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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_226

『死の淵を見た男~吉田昌郎と福島第一原発の五00日』(門田隆将、PHP:2012、12、4)

2011年3月11日、東北地方を襲った巨大地震で福島第一原発がメルトダウンを起こすにいたった時に、東京電力福島第一原発の所長だった吉田昌郎が、日本の危機・人類の危機から人々を救うために闘った500日間の記録・ドキュメント。著者はたしか、山口光市の母子殺人事件の被害者遺族・本村洋さんについてのドキュメントも書いていた人だと思って、本書を購入した。

表紙を開くと、大津波に襲われる福島浜通りの写真、福島第一原発爆発の瞬間の福島中央テレビのカメラの映像、そして、2012716日、著者のインタビューに応じた、がんと闘病中の吉田昌郎・前所長の写真。吉田前所長はインタビューの10日後に脳内出血で倒れた・・・。

闘いの日々の記録を読むと、やはり首相官邸が、いかに機能を停止していたのか、菅総理の横暴ぶり、東京の東電本社と現場との距離感、必死で闘った東電や消防、自衛隊の現場の人たちの姿が伝わってくる。そして、ひとたびこのような事故が起こった場合に、最後は「人」がその現場の「核心」に行って、文字通り「命がけで」(死を覚悟して)対応しなくてはならないということが、よくよくわかった。そしてその状況は、今もまだ終わってはいないのである。

この感想を読んだ人、「全員が」読むべき本だと思う。


star5

(2012、12、9読了)

2012年12月30日 17:46 | コメント (0)