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『道浦TIME』

新・読書日記 2014_142

『ものの言い方西東』(小林隆・澤村美幸、岩波新書:2014、8、20)

 

方言として関西弁は大きな力を持っている。1200年も首都があったのだから、その後400年ぐらいの東京よりも言葉が底力を持っているのだ。古くから使われている言葉が関東にももちろん影響を与えているだろう。その「ものの言い方」の地域差を「口に出すか出さないか」「決まった言い方をするかどうか」「細かく分けるかどうか」「間接的に言うか直接的に言うか」「客観的に話すか主観的に話すか」等の「二分法」の基準を、1章~7章までで論じ、さらに8章以降は「発想法」「その背景」「どうやって生まれ、発達するか」を分析して、最後に「ものの言い方を見る目」でまとめている。

著者は2人になっているが、小林が1957年生まれの東北大学教授なのに対し、澤村は1980年生まれで現在、和歌山大学准教授という若手。全体の雰囲気としては澤村の論文を小林がチェックして、面倒を見ているような感じ、かな。

山形生まれで関西に全く縁がなかった澤村が、和歌山大学に務め関西で暮らすことで、生活の中で発見したことばの地域差の驚きというのが、本書を出すキッカケになっているという。論文みたいなわりには、読みやすいです。


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(2014、9、2読了)

2014年10月10日 21:48 | コメント (0)