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『道浦TIME』

新・読書日記 2019_114

『やわらかな兄 征爾』(小澤幹雄、光文社知恵の森文庫:2019、6、20)

著者の小澤幹雄さんは、早稲田大学中退、俳優・エッセイスト、何と言っても世界的指揮者・小澤征爾の2歳下の実弟である。勉強不足でお名前を存じ上げませんでした。写真を見たら、お兄さんにそっくりだ!

小澤征爾さんと言えば、おととし、「サイトウキネン」改め「オザワキネン」(のような感じ)のコンサートを、もう最後のチャンスかもと思って、長野まで日帰りで聴きに行ったことがあったなあ。(=おととし。去年は出演しなかった。でも今年は出演された。)小澤征爾さんは、うちの両親と同じ昭和10年(1935年)生まれである。

その弟の幹雄さんが1985年に出た本が、30数年の時を経て、「文庫本」として出版されたとのこと。単行本時には読んでなかったと思うのだが、今回、興味深く読んだ。

子ども時代から、ブザンソン指揮者コンクールに優勝するあたりまでが特に興味深い。スクーターでヨーロッパを回った時代に、メールもないから、沢山「手紙」を書いて送ったという兄・小澤征爾。筆まめだけど、字が汚かったので、弟の幹雄さんは何とその手紙の数々を、読みやすく大学ノートに書き留めていたという。のちに征爾が初めての本を書く時には、その大学ノートが役に立ったのだそうだ。そういった逸話も、時代を切り開いていった小澤征爾の明るい性格など、生き生きと描かれている。

ちょうどこれを読み終わって1週間もしないうちに、NHKの「ファミリーストーリー」という番組で、俳優の小澤征悦さん(=小澤征爾の長男)の歴史(小澤家の歴史)を描いていた。この本に書かれていた話が、まるでドキュメンタリー映画の様に実写や再現で出て来て大変興味深かった。皆さん、ぜひお読みください!


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(2019、8、14読了)

2019年8月24日 18:18