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『道浦TIME』

新・読書日記 2019_116

『「カッコいい」とは何か』(平野啓一郎、講談社現代新書:2019、7、20)

このタイトルだけだったら買わなかったが、著者が平野啓一郎さんということで興味を持って、購入して読んだ。それにしても新書にしては、かなり分厚い。500ぺ―ジ近い、一冊。

カッコいとは縁遠い私だが、見た目のカッコ良さよりも、中身のカッコよさを目指したいと常々思って来た。で、そもそも「カッコいい」とは何か?まず言葉の表記や意味から分析していく。(第1章「カッコいい」という日本語)そしてその「カッコいい」は「それぞれの趣味による」となると、「基準は何?」となる。(第2章・趣味は人それぞれか?)さらに「カッコいい」と感じるのは"感覚"で、基準は「しびれる」かどうかだと。(第3章「しびれる」という体感)。

また、「カッコいい」を知るために、対極の「カッコ悪い」はどういうことか?と考え(第4章「カッコ悪い」ことの不安)、まだまだ続く。最初に書いたように「カッコいい」のは見た目・外見か?内面か?というところに、ようやくたどり着く。(第5章 表面的か、実質的か)、ここで目を海外に向けて「カッコいい」は日本だけの現象ではないと(第6章 アトランティック・クロッシング!)。そして「カッコいい」の一つの形である「ダンディズム」が、英仏から日本に19世紀に渡って来た流れを記し、(第7章 ダンディズム)、ヨーロッパ社会での「キリスト教」にその起源を求める(第8章「キリストに倣いて」以降)。そういった「カッコよさ」は「男」だけのものなのか?「女性」にも通用する概念なのか(第9章それは「男の美学」なのか?)、そして、まとめ(第10章「カッコいい」のこれから)に至る477ページ。読み応えがあります!


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(2019、8、12読了)

2019年8月24日 18:40