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『道浦TIME』

新・読書日記 2014_049

『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』(藤原智美、文藝春秋:2014、1、30)

 

「暴走老人」の著者が、「ネット社会」に物申す!

序章「ことばが人と社会をつくる」。それが、ネットの普及によって「ことばから狂いはじめた日本」という第1章。ネットの言葉は「書き言葉的」でありながら、「話し言葉的」な特徴を持っていると。それは、私もかねがね指摘している点です。それによって「書き言葉的」社会が揺らいでいるのだと。政治家の言葉の中で「がんがん」「どんどん」といったオノマトペがたくさん使用されるようになり、政治が軽くなっていると指摘もしている。大阪大学の秋田喜美氏が、国会議員の議事録の中でのオノマトペを数えたのだそうだ。それによると、1990年に1万4000回だったオノマトペが、現在は3万8000回にもなっているという。オノマトペは、典型的な話し言葉で、情感や気分に訴えかけるものだという。グーテンベルクの活版印刷の発明以来500年、近代は「書き言葉」が作って来たが、いま、ネットの時代で、その規範が崩れつつある。多様性から均一性へと針を進めた活字が、ネットでは、また多様のカオスの世界に我々を導くのか?ネットの通信の速さが何をもたらすのかも、見守っていきたい。


star5

(2014、3、22読了)

2014年4月23日 15:55 | コメント (0)