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『道浦TIME』

新・ことば事情

7051「戦後最長」

きょう(1月29日)の夜7時のNHKニュースで、景気回復が、

「6年2か月」

となり、これまでの戦後最長記録である2002年2月から2008年2月まで「6年1か月」続いた「いざなみ景気」を抜いて、

「戦後最長」

になったと報じていました。

しかし同時に、

「全然、好景気といった実感が伴わない」

ということも取材していました。

おかしいよな、またデータを誤魔化しているのではないか?

それは、あるかもしれません。

でも、もしデータを誤魔化していないとしても、

「実感を伴わない『景気回復』というのはありうる」

のです。なぜならば「景気回復」というのは、ある時期に「底を打った不景気」があって、"そこ"から、

「右肩上がりの経済成長を続けている」

ということですね。その「期間が長い」ということですが、では、

「どれぐらい経済成長したのか?」

ということ、つまり「天井」は問われていないのです。例えば「6年2か月」右肩上がりを続けても、その間の経済成長が、

「たったの0、1%」

だとしたら、「好景気の実感」などあるわけがありません。

1月29日の朝日新聞と日経新聞の夕刊によると「今回の好景気」(6年2か月)の間の「GDP実質成長率」(年率)は(「0、1%」ではないものの)、

「1、2%」

に過ぎず、前回の「いざなみ景気」(2002年2月~2008年2月=6年1か月)の、

「1、6%」

にも及びません。そして、我々が「好景気」を肌で感じることができた「昭和の時代」の、

「バブル景気」(1986年12月~1991年2月=4年3か月)では、

「5、3%」

と、今回の4倍以上の好景気だったわけです。

さらに、高度経済成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月から1970年7月=4年9か月)ではなんと、

「11、5%」

もの経済成長があったわけです。

「今回の成長率の10倍」

ですね!ついでに、神代の時代(「昭和」だけど)の「岩戸景気」(1958年7月~1961年12月=3年6か月)も、

「11、3%」

だったそうですから、もうケタ違いですね。

やはり、経済成長の「期間」より「割合」のほうが、「景況感」に与える影響は大きい。

つまり「好景気かどうかの実感」というのは、

「『期間の長さ』(横軸)ではなく、『経済成長率の幅』(縦軸=天井の高さ)で見るべき」

ではないでしょうか?なぜ、その話をしないんだろうなあ・・・と思うわけです。

嘘ではなくても、真実ではない話ですね。まあ、一言で言えば、

「長けりゃいいってもんじゃ、ないんだよ!」

ということでしょう。つまり、今回の「戦後最長」の好景気というのは、

「戦後最長の期間がかかるも、いまだ景気回復せず。不況のトンネル脱せず。」

ということになるのではないでしょうか?

(2019、1、29)

2019年1月30日 19:37 | コメント (0)