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『道浦TIME』

新・ことば事情

3841 「バンクーバーオリンピックを100倍楽しむ方法」

きょう、29日放送の「ミヤネ屋」のエンディングでご紹介した、翌10日放送予定の内容の予告は、

「バンクーバーオリンピックを100倍楽しむ方法」

でした。これって

「誇大広告」

にあたるのでしょうか?わりとよくある表現で、

「誰も本当に『100倍』楽しめるとは思っていない」

でしょう。

「八百万の神」

800万の神」がいるわけではなく、単に、

「たくさん」

という意味であるのと同じだと考えていただければよろしいかと。でも10倍」ではインパクトが弱い、「1000倍」だと誇張感が出すぎてウソくさい。ころあいが「100倍」なのでしょう。その意味では、

100倍=1倍」

で、この100倍」は外して、

「バンクーバーオリンピックを楽しむ方法」

としても実質的には何も変わりません。ま、見栄えは「少し地味」になりますが。

本当に目立つ広告・予告にするなら、私なら、

「バンクーバーオリンピックを2、3倍楽しむ方法」

なんて感じにしますね。「にー・てん・さんばい(23倍)」。じ。地味!

でも、2倍」よりは少し多い、この小数点以下の「0、3倍」に、

「お得感」

がある気がしませんか?また、

「なんで小数点以下の数字なんか出すんだろ?その根拠は何だろう?」

と、興味が湧きませんか?私なら湧くんですけど。どうでしょうか?

とりあえず、あすは「100倍」楽しめる予定ですので、ご期待下さい!

                                         (2010、2、9)

 

 

(追記)

『週刊現代』(2010213日号)を読んでいて、講談社の本の広告に目が留まりました。そこには、

『サッカーを100倍楽しむための審判入門』

という本のタイトルが!やっぱり100倍」というのはよく使われているようですね。その昔の江本孟紀さんのベストセラー、

『プロ野球を10倍楽しむ方法』

以来、ずいぶん「インフレ」になりましたが、使い方は同じですね。

ちなみに、「バンクーバーオリンピックを100倍楽しむ方法」と予告された2月10日の「ミヤネ屋」の放送の中に出てきた字幕スーパーは、なんと、

「バンクーバーオリンピックを120%楽しむ方法」

でした。あれ?「100倍」が「120%」になっている!

「120%」は「1,2倍」に過ぎません。ずいぶん小さくなっちゃったのね。でも、見た・イメージ聞いたイメージは、

「100倍=120%」

です。つまりここで大事なのは「ヒャク」という音の響きと、文字上の「100」という3ケタの数字なんですね。

ちょっとおもしろい発見でした。

大体「100倍」なのか「98倍」なのか、「10倍」なのか、誰も計ることは出来ませんからね。

 

 

 

 

(2010、2、11)

2010年2月10日 15:20 | コメント (0)