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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_116

『衆愚の病理』(里見清一、新潮新書:2013、6、20)

 

著者は現役の医師。私と同い年。こんなに書いちゃっていいのかな。かなりの「トンデモ」意見が満載で面白いが、面白いと思って読めない真面目な人は、読み出してしばらくすると、ハラが立って、文字通りこの本を放り投げてしまうかもしれない、危険な本。なんたって民主主義を信じていない...ふりをしてる。衆愚によって選ばれた議員なんかに任せてもダメ。ここはひとつ、尊敬の対象としての天皇陛下と、あとは自衛隊に政治を任せれば・・・なんて書いてある。エジプトか!日本をエジプトにする気か?「ロジカルでシニカル、時にアクロバティックな議論」という評が書かれているが、その言葉にウソはない。

著者は昔、平成版の「白い巨塔」の制作に協力したことがあるという。あ、それでペンネームが「いいもん」の医者の「里見」か。

「敗戦処理はエースの仕事」とか「民主主義がヒトラーやルーピーを生む」とか「人は思考停止を欲する」などは「その通り!」という部分も多いのだが、時に論理は飛躍する・・・しすぎる。著者が好む「落語」的な話の飛躍がある。落語はSFだからね。この本(の考え方)、全体としては、☆3つは、あげられないよなあ。危ないです。


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(2013、7、4読了)

2013年7月 5日 11:43 | コメント (0)