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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_116

『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』(山中伸弥、平尾誠二・惠子、講談社:2017、10、3)

iPS細胞で2012年にノーベル賞を受賞した山中伸弥教授と、ラグビー元・日本代表の故・平尾誠二さん。この二人が「同学年(1962年度生まれ=私より1つ下の学年)」で"無二の親友"であったとは、この本のことを知るまでは、知りませんでした。しかも知り合ったのは、2010年のこと。つまり大人になってからの友人関係だと。また、山中教授がノーベル賞をもらう前に知り合っています。まあ、平尾さんはその実力・甘いマスクなどからも超有名人でしたから、大学時代にラグビーをやっていた山中教授が知っていても不思議ではない。憧れるのもわかりますが、平尾さんが山中教授と、というのは意外でした。

でもやはり一流の人たちは、惹かれ合う所があったのでしょう。性格も引き合い所があったのでしょうね。家族ぐるみの付き合いになっていたそうです。

ところが。2015年の秋に、平尾さんが「末期のがん」であることが判明。余命は「年内(3か月半ぐらい)」と宣言されます。そこからです、山中教授が平尾さんのがん治療に関して、まるで家族に対するように懸命に取り組んだのは。山中教授にとって、いつしか平尾さんは「かけがえのない存在」になっていたのでしょう。そして平尾さんは平尾さんで、「末期のがん」という運命を平然と「しゃあないわなあ」と受け入れながらも、最後の最後まで(最期まで)生きることを諦めない姿勢は、まさに「スポーツマンの鑑」だと思い、読みながら涙を禁じえませんでした・・・。

平尾さんが亡くなって間もなく2年。来年(2019年)には日本でラグビーの「ワールドカップ」が開かれます。


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(2018、8、23読了)

2018年8月24日 18:37 | コメント (0)