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『道浦TIME』

新・ことば事情

5182「大きいお世話」

 

突然ですが・・・

「大きい荷物」

とも、

「大きな荷物」

とも言いますよね。文法的には「大きい」は「形容詞」、「大きな」は「形容動詞」でしょうか。しかし、

「大きなお世話」

とは言っても、

「大きいお世話」

とは言わないですね。これは、なぜなんでしょうか?

というのも、「ミヤネ屋」にご出演いただいているデーブ・スペクターさんがコメント中で、

「大きいお世話かもしれませんが」

と言ったのですが、これがひっかかったのです。普通は、

「大きなお世話かもしれませんが」

というところでしょう。あれだけ日本語に堪能デーブさんをもってしても、この微妙なニュアンスは使い分けられていないのです。

「なぜ『大きいお世話』とは言わないか」

と聞かれて、すぐには答えられません・・・。

もしかするとこの「お世話」は単なる「名詞」ではなく、

「(お)世話を焼く」

という「動詞」なのではないか?だから、形容詞の「大きい」だと違和感があって、形容動詞の「大きな」の方が合うのではないか?でも、

「大きな栗の木の下で」

は、違和感がありません。

「大きい栗の木の下で」

でも、おかしくはありません。

これについて、三省堂国語辞典編集者で早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんに、この前会った時に聞いたところ、

「『大きい・小さい』は、"比較"の時に使います。それに対して『大きな・小さな』は"主観"なので"絶対値"だと思います」

というお答えでした。つまり、

「相対評価と絶対評価の違い」

だと、まあ、そんな感じのお話しでした。「大きな」は「主観」であって「比較」ではないと。(ちょっと飲みながらの話だったので、記憶がぼやけているかもしれませんが。)

つまり「大きなお世話」と言うと、

「自分にとって、いらんおせっかい。」

という意味で、別に、

「誰それと比べると、ちょっとおせっかいの度合いが過ぎる」

というものではありませんね。大体、「おせっかい」と感じるのは「主観」であって「比較」ではないですからね。だから「大きいお世話」(比較)という表現はなじみにくい・・・ということですね。

それで「なるほど」と納得がいったのでした。

(2013、7、17)

2013年7月20日 12:32 | コメント (0)