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『道浦TIME』

新・ことば事情

5295「辞職と辞任3」

 

大阪市の関市長(当時)について書いた「平成ことば事情2332辞職と辞任」、和歌山の木村知事(当時)について書いた「平成ことば事情2705辞任と辞職」に続いて、「辞職と辞任」の第3弾です。

東京都の猪瀬直樹知事が、徳洲会から5000万円の現金を「借りた」件で、2013年11月26日、これまで所在が分からなかった「借用書」が出て来ました。まあ、これがワープロでと言うかパソコンでと言うか、中学生でも作れそうなペラペラの一枚。ハンコすら押されておらず、手書きで「5000万円」と「猪瀬直樹」の署名があるという、あきれた代物です。「責任をどう取るのか?」(道義上の)というような論議の中で、

「辞任」「辞職」

という言葉も周辺からは、上がっています。本人からは、上がっていません。

さてこの場合、「辞任」「辞職」、どちらの言葉が「適当」なのでしょうか?

という質問を受けましたので考えてみました。

一般的に考えると、「職を辞す」のが「辞職」、「任務を辞す」のが「辞任」ですね。「国会議員」「内閣」ならば「辞職」しかないですね。「社長」「委員()「辞任」しかないですね。

それに対して「知事」は、結構微妙で「どちらもOK」のように感じます。なんでだろうか?

あ、そうか、「知事の任務」=「知事職」に関しては「辞任」で、「知事という役職」に関しては「辞職」なのではないでしょうか?

普通は「知事を辞める」となったら、「知事の任務」も「役職」も同時に辞めることになるので、「辞任」と言っても「辞職」と言ってもいいのではないかなあ。

「知事の仕事」はやめるけれど、その「役職=肩書き」は離さないというようなことがあるのでしょうか?もし、あるとしたら、

「『辞任』はすれども、『辞職』はせず」

ということになるんでしょうかね?それは成り立つのかな?その逆の

「『辞職』はすれども、『辞任』はせず」

は、成り立たない気がするのですが。どうでしょうか?

(2013、11、26)

2013年11月27日 11:11 | コメント (0)