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『道浦TIME』

新・ことば事情

5080「おところとおなまえ」

 

日曜日の昼下がり、「NHKのど自慢」を見ていました。この日は沖縄・那覇市からの中継です。司会は、この4月から新しく変わった男性アナウンサー。「爆笑オンエアーバトル」みたいなノリですが、前任のちょっと元気のない鼻濁音系のベテランの方よりは「向いている」と思います。

その「オンエアバトル」アナウンサーが、鐘がキンコンカンコン!と鳴った「合格者」に、感想を聞いた後、最後に「住所と名前」を聞こうと、

「おところとおなまえは?」

と言ったところ、3人ほどの合格者(ということは、合格者の中ではかなり人数)が、

「???」

という感じで、「何を聞かれているのか分からない感じ」で答えられませんでした。言葉の意味が通じていないのです。まだ「おなまえ」はわかったようでしたが、「おところ」については「意味不明」という反応でした。

これは、沖縄という土地柄、「意味不明」反応をした3人の合格者のうち2人が「ハーフ」(お父さんがアメリカ人・お母さんが日本人、「アメラジアン」と呼ばれる人)であったということもあるかもしれませんが、残りの一人は、「"ハーフ"ではない」女子高生でした。

これについて私の感想は、

「『おところ』という表現が、若い人や外国人(あるいは"ハーフ"の人)などには理解されにくくなっているのではないか?ストレートに『住所』と言ったほうが通じたのではないか?」

ということです。よく考えると「おところ」は「ところ」に「お」が付いていますが、意味するところは、

「お住まいになっているところ(の地番など)」

という意味の「省略形=「ところ」に「お」を付けたものです。こういった言葉を普段からよく使っていれば、何ということのない言葉ですが、最近日常生活で「おところ」という「敬語」に接する機会が減っているのではないでしょうか?特に「沖縄」という土地では・・・ということを考えたのでした。

こういった敬語に接する機会の少ない「小学生(子供)」に「おところは」と聞くよりも、「住所は」と聞いた方が、絶対に理解度は上でしょうからね。それと同じようなことではないでしょうか?そうすると、何も沖縄に限ったことではないのではということも考えました。

(2013、5、13)

2013年5月13日 18:30 | コメント (0)