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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_171

『破綻~バイオ企業・林原の真実』(林原靖、ワック:2013、7、26第1刷・2013、9、14第6刷)

 

東日本大震災の直前に発覚した、岡山のバイオ企業「林原」の破綻。「林原」と言えば、昔は「カバヤキャラメル」でも有名だった。その後「バイオの雄」「地方の雄」として名を馳せたが、2011年の2月、「え、なんで?」と思われるニュースで名前を聞き、東日本大震災で、そんな話も耳にしなくなったと思ったら、その間に「破綻」していたという。

いったい何があったのか?創業家・林原家で、社長の兄の片腕として専務を務めた著者が、「何があったのか」

を創業家の立場で語った。客観的ではないかもしれないが(一方の当事者だから)これまでは債権者・銀行側からしか語られなかった「事実」を、もう一方の側面から明らかにしたという意味では、貴重な一冊。読んでの感想は、

「『半沢直樹』よりも現実は厳しい、銀行の非情さ」

ということだろうか。著者が「様」付けで皮肉たっぷりに名指しする「S信託銀行」。本書を読めばわかるが、ある意味「林原は、銀行が潰した」と。ただ、やはりオーナー企業として、昨今のアメリカ化としてのグローバリズムと「コンプライアンス」について、経営陣があまりにも疎かったことが致命傷になったということも読み取れた。


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(2013、10、9読了)

2013年10月16日 11:50 | コメント (0)