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『道浦TIME』

新・読書日記 2020_017

『銃・病原菌・鉄(上)』(ジャレッド・ダイアモンド著、倉骨彰訳、草思社文庫:2012、2、10第1刷・2012、3、16第16刷)

単行本は2000年に出ていたのだ!10年前ぐらいかと思ったら、ちょうど20年前なの?ベストセラーになって話題にもなったが、単行本は少しお値段が高くて、多分読み通せないだろうと思って、買わなかった・読まなかった。それが文庫本の上下巻で出たので、買った。それも数年前。その内、読むだろうと思って「積ん読」になっていた。

そろそろ読もうか?と思ったのは、もちろん今回の「新型コロナウイルス」の流行で、である。タイトルに「病原菌」が入っていますからね。思えば「SARS」の流行(2002年)があって、この本が注目されたということもあったっけ。

ということで、最初から読むのではなく、まさに「病原菌」について書かれた「第3部 銃・病原菌・鉄の謎」の「第11章 家畜がくれた死の贈り物」から読みだした。上巻の最終章である。

そもそもこの本は「人類史」について書かれた本で、人類の発展に影響を与えたものを「3つ」挙げるとするならば「銃」「病原菌」「鉄」だと書かれているものである。シンプルなタイトルだ。

人類に影響を与えた「病原菌」は「動物由来」であり、それは「家畜」などからもたらされた。そして、その病原菌やウイルスに「免疫」を持つものが生き残り、持たざる者は滅んだ、その例として、メキシコのアステカ王国、ペルーのインカ帝国が挙げられている。共にヨーロッパからの征服者(1519年コルテスがアステカ帝国を、1531年ピサロがインカ帝国を)に敗れたが、真の勝者は「病原菌=天然痘」であった。

アステカ帝国の人口は、天然痘の流行で半分になったというのだ。それまで2000万人だったメキシコの人口は、1618年にはなんと160万人にまで激減したという・・・。「旧大陸」から伝わった病原菌が、免疫のなかった「新大陸」の人々を襲ったのだ。

なぜ「旧大陸」の人は免疫があったのか?

その辺りは、本書を読んでほしい。その「旧大陸=ヨーロッパ」でも、第一次世界大戦の頃には「スペイン風邪」の大流行もあった。「風邪」なんて言うから、大したことがないように思うけど、これは今でいう「インフルエンザ」。今回の「新型コロナウイルス」みたいな新しい感染症だった。

あと、「食料生産の方法」の広がり方は、「東西」のほうが「南北」よりも速かった、ということも書かれていて興味深い。

さあ、「下巻」を読もう!


star4

(2020、2、16読了)

2020年2月17日 22:03