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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_134

『夜と霧 新版』(ヴィクトール・E・フランクル著・池田香代子訳、みすず書房:2002、11、5第1刷・2012、7、13第18刷)

「夏休みに何を読もう?」

夏になると学生時代の「読書感想文」ではないが、なにかちょっとしっかりしたものを読まないと・・・という強迫観念に襲われることはないですか?私はまあ、そんな意識もあり、またこのところ読む本に次々と「夜と霧」が出てきて、「やっぱりこれは読んでおかないといけないなあ」と思いつつ、怖くてページを開らけないまま、学生時代から30年たってしまった本。あの固い箱に入っている本は、なんだか怖い。

と、そんな思いを持っていたら、本屋さんで見かけたのが「新版」となっているこの本。もう10年も前に新版が出て、それがすでに18刷のロングセラーになっていることすら、知らなかった。とりあえず「これなら読めそう」と読み始めたら、150ページほどだからすぐに読めました。ついでに旧版も本棚から引っぱり出してきて眺めてみると、「ああ、これは、字の小さい『解説』が、初めの方にドッサリ載っている。これで読む気をなくしたのだな」と。そしてむごたらしい写真の数々。これは、夜には読めない。新版は、一切写真はなし。でも、せっかく新版を読んだので旧版も読んでみようと思う。新版は、のち(1970年代)にフランクルが手を入れたものだそうだ。つまり旧版とは、一部別物らしい。「夜と霧」というタイトル、本来は「心理学者 強制収容所を体験する」というのが原題だったそうだ。それを霜山徳爾氏が「意訳」したそう。今回、池田氏はそのタイトルを踏襲した。素晴らしいタイトルだが、原題の方が、読みやすかったかもしれません。


star4

(2012、8、5読了)

2012年8月11日 12:05 | コメント (0)