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『道浦TIME』

新・ことば事情

6993「昴と昂」

日本シリーズを前に、10月25日にドラフト会議が開かれました。今年の目玉選手は、何といっても2度目の春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭高校の二刀流・根尾昂(ねお・あきら)選手と、四番打者の藤原恭大(きょうた)選手、そして秋田県勢として103年ぶりの準優勝を果たした、金足農業高校の吉田輝星(こうせい)投手でしたね。

根尾選手は4球団、藤原選手は3球団が1位で指名。抽選の結果、根尾選手は中日ドラゴンズ、藤原選手は千葉ロッテマリーンズが交渉権を獲得。吉田投手は北海道日本ハムファイターズが1位指名で交渉権獲得です。各選手の活躍・成長に期待したいです。

さて、「ことば」の問題でドラフトを見た時に気になったのは、

「根尾選手の名前」

です。これは

「昂(あきら)」

と読むのですね。この「昂」という字は、谷村新司さんの名曲、

「昴-すばる-」

とよく似ていますが、違う漢字です。

え?どこが違うの?同じでしょ?と思った人、よーーーく見てください。

根尾選手の名前の「昂」は、「日」の下の部首が「叩」に似ていて、左側に「ヒゲ」がありません。

それに対して「昴(すばる)」は、「日」の下の部首の左に「ノ」の「ヒゲ」がある。つまり「卯の花」の「卯」と同じ。ホラ、違う字です!

ちなみの根尾選手の名前の「昂」の音読みは「こう」です。

これ、間違いやすいですよねえ。

実は以前は、「昴(すばる)」という漢字は、「人名用漢字」に入っていませんでした。

子どもに名前を付けて届ける場合に使える漢字は、「人名用漢字表」か「常用漢字表」に載っている漢字に限られ、それ以外の漢字を使うことは認められていません。(平仮名&カタカナは、もちろんOKです)

もちろん「常用漢字」にも入っていないので、名前に「昴」という漢字を使うことができなかったのです。ですから、元マラソンランナーの瀬古利彦さんは、長男に「昴(すばる)」と名付けようとして届け出たのですが、お役所が「人名用漢字にないからダメ」と受理せず、瀬古さんはそれで「人名用漢字」である「昂」の字にして「すばる」と読ませることにして届けたんだそうです。(その後、1990年3月に「昴」は人名漢字表に追加されました。)

戸籍の名前の漢字の「字種」は制限されているんですが、「読み」に関する規定はないのです。だから極端なことを言うと、「昂」と書いて、たとえば「マイケル」とか「レディーガガ」と読ませてもいいわけですね。(ダメかな?あんまりふざけてたら。)あんまりこんなことを言うと、

「誰も読めないキラキラネーム」

が増えそうで嫌なんですけど・・・。

いずれにせよ、「昂」と「昴」を間違えないように、気を付けなければ!!

(2018、10、29)

2018年10月30日 18:42 | コメント (0)