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『道浦TIME』

新・ことば事情

7119「辣腕と辣油」

カルロス・ゴーン被告の弁護を引き受けることになった弘中惇一郎弁護士、さっそくゴーン被告の保釈に成功して、その、

「らつ腕ぶり」

を披露しました。さて、この「らつ腕」を漢字で書くと、

「辣腕」

です。「辣」は難しい漢字。

当然、常用漢字ではない「表外字」ですね。だから普通は「交ぜ書き」にして、

「らつ腕」

と書くのですが、どうしても漢字で書きたいときには「ルビを振る」ことになります。

この「辣」という漢字、どこかで見た気がします。。。。そう、あの「餃子」に入れる、

「辣油」

です!これも「表外字」なので、

「ラー油」

と書かれることも多いでしょうが、同じ字ですよね。ということは、「辣腕」というのは、その実力(=腕)が、「ラー油(辣油)」のように、

「ピリリと辛い」

ということですね。「辣」という字は、

「棘(とげ)」

にも似ていますね。共に「とげとげ」して「ピリピリ」して、神経・舌を刺すような感じです。あ、「棘」は「刺」と「へん」が同じだ!そう、つながりますかあ。

そうそう、

「辛らつ」

という熟語も漢字で書くと、

「辛辣(しんらつ)」

です。これも意味は、

「発言が辛口で、ヒリリ、ピリピリした様子」

を指しますよね。結構、この「辣」という漢字は、活躍している字なのだなあと思いました。

(2019、3、28)

2019年3月29日 11:58 | コメント (0)