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『道浦TIME』

新・ことば事情

6556「入境」

その日本人が北朝鮮にいるかどうか?という問いに対して、北朝鮮側からの回答が、

「未入境」

だったと。その表記について「ミヤネ屋」のスタッフが、

「元の原稿には『未入境』になっているんですが、これは『入境』でいいでしょうか?『入国』ではないんでしょうか?どちらでしょう?」

と質問して来ました。

この「入境」、国語辞典に載っていません。そこで考えてみました。

正式のパスポートを持っていて、ビザも取ってその国の領土に入って来るのは、

「入国」

ですよね。それに対して、わざわざ「入境」と区別するのはなぜか。

「入境」の「境」は、当然、

「国境」

でしょう。国境を越えてその国に入って来るが、正式な「入国審査」は受けていない可能性がある。これが、

「入境」

なのではないでしょうか?それが「未(=確認できない)」という状態が、

「未入境」

ではないか。だから、これは、「未入国」に置き換えるのではなく、その言葉通り、

「未入境」

という言葉を使った方が良いだろうと答えました。

あとでネットを調べると「Weblio日中中日辞典」というのがトップに出て来て、なんと、

「入境」「出境」「出入境」

というのは、

「中国語」

だったのです!その「出入境」の意味は、

「一定の国からの出国と、その国への入国」

つまり日本語では、

「出入国」

だというのです!知らなかった!また、こんな記述も。

「中国本土への入国には必ずビザが必要ですが、香港は中国本土とは異なる入境管理政策を持つ特別な地域で、特に、ビジネス目的での入境は比較的容易です。170以上の国や地域からの訪問者に対し、最長7日から180日までのいずれかの日数を上限として、香港へのビザなし入境が許可されています。日本のパスポート保持者の場合は、香港入境後90日以内の滞在であれば、ビザは不要です。」

ということで、「香港」などの地域は、日本語でも、「入国」ではなく

「入境」

が使われているようです。

(2017、11、15)

2017年11月17日 12:21 | コメント (0)