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『道浦TIME』

新・ことば事情

7275「焼肉・焼鳥~送り仮名がないと・・・」

よく街で見かけるお店の看板は、

「焼肉」「焼鳥」

というように「漢字2文字」で、送り仮名の「き」がありません。

しかし、新聞や放送で使う言葉の送り仮名の基準に合わせると、

「焼き肉」「焼き鳥」

と「き」を送ることになります。理由は、もし「き」を送らないと・・・

「焼き肉」か「焼け肉」か

「焼き鳥」か「焼け鳥」か

「焼き魚」か「焼け魚」か

「炭焼き」か「炭焼け」か

「生姜焼き」か「生姜焼け」か

の区別がつかなくなるのです!

そんなこと言っても、

「焼け肉」「焼け鳥」「焼け魚」「炭焼け」「生姜焼け」

なんてないじゃないの!と反論されることでしょう。たしかに。これら「焼け」という形は全部、

「自動詞」

なのです。それに対して、

「焼き肉」「焼き鳥」「焼き魚」「炭焼き」「生姜焼き」

という料理名は、全部、

「他動詞」

です。「料理する」のですから「他動詞」です。勝手に料理が出来上がるわけではありません。

それならば「送り仮名」は要らないじゃないか!ということで、店の看板からは「平仮名」の送り仮名が抜けているのかもしれません。

漢字だけのほうが「インパクトがある」ということもあるかもしれません。

しかし、これはどうでしょうか?

「生焼き」か?「生焼け」か?

うーん調理が上手くいかなかったときの状態は「生焼け」という「自動詞」です。この場合は「送り仮名が必要」ではないでしょうか?

街の店の看板を見ながら、そんなことを考えたのでした。

(2019、11、26)

2019年11月26日 17:57