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『道浦TIME』

新・ことば事情

6687「一か八か」

ことし4月から、フジテレビのニュース番組のキャスターに内定していた、元(と言っても、今月、辞めたばかり)NHKの登坂淳一アナウンサーが、『週刊文春』のセクハラ報道を受けて「お騒がせしたから」と、内定を辞退することになりました。登坂アナは、先日の新番組のキャスター就任記者会見で、

「4月からは、1から8の顔になります」

と、チャンネルを挙げてPRしていました。

「1(=NHK)から8(=フジテレビ)」

ということだったのですが、もしかしたら、これは、

「一か八か」

という「賭け」だという意味もあったのかもしれないなと思いました。上手いこと言うな。

その「一か八か」という言葉は、なぜ「一」か「八」か、なのでしょうか?疑問に思いました。たぶんこれは、「賭け事」なので「勝負事」。「1」と「8」なら足して「9」で、

「おいちょ株」

ではないか?と思ったのですが、そこでまた「あれ?」っと思ったのは、

「『おいちょ株』の『おいちょ』とは何か?」

という疑問。

「トランプ」(=「カード」)

は、16世紀から17世紀に「スペイン・ポルトガル」から入って来た物。

「カルタ」「ブランコ」「カステラ」「(雨)カッパ」「金平糖」

などの仲間ですから、もしかしたら、「スペイン・ポルトガル」から入って来たのではないか?そして、私が知っているスペイン語で「おいちょ」に発音が近い言葉はと言うと、

「オーチョ」

があり、その言葉の意味は、数字の、

「8」

なのですね!これはこれは・・・という状況でしょ?

でも、「1か8か」という状況を考えると、今の手札が「8」なら、「1」が来たら「カブ(9)」ですが、「8」が来たら「6」。これは中途半端ですね。

また、なんで「八(8)」は「ハチ」ではなく「バチ」と濁るのでしょうか?また疑問が増えます。

『精選版日本国語大辞典』で「一か八か」を引いてみたら、

「(カルタ賭博から出た語)」

とまず書かれていました。意味は、まあここに書かなくても皆さんが思っているようなものでした。語源は、それ以外には書かれていませんでした。

用例は「1738年」と「1714年」でした。

ネット検索で語源について調べると、日本語教育の「アルク」のサイトに、

「『一か八か』の語源は何?」という、まさに!のことが書かれていました!

https://www.alc.co.jp/jpn/article/faq/04/90.html

それによると、いくつか説があるようですが、いずれも「カルタ賭博」から発生した言葉で、

(1)賭博における「丁か半か」の「丁」「半」という字の、それぞれ上部をとったものであるという説。

(2)「一か罰か」、すなわち「賽(さい)の目で一が出るか、しくじるか」によるものであるとするもの。

と記してあります。(1)では、

「一」=「半(奇数)」、「八」=「丁(ぐうすう)」

ですね。そして、(1)のほうが有力のように思えますが、昔の用例ではm

「一かばちか」

と「ばち」が「平仮名」で書かれているものもあると。もし「八」ならば「ばち」だけ「平仮名」で書くのは理不尽。そこで(2)の「罰(ばち)」なのではないか?という説も捨てきれないのだそうです。そして私が持った疑問、

「なぜ『八』は『ハチ』ではなく『バチ』と濁るのか?」

も、語源が「罰(バチ)」なら納得できますしね。

「アルク」さんはそこから、こうまとめています。

「以上の点を考えあわせると、もともと『丁か半か』の意味で用いられていた『一か八か』が、『八』と『罰』との語呂合わせの末、『八』の語頭が濁音化したという推論も成り立のではないでしょうか」

うーん、なるほど、納得です!

(2018、1、29)

2018年1月30日 19:49 | コメント (0)