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『道浦TIME』

新・ことば事情

7176「イギリス車2」

「平成ことば事情5732イギリス車」の続編です。

5月に新潟で開かれた新聞用語懇談会春季合同総会で、この件について質問しました。

各社の意見は以下の通りでした。

(読売テレビ)高級車「ロールス・ロイス」も「ローバー・ミニ」も言わずと知れた「イギリスの車」ですが、実は現在はドイツの「BMW」社の車です。これは「イギリス車」でしょうか?それとも「ドイツ車」でしょうか?「レンジローバー」も「イギリス発祥の車」ですが、現在はインドの「タタ・モータース」の傘下にあります。これは「インド車」でしょうか?また「日本のトヨタ」が「アメリカ」で造って販売した車は「日本車」でしょうか?「アメリカ車」でしょうか?一般に「〇〇車」と呼ぶ場合は、「発祥国」「製造国」「会社を所有する国」「販売する国」の、どれに従えばいいのでしょうか?

(共同通信)20数年前に自動車業界の取材を担当していた。当時から「モーターショー」では「ブランド」なので「発祥国」で表示していた。つまり「ロールス・ロイス」「ジャガー」は「イギリス」。また「アメリカでの日本車生産」と言った場合の「日本車」は「現地生産分」も含まれる。日米間の関税に関して「日本車」は、アメリカにとっての「輸入車」に限られる。天皇陛下のパレードでの車は「イギリスのロールス・ロイス」と表現している。

(毎日新聞)「ロールス・ロイス」はBMW社(ドイツ)が「イギリス」で作らせているが、「製造国」ではなく「発祥国」のイメージで「イギリス車」。

ということで、

「その自動車メーカー発祥国のイメージ」

が大事なようです。

(2019、7、5)

2019年7月 5日 17:45