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『道浦TIME』

新・ことば事情

4320「寒の戻り」

 

3月に入りもう「春」かと思ったら、何かこのところ寒い、寒い・・・・。

「ミヤネ屋」の番組最後で、森若アナウンサーが読む「天気予報の原稿」は、ウェザーニュースの気象予報士さんが書いてくれているのですが、それに事前に目を通してチェックしています。先週のこと、

「このところの暖かさから、うって変わって、『寒戻り』となるでしょう」

という文章がありました。「そうか、寒くなるのか」と思ってから、ちょっと「うん?」と思いました。それは、

「『寒の戻り』という言葉は、今の時期に使うのか?」

という疑問です。『精選版日本国語大辞典』を引いて見ると、

「かんの戻り」=「晩春の頃、急に大陸性高気圧の勢いが盛り返して、一時異常に寒くなること」

とありました。やはり!今の時期=早春に使う言葉ではなかったのです!

念のため、「晩春」を引くと、

「晩春」=①春の末。春の終わり方。暮春。②陰暦三月の異称。

とありました。

ちなみに、この時期よく耳にする、

「三寒四温」

も、本来はこの時期(早春)の気候を指すものではないと聞いたことがあります。これも引いて見ましょう。

「三寒四温」=冬期、寒い日が三日続くとその後四日ほど温暖な日が続き、これが繰り返される気候現象。天候変化に七日ほどの周期のあることによる。中国北部や朝鮮半島北部などでかなり規則的にあらわれる。」

のだそうです。やはり春先ではないのですね。

(2011、3、3)

2011年3月 3日 19:06 | コメント (0)