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『道浦TIME』

新・ことば事情

7293「卓越教授」

10月10日に発表された、ことし(2019年)の「ノーベル化学賞」に、

「リチウムイオン電池で地の開発」

で、吉野彰・旭化成名誉フェローで名城大学教授(71)が選ばれたことは、もう、どなたでもご存じでしょう。日本時間の12月11日(水)未明、もう間もなく「授章式」が行われます。吉野さんはすでに現地・スェーデンのストックホルムに入りに、その準備を着々と進めてらっしゃいます。

ところで、「吉野さんと同時受賞された残り2人」のことに関しては、皆さんご存じでしょうか?大体、日本人にしか興味が行かないですよね、私たち日本人は。私もまあそうなのですが、発表時(もう2か月も前なんだ)一応、目を向けてみました。

一人は、米・テキサス大学オースティン校のジョン・グッドイナフ教授(97)で、

もう一人は、米・ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム教授(77)です。グッドイナフ氏(97)は、ノーベル賞受賞時の年齢としては「史上最高齢」なのだそうです。97歳!「ノーベル賞」って、「生存者」にしか贈られませんからね。もう一人の「M・スタンリー・ウィッティンガム教授」ですが、ただの「教授」ではなくて、

「卓越教授」

なのだそうです。これ、初めて見ました。これまで、ノーベル賞受賞者などの「教授」の肩書では、

「名誉教授」「特別栄誉教授」「終身教授」

というものや、最近ちょっと話題になっている、

「特任教授」

なんていうのは見たことがありますが、「卓越教授」は初めてです。英語では、

「ディスティングイッシュト・プロフェッサー(Distinguished Professor)」

というもので、ウィキペディアによると、

「大学などの高等教育機関において、各専門分野において特にすぐれた業績をあげ先導的な役割を果たしている教員に対して付与される一般の教授より上位の名誉的な称号。略称はDP。"distinguished"とは、英語で「抜群の、別格の」を意味する。日本のマスコミなどでは『抜群教授』あるいは『特別教授』などと呼ばれることも多い。」

多いって・・・「抜群教授」なんて見たことも聞いたこともないぞ。

「卓越教授」でまた検索してみたら、時事通信の今年(2019年)3月27日の記事で、

『東大「卓越教授」に藤田氏=梶田さんらに続き3人目』

という見出しがあり、本文は短めに、

『東京大は27日、専門分野で特に優れた業績を挙げた教授に与えられる「卓越教授」の称号を、同大大学院工学系研究科の藤田誠教授(61)に授与すると発表した。同大の卓越教授はノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さん(60)らに続き3人目。』

とありました。あの、2015年のノーベル物理学賞受賞で、埼玉県立川越高校出身の、

「梶田隆章さん」

「卓越教授」だったんですね!日本でもあるんだ、この肩書。勉強になりました。

それはさておき、吉野先生、受賞おめでとうございます!!

(2019、12、10)

2019年12月10日 18:19