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『道浦TIME』

新・ことば事情

4941「モフタルか?モフタールか?」

 

1月16日、アルジェリアのガス田に、アルカイダ系のイスラム武装勢力が、多数の人質を取って立てこもる事件が起きました。1月18日にアルジェリア群が空爆をしましたが、制圧できたのかどうか、情報が錯綜していて、まだ詳しいことはわかりません。

日本人17人の安否も、3人が無事という情報しか入って来ていません。(18日午後6時現在)

その中で、イスラム武装勢力のAQIM(イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織)の中心人物の名前の表記が、新聞によって違います。1月18日の朝刊では、

(読売)モフタル・ベルモフタル容疑者

(朝日)モフタル・ベルモフタル司令官

(毎日)モフタール・ベルモフタール幹部

(産経)モフタール・ベルモフタール元幹部

というように、読売と朝日は、「長音符号なし」、毎日と産経が「長音符号あり」と分かれました。日経はこの名前が出てきませんでした。

要は、「伸ばす・伸ばさない」というよりも、「タ」にアクセントが来る発音の仕方だということだと思いますが、文字(カタカナ)で書くと、またイメージが微妙に変わってくるような気がします。

カタカナ表記が定着していない人名や地名の場合(多くはイスラム圏やアフリカ、ロシアなど)は、各社の表記が異なることは、よく見られることです。

この日の読売テレビの「ミヤネ屋」では、「読売新聞」に従って、「長音符号なし」で放送しました。

また、よく見ると肩書と言うか、名前の後についている「呼称」も、微妙に違います。

読売は「容疑者」、朝日は「司令官」、毎日は「幹部」、産経は「元幹部」です。

それと、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」のアルファベット略号が、読売・朝日・毎日は、

AQIM

だったのですが、なぜか、産経は「M」と「I」が入れ替わって、

AQMI

でした。もしかしたら、「AQMI」というのもあるのかもしれません。

 

 

(追記)

1月21日の日本テレビのニュースでは、

「モフタール・ベルモフタール」

と、両方「

伸ばす」形で、毎日新聞と産経新聞と同じ表記でした。

(2013、1、21

(追記2)

1月22日の「ミヤネ屋」のマルチ画面で、

「モフタール・ベルモフタル司令官」

と、前半は「-」で伸ばして、後半は伸ばさないというヘンな形になってしまったので、ディレクターに聞いたところ、

「きのう(21日)の日本テレビ『NEWS ZERO』の原稿では『ベルモフタル司令官』となっていて、ファーストネームは出していなかったので、名字はそれに合わせたのですが」

とのこと。ちなみに翌日22日の『ZERO』のスーパーも、やはり、

「ベルモフタル司令官」

だったようです。日本テレビ系列は、

「アルイカイダ」「ビンラディン」

「-」を入れない表記が多いようなので、この人の場合もそうなのでしょうかね?

(2013、1、23)

(追記3)

NHKでは、

「モフタール・ベルモフタール幹部」

と、伸ばしていて、

TBSは、

「モフタル・ベルモフタル司令官」

と伸ばさないんだそうです。

「ビンラディン」「ビンラーディン」や「アルカイダ」「アルカーイダ」のように、

各社でバラバラのようですね。そのうち出て来なくなるんでしょうけれど・・・。

要は「タ」のところにアクセントがあるのを長音符号を使うか使わないかということだと思いますが、これって統一できないんでしょうかねえ・・・。

                                            (2013、1、25)

 

(2013、1、18)

2013年1月18日 19:24 | コメント (0)