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『道浦TIME』

新・読書日記 2014_070

『日本政治ひざ打ち問答』(御厨貴・芹川洋一、日経プレミアシリーズ:2014、4、8)

 

小沢一郎の『日本改造計画』の執筆者(ゴーストライター)でもある東大名誉教授の政治学者・御厨貴と、日本経済新聞論説委員長の芹川洋一は、40年前、東大で同じゼミ生だった!その二人は、長い年月、それぞれ学問とジャーナリズムという違う手法で"政治"と関わって来た"プロ中のプロ"同士。その二人が「日本の政治」について語り合うという、貴重な一冊。

「すぐに答えの出ない『経済』でスタートした安倍政権」は、その船出の仕方は成功だったと評価。その経済政策である「アベノミクス」への期待・イメージで、いつまで時間を稼げるか。そろそろ、その真価が問われる。消費税率も上がって、耐えて行けるかどうか。

「強大な敵がいない政権ほど危うい」

安倍政権が内閣改造をしないのは「人材がいないから」だという。

芹川いわく「本来、政治というか、政党の役割は、ナショナリズムをいかに管理するかだと私は思っているのですが、政党がナショナリズムを煽る方向へ動いているのではないかという気がしてなりません」

御厨いわく、「自民党はどうやって一人ひとりの有権者をつかまえていかなければいけないか。それが昔は利益によってだったけれども、いまはそれほど利益配分ができない。そうすると、芹川流の話にかぶせて言えば、ナショナリズムによって有権者をつかまえるのであり」

芹川「都市部は理念型になるけど、地方はまだ旧来の型なんですね」

御厨「そうです。中堅都市あたりが最もナショナリスティック(国家主義的)になるかもしれない。こうした動きがはっきりしてくると、よほどうまく統合しない限り、自民党はイデオロギー党と利益党に分裂するということです」

改めてこの会話を読んでみて、

「あれ?自民党ではなく『日本維新の会』で石原さんと橋下さんが袂を分かったが、あれも石原さんがイデオロギー党、橋本さんは利益党ということかな?」

と思い当った。東京が都市部の理念型、大阪は地方の旧来型か。勉強になるなあ。


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(2014、5、20読了)

2014年6月 8日 12:07 | コメント (0)