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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_127

『見えない不祥事~北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(小笠原淳、解説・清水潔、リーダーズノート出版:2017、9、30)

清水潔さん関連のツイッターでこの本のことを知り、「読まなくちゃ」と思って、買って(取り寄せて)読みました。

いわゆる「調査報道」の原点を続けている、北海道の地方雑誌の記者のノンフィクション。「ノンフィクション」というより「ルポ」という言葉の匂いを残している「昭和な」感じ。取材の合間に掻き込む昼飯の様子や、自身の持病の話、家でビールやウィスキーで酔っぱらっていて奥さんに冷たく(温かく?)あしらわれる話、自転車で取材に行く話など、人間味あふれるエピソードも満載。そんな中で「北海道警察」の不祥事が隠され続けているという実態を暴いていく。

当然、思い浮かべたのは、直木賞作家・佐々木譲の警官シリーズ。あれも、北海道警が舞台だが、「警察内部」から描いた「小説」=「フィクション」(と言っても、相当取材していると感じさせる。その意味では「ノンフィクション」(=「ルポ」か)と、「警察の外から」取材をして内部を暴いていく「ノンフィクション(ルポ)」であるこの本の著者とは、ベクトルの方向は「正反対」だが、実は同じことを抉(えぐ)り出しているのではないかと感じた。それと、やはり北海道が舞台の『探偵はBARにいる』も、ちょっと思い出した。著者の小笠原さん、「私立探偵」みたいな感じでもある。

こういった不正は、北海道警だけでなく全国の警察で、多かれ少なかれ「ある」と思われるが、ひとつひとつ丁寧に、地道に「情報公開請求」を続けるという姿勢は、「調査報道」にとって大切なのだなあと改めて感じました。

小笠原さん、くれぐれもご自愛くださいね。御身御大切に!


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(2017、10、12読了)

2017年10月22日 12:37 | コメント (0)