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『道浦TIME』

新・ことば事情

7349「『検疫』の英語」

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船中で、多くの新型コロナウイルスの感染者が出ています。その船内に立ち入った「検疫官」が着ていた青い作業着のようなジャンパーの背中に、こんな英語の文字が書かれていました。

「QUARANTINE」

「クォランティーン」と読むのでしょうか。訳すと、

「検疫」

です。実はこの英語の元となったのは「イタリア語」で、意味は

「40」

だそうです。

なぜ「40」が「検疫」というふうに訳されたのか?

実は14世紀にヨーロッパで「黒死病」と呼ばれた「ペスト」が大流行し、ヨーロッパの人口が3分の1になった際、当時の重要な大量輸送交通機関「船」の受け入れ先である「港」、イタリアの代表的な港・ジェノバでは、

「40日間、港の外に船を留め置き、発症者が出ないか観察した」

というのです。その「40日間」がイタリア語で「QUARANTINE」でだったのです。「40日間」の目的はもちろん、

「発症者が出ないかどうかを知ること」

ですから、これが即ち、

「検疫」

になったのですね。現代ではこの「40日」が、医学の進歩などによって、

「14日間」

に短縮されていると。(さらにそれを「2、5日」にするというのは、いくら何でも短か過ぎませんかね?)

もし今、初めて「検疫」なるものがイタリアで出て来たとしたら、

「14」

を意味するイタリア語である、

「QUATTORDICI」(クワトロディチ)

「検疫」を指す英語になっていたかもしれないのですね。

言葉って面白いですね。

(2020、2、19)

2020年2月19日 18:53