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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_104

『しっくりこない日本語』(北原保雄、小学館新書:2017、8、6)

ベストセラー『問題な日本語』から、もう10年以上か。その間も北原先生は『明鏡国語辞典』の改訂などのお仕事もされている。もう80歳だよね。スゴいです。その後にまたこの『しっくりこない日本語』を、今回まとめられたと。

実は私は、北原先生が編まれた『明鏡国語辞典』がしっくり来ないのだが、その「源」になっているのは「右」の語釈

「人体を対称線に沿って二分したとき、心臓のない方。体の右側」

とあるが、「右」に「心臓がある人」だっているのに、

「心臓のない方」

と断定するのは、例として不適当ではないか?と考えている。

しかも「右」の説明をするのに、

「体の右側」

「右」を使っちゃダメじゃないか!と思っていたが、それは「第2版」でも修正されていないのだ。だから。

でも、この本はタメになりますよ。

第1章は「変な日本語 気になる日本語」。

「基本、ユーザーの責任です」

のように「基本的に」が略された「基本」という形はおかしい(でも、使ってるな)とか、

「来てくれてありがとう」

と孫に言われることの違和感がある(そんなに感じない)とか、

「コーヒーのお客さま」

という場合の「の」の使い方は、融通無碍だから。(それは、そうだ)

「~とは思います」

というように、「と」と断定せずに「とは」と「は」を入れるのは「断定を避ける心情」がにじんでいると。これは共感。また、「きれいになる」の意味での、

「きれくなる」

は、語形に無理があると。これも同感。

「感謝を申し上げる」

の「を」に違和感。「を」は不要!フムフム。政治家に多いよね、この言葉遣い。

そして「フィギュアスケート」の、

「ノーミスをする」

は、確かにおかしい。これは私も書いた。昨今、

「感動を与える」

と言うが、「感動」はするもので「与える」ものではない!といった具合。

「第2章」は、もっと以前から言われている「おかしな言葉遣い」「間違った言い方」を集めてあります。

そして、後半は「対談」が2つ。「梶原しげるさん」との対談と、北原先生のお弟子さんの「鈴木仁也さん」との対談。これは、"雑誌感覚"で、軽く読めます。


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(2017、8、31読了)

2017年9月14日 16:17 | コメント (0)