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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_020

『羽生結弦は助走をしない~誰も書かなかったフィギュアの世界』(高山真、集英社新書:2018、1、22)

<ネタバレあり>

1980年頃から40年近くにわたってフィギュアスケート見続けている著者は、エッセイスト。元・雑誌編集者。

最初にフィギュアスケートの基礎について詳しくわかりやすく書いてあります。その後、羽生結弦選手のどこが、どうすごいのか、2010年から2017年までのどの大会でのどの演技がどうなのか、書かれています。正直、とってもマニアックだと思います。普通なら、私は手に取らない本です。でもオリンピックやってるし、報道する立場として勉強しとかなきゃという感じで読み出しました。その「勉強」にちょうど良い、「平昌五輪」でのシングルスケーターのここがすごいと、後半では具体的に紹介してくれています。でも女子日本代表になった坂本花織選手は、想定外だったのでしょうか、紹介されていませんでした。そういうこともあるのでしょう。また「五輪では金メダルを取れなかったが、スゴイ選手」も紹介されています。「五輪での金メダルが全てではない」というのは「真のフィギュアスケートファン」なのでしょう。

途中で、なぜか「マツコデラックスと友人」という話が出て来て「へえー、そうなんだ」と思ったのですが、ところどころ、語尾が「女性的」になります。「フィギュア」にはまる人は女性的なのかも。大体ファンも、女性が多いですからね。著者の過去の著書を見てみると、『愛は毒か 毒が愛か』と哲学的なものや、

『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』

など、と記されています。え?

「教えちゃうわ」?

...女性?さらに、以前、テレビ東京が全仏オープンの中継をやっていたときのエンディングテーマに、「ABBA」(!)の『The Winner Takes It All』という曲を使っていたことがあったそうなのですが、それを知った著者は、

「うまい選曲だわ」

と感心した記憶があるそうです・・・、

「だわ」?

うーん、「心は女性」のようですね。

さらに読み進むと、何と衝撃の一文が。

「個人的な話ですが、私は現在、肝臓がんの治療中です。それが理由ともなっているのでしょうが、私がもっとも強く願っているのは(中略)単純に、選手の健康だけです」

え・・・残りあと10ページというところで、意外な展開に・・・。

高山さんは、この平昌五輪、羽生選手のあの「金」の演技をご覧になったでしょうか?女子の2人の、そのほかの国の出場選手の奮闘も、ちゃんと見届けてほしいです!


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(2018、2、17読了)

2018年2月24日 10:08 | コメント (0)