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『道浦TIME』

新・ことば事情

5515「山鉾巡行3」

 

京都の夏を彩る「祇園祭」の「山鉾巡行」は、毎年7月17日に行われていますが、「大船鉾」が150年ぶりに復活した今年(2014年)から、「7月17日」に巡行を行う、

「前祭(さきまつり)」

と、一週間後の「7月24日」に巡行を行う、

「後祭(あとまつり)」

の2回に分けられることになりました。これによってより一層、京都の7月は「祇園祭一色」になった気がします。

さて、その「山鉾巡行」の「山鉾」を、「ヤマホコ」と濁らないか、「ヤマボコ」と濁るかについて、「平成ことば事情1264山鉾巡行」、「平成ことば事情2244山鉾巡行2」にも書き、きのう(7月23日)のニコ生「道浦俊彦のことばのことばかり」でも各社の読み方をご紹介しましたが、その中で、

「地元・京都のKBS京都は、どう言っているの?」

という疑問が出ました。さあ、調べてなかったな、ということになって翌日、つまりきょう、たまたまつけていたテレビの「KBS京都」で、「祇園祭・後祭の山鉾巡行」の生中継をしていました。その中でアナウンサーは、

「ヤマホコ巡行」

と「濁らずに」話していました!

「山鉾」だけに気を取られがちですが、実は、「巡行」も気を付けないといけないのです。特に「祇園祭」をよく知らない東京の局のキャスターで、以前、

「ヤマホコ・ジュンギョー」

と読んだ人がいました。「大相撲」じゃないんだから「ジュンギョー」ってことはなかろうと。ああ、「巡行」にもルビを振っておいてやればよかったと思いました。(「山鉾」には「ヤマホコ」とルビを振ってあったんですがね。)

ところで、読売テレビのアナウンス部では、ことしの「祇園祭」を前に、各「山」や「鉾」

の読み方に関しての統一の読み方が出ました。記録としてここに残しておきます。

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『京都祇園祭2014  山鉾(やまほこ)の読みの統一について』

2014年71日 

昨年(2013年)、暫定的な基準の下で、それぞれの山や鉾の名称とその読みを統一しました。

その基準の優先度を、ことし、あらためて見直し、下記の基準で統一名称を改訂します。

【改訂基準】

   地元山鉾保存会の公益法人としての届け出名表記に準拠。

 ② 地元山鉾保存会の公式サイト表記、あるいは鉾町・保存会での表記に準拠。(市による案内高札の表記を除く)

その上で、次の2点について十分考慮する

 ③ 記者による地元取材での確認内容

 ④ 著しく人口に膾炙している呼び方、過去のytvニュースでの呼び方

上記の基準に照らしても確定できない場合は、

 ⑤清音の「○○ほこ」とする。(京都市、および祇園祭山鉾連合会表記に準拠)

 

いずれもローマ字による「hoko」表記は海外向けの便宜的表記を含む可能性があるため、できるだけ排除しています。

上の基準に照らした各鉾名称の読み一覧を次に記します。(★は昨年から変更のある読み)

 

   「鉾」名称         基準        【町名】(参考)

【濁音】「○○ぼこ」

  長刀鉾(なぎなたぼこ)  → ①に拠る    【なぎなたぼこちょう】

  函谷鉾(かんこぼこ)   → ①②に拠る

  菊水鉾(きくすいぼこ)  → ③④に拠る   【きくすいぼこちょう】

  放下鉾(ほうかぼこ)   → ①②に拠る  

 ★鶏鉾(にわとりぼこ)   → ①②に拠る   【にわとりぼこちょう】

  船鉾 (ふねぼこ)    → ①②に拠る   【ふねぼこちょう】

【清音】「○○ほこ」

  月鉾 (つきほこ)    → ①に拠る    【つきほこちょう】

  綾傘鉾(あやがさほこ)  → ②⑤に拠る

  四条傘鉾(しじょうかさほこ)→ ⑤に拠る   【かさぼこちょう】

  大船鉾(おおふねほこ)  → ①に拠る

※但し、「菊水鉾」については、公益法人としての届け出名表記(①)は清音「ほこ」だが、

一般の呼びならわしでは濁音「ぼこ」が大勢で、過去のニュースでも濁音で読んできていること(⑤)から、今年においてはこれを踏襲しています。今後変わっていく可能性があります。

同様に、上記の基準は20147月段階のもので、今後、必要に応じて加えるべき基準を加味しながら、その都度、変更していいきます。

 

一方、「○○山」については読みにあまり問題はなく、昨年からの変更もありません。

以下、「○○山」の読み一覧です。

郭巨山(かっきょやま)

霰天神山(あられてんじんやま)  

蟷螂山(とうろうやま)

油天神山(あぶらてんじんやま)

占出山(うらでやま)

孟宗山(もうそうやま)

太子山(たいしやま)

木賊山(とくさやま)

伯牙山(はくがやま)  ※「が」は鼻濁音

芦刈山(あしかりやま)

白楽天山(はくらくてんやま)

山伏山(やまぶしやま)

保昌山(ほうしょうやま)

岩戸山(いわとやま)

橋弁慶山(はしべんけいやま)

北観音山(きたかんのんやま)

鈴鹿山(すずかやま)

浄妙山(じょうみょうやま)

黒主山(くろぬしやま)

南観音山(みなみかんのんやま)

鯉山(こいやま)

八幡山(はちまんやま)

役行者山(えんのぎょうじゃやま)

 

★山鉾は鉾10基、山23基の、計33基。「山鉾」の読みは「やまほこ」(清音)で確定。 

~基準については、主に、山鉾保存会の公益法人としての登録名や、各保存会の公式サイト中の表記に基づいています。しかし、記者による取材での確認内容と食い違う場合は、その都度、報道デスクと相談してください。また、企画取材等のナレーションでは、記者・ディレクターが別の読みを指定することがあるかもしれません。そうした場合は、指定の意図や理由を理解したうえで従って構いません。

このおしらせは、混在する鉾の呼称を便宜上統一するもので、他の呼び方が誤りというわけではありません。ニュースの場で、鉾名の読みが錯綜しないための一助です。ご活用を。

なお、各鉾の名称とは別に「山鉾」の読みはどんな場合でも清音の

「やまほこ」

です。(×「やまぼこ」)

「山鉾巡行」も「やまほこ・ジュンコー」で決まり。「やまぼこ・ジュンギョー」などは二重の誤りになるのでご注意!以上、よろしくお願いします。

ハギー、ご苦労様!

(2014、7、24)

2014年7月24日 15:56 | コメント (0)