6301「『リハビリ』のアクセント」

歌手でタレントの研ナオコさん(63)が、先月、舞台の本番中に「大腿骨頸部骨折」で全治3か月と診断され、人工関節を埋め込む手術をしてリハビリ中だったのですが、猛烈なリハビリの結果、5月中旬には復帰できる見通しとなりました。きょう(4月28日)会見を行い、「ミヤネ屋」でその模様を生中継しました。

会見場所は、東京・有楽町のニッポン放送。司会はベテランの女性アナウンサーでした。

落ち着いた声で、会見の説明をされる際も配られた物を読むのではなく語りかける感じで、さすがベテラン!と思ったのですが(=那須恵理子アナウンサー。今調べたら、なんとお生まれは「1951年」!大先輩でした。研さんぐらいの年牌かなあとは思っていたのですが。)、そのアナウンサーのアクセントで一つ、気になったのが、

「リ/ハ\ビリ」

という「中高アクセント」でした。「お/め\かし」のようなアクセントですね。

しかし普通は「平板アクセント」で、

「リ/ハビリ」

ですよね?念のため『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみましたが、「平板アクセント」の「リ/ハビリ」しか載っていませんでした。

しかし「中高」の「リ/ハ\ビリ」は、これまでも時々、耳にしたことはあります。

もしかしたら昔は「中高アクセント」も使われていたのではないか?

そもそもは「リハビリテーション」で、それが短くなって「リハビリ」ですので、いろんなアクセントの可能性はあるなと感じたのでした。

(2017、4、28)

2017年5月 1日 12:03 | コメント (0)