Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

5958「『乗員乗客』か?『乗客乗員』か?」

長野・軽井沢町で起きたスキーバスの転落事故。未来ある若者13人の命が奪われました。(運転手2人も死亡。)本当に、何の罪もない若者たちの死は、痛ましいです。うちの息子といくつも違わない年齢。輝く未来が待っていたはずなのに・・・。

このニュースを伝える際、「ミヤネ屋」では、

「乗客乗員15人が死亡」

というように、

「『乗客』を先に言う」

ようにしています。いま(1月19日)放送していた、読売テレビの「かんさい情報ネットten.」では、この事故のニュースで、

「乗員乗客」

「『乗員』を先」に言っていました。しかし、次に伝えた福井・あわら市で起きたバス事故の原稿では、

「乗客と乗員」

「『乗客』が先」になっていましたが。

この問題に関しては、以前(2014年4月)、新聞用語懇談会の放送分科会で、私が議題として提案して話し合ったことがあります。韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故での表現に関してです。

「昔は『乗員乗客』と『乗員』を先に言っていましたが、今は『乗客』を先にして、『乗客乗員』という表現が普通だと思うのですが、この表記に関して各社はどうされているでしょうか?

これに関しての各社の委員の回答は、

(MBS)「乗客」が先。「乗客」のほうが、人数が多いからか。

(ABC)混在している。

(フジテレビ)決めていないが、事故のニュースでは「乗客」が先。

(ABC)1957年から現在までの原稿をデータベースで調べてみた(!)。それによると、「乗員乗客」=98件(比較的「古い原稿」が多い)、「乗客乗員」=87件(「新しい原稿」が多い)。

(読売新聞)特に意識していない。

(テレビ朝日)飛行機の事故の場合は「乗客乗員」「乗員乗客」両方ある。船の場合は「乗組員○人、乗客○人」と言い、「乗員」はあまり使わない。「乗客乗員」は「鉄道」の場合に多い。

というような話でした。

(追記)

2016年7月18日(月・祝)、東京・羽田空港を離陸したハワイアン航空458便が、異常を感じて引き返し、羽田空港に緊急着陸する事故がありました。この飛行機は着陸の際にタイヤがパンクして立ち往生したため、その間、滑走路が閉鎖され、3連休最終日の空のダイヤにも影響が出ました。これを報じた18日のお昼の各局のテレビニュースでは、私が見た限りでは、日本テレビ・テレビ朝日・フジテレビ・NHKは、

「乗客乗員」

の順番でした。TBSは、残念ながら見逃しました。

(2016、7、18)


(2016、1、19)

2016年1月23日 12:19 | コメント (0)