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『道浦TIME』

新・読書日記 2014_169

『辞書には載らなかった不採用語辞典』(飯間浩明、PHP:2014、12、4)

 

飯間さんから頂きました。ことし飯間さん4冊目?ものすごく精力的に書かれていますが、これらは『三省堂国語辞典・第7版』編纂の際に生じた、いわば「余得」と言うか「余剰品」というか、つまり、大豆から「豆腐」を作るときにできた「豆乳」みたいなものですが、これがまた、おいしいんですね。

とっても目立つ「かき氷のレモンシロップ」のような「蛍光イエロー」の表紙は、「三国」に本採用されなかった鬱憤を晴らすかのような。採用されなかった「151語」もの言葉について「1語1ページ」という「ちょうどよい長さ」でコメントされているので、大変読みやすい。その中に「お祈りメール」というものがあった。企業の採用試験に落ちた受験者に、採用担当者から「今回は残念ながらご縁がなかったということで・・・今後の貴殿のご健闘をお祈り申し上げます」などと書かれたメール。この最後の慇懃無礼な文章から「お祈りメール」と呼ばれているものだが、この本は、採用担当者が「心ならずも不採用にした受験者」を「関連会社で採用してあげた」ようなもので、「反・お祈りメール」の精神を感じる。「プロ野球のスカウト」が目を付けた有望選手を、自分のチームではドラフト指名できなかったけど、他のチームに指名してくれるように頼むような感じかな。それは、著者・飯間さんの「言葉に対する愛情」に裏打ちされていると思うんですよね。

一つ、気になったのは88ページ、2008年当時の菅直人さんを「発言当時は民主党"党首"」としていたのは、「発言当時は民主党"代表"」なのではないでしょうか?

あと、178ぺージの「カルーセル」、「メリーゴーランド」「回転木馬」のことですが、私がこの言葉を「カルーセル麻紀」以外で知ったのは、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタインⅡ世によって書かれたミュージカル『回転木馬(Carousel カルーセル)』の名前で、でした。


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(2014、12、8読了)

2014年12月 9日 18:30 | コメント (0)