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『道浦TIME』

新・読書日記 2014_043

『角川映画1976-1986~日本を変えた10年』(中川右介、KADOKAWA:2014、3、8)

最近、めちゃ積極的に活動されている中川右介氏。そもそも「クラシック・ジャーナル」編集長という「音楽畑」の人なのに、「ドラえもん」に手を出したり、「映画」に手を出したり(これは、音楽と関係ある)、はたまた「大悪人政治家」にまで手を伸ばし(これも実は、音楽と関係している)ている。すごい。大活躍である。

ということで、何冊かの本を読んだことがあったのだが、その中川右介さんの「ドラえもん」に関する本(2014読書日記038『源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか~『ドラえもん』の現実(リアル)』PHP新書)を読んでいた時に、弊社コンテンツ部の後輩が「道浦さん、『関西ぴあ』の人から本を預かったんですけど・・・」

と言って持って来てくれたのがこの本。なんでも、著者の中川右介さんからだそうだ。おお、この読書日記を読んでくれていたのか!ありがとうございます!

ということで読み始めました。結構分厚い、黒い表紙のシブい本は、角川春樹による「角川映画」の最盛期1976年から1986年までの記録と分析本という、映画ファンなら飛びつく本。

私はと言うと、映画は好きだし、まあまあ見ているが、「映画ファン」を名乗るほどのものではない。何より、実は「角川映画」は、ほとんど見ていなかったのだ。

当時をご存じの方には言うまでもないが、あの当時の「角川映画」の宣伝は物凄かった。映画を見ていない私でも当時の「角川映画」がどのようなものであったかを言えるぐらい、今でいう「メディアミックス」を最大限に活用して、テレビCM・本・雑誌など、メディアを総動員して売るという姿勢が見え見え、イケイケだった。しかも「角川書店の御曹司(二代目)の道楽」というような"やっかみ"的な見方もあって、その姿勢があまり好きではなく(アマノジャクだから)見なかった。レンタルビデオなどが隆盛の時代になっても、「洋画は見るが邦画はなあ、まして『角川映画』なんて・・・」という、鼻持ちならないヘンケンを持っていたことをここで 告白しておく。ITバブルの時の企業家、例えば「ホリエモン」などに対する「アンチ派」的な感情である。その発言や事業規模が大きければ大きいほど、"うさんくささ"を感じていたのである。でも、「本」は好きだったから、角川文庫の「赤川次郎シリーズ」は、当時100冊以上読んだと思いますが・・・。

しかし、この本を読めば、いかに角川春樹がスケールの大きな人間であったか、それまでの「日本の映画界」を、「世界規模」「世界標準」で闘えるようにしようと考えていたかなどがわかり、見る目が変わった。

いま、あれから30年以上が経過して、今一度、角川映画を見直すというのに良いきっかけになる一冊だなあと感じた。で、レンタルしてきました、「戦国自衛隊」「復活の日」。なかなかすごいスケール。今、見ても面白い。いま「セーラー服と機関銃」を見始めています。薬師丸ひろ子、永遠のアイドルだなあ。「時代」を感じさせるセットや役者。渡瀬恒彦は角川映画によく出て来るなあとか、柳沢慎吾、30年以上たっても全然変わってねえじゃねーかよ!とか、「30年たった今、見るからならではの楽しみ方」もあります。ほかの作品もボチボチ見て行こうと思っています。で、今月10日に大阪・ミナミの「ロフト・プラスワン・ウエスト」で中川さんたちの「角川映画」に関するトークイベントがあるので、聴きに行こうと思っています!


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(2014、3、2読了)

2014年4月 9日 11:50 | コメント (0)