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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_128

『日本衆愚社会』(呉智英、小学館新書:2018、8、8)

久々の呉智英の新刊だ!と本屋さんで見つけて、すぐに購入。タイトルも、いかにも呉さんらしいが、昔はこれがとても刺激的なタイトルだと思ったが、今は普通に今の日本を表しているようで逆に刺激がないというのは、一体世の中どうなってしまったのか?と思う。

「週刊ポスト」での2016年2月12日号から2018年6月1日号までの連載をまとめたものだそうだ。「ポスト」は読まないから知らなかったなあ。今、「呉智英」と言って、

「ああ、あの『バカにつける薬』の!懐かしいなあ」

とわかるのは「50代以上」なのかなあ。

本書は第1章「ポピュリズムを超えて」、第2章「俗論を疑え」、第3章「狂暴なる言論」と大きく3つに分けられて、合計55のコラムが掲載されている。自ら「極左封建主義」と名付けた思想の下で語られる論の大部分は、今なら「正論」と呼べるような考え方だと思う。

一番笑ったのは、「オカルトテロの恐怖」(166ぺージ~169ページ)。

2017年7月11日付『産経新聞』1面コラム「産経抄」で「胎内記憶の研究を続けている産婦人科医の池田明」センセの迷著『子供は親を選んで生まれて来る』を取り上げていて、

「池田センセは『精子の記憶』『卵子の記憶』まで唱えている」

と。

「ある男児、また別の成人男性は『精子のときの記憶』を語った」

「ある女性は『自分が卵子だったとき』の『記憶がよみがえった』という。」

と紹介した後に、

「あのう、センセ、精子が男性になり、卵子が女性になるわけじゃないんですけど。」

これは一人で爆笑した!呉さんも、おそらく笑いをこらえ呆れた顔をして、こう記したことだろう。

これを載せた「産経新聞」も大丈夫か?と心配になってしまう。


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(2018、9、15読了)

2018年10月11日 19:37 | コメント (0)