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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_056

『焔』(星野智幸、新潮社:2018,1、30)

このところ何冊か読んだ星野さんに作品。短編集。特にこの前読んだ「相撲」に関する本

『のこった~もう、相撲ファンを引退しない』(ころから)=「2018読書日記010」が良かったので、この本も購入。なかなか表紙のデザインもいいんです。きらきらと燃えているような色紙ような色で、燃え上がる「焔」という文字が記されている。

掲載された9つの短編小説は「連作」はなく、別々の雑誌に掲載されたものなのだが、それぞれの短編の間に単行本で新たに「つなぎ」になる文章を見開き2ページほどで挟み込み、それがまた一つの話になっている。キャンプファイアーのように「焔」を囲んで、「語り部」のように「お話」をする。「お話」が終わった人は消えていき、最後に一人残る。という形。

わたしは最後の「世界大角力共和国杯」という相撲関連のお話から読みました。力士出身者が「おかみさん」になるとか、「世界中」からいろんな国の力士が誕生しているなどの未来(?)の話。それを読んだときは気付かなかったんだけど、最初から読みだしたら、

「あれ?これは現在の日本・世界の延長線上にある仮想未来で、しかも大変望ましくない方向=滅亡への方向に進んでしまっている未来のシミュレーション小説なのではないか?」

と感じました。恐ろしい小説群です。「相撲」のことも含めて。


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(2018、4、21読了)

2018年5月 4日 20:19 | コメント (0)