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『道浦TIME』

新・ことば事情

7082「作業着か?作業服か?作業員姿か?」

3月6日、日産の前会長のカルロス・ゴーン被告が東京・小菅の東京拘置所から107日ぶりに保釈されました。勾留は108日間に及びました。その際に「変装」をしていたことが大変話題になっています。

今回ゴーン被告が着ていたのは、

「作業服」か?「作業着」か?

また、その変装した姿は、

「作業服姿」「作業着姿」「作業員姿」

のどれでしょうか?私が考えるに、

「作業服」

は、専門店の「ワークマン」などで売っている、いわゆる「工場のユニフォーム」のような定番の物を指します。

それに対して、

「作業着」

の範疇(はんちゅう)はもう少し広く、それぞれの仕事で必要な「仕事着」で、特にその仕事が「手作業」というか「ブルーカラー系の仕事」の際に必要とされる服装を指し、必ずしも皆が同じもの・ユニフォーム的ではない。そして、広義の「作業着」には「作業服」も含まれると思います。

また、

「作業員姿」

と言った場合は、「服装」よりも

「作業員としての動作・行動」

が中心となり、

「作業員姿で電柱に登って監視」

のような意味合いが強くなるのではないでしょうか?

今回のゴーン被告は「変装」「コスプレ」(?)という意味で、

「作業服」

を着ていたのであるから、

「作業員姿」

という表現は適当ではないと思います。

「作業着(姿)」

に関して言うと、きのう(3月7日)夜のNHK「ニュース7」では、

「作業着を着て」

と表現。日テレの「news zero」でも、原稿は、

「作業着」

で、実際にそのユニフォームを使っている埼玉の会社の人はインタビューに、

「作業服」

と答えていました。もしかしたら、関東では「作業着」のほうがポピュラーな言葉で、関西のほうが「作業服」というような「東西差」があるのかもしれません。これは、確認は取れていませんが。

なお、きょう(3月8日)の日テレ「スッキリ」「ストレイトニュース」では、

「作業服」

でした。また、この日(3月8日)の各紙夕刊は、

(読売)作業着姿

(朝日)作業着姿

(毎日)作業服と帽子

(産経)【記事なし】

(日経)作業服

でした。

また、『続・横道世之介』(吉田修一)を読んでいたら

「倉庫の棚卸しをしていたので作業着は汗でぐっしょりと濡れている」(112ページ)

というように、

「作業着」

が出て来ました。

(追記)

『続・横道世之介』(吉田修一)で、「作業着」がまた出て来ました。

「親父さんや亮太と一緒に朝食を食べ、近くの保育園に亮太を送っていく。戻ると、作業着に着替えて仕事に取り掛かる。」(273ページ)

著者の吉田修一さんは、

「作業着」派

なのでしょうかね。ご出身は、横道世之介と同じ「長崎県」だそうですけど。

(2019、3、14)


(2019、3、11)

2019年3月11日 20:05 | コメント (0)