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『道浦TIME』

新・ことば事情

6181「『ござりまする』のイ音便」

歌舞伎の「中村橋之助」「中村芝翫(しかん)」を襲名したニュースを見ていたら、

「ござりまする」

という言葉が出て来ました。それを聞いて「あっ!」と思いました。

というのは、これは普通、現代では、

「ございます」

というところ。つまり、

「『ございます』は『ござります(る)』の『イ音便』である」

ということに気が付いたのです。

「音便」の中では、「ありがとう」「おめでとう」「おはよう」のような、

「ウ音便」

は、全くそれが音便であるとは意識せずに「ひとつの慣用句」として使っていますね。たまに、

「危のうございます」

のような形に接して、

「あ!丁寧な『ウ音便』だな」

と思う程度です。さらに「イ音便」って「ウ音便」以上に意識しないなあ、と。あまりないのかな。

辞書を引くと、現代語で使っているものとしては、

「書きて」→「書いて」

「次ぎて」→「次いで」

ぐらいしか出ていなかったですが、既に「『イ音便』が当たり前」になっているということでしょうね。

(2016、10、10)

2016年11月 1日 17:10 | コメント (0)