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『道浦TIME』

新・ことば事情

5168「気温計」

7月10日の『関西情報ネットten.』で、猛暑の京都市動物園から中継をした、中谷しのぶアナウンサーが、デジタル式の温度計を取り出して、

「気温計では、40℃です!」

と言いました。それを聞いて「あれ?」と思ったのは、

「気温計」

という言い方に違和感があったから。普通、これまでは、

「寒暖計」

あるいは、

「温度計」

と言ったのではないでしょうか?まあ、「寒暖計」というと、あの下のほうに赤い玉が付いていて水銀?が入っているようなアナログな感じのもののイメージが強いですが。

『精選版日本国語大辞典』の「温度計」の「語誌」を見ると、こういった記述がありました。それによると、

(1)  器具は明和2年(1765)に日本に伝わり、オランダ語Thermometerの訳語として「感熱昇降器」(平賀源内)、「験温器」「験温管」「験温儀」「列氏験器」「寒暖計」などの名称でよばれていた。

(2)  幕末までは「験温器」が多用されたが、明治10年ころから「寒暖計」が優勢になった。

(3)  明治後期に「温度計」が登場し、昭和40年ころからこれが普通の名称となった。

 

とありました。オランダ語Thermometerは、おそらく「テルモメーター」と読んだのでしょう。ということは、あの医療器具会社の「テルモ」は、そこから名前を取ったのかなあ。

いや、話がそれました。

1765年に日本に伝わったと具体的な年代が分かっているのですね!そして、

「感熱昇降器」(平賀源内)、「験温器」「験温管」「験温儀」「列氏験器」「寒暖計」

の中から、幕末までは、

「験温器」

が多用された、明治10年(1877年)ころから、

「寒暖計」

が優勢になった。そして、明治後期に登場した、

「温度計」

が、昭和40年(1965年)ころから、これが普通の名称となった、と。

平賀源内、こんなところにも顔を出している!「感熱昇降器」って、そのままじゃないですか。平賀源内だと、

「ネツハカール」

とか、そんな名前を付けそうですが。

また、話がそれました。

ということは、「温度計」が定着してからすでに半世紀近く。「デジタル」の物も登場しているのですから、新しい名前が出て来てもいい頃なのではないでしょうか?

「寒暖計」は「死語」かなあ?「温度計」も???

グーグル検索では(7月11日)、

「気温計」= 24万9000件

「温度計」=795万0000件

「寒暖計」= 12万8000件

でした。

 

(2013、7、11)

2013年7月11日 12:49 | コメント (0)