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『道浦TIME』

新・読書日記 2015_44

『中間層消滅』』(駒村康平、角川新書:2015、3、10)

 

「2015読書日記043『地方消滅』(増田寛也編著)」と続けて読んだわけではないが、あとで見直すと「消滅」という言葉が共通している。ことしのキーワードか?

今、話題のピケティ等の主張にも触れながら、グローバル化(アメリカ化)によって富の集中が進んで中間層が消滅してきていると。しかし歴史的に見れば、現在よりももっと富の集中していた時代はあったという。また「所得が上の人が富めば、その"おこぼれ"で所得の下の人も潤う」という「トリクルダウン理論」は「神話(ウソっパチ)」だったとも書いている。

そして、いくら「制度」ができても、その狭間を埋める最後の砦(とりで)は、「地域(住民)の力」であるという。結局、これまでも「このままではゆくゆく、ダメになる」と分かっていた制度を、

「まあ、今はまだ大丈夫だから、解決は先の世代の人にやってもらおう」

と「先送りしてきたツケ」が、ついに支払いのときを迎えているのが現在である。もう「安くて質のいい物」を求めるのは無理だという意識を、皆が持たなくてはならないと著者は述べる。その意味では「痛みを伴う改革」という掛け声は、(方向性は別にして)小泉政権が発した数少ない「良い点」だったのかもしれない。


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(2015、4、4読了)

2015年4月14日 15:41 | コメント (0)