Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2013_002

『東京裁判~フランス人判事の無罪論』(大岡優一郎、文春新書:2012、12、20)

 

著者はテレビ東京のアナウンス部長。元NHKアナウンサー。NHK時代にフランス留学もしていて、これまでに何冊もフランス語の翻訳も手がけているという人物。で、実は私用語懇談会で、いつもお世話になっている人。今年は一緒に放送分科会の幹事をやらせてもらっています。しかし、まさかこんな本を書いている人とは、全然知りませんでした。昨年末、この本が送って来られて、「ぜひ、厳しい感想を」ということだったので、お正月休みに頑張って読んで、ご本人に"感想文"をメールで送りました。

率直な感想としては「すごいですねえ、学術論文ですねえ。」

私は個人的には「東京裁判」にあまり興味がなく、詳しいことを知りません。ですので、このタイトルだと、本屋さんで見つけても、きっと手に取らなかったと思います。

内容的にももちろん東京裁判でのベルナールの「無罪論」がきっかけで、それがインドのパル判事よりも有名でないところが「とっかかり」だとは思いますが、そこからベルナールという人の「人となり」を詳しく明かしていくという内容ですから、そちらをタイトルに持ってきた方が、興味が湧いたと私は思います。

全体の印象としては、大変「レトリック」が使われている感じで、「エビフライの衣が大きい感じ」がしました。(ゴメンナサイ・・・)「翻訳調」と言いますか・・・。

「すなわち」等の接続詞を省いた方がスッキリして、テンポ良く頭の中に入ってくる気がしました。もう少しセンテンスが短く、畳み掛けるように「ミステリー風」の方が読みやすくて、グイグイ引き込まれたのではないかなあと思います。「エビ」自体は大きくておいしいとと思うのですが。(と、レトリックを使ってしまった。)

「ドキュメンタリー」風でありながら「物語」でもあるという感じですよね。

なんとか通読できてよかったが、読み終わっての感想は、

「難しかった!」

ということと、

「こんなのを書けるって、大岡さんはすごいなあ」

と思いました。


star3_half

(2012、1、5読了)

2013年1月28日 11:25 | コメント (0)