Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

5975「ウエムラさんのアクセント」

 

 

去年2月、神奈川・川崎市の中学1年生上村遼太さんが、当時18歳の少年らに殺された事件。少年事件ですが「逆送」されて、成人と同じような裁判を受けることになった、その初公判が、2月2日、横浜地裁で行われています。

被害者の「上村遼太さん」の名字、

「上村」

のアクセントに関して、吹き替えを担当する「ミヤネ屋」スタッフから質問を受けました。「『ウ/エ\ムラ』でしょうか?それとも『ウ/エムラ』でしょうか?」

「うーん、どっちでもいいような気がするけど。両方、耳にするよね。そうだ、植村なおみアナウンサーに聞いてみよう!

とアナウンス部に電話をしたら、ちょうど植村なおみアナウンサーが在席していました。件の問題について「自分の名字は、どう発音しているか?」と聞くと、

「うーん、ふだんは『ウ/エムラ』と『平板』ですね。でも、ゆっくり確認するように言う時は『ウ・/エ・\ム・ラ』と『ム』を上げることもあります。でも『上』と書く『上村』の場合は大体いつも『平板アクセント』で『ウ/エムラ』ですね。『植える』ほうの『植村』は両方のアクセントがあるけど、『上』のほうの『上村』は『平板アクセント』しかないような気がします。」

「あ、そうか、そういえば『上村』の対の『下村』は、『シ/モムラ』と『平板』でしか言わないよね。『シ/モ\ムラ』とは絶対言わないね。」

という話になりました。

2月3日の日本テレビ『スッキリ!!』では、検察側の「吹き替え」では、

「ウ/エ\ムラさん」

「中高アクセント」でしたが、「ナレーション」は、基本的に、

「ウ/エムラさん」

「平板アクセント」でした。検察側の「吹き替え」の「中高アクセント」直後のナレーションは、1回だけ、つられたのか、

「ウ/エ\ムラさん」

にと「中高」になってしまいましたが、その後はまた、

「ウ/エムラさん」

と「平板」に戻っていました。弁護側は、検察側の「吹き替え」と同じく、

「ウ/エ\ムラくん」

「中高アクセント」でした。

また、2月3日の日本テレビ「NEWS ZERO」でキャスターの右松健太アナウンサーは、一貫して、

「ウ/エ\ムラサン」「ウ/エ\ムラクン」

「中高アクセント」でした。

おなじ2月3日のTBS「ニュース23」で、男性アナウンサーは、

「ウ/エムラクン」

「平板アクセント」でした。また、日本テレビは「さん」付け「上村さん」でしたが、TBSは「君」付けで「上村君」でした。

 

なお、2月10日に主犯格の少年Aに対して、「懲役9年~13年の不定期刑」の裁判員による判決が出ました。

 

(2016、2、11)

2016年2月11日 17:40 | コメント (0)