Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2019_163

『鏑木清方 原寸美術館~100%KIYOKATA』(監修・執筆 鶴見香織、小学館:2019、10、28)

東京出張の帰りに寄った、竹橋にある東京近代美術館。ここで「鏑木(かぶらき)清方(きよかた)」の「築地明石町」の特別展示があると知ったのは、出張の3日ほど前だった。

「築地明石町」という美人画を知ったのは、小学校の頃。当時、趣味で集めていた切手で、毎年4月20日に発行される「切手趣味週間シリーズ」の図案として取り上げられた。縦長の大型の切手に魅了された。1971年・昭和46年だったと思う。小学4年生だった。このシリーズでは1965年(昭和40年)に出た上村松園の「序の舞」もきれいで印象深かったが、大人になってから(数年前だが)その実物を美術館で見た時には、そのサイズの大きさに圧倒されたの覚えている。今回の「築地明石町」は、サイズはそれほどでもなかったが、精緻な筆使いと、3部作のように並べられた「浜町河岸」「新富町」の美人画の美しさには、息を呑んだ。「三遊亭円朝像」も貴重だと思う。

この美術館には他にも、船の上の力強い漁師を描いた和田三造の「南風」や、まるでダリの絵のような古賀春江の「海」という作品もあって、気に入りました。

それで、この展覧会には「図録」は無かったのだが、正に展示作品を紹介した小学館とのコラボの本(=本書)があったので購入しました。雑誌がなかなか売れない時代、今後こういう形は増えるかも。


star4_half

(2019、12、7読了)

2019年12月29日 17:44