Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

5261「橋桁と橋脚」

 

台風27号の中継で京都・福知山の様子を伝えていたYアナウンサー。

「ご覧いただけますでしょうか、先ほどまで川の水位は3m19cmでしたが、一番新しい発表によりますと2m97cmまで下がったという事です。しかし、先ほどまでの水位の跡が"橋桁"にくっきりと残っています。」

そうコメントした時に、カメラは、

「コンクリート製の橋脚」

に残った水の跡にズームしていきました。

なにげなく聞いていましたが、このコメントは間違いですね。

水位の跡が残っていたのは「橋桁」ではなく、「橋脚」です。「橋桁」は、橋脚の上に横に渡すもので、その上に橋板を載せるのです。「橋脚」は言うまでもなく垂直方向に柱のように立っていて、その橋脚と橋脚の間に渡すのが「橋桁」です。

なぜ間違ったのか?

もしかしたら、「桁」が表外字なので平仮名で書いて「橋げた」と書いたことで、

「橋下駄」

を連想して、その「下駄の歯」のイメージで「橋脚」を「橋げた」と勘違いしているのではないか?「憮然」の「憮」が表外字で交ぜ垣をして「ぶ然」となったことで、「憮」の「がっかり」というイメージが伝わらずに「ブスッとする」イメージに置き換わってしまったように。また、

「橋桁と橋脚を一体のものとして『橋桁』と呼んでいるのではないか?」

という指摘もありました。

Yアナウンサーにはもちろん正しておきましたが、この間違いに対して、特にどこからも苦情や意見がなかったというのも気になります。

(2013、10、28)

2013年10月29日 18:13 | コメント (0)