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『道浦TIME』

新・ことば事情

7347「マスギャザリング」

2月17日付「京都新聞」を読んでいたら、新型肺炎関連で、

「五輪・パラ感染症予防啓発へ」

という見出しの記事の中に、

「マスギャザリング」

という言葉を見つけました。その言葉を含んだサブの見出しは

「マスギャザリング 高まるリスク」

これって、年配の方などに意味が伝わるんですかね?

「マス」というのは、

「マスメディア」「マスコミ」「マスゲーム」

の「マス」、つまり、

「大量」

という意味ですね。「ギャザーリング」は、

「集まり」

という意味でしょう。ザ・ビートルズの曲に、

「カム・トゥゲザー(Come Together)」

という曲がありますし、ヘンなカタカナ語を使う芸人のルー・大柴さんのギャグ(?)に、

「トゥギャザーしようぜ」

というのがありましたが、

「トゲザー」「トゥギャザー」(=together

というのは、

「一緒に(集まる)」

の意味で、この中の、「ゲザー」「ギャザー」「集める」という動詞につながるのではないでしょうか。「ギャザーリング」「集めたもの」という意味ですね。

我々が普段、取材に使うカメラを、

「ENG」

と呼ぶのですが、これは略さなければ、

Electric News Gathering

直訳すると、

「電子的ニュース取材機」

ですね。このGathering」は「集めるもの(道具)」「取材」といった意味でしょうか。それで、なじんでいる言葉だと言いたかったのです。

グーグル検索では(2月18日)

「マスギャザリング」=1万4400件

しかなく、まだ世の中になじんでいない言葉のようです。

トップに出て来たサイトには、国立国際医療研究センター国際医療協力局の和田耕治さんという方が、2016年に行った講演、

「マスギャザリングにおける健康危機管理」

というものでした。それによると、「マスギャザリング」の定義は、日本集団災害医学会によると、

「一定期間、限定された地域において、同一目的で集合した多人数の集団」

とされていますが、

「何人以上が『マス』なのかという人数」

は記されていません。ただ、「WHO(世界保健機関)」2008年に、

「2万5000人以上」

と規定しているそうです。ちょっと多すぎないですかね?「国際的には」ということですかね?普通で考えれば、場所にもよりますが、

「飲み会」だったら「数十人」

「イベント」だったら「数百人から数千人」

「マス」が「ギャザーリング」しているのではないでしょうか?いかがでしょうか?

(2020、2、18)

2020年2月18日 21:49